2017/06/14 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にシャーロットさんが現れました。
シャーロット >  
夜のバフート
競りも終わり、奴隷たちを載せた馬車が王都へと出立する


「もう少し毛色の良いミレーが欲しかったわねぇ」

今日仕入れた奴隷はどれもいまいち
娼館で働かせるにも貧相、それでいて反抗的な眼をしていた
あれでは他の貴族に流す前に躾が必要になってくる

奴隷商といくらか言葉を交わせば、あたりは完全に陽も落ちてゆく

「長居しすぎたわね。さっさと帰りましょ」

そう伝えられた衛士達は二言三言なんらかの相談をして、申し出る

夜道は危険であるため、今日はバフートで宿をということらしかった
提言に勿論シャーロットは眉を顰める

こんな場所の宿など泊まりたくもないのだ

シャーロット >  
「でしたら、この街で一番マシな宿を探してきて!
 安宿なんかに泊まらせたら、貴方達の首は明日にはないわよ」

きっと睨みつければ衛士達は慌てた様子で散ってゆく

「はぁ、まったく。
 こんな奴隷売りの街で宿を取るなんて……」

不機嫌そうに腕を組み、宿を探しにいった衛士など目もくれない

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にマリアベルさんが現れました。
マリアベル > 「お嬢様」

ふわりと物陰から現れる女執事。
方々で密偵や刺客の役割をしているが、彼女の本職はシャーロットの執事兼護衛。
今宵も危ないこの街で、シャーロットの安全を可能な限り図るのが役目だ。

「このような街の宿は、信頼できません―ー
奴隷商人の屋敷を一件、接収しました。明日の朝まではそちらに滞在なさるのがよろしいかと」

淡々と報告し、一件の屋敷を指差す。
そこは、それなりの構えをした屋敷、だが――
不自然に、静かだ。
そして、この執事が血の香りをさせているのが、あたりの者には分かるだろう。

シャーロット >  
「──そう、有能ね、マリアベル」

目を細め、物陰から現れた執事を見る

「まぁ、なかなか素敵なお屋敷ね。
 ──でも騒がれないようにちゃんと始末はつけて頂戴ね。
 父様が何やら気にしてるみたいだから」

マリアベル > 「光栄の極み」

優雅に一礼し、主の褒め言葉を受け取る。
彼女にとっては、これこそが至高の価値を持つ褒美。
他のモノなど、なんの必要があろうか。

「――ご安心を。金銭での取引が不可能でしたので――全て始末してあります。後で『掃除屋』を呼びましょう」

既に皆殺しにした後だと、なんの躊躇いも無く報告する。

あのカルネテルとの一件以来、この女執事の取る方法は更に過激になっている。
まるで、何かを埋め合わせるように。
まるで、自ら破滅へ向かって行くように。

シャーロット >  
「そう、でも程々にしておきなさいマリアベル。
 立場上ドラゴンフィートには手出しはできなくなったのだし、妙な文句をつけられても困るわ」

胸の下で腕を組みつつ、従者を見据えて

「貴女が手を出した相手の始末もフェルザ家が尻拭いをしたに等しいのよ。
 有能なのは申し分ないけれど、もう少し手段を選んで欲しいものだわ。
 ……少なくとも、父様が存命の間は」

細めた眼から除く光はどこまでも冷たい

マリアベル > 「承知致しました――」

ゆっくり頭を下げ、主の言葉を受け取る。
主の命令は絶対。それは変わりない。

だが。

「――お嬢様」

ひとつだけ、腑に落ちない事がある。
それは。

「何故、お父上を――」

父親を、殺さないのか。生かしておくのか。
彼女が望むのならば、マリアベルはどのような手段を用いてもアドルフの首を取りに行くだろう。

シャーロット >  
「……マリアベル」

目を細めたままの表情
その口元が小さく、歪む

「父様は行きた年月分フェルザ家に年輪を刻んでくださっているお方。
 王族との付き合いも深い、ああやって床に伏した後もその影響力は大きなもの…。
 唐突にお亡くなりになられたらそれこそ…色んな人の眼が向くでしょうね」


「──…なかなかお病気がよくならないのは、心配だわ」

くすくす
歪んだ笑み
その眼は決して人のもつ優しさを宿した眼ではない

マリアベル > なるほど。

主の意思を忖度する。
つまり、彼女が望むのは――

「……承知しました。異国の薬や、滋養のつく食べ物などをお送りします――一日もはやく、ご快癒なさるように」

自然に、亡くなったのが不思議でないように。
そして、シャーロットが関わったなどと毛ほども思われないように。

完璧に、『病死』してもらう事。

(お嬢様や息のかかった者、不審な相手からのモノは口にしないでしょう……
誰か、都合の良い人物を見繕う必要がある)

マリアベルはある意味安心した。
これでこそ、彼女の仕えるべきお嬢様だ。

シャーロット >  
「ふふっ」

打って変わった、屈託のない笑みを零す

「異国の薬ならきっとよく効くでしょうねぇ」

自分の意をしっかりと受け取ったと見れる従者に満足げな表情を見せて
マリアベルの指した屋敷へと振り返る

「理解の早い従者は大助かりよマリアベル。
 ──お屋敷でご褒美をあげる、お供しなさい?」

マリアベル > 「――はい」

従者は笑みを浮かべる。
彼女が見せる、唯一の感情。
それは、お嬢様からの『ご褒美』の時だけ。

他の衛士たちが青い顔で見守る中。
マリアベルは主を守り、屋敷へと同行する。

シャーロット >  
──その夜シャーロットはバフートの見ず知らずの屋敷で夜を過ごした

翌日、その屋敷は売りに出された
出品者の素性を追えば線は途中で途切れ、
元の持ち主は家族ともども行方知れず

曰く付きの物件としてその場に残ることとなった

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からシャーロットさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からマリアベルさんが去りました。