2017/10/22 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にラディエルさんが現れました。
■ラディエル > 街の中央、広場に常設された円形舞台と、其れを囲む扇形の客席。
本日の催しは奴隷の公開オークション―――此の広場では、然して珍しい見世物でも無い。
舞台の上に次々と引き摺り出される女、子供、其の他諸々。
司会役の奴隷商人が口上を述べ、客席から手が挙がり、声が掛かり、
そうして次々に、商品は売り捌かれて新たな主人の手に落ちる。
広場に渦巻く熱気からも、怒号にも似た賑わいからも隔絶された様、
僧衣姿の男は一人、ベンチに座した黒衣の男の傍らに立って、
舞台の上へ引き立てられてくる商品たちを、其の都度、静かに眺めていた。
ふと、傍らの男が此方をちらりと見遣り、短く問いを発する。
緩く瞬きをひとつ、舞台上で泣きじゃくっている娘をもう一度見つめて、
己は小さく頭を振り―――男の方へ視線すら向けぬ儘に口を開く。
「……あれは演技だ、可憐な外見だって怪しいものだな。
あれを買ってみろ、客どころかあんただって、骨までしゃぶられる」
普通の小娘の様に見えるが、恐らくは男を食い物にする魔の類。
騙される事も楽しみというのなら留めはしない、とは、薄笑みを浮かべながらに。
ぎこちなく頷いて次の商品の登場を待つ男を尻目に、己は退屈し始めていた。
何か、もっと興味を惹くものは無いか、なぞと、周囲を茫と眺め渡して。
■ラディエル > 見渡した限り、興味を惹くものは見つからない。
仕方無く再び舞台へ視線を転じるも、現れたのは傍らの男の興味を惹く様な、
如何にも清楚な、というのとは真逆の肉感的な美女。
暫く己の出番は無い、と思えば、小さな欠伸が零れる。
目を伏せて、立った儘眠っているのか、と傍らから声が掛かるまで、
我関せず、の姿勢を決め込む心算―――。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からラディエルさんが去りました。