港湾都市ダイラスの少し北にある半島に位置する悪名高い都市。山賊街道と接続している。
その名の通り、主な産業は「奴隷交易」である。マグメール王国だけでなく、周辺国家、シェンヤン帝国なども含めて、様々な存在によって様々な奴隷が連れて来られる。
労働のための奴隷なども扱うが、その商品の大多数は所謂「性奴隷」であることが多い。特にミレー族の性奴隷は需要が高い。
商品として並ぶ奴隷の性別、身分や種族は多種多様で、マグメール王国の王族や貴族、シェンヤン帝国の皇族、魔族や魔王でさえも時に奴隷として売りに出されることがある。
個人所有の奴隷だけでなく、街そのものに従属する奴隷も存在し、その場合公共の奴隷として扱われることとなる。
様々な思惑や陰謀渦巻く悪徳の都市であり、一応はマグメール王国の領内に位置しているものの、その特殊性や王族さえも奴隷として並ぶことがあることから、
マグメール王国側はその存在を無視し、特に対策は行っていない。ある意味での治外法権の場所である。闇社会の組織も多く存在する。
ただし、内外からの客は多く、訪れる王族なども珍しくない。
一部の憂国の者たちにとっては我慢ならない都市であり、私兵を以てこの都市を取り締まろうとした騎士や貴族なども居るが、悉く失敗し、それを企画した者達は皆奴隷となってしまうことが殆ど。
悪徳の街らしく、街中でも公然と奴隷への陵辱や調教が行われ、一種の見世物としても機能している。
様々な施設が存在し、奴隷たちを見世物とする小屋や、奴隷同士、あるいは魔物と奴隷を戦わせる闘技場、調教施設、大衆浴場、娼館などなどが軒を連ねる。
特にミレー族の娼婦、男娼のみで構成された娼館街が有名である。マグメール国内に存する都市であるため、ミレー族は奴隷として扱われるのが基本。
あまりはっきりとした区画整備などはされていないため、家屋や施設などは雑然としているが、街の中央にある「奴隷市場」では毎日取引が行われ、昼夜問わず人で溢れる。
新たな奴隷を獲得すべく奴隷商人たちが街中で手ぐすねを引いており、たとえ街に来た時は奴隷でなくとも、様々な罠や策略にハマり、奴隷の身分に落とされてしまう者も少なくない。
見目の良い女性などは特に気をつけるべきであろう。
武力財力知力問わず、弱ければ虐げられ、陵辱される。強ければ奴隷を自由にでき、街を謳歌できる。そのような単純な図式が成り立つ都市である。
ミレー族は基本的には奴隷の扱いだが、その力を示すことができれば一定以上の地位を得ることもこの都市では可能である。
都市事態が崩壊しては意味が無いため、大規模な抗争などはまず起こらないが、決して安全な都市ではない。
油断をしていれば、当然のように襲われる可能性もある。この都市に悪徳を取り締まる機関は存在しない。
このような悪徳の栄える都市であるが、国内外から多くの者が集まるため、色々な情報や物品も集まり、冒険者には有用な情報やアイテムが仕入れられることもある。
そのため、多少の危険を冒してでもこの都市に来る者は少なくないのである。
表向きには「神聖都市ヤルダバオート」と真逆の都市だが、実際にはつながっており、「神聖都市ヤルダバオート」の地下売春施設と関係が深い。
そこのシスターたちがバフートに奴隷として送られることもあれば、その逆も存在する。
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参加者(0):ROM(1)
Time:05:06:48 更新
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からヴァーゲストさんが去りました。
■ヴァーゲスト > 二日目も何も得るモノはなし。
元々奴隷を見つけに来たわけでもない。
滞在予定は後3日なのだが、それも依頼人のご意向次第。
さて、何処かの酒場にでも転がり込もうか?
あの暑苦しい部屋で寝るのは到底考えられない。
昨晩に引き続きやたらと声をかけてくる商人には名前と滞在している宿の部屋を教え、今日はいないが明日以降なら話を聞いてやると残し、欠伸を噛み締めながら酒場のありそうな方向へと歩いていくのであった。
■ヴァーゲスト > ――…奴隷市場都市バフート滞在二日目。
今夜も夜の奴隷市場を歩き、眠れぬ夜に彷徨う。
基本的に寝つきはいい方の筈だが、暑苦しい夜に外の空気を取り込もうと窓をあけたら、此処は奴隷市場都市だというのを嫌でも感じる事となり眠気は吹き飛び今現在に至るわけである。
「なぁーにがムホホー!眠れぬ夜は女を抱くに限りますぞーだ……。」滞在中に依頼主に確保して貰った宿は悪くなかったが、今日に限って空調の魔導具が故障して、暑苦しい夜は~という事になった訳で、流石に宿に苦情を入れたら口止め料にボチボチの金と娼館を紹介され、ああ、昨晩も似たような事が……。
「にしても、種族の博覧会?っての?何か面白い奴隷はいないのか?同族だったら冷やかしてやるし、価値がある女なら喜んで買うんだけどよー……。」
口をあければ愚痴が出る。
通りを歩けばそこそこ涼しい夜風にその口元は緩む。
くっ、と欠伸をかみ締めながら両手をズボンのポケットに突っ込み、奴隷商人共が或いは娼館の女たちが騒ぐ通りを歩き続ける。
――に、しても退屈だ。
そう少し浮べる笑みに苦いものを混ぜながら。
隻眼の眼を細めて、静かに首を左右に振る。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にヴァーゲストさんが現れました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からヴァーゲストさんが去りました。
■ヴァーゲスト > ――…特に興味を引く奴隷はいない。
と、真っ赤な林檎をまた一齧り。
数人の奴隷商人が色々とアピールをしてくるが、ピンッとくる売り言葉もなきゃ実際に見せてもらっても興味がそそられる事もなし。
――それでもしつこく今はお見せで出来ないがーと騒ぐ商人には暫く滞在予定の宿の名前と自分の名前を教えて、手紙を送るか、実際に連れてこいと伝えておく。
今夜はこんなものか?と愚痴り欠伸の代わりに林檎を齧りながら奴隷市場より抜けて、目指すは依頼主が用意してくれたボチボチランクの滞在予定の宿の方へ歩き去るのであった。
■ヴァーゲスト > 夜の奴隷市場都市バフートは退廃的で最高に人間臭くて好きだが、奴隷を買いに来る予定でもなきゃわざわざ足を運ぶほどでもない。
なのに、だ。
何故夜の奴隷市場を真っ赤な林檎を齧りながら歩いているかと言うと、仕事の一言に尽きる。
あれだボンボン貴族のお守り。
1週間ほど滞在で現地では奴隷市場都市直々の護衛が紹介されるそうで、行きと帰りだけ護衛して欲しいとの事。
それはもう奴隷市場都市のお偉いさんが直々の紹介をする程金持ちらしく、自分にも大変羽振りが良い特上客で一晩くらい奴隷を買えるゴルドをポンッとくれたので、今こうして林檎を片手に奴隷市場を歩いている。
こう見えてもボンボンのお坊ちゃんほどではないが、少しばかり貯蓄はあり、小遣いなんかもらわなくても奴隷を買い上げるくらいは出来るわけで――…まあでもゴルドに罪はないので貰う、もらってさてどうするか?ってところが現状だ。
全うな街灯はないのかよ?と心で突っ込みを入れるほどに、通りを照らす街灯は桃色に紫に怪しげな色とりどりで、道に香るのは……。
「こりゃ……まあ、そうだろうなぁ。」と思わず林檎を一齧りしながらポソっと言葉を零すくらいに、怪しげな匂いしかしない、スンッと鼻をならしてその匂いを追えば、すえた男女の匂いとそれを掻き消す為の精力剤?媚薬?な退廃的な匂いがする、ご苦労なことである。
その匂いを意識的に嗅がぬようにしながら、隻眼の右で辺りに面白いモノでも陳列していないか視線を向けて、また林檎を一齧り。
育ちのわからぬ人間の奴隷。
どこからか掻っ攫ってきたと見えるミレー族の奴隷。
エルフに……ありゃ吸血鬼か?と、悪い意味での人種の宝庫、掘り出し物があれば手をだすのも吝かではないが…。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にヴァーゲストさんが現れました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からプラセルさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からエリビオさんが去りました。
■プラセル > 機嫌良さそうな表情で金貨袋を受け取る奴隷商人。
魔法で手早く中身を確認すれば、檻籠へと取り付けられている錠を開けた。
広くはないが、狭すぎもしない鉄の檻の中の景色が変わる。
外で引き摺り出されるのを待つのではなく、
中へと踏み入り掌を差し出してくれる姿は、酷く新鮮だ。
「――――プラセルよ。」
淡く、柔らかく、仄かに眦を撓らせながら名前を口にして、己の掌をそうっと重ねる。
緩やかな挙動で立ち上がれば、一緒になって歩いて歩いていくのだろう―――。
■エリビオ > 「どういたしまして。」
鈴鳴るかの笑い声を響かせつつ。隣にいる商人に目も配らず金貨袋を差し出した。
「いやじゃないなら行こうよ。
きっと、こんなところでただ眺めてるだけよりも楽しいはずさ」
重い重い開場音を響かせて。
軽い軽い足取りで檻の中に入った少年がそっと手を差し出す。
「俺の名前はエリビオ。
君の名前を教えてよ。」
薄く首を傾げつつ。抵抗がないならば手を繋いで奴隷市場を去っていく。
■プラセル > 耳へと残る、冬と春の余韻に伏しがちな眼が淡く瞬く。
ほう、と吐息を吐き出して、それから、柔らかく表情を崩した。
崩したとは言っても、常の表情からすれば、微々たるものではあるが。
「……言いすぎたわ。 ごめんなさい。
それから――――……素敵な冬と春を、ありがとう。」
開いた唇から零す音も、先より幾分か柔らかい。
往来の騒がしさが戻るのと共に、近付いてくる足音に視線が鈍く移ろった。
浮かべていた表情も、既にいつもと変わらぬ、抑揚の薄いものだ。
商品を、と相手へと勧める店主を見れば、
申し訳なさそうな色の滲む眼が再び相手へと向けられ、目が合う。
鼓膜を震わせるその声に、きょとん、と何処か抜けたような表情を浮かべ、
「いやじゃないけれど……、」
それから、困ったように眉尻を下げた。
相手の迷惑になっているのではないだろうか。
その事の方が、今の己には気がかりで。
■エリビオ > 「ふぅ……。」
大きく息を履いて鉄笛を革袋の中に仕舞い込む。
相手の表情は……やはり読めない、だから。
「少しは楽しんでくれたかな?
ひどいひと、なんて言葉はこれで取り消してほしいけれど。」
軽口を叩いてから辺りの異変に気づく。
奴隷市場での急な音楽。さても他の客の迷惑になっただろう。
笑みを取り繕う奴隷商人が購入を促してくるのに眉を下げ。
「あー、俺はちょっと冷やかしにきただけで……。」
何かを言おうとする唇は金髪の少女を見て閉ざし。
再び中腰になって檻越しに向かい合い。
「どうする……って聞いたらひどいひとなんだよね。
君が嫌じゃなければ一晩分くらいは買うお金はあるけれど。」
■プラセル > ただでさえ目立つサイズと形をした檻。
その前に留まる人の姿があれば、往来の視線もざわつきも集中する。
野次馬に騒いでいた客達はだったものの、次第に周囲は音を潜め始め――高く澄んだ音が響いた。
「―――――――…………。」
先程想起した、冬の気配が濃くなる。
真っ直ぐに張られた細い糸の様な、鋭くて済んだ冬の朝の景色が。
軽やかで、けれど、全てを白に覆い隠していく細やかな雪の情景が。
目を閉じずとも、一歩先すら見えない深い冬の山の痛みが目に浮かぶ。
無意識の内、音に合わせて震わす羽根は擦れ合って、微風めいた音を奏でていた。
それも、訪れた柔らかな春の音に、次第に静まっていくのだろう。