2023/05/17 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にサウロさんが現れました。
■サウロ > (穏やかな風の匂いに雨の湿った気配を感じてはいた。
流れる雲が早く、時折強い風が吹いて、生温いそれが頬を過ぎていったと思えば、
自然地帯を覆うような曇天が重くやってきて一瞬で土砂降りになった。
空からバケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨を逃れる為にサウロは洞窟へと入ったが、
その頃には水に浸かったようにずぶ濡れになってしまったわけである。)
「一人の時に限ってこういう目に合うな…」
(顔に張り付く前髪を片手で掻き揚げながら、眉尻を下げてぼやく。
サウロが自然地帯と呼ばれる広い場所に訪れた理由は、鍛錬の一環だ。
そろそろ戻ろうかと思案していた矢先の豪雨。
なんにせよ、濡れたままでは風邪を引きかねない。
野営の容量で洞窟内にあるもので火を興さねばと周囲を見渡しながら、鎧を外して降ろす。)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 洞窟の奥でのそり、と何かがゆっくりと動いた。青年よりはやや低い人影。
よく見ると人影の足元近くにぽっかりと穴が空いている。どうやらそこから出てきたようだ。
ジャケットにカーゴパンツ、瞳はゴーグルで覆われている。体格からして男のようだ。
右手は何か小さな棒状のものを掴んでいるが、外の光が十分に届かず暗いため、よくわからない。
男の存在は視覚よりも、嗅覚で感じ取れた。臭い。青年にとっては嗅ぎなれたものか、血の匂い。
「……ここのお仲間ではなさそうだ」
ぽつりと低い声で呟くと、洞窟の外を見遣る。雨宿りにきたのだと理解したようだ。
男も豪雨の中、出ていこうというつもりはない。逡巡するように何度か外と青年を交互に見た後、声をかけた。
「雨がやむまで、ここにいてもいいかい?」
■サウロ > (奥の方は暗がりが広がり、暗順応していないサウロの視界には闇が広がっていた。
が、何かが動く気配があれば咄嗟に腰に下げた剣の柄に手が伸びる。
目を凝らして見れば穴があり、そこから出てきたであろう男性の影がまとう血の気配に、わずかに眉を寄せて。
しかしどうやら敵対する様子はないようだ。であれば、サウロも武器から手を離して、頷いた。)
「先客がいたとは知らず、驚かせてしまいすみません。
お願いするのは私の方です、ご一緒させて頂けると助かります」
(丁寧にそう告げながら、サウロは手早く落ちている石で円を作り、
洞窟内に落ちている動物や魔物が持ち込んだような渇いた枝や葉を拾って集め、焚火の準備を。
あまり大きなものにはなりそうもないが、一先ず灯りと暖を取るには、最低限か。)
「良ければ、此方に。
……失礼ですが、怪我などはされていませんか?」
(男性から漂う血の匂いが気になって、どこか負傷しているのではないかと心配そうに声をかける。)
■ヴァン > 返答がくると右手を一度左腰にあてるような仕草をした後、男は青年の焚火の延長線上にある洞窟の壁に背を預けた。
外の光で、左腰に黒い布が巻かれた鞘が見える。どうやら男は抜刀していたようだ。
ゴーグルを額の上――よくわからないが、奇妙な模様のバンダナをしている――にずらすと、青い瞳がのぞいた。
「先客……先客か。家主にとっては招かれざる客だが、家主はもういない。気にせずいこう」
丁寧な物腰に、微かに笑った。自分の近くにある焚火の足しになりそうなものを見つけると、石の円の中に置く。
まじまじと青年の姿を眺め、鎧を一瞥すると一瞬顔を顰めた。
「いや、怪我はしていない。どこかに血がついていたらそいつは返り血だ。
ここに巣食っている魔物を相手にしていた。ところで、君は冒険者という風でもないが……ここには何をしに?」
男は自分から血臭がしていることに頓着していないらしい。
自分の服を眺め、何をもって怪我をしていると思ったのか確認している。
■サウロ > 「……?
────なるほど、そうでしたか。安心しました」
(彼が何を指して家主と呼んだのか一瞬理解が遅れて軽く目を瞬かせたが、
怪我をしている様子もなく、魔物を相手にしていたと聞けば納得したように頷いた。
彼が置いてくれた分も含め、ポーチの中から布に包んだ火種を落として火をつける。
濡れて湿気らなくてよかったと安堵しつつ、小さな焚火に火がついて、二人の顔を明るく照らすだろう。
改めて男性を見る。銀髪にバンダナ、ゴーグル、ジャケットとカーゴパンツと、
腰には同じく武器を下げているようで、そのスタイルは冒険者のようにも見える。
だが、冒険者にしては粗っぽさはなく、どこか品のような雰囲気も感じられた。
外して置いてある鎧を見る彼の視線に気づけば、サウロは胸に手を当てて自己紹介をする。)
「私は自由騎士団の一員、サウロと言います。
今日は、自主鍛錬の一環で魔物狩りを。貴方は?」
(同じような質問を返しつつ、盾を地面に突き立て、白いジャケットを脱いでそこに掛ける。
少しは渇いてくれると助かるのだけど、とそんなことを思いつつ、その近くに腰を下ろした。)
■ヴァン > 「自由騎士……あぁ。治安維持や退治依頼を中心に請け負う集団か。
最近、名前を聞くようになってきたな」
男は己が認識している通りのことをそのまま口にする。どちらかというと肯定的な反応。
青年が騎士階級ではないことを聞いて、どこか安堵したように息をついた。
「俺は……ヴァン、という。今日は仕事が休みでね。君と似たようなものさ。
下にいたのはオーガとそれに付き従うゴブリンの群れだ。掘り出し物があるかと思ったが、残念ながらなかった。
俺が上ってきたところは非常用の出口のようだ」
掘り出し物、のくだりで意味ありげににやりと笑う。
手の甲で頬を拭う時に、音がして首から提げた聖印が露わになった。戦闘の邪魔になるので、胸ポケットにしまっていたのか。
特徴的な聖印が神殿騎士であることを示すものだと、騎士団にいた身ならわかるだろう。
見る者の造詣が深ければ、どこの誰だかすら理解できるかもしれない。
青年の服が乾くのに役立つものを持っているかと肩掛け鞄を開けるが、すぐに頭を振って諦めたようだ。
地面に突き立てられた盾に視線を向けると、納得したように頷いた。
「なるほど、新しい装備に慣れるのも兼ねて……か」
■サウロ > (彼の口にした通りの認識で、概ね合っている。
正規の騎士とは異なり、基本は小規模の隊ごとに国内各地に散らばって活動する組織団体だが、
自由騎士と言っても王国騎士との違いが分からない者もいる。
最近になって名が聞こえるようになっているなら、活動の結果なのだと自然と微笑が浮かぶ。)
「オーガとゴブリンの群れ……を、貴方お一人で、ですか?」
(彼が上がってきたという穴。洞窟の奥や地下にそうやら魔物が住み着いていたようだ。
それを怪我も負わずに倒して来たというのならば、かなりの実力者なのだろうと尊敬の眼差しを向ける。
掘り出し物と言われて考えたが、ゴブリンやオーガが抱えるお宝のようなものはあるのかと首を傾げた。良く分かっていないらしい。
不意に見えた聖印は、その特徴からサウロにも覚えがある。
数年前、まだ王国騎士団に所属していた頃に座学で何度か見かける機会があったものだ。
が、サウロの知識はそれぐらいで、神殿騎士について詳しくはないので彼の出自や身の上までは把握は出来なかった。)
「ヴァンさんは、神殿騎士の方でしたか」
(冒険者とは違う雰囲気であるのも納得した様子でサウロも頷く。
パチパチと小さく爆ぜる音と、彼が呟く言葉に苦笑しながら、胡坐をかいた膝に剣を乗せる。)
「少しでも馴染ませて、手足のように扱えるようにならないと。
……できれば、魔物の素材や特殊な鉱石なんかを使って作る頑丈な武具が欲しいんですが」
■ヴァン > 一人で、という質問にはすぐ頷いたものの、どう答えたものか言葉を探す。
掘り出し物、という言葉に首を傾げたのを見て、補足する。
「多対一を避けるだけだよ。罠をしかけたり、背後から忍び寄ったり、細い通路で戦ったり。
掘り出し物、ってのは……ゴブリンは村から女を攫ったり、倒した冒険者を殺さずにいるだろう?そういうのさ。
助ければ報酬を女自身や、その家族からもらえる。とはいえ、自由騎士にはあまり関係ないか」
女自身、という言葉には金銭以外の報酬という雰囲気が滲むが、言葉にはしない。
物腰からして、真面目な――少なくとも、下世話な話に対して前向きな反応はしないだろうと感じた。
神殿騎士、と言われると僅かに唇の端を歪めたが、一方で言葉に棘がないことを奇妙に思う。
神聖都市で神殿騎士団といえば嫌われ者の代名詞だが、少なくとも青年の知る範囲ではそこまでではないらしい。
男の悪名も、どうやら知らないようだ。再び、安堵したような息を漏らす。
「一応な。もっとも、今は書類仕事がほとんどでね。仕事ではめっきり外に出なくなった。
俺は鹵獲したものばかり使ってたから、あまり実感がないが――装備は大切にしないとな。
魔物の素材か……使える装備にするとなると、山の方の魔物か……?」
少なくともゴブリンやオーガ程度では大したものにはなるまいと。
■サウロ > (一人での戦い方については参考になるのか真剣な表情で頷いていたが、
続く掘り出し物の補足を聞き受ければ要するにゴブリンに敗れ連れ去られた者の救助のことかと納得した。
ゴブリンなどは特に女性を襲い、犯して孕ませると聞く。
彼の予想通り、救助した報酬については金銭や物資、食事や一晩の宿代のイメージしか浮かばないようで、
彼のいう掘り出し物という単語にはやや引っかかりつつも、それが報酬目当てのことだと考えれば、
「被害者がいなかったのは喜ぶべきことですね」と、至極真面目な様子で返しただろう。)
「書類仕事……というと、色々大変そうなイメージがありますね。
寡聞にして存じ上げないのですが、ヴァンさんはかなり立場が上の方、ということですか?」
(神殿騎士の職務内容は当然、所属したことのないサウロからすれば未知の領域。
王国騎士団と似ているのか、体系はどう分類されているのか、分類された中で
現場ではなく書類仕事を任されるということは相当上のほうにいるのでは、という予想。
武器の事になれば、彼の言葉に苦笑して、ぱらりと落ちてくる濡れた金の髪を掻き揚げる。)
「ええ、身を護るものなので。……破壊されないような、頑丈なものを」
(剣に視線を落とし、ぽつりと呟いた言葉は、少しだけ力が込められていた。
すぐに顔を上げる。山の方、となるとぱっと浮かんでくるのが、九頭龍山脈だった。
かの山には古い時代から存在する遺跡があると聞く。冒険者はそこを稼ぎ場にするのだとか。
彼は詳しいのだろうかと、期待を込めて見つめながら問いかける。)
「九頭龍山脈はまだ数度しか足を運んだことがないのですが、
素材になりそうな魔物をご存じですか?」