2018/02/12 のログ
■エルフィリア > 何も知らない初心な乙女とは言わないが、経験の無い身としては実に刺激的な光景の数々。
意識せずとも注意は散漫になり、他人とぶつかりそうになる。
「……?」
そのぶつかりそうになった相手の怪しいフードの人物。その人影に覚える違和感。
見間違いかと思うよりも自分の目を信じて、目線はその人物を追いかけ。
その振る舞いに、何やら怪しそうだとの思いを深めて自然と足取りはその人物を追いかけるものとなる。
何か、決定的な事をしでかしたわけでもない相手に声をかけるのも躊躇い。ただ、そのあとを追い。
■ルシアン > いかがわしい通りの中を、人込みを避けるように歩いていくマントの姿。
そのさらに裏通り、脇道へ、と歩を進める足取りは、よくよく見れば時折どこかぎこちなく。
辺りを伺い、細い横道へ、もう一本。すっと入っていった先に人気は無く、ゴミやがらくたが積んであるだけの行き止まり。
もし、少女がそこへ足を踏み入れたなら――そこに人影は、無い。
「……さっきの子か。君は、追っ手の人?」
不意に、そんな「声」だけが耳に届くはず。
緊張したような、何処か張り詰めたような調子の「声」。
それは一体どこからなのか―――
辺りの気配を伺い、察知するような事が出来るのであれば。行き止まりの隅の一角に違和感を覚える事もある、はず。
■エルフィリア > いかがわしい通りの中を行く人影を追いかけていけば、人目を避けるように裏通りに脇道へと過ぎていく。
疑念を深めつつも追いかけているうちに、その動きに時折目につくぎこちなさ。
怪我でもしているのかと脳裏によぎる考えに、人目を避けるような動きと合わさって裏組織の関係者などという想定が思い浮かぶ。
ただ怪しいからと追いかけた最初の時よりも、警戒を高めて追いかけたその先で。
「追われるような心当たりが? 念のために言うと、たまたま気になるから追いかけただけですが」
人気のない行き止まりに突き当たり、そこにあるはずの人影が無い。
それなのに聞こえてくる声の問いかけに応えながら、いつでも抜刀できるように身構えつつ気配を探り。
違和感を覚えた一角へと、視線を投げかける。
聞こえた声に感じる余裕の無さに、余計な刺激をしないようにと即応態勢を整える以上の警戒態勢はとらず。
■ルシアン > 「……そう。なら、いいんだ」
そんな声とともに、少女が向けた視線の先の景色が揺らぐ。
ぼんやりと、次第にはっきりと、そこに現れる黒いマントの姿――と、もう一人。
黒い髪の、小さな女の子の姿。マントの背中に身を寄せ、端っこをぎゅっとつかみつつ怯えたような目で少女を見ていて。
「心当たりがなければこんな事はしない。…でも間違いだった。非礼は謝る」
少女の言葉に応えつつ、片膝をついて女の子の頭を撫でる。「大丈夫だから」と小さく囁けば、半分ほど涙目になっている女の子も小さく頷いた。
応えるようにうなずけば立ち上がり、少女へと改めて向き直る。少しの間、その姿を見つめて。
「君みたいな子が、何でこんなところに居る。その腰の物は刀…だったか。誇りある戦士の持ち物だと聞いているけど、まさか奴隷を買いに来たわけではないよね?」
改めて観察するに、年若い、少女というにふさわしいような女性。
腰に下げている獲物はアンバランスにも見えるけれど、それがしっくり来ているようにも見えて。
相当な腕前、なのだろうと察して。女の子の前で、不測の事態に備えてか僅かに身構えつつ質問を投げた。
■エルフィリア > 向ける視線の先で、景色が揺らいで姿を現す人影。
幻術系の姿隠しかとの理解と納得。
「なるほど、それなりに理由があっての怪しさのようですね」
連れ添う二人の姿。怯える様子の少女の態度。
見るからに訳ありであり、ふたりの関係性はその態度からある程度は見て取れる。少なくとも意に反した誘拐の類ではないようだと察して、身にまとう雰囲気を和らげ。
「いえ、ここには薬を買いに。こういうところですから、薬品系統は意外と揃いがいいので。念のために訊きますが、そちらこそ人攫いではありませんよね?」
警戒が垣間見える態度に、そういう態度も仕方がないかと思いつつも問いかけに首を振って奴隷を買いに来たわけではないと答え。
だからといって、そちらもやはり怪しいのは怪しいと露骨な訳ありの二人組に犯罪者ならさすがに見逃せませんと、目を細め。
■ルシアン > 「薬品を、ね…腕に自信があるんだろうが、不用心だな。君みたいな女の子が一人で出歩くには、この辺はちょっと物騒だよ?」
ふぅ、と小さくため息を一つ。どう見ても年若い、そして傍目から見ても綺麗な女の子だ。
こんなところを歩くのは腹ペコの犬の前に生肉を投げるようなもんだろう――など感想を持ちながら。
「ここらじゃ怪しいのが普通なんだ。怪しくない奴は悪目立ちするよ?お嬢さん。
…世話になってる所の子が、攫われた。足取りを辿ったら此処の糞ったれが売り払おうとしてたんで、気が付く前に「返してもらって」きた。あとは帰ってベッドに入れておやすみなさいでおしまい。これでいいかい?」
軽く肩をすくめたり、少し軽い調子で言葉を紡ぐ。警戒心はまだ残っているのだけど、相手はその相手の一派とは無関係だろう、とは察せられて。
少し思案気に口を紡ぐが、やがて。
「…君が真っ当な人間だって自覚があるなら、手伝ってほしい事がある。その気がないなら、此処から回れ右して帰ってほしい。どちらか選んでくれないか?」
静かな目線で少女を見つめながら。
■エルフィリア > 「ちょっと物騒な程度なら、斬り捨ててお終い。よほどの高位の魔族などでも絡んでない限り、そこらのには遅れは取らない」
こちらの事を心配してくれているらしく、忠告の言葉を投げかけてくるあたり基本的に善性の人間なのだろう。
とはいえ、それなり以上に腕はあると自負しているし自信もあると大丈夫と忠告を受け流し。
怪しいのが普通で自分の格好は、逆に浮いているとの指摘に場に合わせるのも必要か。しかし――と、ちょっと悩むように視線を泳がせ。
「人攫いからの人攫いと。とりあえず、そちらのお嬢さんの態度からみても問題にしない方がよさそうですね」
ふたりを見比べるようにしたあと、小さく息をついて。まっとうな手段でどうこうしてたら、事態は手遅れになるでしょうしと見逃す事にして。
続く言葉に、首を傾げて疑問を呈す。
「手伝ってほしいというのは、そのお嬢さん絡みで? 悪い事をしろとかでなければ、別にかまいませんが」
ここで犯罪の手伝いの要請などは、たぶん無いだろう。そうは思っても、表立ってどうこうという話でも無さそうだと思い。
何事なのかと、先を目線で促し。
■ルシアン > 「だと良いけど。…まあ、痛い目見ないと覚えない事もあるかね」
腕に自信がある、それは良く分かった。だけれども。
それだけで何事も片付くなら、そもそもこんな処が存在するはずもないのだ。人の欲と悪意はそんな簡単なものではない。
――説教めいた事を言いそうになるも、軽く首を振って口を噤む。それを今ここで言っても宣無き事だ。
「助かる。…内容は、此処から僕ら2人と一緒に、3人で街の外まで出てほしい。一緒に、3人で、だ」
足元に抱き着いてくる女の子の髪をそっと撫でつつ、フードを取る。
少女よりは上、何処かまだ少し幼さも残るような顔を露にしつつ。
「まだ暫くは騒ぎにも気が付かないはずだけど…居ないのは一人、侵入者の痕跡も一人分なら、真っ先に目が向くのは2人組の子連れだ。人数が違えば多少の目晦ましになるし、それだけ時間が稼げれば街から出られる。そうすれば、あとはどうとでもなる」
ふ、と小さく微笑むように笑いかけてみて。
「いざとなれば腕も立つようだし、用心棒にもなってくれそうだしね。荒事に巻き込むようなへまはしてないつもりだけど…それでも、心強い」
軽く首を傾げて問いかける。
「無事に帰れれば多少の礼は用意できる。…どうだろうか」
■エルフィリア > 「人の世の悪意ぐらいは目にした事がある。斬ってお終いにならない話も知ってはいる」
正面からの力押しならどうとでもとは思っても、搦め手で来られるとどうなるかはわからない。
単純に暴力で処理できないこともあるというような事を相手が懸念し、忠告しようとしているのは察して、それなりに警戒するぐらいはしているとは返し。
「……なるほど。護衛を兼ねて、監視の目をごまかして欲しいと」
言われた内容を検討するように、数舜の沈黙。
これも人助けかと結論を出して、ひとつ頷き。
「いいでしょう。特に礼は求めません。街の外まで、ひとつ付き合うと致しましょう」
謝礼を求めるような案件でもないと、肩をすくめて辞し。
淡く微笑みながら、その依頼を受けましょうと。
■ルシアン > 「そっか。…君のそのまっすぐさは美徳だね。良い子だ」
さっぱりと言い切る少女の様子に、くすくすっと小さく笑みをこぼす。
こういう言い方ができる相手なら、とりあえずこちらを奴隷商人に突き出すような真似はしないだろうと。
何か不穏な事があれば、それこそ自分で対処すればいい。安心できる見方が居てくれることが、この場では何より心強い。
「感謝する。…大丈夫、もう心配いらない。このお姉ちゃんも助けてくれるって。
ほら、言う事、有るよね?」
少女の笑みに一度頭を下げる。しゃがみ込み、女の子へ促すよう言葉をかける。
じっと少女を見上げるように見つめていた女の子も、小さい声で「ありがとう」と一言。ぺこん、とお辞儀をした。
「よし…そうとなれば、善は急げ。行くとしようか。…
巻き込むような形になってすまない。この恩は、必ず返す」
身に着けていたマントを脱ぎ、裏返してまとい直す。
鮮やかな若草の色のマントをまとえば、先ほどまでの怪しい様子も随分と薄れるはず。
次いで、女の子に向かい何かを呟く。幻術なのか、その頭に小さな獣耳――ミレー族のような見た目に変えて。
少女を促し、街の外へと共に出ていこうと。頼れそうな同行者を得たのだし、何とかなりそうだ――そんな、期待を抱きながら
■エルフィリア > 「このような街で、人助けにいそしむそちらも十分にいい人に思えますが」
リスクに見合う報酬を約束されたわけでも無いでしょうに、下手すれば殺される。あるいは、捕まって死ぬよりも酷い目に遭いかねない。
そのような危険を冒してまで人助けに身を費やすのは、善性の人間だからでしょうと。
「いえいえ、どういたしまして。街の外までの道のりで、一切合切の出会う危難を斬り祓いましょう」
そのような事にならずに出ることができるのが最善ですが、そうならなくても心配するような事は無いと安心させるように女の子へと微笑みかけ。
目の前で幻術とおぼしき怪しき技を見せる男へと、いちおうの警戒を残しつつ。
「それでは、街の外までの道のり。安全性の高い経路ぐらいは、わかるのでしょう。案内をお願いします」
少なくとも自分よりは、この街になれている様子の相手。
外へ出るまでのより安全性の高い道も相手の方が分かるだろうと、先を任せる。
運が良ければ、何事もなく無事に街の外まで出ることができるのだろう。
■ルシアン > 「名乗りが遅れた。僕はルシアン…で、この子はメリナ。君にも用が有ったろうに、邪魔する形になった事もすまなかった」
信頼の証に、と名を名乗りつつ。そのまま何事もなく街を出ることには成功し。
街の外で待っていた身内らしき数人と合流をすれば、女の子が安堵の余り泣き出してしまったり――それはまた別のお話、で。
少女へはもう一度感謝して、別れることになっただろう。
幸運と、またの出会いを祈りつつ――
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からルシアンさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からエルフィリアさんが去りました。