2016/10/02 のログ
ご案内:「バフート内の奴隷市場」にツァリエルさんが現れました。
ツァリエル > 水タバコの煙、媚薬の匂い、あるいはそれをごまかす香の匂いが焚き染められた天幕内、
ここはバフートの中でも一等いわくつきの奴隷が集められる奴隷市場。
王国内からも帝国内からもあるいはそれよりも遠い諸外国からも金があり人の売り買いに抵抗のない人間が多く集っている。

今日もまた舞台に注がれる視線は熱気を帯び、今か今かと商品の登場を待っていた。

「お待たせしました、皆様がた。今日の目玉商品はこの少年。
 神聖都市より来る可憐な奴隷でございます」

でっぷりと太った奴隷商が声高に商品説明を始める。
舞台には檻に入れられたツァリエルがほとんど裸の状態で収まっていた。
足首には逃げられぬよう太い鎖、
薬かなにかで意識が朦朧としているかぼんやりと手をついたままうずくまり動く様子が無い。

ツァリエル > 「見てください、この白金のような髪と琥珀のような肌。
 聞けば王族の血筋とも噂されております故、値段はそれなりに張りますが……
 それはまぁ血筋を判別する魔法などでも確かめられましょう。ただしそれはお買上げ頂いてから!

 一通りの家事・雑事・性技は仕込まれておりますよ、特に後の穴は女もかくやといわんばかり。
 胸からは少し揉めば可憐な喘ぎとともに乳が出るようになっております。
 それでいて、生娘のように貞操は固く擬似的な処女性だって味わえます!
 さぁお買上げはいかがでしょうか?!」

意気揚々と声を張り上げる奴隷商が商品を盛んに売りつけようと必死になる。
客達の好奇の眼差しがツァリエルの肌に突き刺さったが、それにもツァリエルは反応を示さなかった。
虚ろな眼差しでどうしてこんなところにいるのかぼんやりと回らぬ頭で必死に思い出そうとしている。

そう、確か少し前……神聖都市ヤルダバオートにて、既知の神父様を訪ねて
最近の自分の身の上相談を持ちかけていたのだが……その晩遅くなったため一晩の宿を借りた後
何者かに攫われてそれから気づけばなぜかこんな目に合っている。

ツァリエル > 旧知の場所だと思って油断して無防備に過ごしていた自分が悪いのだろうが……
もしもこの手引をしていたのがあの神父であったのなら少しばかり悲しい。
そう言えば教会の運営がうまく言っていない、資金が足りないのだと心細げに吐露していた。
ならば、恨む筋合いも何か違う気がする。自分が売られることで彼の教会が少しばかり潤うのならそれもまた良いことだろう。

奴隷の競りは段々と熱を帯びていく、反面ツァリエルの心は淡々と冷え切っていった。

ご案内:「バフート内の奴隷市場」にヴィールさんが現れました。
ヴィール > 数人の供を連れて少し遠出をし、しばしば貴族の会席で話題に上がるバフートとやらに足を踏み入れた。
別に慈善事業をするつもりは一切無いが、単純に興味が湧いたという話だ。
自分が捕らわれの身になる可能性も鑑みて、奴隷市場を巡る。

存外賑やかな場に辟易しつつ、ふと人だかりに足を踏み入れれば――

「………ん?」

見覚えのある顔が舞台に上げられているのが見えた。その姿が既知であることを確認すると舌打ちが零れる。
糸目をつけぬ資金を頼りに彼を競り落とさんとするが如何か。

ツァリエル > 突如声を上げて値を吊り上げたヴィールの姿に奴隷商がにんまりと笑みを作った。
年若いどこかのボンボンがこんな中古品の怪しい商品に金をつぎ込んでくれるのだから。

「おや、お坊ちゃんお目が高い!さぁ、この値段より高くお買い上げくださる人はいらっしゃいませんか?
 いいですか?お買い得な商品ですよ?……よろしい、ではこの商品はあそこのお若い紳士へと!」

どうやら運良くヴィールよりも値を吊り上げる客は居なかったようだ。
一旦舞台から檻が引かれ、ヴィールを呼び出すと舞台裏にて引き渡す手はずとなるようだ。
お支払は如何なされますか?と揉み手で尋ねる奴隷商の横にぼんやりと鎖にかけられ突っ立っているツァリエルが居た。
じっと暗い眼差しが、ヴィールを見てようやくそれが誰だか気づくと
驚きと恥じらいと、申し訳無さに目を見開いた。

ヴィール > 首尾よく、というよりあっさり競り落としたらしい状況を見て、呼ばれるまま舞台裏に移る。
周囲からはボンボンが、とかふざけてる、とか聞こえるが、知ったことでは無い。
揉み手をする奴隷商に半ば軽蔑するような眼差しを向けつつ…

「………わかってる。支払ってやれ」

供の一人にそう命じると、身に纏っていた外套をツァリエルに着せてやる。
心もとないが、まぁ何も無いよりはマシだろう。
様々な表情を顔に浮かべる彼に近寄り、相変わらずの横柄な態度で。

「…とりあえず、適当に宿取るぞ。話はそこで聞かせろ」

支払が済んだのを確認し次第、ツァリエルの手を引いてその場を離れんとする。

ツァリエル > 供より支払われた金額を両手でしっかりと握りしめお買上げありがとうございます、と
地に頭を擦り付けん勢いで奴隷商が頭を下げて二人を見送った。

着せかけられた外套の胸元を合わせておぼつかない足取りで手を引かれ、
その場をヴィールと共に離れていくツァリエル。
視線を落とし、まっすぐにはヴィールを見つめられない。
競り落とした金額は安くはない値段なはずだし、もとはと言えば自分の不注意からこんな目に合ってしまったのに
面倒をかけてしまったという後ろめたさにひどく気後れしてしまった。

さしたる抵抗もなく、ヴィールの目指す宿まで大人しく着いていくだろう。
だが、自分からは一言も言葉を喋らずずっと押し黙ったままだった。

ヴィール > 頭をこれでもかと言う程下げる奴隷商に背を向け、ツァリエルと共に近くの宿へ。
供二人は別の部屋をあてがい、一部屋を二人で取って後手に扉を閉めた。
簡素な室内、彼をベッドに座らせてからようやく一息つく。

「………で。なんであんなところに居たんだよ、ツァリ」

気後れしているらしい、道中もずっと口を利かなかった彼に問いかける。
出来る限り柔らかく接しているつもりだが、口調に滲む棘は取りきれない。

「視察とか、見る側ならともかくよ。俺が偶々通りがかったから良かったけど」

ツァリエル > 部屋に通されてからもまた、ヴィールに対して視線を逸らす形で俯いて立ち尽くす。
なんと説明したら良いのか答えあぐねている様子でもあった。

「……よく覚えて無くて……、ヤルダバオートに、行った後に拐われたみたいで……」

ぽつりぽつりと語りだしたがその言葉も要領を得ない内容である。

「ごめ、ごめんなさい……お金、王都に戻ったらちゃんと必ず、払います……。
 それからえっと、お金だけじゃなくってバロッツォ家にも便宜を計りますし……
 ごめんなさい、ヴィラルさん……僕、迷惑かけるつもりじゃ……」

薬が抜けかかっているらしい頭がようやく自分の立場と自責の念を伝えてくる。
混乱した頭で、しかしきちんと詫びなければという気持ちに後押しされてヴィールに頭を下げ、ぽろぽろと涙を零した。
ぐっと我慢しようと唇を噛んだが、余計に涙が溢れるばかりであった。

ヴィール > 彼が立ったままというなら無理強いはしない。
自分は一足先にベッドに腰掛けて、彼を見上げる形。

「……ヤルダバオートから此処までか。……どこの街も油断出来ねぇな」

どこに行くにも今は供が必要かもわからない。
ため息をついたところでツァリエルより聞こえた謝罪の言葉と、埋め合わせ云々に。

「………んな大袈裟にしなくてもいいっつの。友達を助けるのは当たり前のことだろ……」
「金も返さなくていい。……まぁ、うちに便宜を払ってくれるのは悪くねぇけど」

涙を零す様子を見ればバツの悪い顔になり、片手を伸べる。
ツァリエルを隣に座らせんとするがどうか。

「いいから座れって。ずっと立ちっぱなしじゃ、俺が嫌だし」

ツァリエル > 伸ばされた手に促される形で、おずおずとヴィールの隣に座る。
ぽすんと軽い音、外套をきつく着込んだままやはり相手の顔を見られない。

「でも、お金……こんなことに使ったなんて知られたら怒られちゃうでしょう?
 そうでなくとも、いい顔、されないのではと思うと……ごめんなさい、
 ぼ、僕が泣いてても仕方ないけれど、本当に……ごめんなさい」

いつまでもグズグズしていてはうっとおしいだけだろうと手で涙を拭い、ずずっと洟をすすった。
便宜をはかるのは存外悪くないらしいならば、なおのことそうした方がいいだろう。
きっと王位継承権を持つものと親しくなったヴィールにヴィールの家族も悪いようにはしないかもしれない。

「友達……ともだちなのに、あんな所、見られちゃったし、呆れられたかと思ってしまって……ごめんなさい」

でも、ありがとうございます。と、最後に小さく呟いた。

ヴィール > 隣に座ってもなお、顔を見てくれないツァリエルに息をつく。
胸元がやや息苦しいので軽く緩めてしまいながら。

「いいんだよ。父上も母上も、俺が何に金使ってるかなんて興味もねぇし。
それに今は遠出してて家に姉上しかいないからな」

自身への対応を家族が改めてくれるかどうか、と聞かれれば首を捻る。
褒めてくれるかもしれないが、長年続けてきた接し方を急に変えられるかどうかは怪しい。

「……呆れてねぇよ。いいからもう謝るなって」

手を伸ばし、避けられなければ彼の頭をゆるりと撫でてみようとする。

ツァリエル > ふわりと乗せられたヴィールの手の温かさに一瞬びくりと身をすくめるが
だが、次にまばたきをした後にふっと穏やかな表情になる。
頭を撫でられたのは久しぶりかもしれない、相手の気遣いや優しさに再び目尻に涙が滲んだ。

「ごめんな……あ、いえ、えっと……本当に、ありがとうございます……」

ようやく解けた後ろめたさと緊張に、ゆるゆるとヴィールの方へ体をすり寄せていく。
肩に頭をかるくもたれさせようとしているようだ。

「……あのう、もし嫌じゃなければ……、僕は今ヴィラルさんの奴隷ですし、ご主人様にお礼をしても、いいのでしょうか……?」

おずおずと口に出した言葉は何故か疑問形だった。

ヴィール > 穏やかな表情へと変化する、ツァリエルの顔を見て微笑む。
軽く撫でてから一旦手を引いて。

「ん。…今度、王城に招いてくれるとか。そういうお礼なら喜んで受けるぜ」

すり寄せられる体、肩に乗る頭は一切拒否しない。
むしろ此方からも身を寄せ、ベッド上で並んで触れ合う。

「……ん?……まぁ、今この部屋にいる時だけは、確かにツァリのご主人かもわからねぇけど……」

お礼と言われれば構わない。首肯した。

ツァリエル > 「ええ、それはもちろんぜひ……!」

ヴィールの提案にこちらも嬉しそうに首を縦に振った。
そうだ、彼をいつか王城へ招きたいのはいつも思っていたことだ。
今は自分の身の上の事で頭がいっぱいになっていたが、普通の友達として遊ぶという楽しみもあったのだ。
ならば、それはきちんと叶えなければならない。

「ご主人様、でいいですよね……今このときだけは。
 ……ええと、だからその、侍従の真似事でもなんでもしますから
 それでお礼になればいいんですけれど……。と、とりあえず、脚のマッサージ?とかしますか?」

手をわきわきと持ち上げてマッサージの動きを見せてみる。ただ単に揉むのがマッサージだと思っている節がある。
どうも普段人に何かされ慣れていないせいで、こういったとき何をしたらいいのかが分かっていないようだ。

ヴィール > もちろん招いてくれるのは嬉しいが、彼が忙しいならば無理はしないでほしい。
貴族の末子である自分とは異なり、ツァリエルは王位継承の身だ。
友人として接してくれるのは嬉しいがそもそも立場が違う。

「……俺としては、ツァリが傍にいてくれるだけで別にいいんだけどな…。
まぁマッサージでも何でも、してくれるのなら…」

言ってベッドに寝転がる。
言う程疲れているわけでもないが、やってくれれば少しは楽になるだろうか。

ツァリエル > 「傍にいるだけで……?」

瞬間何故か赤面してしまう。そんな風に言われたことはあまりなかったせいだ。
嬉しい気持ちだけが先走って、特に他意のない言葉にも一々大仰に反応してしまうのを慌てて恥じらって隠す。

「あ、ええとっ、それじゃあさせていただきますね。ご主人様……」

寝転んだヴィールの片足をそっと手で支え持つと靴を脱がせ、絶妙な力加減でふくらはぎから揉んでいく。
徐々にその指を足先へと下ろしていき、丹念に揉んでいく。

「こう、かな……ヴィラル様いかがでしょうか……?」

自分の力加減が弱いのか強いのかイマイチ分かっていないので恐る恐るそう尋ねてみる。

ヴィール > 瞬間、赤面するツァリエルを見る眼差しは、自身にしては珍しく柔らかなそれだ。
寝転び、靴を脱がされ、絶妙な加減で足を揉まれれば堪らず零れる声。

「ん、っ………悪くない。……上手いな、ツァリ……」

丹念に揉まれれば揉まれるほど、足の疲れが取れていくような心地。
枕に顔を半分ほど埋め、暫しマッサージをたっぷりと味わう。

ツァリエル > 「えへへ、よかった……っもっと、気持ちよくなってください……」

心地よさそうな声を上げるヴィールに気を良くして、足先からさらに足裏に指を進めていく。
ヴィールの指を一本一本丹念にもみほぐし、足裏のツボと呼ばれる箇所を親指で少し強めに押していく。

「これ、シェンヤンに伝わる、方法なんですって……っメイドに教えてもらってちょっと真似してみましたけど……」

でも少し痛いときもあるからと、加減をしながら進めていく。
どうでしょうか?と小首をかしげてヴィールの様子をうかがった。

ヴィール > 足先から足裏へ、丹念な指使いとツボを的確に押されればピクッ、と思わず身体を震わせる。
今までにない心地を感じながら、されるがままに力を抜いて。

「……なんつーか、……不思議な感じ。……でも、気持ちいい……な」

確かに、時折痛みを感じることもあるが。
ツァリエルが上手なのかそういう仕様なのか、そこまで気にならない。
暫くマッサージをしてもらったところで、ごろっと仰向けになる。

「悪いな、ツァリ。だいぶ良くなった」