2023/03/20 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/洞窟」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 自然地帯にある洞窟の一つ。時間は――昼だろうか、夜だろうか。

春になるとメグ・メール地方固有種のゴブリンは冬ごもりしていた巣から出てきはじめる。
冬ごもりをする直前、雄しか存在しないこのゴブリンは他種のゴブリンの巣や人間の村、隊商などを襲い、食料と共に女を奪う。
冬を越える準備であり、同時に勢力を増やすための期間でもある。冬の初めに産まれたものは夏には武器を持つ。
恐れられ、忌み嫌われる獣。腕利きの冒険者にとってゴブリン退治は割に合わず敬遠されることもあり、この害獣の根絶は進んでいない。
彼等は巣ごもりで運動――少なくとも、戦闘はしてこなかったためか、筋肉が衰えている。この時期は駆除の季節だ。

洞窟に男が一人。周囲には濃い血臭が漂っている。
男の通り過ぎた路には屠った獣が二十ほど。ゴブリンのコロニーとしてはそれなりの規模だ。
途中、何体かの幼体も発見した。ろくに動けないそれらを男は兎のように頭を掴み、捻って処理。
専業冒険者ではないこの男は退治依頼を受けていない。ただ刀を振るう場を求め、虐殺をしていた。
アイマスクのようなものをつけて顔を巡らせる。どうやら、暗闇でも視力を確保するための魔導具らしい。

「敵対的な反応は感じられない。殲滅したか……とはいえ、幼体がいたことを考えると、救助対象がいるかもしれん」

布で血糊を拭くと、刀を青黒い鞘に収めた。これまでの探索で、食料が積まれていたと思しき荷馬車を発見していた。
共に拉致された存在がいるかもしれない。
幼体を産んだ者がゴブリンかそれ以外かはわからない。単体かもしれないし、複数いるかもしれない。
出入口は複数個所あったが、突入直前に一か所を除き魔術で崩落させた。崩落前に突入した冒険者がいる可能性もゼロではない。
ゴブリンを指揮する敵対的な存在が影から男の隙を窺っていることも考えられる。
男とて冒険者にしてみれば、一見しただけでは友好的な存在には見えないだろう。
どんな存在と遭遇するかまだわからない。銀髪の男は眉を顰めて周囲を警戒し、未探索地域へと向かっていく。