2018/03/23 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にチューベローズさんが現れました。
チューベローズ > ぽく、ぽくと響く靴音。
音の主は一人の少女。

歩く場所が欲望にまみれ、人を売り買いする奴隷市場からなるバフートでは、少女の姿はどこまでも嘘の様に浮いている。

背は人の中で容易く埋もれてしまうが、それを刺せぬのは染み一つない白い肌に、人形が着ているようなふわふわとした白い洋服。

そして、布から出ているのはやはり染み一つない白い肌。鍛え上げた男が握ればそれだけで折れてしまいそうな華奢な体。

ある意味で 道を歩くよりも、檻の中にいる側が似合うかもしれないが、少女の首元や腕、足にも縛るものはなく、自由を謳歌しふわふわと、気の向くままに歩いている。

少女がこうして歩けるのも噂のおかげ。
曰く、金貨の袋が歩いているように見えるかもしれないが、下手に手を出せば全てを失う。
ねじの壊れた少女が時折都市に来るらしい─。

曰く、奴隷商人が物見遊山できた少女を連れ込んだが、後に残ったのは壊れた店主だけだった─。

そんな噂のおかげで少女はこの都市で時折絡まれたりしながらも自由を謳歌している。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にフォーコさんが現れました。
チューベローズ > なんの危機感も無くバフートを歩く少女。
少女が歩く度に、スカートはふわふわと揺れ、
髪は街の明かりを受け、雫の様に光を帯びる。

少女が見る檻の中の奴隷達はどれも元気がなく、どこか退屈さを感じさせるもので…。

「ふぅ…なかなか素敵な出会いがないわ…」

等と、小さな呟きを漏らし表情は寂しさを表す。
さりとて歩みが止まるわけでもなく、ゆっくり、小さな歩幅で少女は歩みを続けていた。

フォーコ > このエリアで活動している下部組織への顔出しをした帰り道。
奴隷の売買には用事が無かったのでただ素通りしていく予定であった。

だが、軽い靴音を響かせて歩く少女の姿に目が留まる。
たしか彼女は老伯爵の孫娘だ。
護衛もなしにこんな物騒な所を歩いているとは驚きだ。

不思議に思った私は声をかけることにした。

「貴方はペーネミュンデ伯ゆかりの方ではございませんか?
私はアッサルト家のフォーコです。
こんな所を一人で歩かれては危険ですよ。」

私は彼女に纏わる噂を知らなかった。
故にいつも市井の人々に声をかける時とそう変わらなかったであろう。

チューベローズ > 声を掛けられる。
しかも、自身が今いる家名を上げられた事、
そして、家の名前を名乗る相手に少女は笑みを浮かべふわりと身を翻す。
柔らかな銀糸と、スカートもふわりと軽く広がりながら靡き。
相手を下から見上げるのは銀色のつぶらな瞳。

「これはフォーコ様、ご心配いただきありがとうございます。
えぇ 私は確かにチューベローズ=ペーネミュンデでございます。
やはり危なかったでしょうか…?
堂々としていれば、意外と大丈夫だったもので…。
抜け出してしまいました。」

少女は静かに歌う様に相手の見に声を届かせるように甘く囁きながら、スカートの裾を軽く摘まみ膝を曲げてのゆったりとした優雅な挨拶。

そして、囁きを続ける表情はどこか悪戯っぽく世間知らずの令嬢の様にも見えるであろう。

「フォーコ様はお仕事でこちらに?」

少女の中の記憶にある相手はどこか遠くから見かけた時のみしかも鎧姿であれば、今の相手の姿も少女の好奇心をくすぐる。

フォーコ > 「そうですな、ここは貴族の令嬢と分かった上で拉致して売り飛ばす輩も居るようで。
ただ、チューベローズ殿ほど肝っ玉が据わっていれば問題ないかもしれませんな。
余計なおせっかいでしたら申し訳ない。」

私はこちらを見上げる無垢な瞳に笑みを見せる。

彼女の事は城で遠目に見かけた程度。
初めて間近で見るが彼女はただの世間知らずの娘とは訳が違うようだ。
どこか口では言いづらいが、魔性めいたものが漂う。

悪意などは感じない。 これは根拠のない偏見かも知れないが。

「はい。 私も色々仕事がありまして。
チューベローズ殿は仕事でもなさそうですな。
どこか寄られるところがあるのでしたらお供いたしましょう。
伯爵も一人でおられるよりは安心でしょう。」

これは半分本音。
もう半分はこの不思議な少女に興味を持ったと言うべきか。
どこに行き、何をするのか。 見届けたい。
知ったからと言って特段通報する気もないが。