2018/03/25 のログ
■オーギュスト > その瞬間、世界はスローモーションだった。
男の顔が歪み、続いて衝撃。
最後に男の体が吹き飛び、置いてあった机を、上に乗っていた酒瓶ごと吹き飛ばす。
幸い、骨どころか歯も折れていない。
衰えたといえど、頑丈なのだけは変わりない。
「ぐ、ぇ――!!!」
衝撃で男の思考が一瞬止まる。
そして。
「てめ、なにしやがる、サロメぇ……!」
■サロメ >
「何しやがるだと?
立場ある人間が安々と死を選ぶなど、もう2、3度殴りつけても釣りが来る!!」
吹き飛んだオーギュストへと歩み寄る、その足が止まった
今、確かに名前を呼んだ───?
■オーギュスト > サロメ?
誰だ、それは。
いや――
「がぁぁぁぁ!!!」
圧倒的な欲望が頭を埋め尽くそうとする。
だが、一瞬。
ほんの一瞬だけ、目が覚めた。
「――ありったけの、解呪と、解毒だっ!!!」
その一瞬で叫ぶと、再び瞳が光を失う。
かの魔族――商人マリーの残した呪い。
それが頭の中を赤く塗りつぶしていく。
■サロメ >
「………」
一瞬、呆ける
解呪、解毒──苦しげなその叫びは確かにそう言った
「屋敷の外にいる魔術兵を呼べ!全員だ!!」
部屋の外にいる部下にはっきりと届くよう大声を張る
忠誠高く訓練されたサロメの部下は復唱するまでもなく迅速に動いていた
「…何かに囚われたか、オーギュスト」
言葉と共に腰に帯剣した氷のような剣を抜き放つ
魔法の触媒としても高い能力を誇る愛剣に手を添え、祝文を小声で連ねてゆく
簡易なものとはいえ、対魔結界が部屋の中へと展開される
浄化効果こそはないものの…神の敵たる者の力ならばそれを多少なり抑えることは可能だ
──やがて、サロメの連れてきた部隊の中から数人の魔術師が部屋に現れ大掛かりな陣を汲んでのディスペルが行われる
■オーギュスト > 身体が熱い。
焼けるようだ。
体内に潜んだのろいが暴れ狂い、そして少しずつ浄化されていく。
「――あのクソアマがぁぁ!!!」
そして、ようやく呪いが解けた男の第一声がこれだ。
地獄の深遠から響くような呪詛の声。
あのクソ吸血鬼、次にあったら生かしておかねぇ。
■サロメ >
「……はぁ」
大きな溜息
魔力を使い果たした魔術兵達も疲労困憊といった感じでみな座り込んでいた
元気に叫んでいるのは、当人だけだ……
「正気に戻ったようで何よりだが、事態は深刻だぞ。オーギュスト」
まさか自我を失いかける直前までに至っていたとは思わなかった
彼に伝えるべきことは、山のように在るのだ
「……身体を癒やす時間も必要のようだがな」
そう呟き、酒瓶が散乱した部屋の惨状を改めて眺めた
■オーギュスト > 「許せねぇ――犯して、殺して、もっかいブチ犯す!」
タバコを咥え、こちらも疲労困憊になりながらも獰猛に吠える。
身体は衰え、見る影もないが、ようやく覇気は少しずつ戻りはじめたようだ。
周りの軍団兵達が呆れたように見ているが、それは気にしない事にする。
「――少しで良い。戦場で戻す」
深刻な事になっているのはうすうす分かる。
なら、彼の価値を再び戦場で示すまでだ。
■サロメ >
「そんな身体のまま戦場に出る気か!?
ダメだ、許可できん。悪いが今第七師団は私が指揮を預かっている。
私が良いというまでは戦場には出さない」
睨めつけるその金色の瞳はそれが本気であることを物語っている
「そもそもお前に何があったかも聞かねばならないしな…。
……ま、どーせその口ぶりだとイイ女に籠絡されて腑抜けたようなものなのだろうが?」
一転してジト眼を向けてやる
そもそも普段から女遊びがすぎるのがこの男は
どうせ色仕掛けに引っかかり虚を突かれたのだろうと
■オーギュスト > 「――面目次第もねぇな」
実際女に篭絡されてたのだから世話はない。
オーギュストはふいっと視線を逸らす。
今度ばかりは自分の落ち度だ。
「――指揮権がお前にある以上はしかたねぇが、なるべく早くしてくれ。
このままじゃ師団の連中に顔向けできん」
流石に今回ばかりはこの男も殊勝だ。
なるべくはやく鍛えて、感を取り戻さねば
■サロメ >
「…本当に正気に戻ってるんだろうな?」
じっと顔を見る
殊勝な顔など初めて見たかもしれない
「無論だ。そんなナリで前線に立たれても心配しか出来ん。
私としてもとっとと指揮権は将軍であるお前に戻したい」
自分自身の仕事も溜まっているのだ、やれやれと肩を竦める
「…元より引きずって帰るつもりではあったからな。
表に馬車は用意してある……肩を貸そうか?」
■オーギュスト > 「俺は正気に戻った――って、とと」
足がふらつく。
流石にほとんど食事もせず、酒だけ飲んでいた弊害か。
「――わりぃ」
大人しく肩を借りておくとする。
今回ばかりは仕方ない。
■サロメ >
「……あぁ、歩き辛いだろうが少しの距離だ、我慢しろ」
言いつつ、肩を貸す
その表情は男からは見えないだろうが、僅かに緩む
この男を支えるのは、悪くない───
二人を乗せた馬車は第七師団の騎兵隊と共に王都へ向かってゆっくりと動き出した
ご案内:「奴隷市場都市バフート とある屋敷」からサロメさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート とある屋敷」からオーギュストさんが去りました。