2017/03/05 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にアヤメさんが現れました。
アヤメ > 奴隷都市の片隅、奴隷市場。寒空の下、多くの奴隷が立たされている中に、少女はいた。
服はお古のワンピースに似た貫頭衣。毛艶はくすんでおり、その目もどこか茫洋としている。
夜がやってくれば客をとるために立たされ、客が取れれば一晩犯された後で返される。
あるいは客が取れなければ、鬱憤晴らしの折檻で体に傷を刻まれる。
代り映えのない、絶望しかない日々に、少女の心身は擦り切れていた。

「……のど、かわいた、な……」

呟く声も力なく、渇きを帯びて掠れている。
かつて料理人だった少女は、しかしここ数か月腕を振るう機会もなく。
鋭敏だった味覚で得られたのは、精液と恥垢と汗の味だけ。
夢破れ、人としての身分も生も壊された少女は、ただそこに立ち尽くしていた。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にネスさんが現れました。
ネス > .......

(汚れた空気と荒んだ市場を一人歩く彼女は魔王であり、吸血鬼である。本来ならば護衛も無しにこんなところへ足を踏み込むことなどあってはならないのだが....、妻も娘達も何処かへ出払ってしまっているため、相手しくれる者はいない。つまり、暇つぶしという名目でやってきたのだ...。しかし、この人を人と扱わない汚れた群衆が集う市場は人を愛している魔王にとって怒りの感情を与えていた)

...所詮人間も、やっていることは魔族と同じ、いやそれ以下かもね....

(トコトコと歩く幼き少女の姿に奴隷市場の商人共は目を丸くさせ、中には彼女に近づこうとする者さえいるが、彼女は鋭い殺気で全て薙ぎ払い歩き出す)

.....?

(ふと、視線は何やら立たされている奴隷達へと向けられた。その中に1人、ネスの興味を燻る少女の姿。全てに絶望し、疲れ果ててしまったその目はかつての自分に似ているものがあった。ネスはゆっくりと奴隷達の元へと歩く)

アヤメ > 目の前、行き交う人々は大半が奴隷を買う者と売る者。所謂支配階級の者達だ。
豪奢な身なりをした男女が、お忍びのように取って付けたような外套を纏い、下種な欲望を満たすために金を払う。
欲望を食い物にする奴隷商人達は、奴隷毎にルールを設けて、ルールを破ろうとする者達から金を巻き上げ、対価として黙認する。
性欲、支配欲、金銭欲――様々な欲が交錯するるつぼに、しかし少女達、奴隷の食い扶持はない。全ては商人の懐に、だ。
ここ数日、まともな食事はがちがちに硬くなったパンと、市販のスープを薄めたかのような、肉片と野菜かすの混ざった液体だけ。
どうして自分はまだ死んでいないのか。自らへの怨嗟すら抱くような日々。それが少女の毎日だった。

やがて、何者かの気配が近づいてくる。客だろうか。
今までぼんやりとしていた瞳に僅かな生気が戻り、焦点を取り戻した瞳がやってくる影を見る。
目当ては己か、それとも別か。ともあれ、可能な限り身支度を整えて、あとはひっそり、静かに立っていた。

ネス > ねぇ、貴女...
ここの売り物なの?

(やがて、アヤメの目の前に立ち首を傾げて訪ねた。アヤメの隣に立ってる奴隷達は自分を見て戸惑うような顔を見せている。まあ無理もないだろう。華やかなドレスに真っ赤に整った髪の毛。どう見てもこの奴隷市場には似合わない少女がこの場で質問しているのだから...)

アヤメ > 目の前にやってきたのは、想像とはかけ離れた、小さな少女だった。
このような場所では久しぶりに見る、あどけない顔立ちと可愛らしい衣装。
家族同伴でやってきた貴族の令嬢だろうか、と勝手に一人合点すると。

「そうだよ……君は、早く逃げたほうがいいかもしれない。
 ここは、君のような素敵な女の子を食い物にする場所だから」

これでもまだ、一応の良心は持て余している。
一言忠告をすると、そのまま彼女を見つめ、そして。

「それとも、お客さん?私を、使う?
 それなら、好きにしてくれて、構わない」

既に散々汚された身で、彼女のように綺麗な娘を抱きしめていいのだろうか。
まるで芸術品を悪戯で汚す様な後ろ暗い思いを抱きながら、問いを返す。

ネス > 逃げる...?
なんで?

(魔族の国では確かに自分でも叶わない天敵はたくさんいるが、人間たちが暮らすこっちの方でネスが逃げることなどほとんどなかった。むしろ、今ここにいる人間全てを殺して血液を貪り尽くすことだって可能だ)

お客...ね。
まあ、それでいいわ。
そこのおじさん、この彼女借りてってもいいかしら?

(この店はそういうシステムなのかと納得すれば財布から札束を取り出した。それを店主に渡せばアヤメの手を握り引いて歩き出す)

アヤメ > どうやら彼女は、この場で逃げる必要などない実力者らしい。
分かっていないというよりも、分かっていて気にしていない雰囲気だと判じたからだ。
それならば、大丈夫なのかもしれない。おせっかいだったか、と少女は口を閉ざす。

「……ん、それなら、アヤメが精一杯ご奉仕させて頂きます」

深く首を垂れると、そのまま手を引かれて歩き出す。
彼女が手を離せば立ち止まってしまいそうな歩みは、僅かにふらついていた。

ネス > 奴隷っていうか、メイドみたいね

(礼儀正しく頭を下げるアヤメの言葉にクスクスと笑いながら上記を口にする)

ねえ、貴女、名前はなんて言うの?

(名前がわからなければ不便だとアヤメの目を見て尋ねる。ネスの目には欲というより興味という色が見えるだろう)

アヤメ > 「……メイドの方が、百倍ましかもしれない」

小さく呟きながら、彼女に従い、歩く。
奴隷市場の通りは人でごった返しているが、不思議と誰にも触れあわない。
大抵、彼女の様な女の子には、ぶつかってきて難癖をつけるような輩がいるのだが――。
ともあれ、何もないのであればそれに越したことはない。
彼女の問いには、コホンと一つ咳払いをしてから。

「アヤメ。好きに呼んでいいよ。今の私は君のものだし」

度重なる凌辱の生活で気力を無くしている少女は、最低限の言葉を紡ぎ、答えとした。