2016/11/12 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にテケリさんが現れました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にカリギラさんが現れました。
テケリ > あれから数日が経過した、テケリは金銭を得、財布という道具を手に入れた。

そこから様々な知識を得、偏って入るが一般常識というのも少しずつ理解した
そしてこの街で擬態する方法を理解した、いや理解したはずである。

だがまだ一番理解できていなかったのは、己の宿主の……いや元々この少女がどういう立場のもので、どういう存在であることかだ。

後回しにしていたため、テケリはそれを探るのを、彼女の記憶を呼び起こそうとしていなかった

カリギラ > はじめてテケリと出会ってから数日
頭を抱え胃を痛める事がかなり多かった
留守番をしていると思った子供が身体を売ってゴルドを稼いでくるとはだれも思わないだろう
あの時は目の前が暗くなりそうだった、貴女は王族と何度言いそうになった事か

「本人が嫌がってないのが一番謎なんですよね」

何故か彼女は精液を欲する
好意をしようものなら必ず中に出せと言って聞かない
まだ年齢的に子供はできそうにないが…なぜ精液を好むのかはいまだに謎だった
処女であった彼女はまだそういった仕込みはされていなかったはずだ

「テケリはどうですか?あれから何かここに来る前の事は思い出せましたか?」

と、尋ねる
何をするにも情報が少なく今はテケリだけが頼りなのだ

テケリ > 「んーー?」

声をかけられその方向に振り返った
そこには彼女を保護した保護者の姿があった

「思い出す? ナニを?」

思い出す、そう昔の記憶を思い出す事はとくに問題ないと考えていた
今は楽しいし、良質の精や栄養を取ることも出来る、
ナニも問題はない、だから思い出す必要などないと思っていたからだ。

「思い出したほうがいい? カリギラ、テケリがカリギラと会う前のこと」

そう言いながら、カリギラの腕をとり、顔を覗き込みながら問いかける

カリギラ > 「それはその…この街に来る前の事とかですかね」

なにをと来たか
どうにも彼女は以前の事に執着が無いらしい
記憶をなくしていてもそれを思い出す必要がないと割り切れる
心が強いとか、そんな話しではないのかもしれない

「……テケリは気になりませんか?
気が付いたらこんな街で死体の山の…そう言えば…」

あの後仕事の不始末の報告をしに行った時の事を思い出す
自分に仕事を持ちかけたあの男は満足げに自分にゴルドを渡してきた
何でも衣服を残して全て綺麗に無くなっていたとか

「テケリ、テケリが最初に居た所に死体が転がっていませんでしたか?」

違和感が悪寒に変わる気がする
それでも自分の質問を止める事ができなかった
真紅の瞳を見つめながら尋ねる

テケリ > 「うーん、思い出す、少しづつ思い出す」

思い出せと言うなら、思い出そうか
目を閉じて考えるフリ……記憶にアクセスし、発生するタイムラグは
こういう仕草を加えることで自然に見えることを学習した。

思い出す、でもその時までテケリ自身に記憶というものはない
この身体の娘の、その記憶のことを言ってるのだろう
すると体が震えだす、恐怖という感情で本能的に身体が勝手に動く
信じていた兄に裏切られたのだから

「ふにゃ、したい……?」

目が覚めて最初に捕食した大量の肉、そして血
だがそれらの形状は思い出せない、ただただ空腹だったのだ

生きたまま捕食した少女は消化できず同化してしまったからだ

動けないまま、冬眠状態になった所で大量の肉があったのだ
魂のない肉が

「わからない、テケリカリギラに会うまでの事よくわからない」

そう判らない、判らないのだ……“私”はまだその時この体の脳に定着しておらず
そう本能でしか動けていなかったのだから。

カリギラ > 「無理は禁物ですからね?」

思い出すと言って考え出すテケリ
しかしそれもつかの間テケリの小さな体が震えだした

「テケリ!無理はしないで!」

身体の震えを見てすぐに肩を抑え声を荒げる
やはりトラウマを抱え頭が思い出す事を拒絶しているのか
自分の思慮の浅さが忌々しい

「そうですか…良いんです
大事なのは今なんですから無理して昔の事を思い出さなくても構いません」

思い出そうとするだけで体が震えるような記憶等必要はないだろう
確かにあった筈の死体が消えたのもテケリが分からないと言うならそれでいい
きっと何かテケリの不思議な力でも働いた
そう納得しテケリの柔らかな髪を撫で、安心できるように笑顔を浮かべながらゆっくりと語る

「テケリが今楽しいならそれで良いですよね。要らない事を聞いてごめんなさい」

テケリ > 「んう……うん」

彼女の記憶へのアクセス、自分が彼女を捕食した瞬間から少しだけ遡ることは出来た。
そしてこの身体になる直前の自分の姿も……。

「うーん、もうちょっと、ナニか思い出しそうなの……お兄様の」

そして彼女の口から『お兄様』の単語が漏れる
己を封印から解き放ち、自身の妹であるこの身体の少女を贄とした男のことを

頭を撫でられ、カリギラの腕にぎゅっと掴む。
こうすれば落ち着くのは、この身体の少女の本能だろうか

しばらく歩くと、少女はとある張り紙を見つける

「カリギラ、あれテケリ……テケリの顔がかいてる」

指差す方向には張り紙がある

『カルネテル王家第◯王女、ミスティア・カルネテル姫
 先日より城内より行方知れず、発見された方は早急に連絡すべし
 また、死体で発見した場合は検分を行うので早急に警備兵に連絡すること』

肖像画の書かれたその手配書に、テケリは近づいていく

そうかこの少女はミスティアというのか、王女、王女とは何だ

そして記憶を引き出そうと目をつむり、考えるふりをする

カリギラ > 「お兄様?」

兄の事を思い出して震えていたと言うのか?
腕に抱き着くテケリの様子はまるで何かに縋る様にも思える
こんなに小さな子供に何をしたというのか…

「テケリの顔?それって……っ」

テケリの指差した先にある張り紙
その先にはテケリと思われる肖像画と…王家の紋
正式に王家から出された捜索依頼という事だろう

「……ふざけてるのか、これは」

行方知れず、早急に連絡しろと言うのは頷ける
しかしその下の一文
死体で発見の文字に胸の内に暗い感情が沸き上がる
王女は既に死んでいる、その前提が見え隠れしている事に
つまりこれはそういう事だろう、死んでるなら良し
死んでない見つけて…

「行きましょうテケリ。もう少し静かな所へ」

テケリの手を引きマフラーを顔に巻かせる
テケリを王都へ連れて行く考えは消えた
しっかりと手を握りながら人気の少ない方へと進んでいく

テケリ > 「……そう、お兄様……」

もう少し記憶を探ろう、肝心な部分が思い出せるはず
どうして自分は彼女を捕食したのか……

「ふあ、ひゃう!!」

そう思い出すのに集中した時、不意に手を引かれ悲鳴をあげる
そしてマフラーが巻かれる、暖かな感触ではあるが、毛糸のちくちくした感じはどうも苦手だ

「カリギラ、どこいくの? 怖いよカリギラ」

手配書を見てから保護者の青年の様子がおかしい
何に対して怒っているのか、まだ理解できないでいた。



そしてほぼ同刻、カリギラに掃除を依頼した男へ、王立騎士の聞き込みが始まっていた
あの日、あの路地裏の死体置き場の掃除をした者を探るような不穏な捜査

そこにあった死体を片付けた者は誰か、金を積まれた男は正直に答えただろう。

まるでそこに探している死体があるかのような不穏な捜査が

カリギラ > 「お兄様、とやらの事は今は置いておきましょう?」

自然と今は笑顔を浮かべる
怒りが濃い程、明るい感情が抜け落ちる程想定した笑顔が自然と浮かぶ

「一旦宿に帰って少し移動しようかと、もっと人の少ない所へね
美味しい物を食べに旅行なんていいと思いません?」

尋ねているのにまるでそれが既に決まっている様に聞こえるかもしれない
宿が見えてくればカリギラの歩みはだんだんと遅くなり…反転する

「テケリ、絶対にマフラーは外さないでくださいね」

遠目に映るのは甲冑姿の者達
そしてその胸元には王立騎士である証が輝きを放っている
荷物を回収するのはもう不可能、無駄に優秀じゃないかと乾いた笑みを浮かべ

「テケリ、もう少し歩くことになりますが頑張れますか?」

路地裏に入りしゃがみテケリと視線を合わせる
ここからまだ歩く事になるだろう、いざとなればテケリを抱えてでも逃げ延びる
騎士の追跡は恐らく宿とここの周辺までだろうか

サークの名前ではもう仕事を受けられないが仕方ない
少し拷問された程度で情報を吐く輩には碌な情報は握らせてはいない
騎士たちが部屋を調べても有るのはどこにでもある様な品ばかり
男の話したサークが誰なのかを特定するのは困難だろう

テケリ > 「ん? いいの?」

だが自分の知識欲求がこの身体の、ミスティアの記憶を探ろうとしている
この身体の少女の名前を見た現在、彼女の過去の記憶へのアクセスは以前よりやりやすくなっていた。

次々に鮮明に思い出していく、だがまだ判らない……私は何者なのかと

「うん……人の少ないとこ? 美味しいもの……うん
 旅行? お金かかる……テケリ金貨出していいの?
 身体を売って稼げばいい?」

そう尋ねる、旅行はお金がかかると聞いている
お金は自分で出すか、稼がなければいけない

前のように身体を売れば、一度にたくさんのお金を稼ぐことが出来る

「コレ、ごわごわする……」

そうマフラーに関しては感想を漏らす

テケリ、いやミスティアの身元を証明できる刺繍入りのキャミソールはカリギラの宝箱の中
王立騎士は、彼女につながるものは見つからないはず……

いや無造作に脱ぎ散らかされた、彼女の着ていた衣服、その衣服のサイズからどういう背格好の少女が一緒にいたかは判るだろうか

「テケリ、つかれた……カリギラ強く腕引っ張るの痛い」

そうテケリは文句を言っている、数日前まで感情もあまり出さなかった少女とは思えない口ぶりである。

カリギラ > 「えぇ、私はテケリのお兄様の事は興味ないです」

テケリに何かしていたとしても今は興味を抱くこと自体が危うい
王族相手に喧嘩を売ったりなんてしないのだから考えない様にする
今はそうするしかない

「…テケリが好きなら誰かとそういう事をするのは止めません
けどお金の為なら話は別、どうしてもお金が必要ならテケリが金貨を出していいですよ」

出してダメなら身体を売る
テケリの様な子供からそんな言葉を聞きたくはない
好きなら止めないがお金目的で身体を売る事は絶対にやめさせたい

「強い…そうですね、少し苛立ち過ぎたかもしれません」

知らずの内にテケリを握る手に力が入り過ぎていた
テケリの手を一旦離し、再度宿の方を見る
どうにもテケリの脱いだ服に気が付いたらしい
騎士達の動きが目に見えて慌ただしいものとなった

「でもテケリ、今すぐここを離れたいんです
だから…私の抱っこで我慢してくださいね」

テケリの軽い身体をお姫様抱っこで持ち上げる
顔にはマフラーを巻いたまま、気にいらないとは思うが今だけは我慢してもらう
表の通りはもう歩けないのでそのまま路地の奥へと進んで行く

テケリ > 「そっか……」

だが私には興味があった、この子の兄が私が何者かを知っているだろうから
私には其れが判らない、私は誰なのか、私が何者なのか
ミスティア姫と一緒になった、同一存在となったこの私テケリが何者なのかを

「わかった……テケリその事は考える」

金貨生成の許可は出た、これでこの世界で生きていく制約が一部解除された
だが良質な精、あれは美味しいものだ、誰かを誘う機会があれば味わうのもいいだろう。

「抱っこは嫌いじゃないから大丈夫だよ。カリギラどうしたの?
 お宿の方で何かあった?」

ここは宿泊している宿の近く、カリギラは宿の様子を見て焦っているように見える
そのまま抱かれると、テケリは大人しく運ばれていく


宿、そして周辺……テケリを目撃した者は多くいた、彼女は目立ち過ぎたのだ
そして保護者のように一緒にいた男の話も、

絵心のあるものがいれば、彼の顔も割れるかもしれない

カリギラ > 「えぇ、今はそうしてください」

兄の事以外、せめて自分に何が起こったのかは自分も知りたい
無茶をして心に傷を残す結果になるのだけは避けたいが…

「それは良かった。あそこの宿は…少し大きな虫が出たみたいです
虫が湧く所でずっと休んでも居られないですからね」

本当に軽い、これなら幾らでもこうして運んでいける
フードを深く被り急ぎこの街を抜ける
目指すのは王家も簡単には手出しできない場所

早急な判断で街を抜けた2人しかし何人かはカリギラの顔を覚えていた
人の目を完全に誤魔化す事なんてできない
せめてその人物に絵心がない事を祈るばかり

テケリ > 「カリギラ……ちょっと身体、休ませていい?」

彼に抱かれそのまま目を閉じる、記憶を探る行為に集中がしたい
いつもより詳細に調べるにはそっちの方にリソースを振り分ける必要がある

「虫? 粗悪な所だと身体が痒くなる虫? ごみにたかる虫?」

耳に入る言葉、軽く反応を見せる、彼女にとって虫は特に興味は沸かなかった。


だが王家の者が簡単に手出し出来ない場所、それはバフート以外にどこがあるだろうか?
このバフートこそが王家のものでも簡単に手出しのできない街、だからこそ彼女はココに捨てられたのだ。

街を抜け出してしばらくすると、二人の後を騎馬に跨った兵士たちが追いかけてくる。

街から外にでる門を小柄な少女を抱きかかえ足早に抜けた男

奴隷や娼婦の逃亡はバフートではご法度である、この街を抜けるということは容易ではない事だろう。
騎兵は王立騎士だけでなく、バフートの自警団も加わっていた

彼らは王族や貴族だからといって尻尾を振るわけではない、ただ金にはしっぽをふる連中であった。

カリギラ > 「良いですよ。ゆっくり休んでいてください」

できるだけ身体を揺らさない様に進む
流石に疲れたか…子供なのだから寝るのも仕事だ

「そうですねぇ…ただ言われた事だけをこなす面倒な虫です
関わると碌な事にならないですよ」

職務に燃える騎士も居るだろう
もしくは上の指示で現場に出ている者も居るかも知れない
しかし死体掃除から自分に辿り着いたであろう彼等は信用できない

街を抜けて一息も着けないまま追手がかかる
分かってはいたが騎士に加え自警団まで…

「娼婦誘拐とでも思ってるんですかねぇ」

普段はやる気のない彼等も街の商品を取り戻すために必死らしい
もうこうなれば手段は選んでいられないだろう
身体に鞭打ち近くの森に駆け込む
馬の機動力を殺し甲冑の重さがそのまま騎士を苦しめる
問題は…

「狩りに慣れてる方ですね」

森に入れば騎士はいなせる
しかし自警団は別、むしろここからが本番だ
逃げ切るのも限界がある。しかし幸いここは森の中

「毒草のせいって事で諦めてもらいましょうか」

怪我をするぐらいは向こうも覚悟している筈

テケリ > 「うん大丈夫……もう少しで済むから」

そう伝えると、テケリはミスティアとの同期を最終段階に進める
私はテケリ……ミスティア・カルネテル……

恐らく兄様は、私とテケリの融合実験は失敗だと思っている
そしてこの街へこっそりと捨てた、誰かが見つければ
人さらいがさらい、その上で殺害したと判断されるだろう

だが私は死んでいなかった……生きたままのミスティアは捕食できず同化しただけ
活動するためのエネルギーが足らなかったのだ。

そしてエネルギーを得、カリギラに出会った。

そしてミスティアという思考する器を手に入れ、私はこの世界を知る
知識を得る……道楽を知る

そしてカリギラには恩があると知る

「カリギラ……テケリこのままだと迷惑かける?」

そう尋ねる、追いかけてくるものその狙いは私だ

「大丈夫……もし私が何かされそうなら、お兄様を告発するから」

静かに目をあけ、カリギラの腕に触れながら、彼を見つめ微笑む
もう大丈夫だからと、そして大義であると。

しばらくすれば、二人のもとに自警団の兵士、そして彼らに先導された騎士たちが近づいてくる。

「控えなさい!」

そう言ってマフラーを外す

「ミスティア・カルネテルである! それを知っての狼藉か?」

立ち上がって兵士たちの方へと向き、凛とした声をかける

「この者はこの街で衰弱していた私を救いし恩人、剣を向けるとなら
 カルネテル王家の恩人に剣を向けることになろうぞ!」

彼女は10歳の少女である、だがそれ以前に王女であった……