2016/11/13 のログ
カリギラ > 「迷惑?」

腕の中で声を出したテケリ
その声は今までとは別人とも思えるような声音
尋ねられた意味を考える必要もない

「そんな事ないですよ。テケリを迷惑だと思った事は有りません」

焦りや恐れはあってもテケリを迷惑になんて思っていない
そんな事を考える必要はない、無い筈なのだ

「テケリ、もしかして…」

告発、そんな難しい言葉は教えてはいない
つまりそうなのだろう
腕の中の少女…否、王女殿下を地面に降ろす
凛とした声で語る彼女の姿はとてもここ数日共にしたテケリとは思えない
まさにミスティア・カルネテル、王族だ

「王女様の背中を守るなんて、想像もしてませんでしたね」

テケリのすぐ背に控える
王女としての彼女を彼等はどう捉えるのか
実力行使の際にすぐ動けるよう手は袖の中へ

テケリ > 兵士たちは立ち止まった、彼らの中で情報が完全に一致していなかった

ある者は王女の遺体を確認した者を捕らえよ
ある者は行方知らずの王女を見つけ出せ
ある者は事件を知るものを全て抹殺せよ
ある者は王女は高額な奴隷としてオークションで一儲けできる

様々な思惑があってか、襲いかかることも動くこともできなかった
今ここで襲いかかれば、王族の命で迎えに来たものが敵にまわるだろう
お互いがお互い、誰が味方で誰が敵かも判らない

下手すれば多勢に無勢、己の命を落としかねない


だが一つの事実がココに判明している

ここにいる王女は本人で、側にいる男はその恩人である
ココは敵対するのではなく、王女様の以降に従うのが得策であると

「バフートの兵よ、私は奴隷ではありませんし誰かの所有物ではありません
あの街から出入りするのは自由です、相違ありませんね?

そして王立騎士よ、誰の命であろうが、私は生きてここにおります、ココにいるもの全て承認です、帰るための馬車を用意しなさい。
そしてカルネテル家の姫として命ずる、私と恩人をマグメールの城まで護衛なさい!



兵士たちはそのまま剣を収め、跪いた……そして彼女の言葉に従うかのように解散し、護衛の騎士が何名か残る形となった。

「カリギラ……ありがとう」

そう言って彼の腕を掴み、微笑む

そのままふらつき、一瞬倒れそうになる

ミスティアの性格、性分では今のような行動は少々無理がかかったらしい
緊張からか、一気に疲れが出てきた、それに関して急遽回復にあたるが
やはりラグが発生するためふらついてるように見えるだろう。

カリギラ > 兵士達へ指示を出す者がここに居ないのが幸いした
バラバラに指示を受け予想外のハプニングが発生した今
彼等は烏合の衆とも言える
敵と味方が入り乱れた現状、誰しも手出しができず
予想外に、至極平和にその場は収まった

「本当の本当に、お姫様なんですね…」

あの状況を言葉だけで場を制した彼女
自分にあんな真似ができるだろうか…できる訳がない
ふらつくテケリを抱きとめる
消耗が激しいのか顔色も良くない

「お礼をいうのはこっちですよ。守っているつもりが守られてしまいましたしね」

情けない、と苦笑する
近付く騎士を視線と殺気で制しテケリを抱える
この場で誰が信用できるか自分には分からない
最初からすべて疑うのが一番の防衛策だ


その後、彼女と共に馬車で城へ向かうだろう
王女誘拐の下手人ではなく王女を守った恩人として
まだまだ警戒を解く事はできないがそれでも、目下の危機は去ったのであった

テケリ > 「うん、テケリも今日知ったから」

そう自分のことを私ではなくテケリと呼んだ、カリギラの前ではお姫様でなくテケリのほうがしっくりきたからだ。

そして恩人とともにミスティア姫はマグメールの城へと生還する
バフートから無事に戻ってきたことを奇跡と称するものもいただろう



そして数日後、とある王族、王位継承権でも上位の者が一人変死したのが発見される


そしてミスティア姫が下々の生活を知り、こっそりと城を抜け出すことが繰り返されるのだが

それはまた別のお話。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からテケリさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からカリギラさんが去りました。