2022/12/10 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にユアさんが現れました。
■ユア > 「ったく……」
街道から外れた、とある緑豊かな自然地帯。
四方から歩み寄るゴブリンめいた魔物を順繰りに眺め回しながら、装束に身を包んだ一人の女が立っていた。
「これだから外での仕事は嫌なんだ」
愚痴めいて呟く言葉。とはいえ金につられて引き受けたのは自分なのだから、いわば自業自得というものだ。
腰からゆっくりと小刀を引き抜き、逆手に持ち直す。
倒せなくはない。が、この数だと少々面倒だ。
このまま逃げてしまうのもそれはそれでアリだが──
「………」
足元に置いた頭陀袋を見下ろす。
依頼の品……多量の鉱石。これを放って逃げ出してしまえばすなわち仕事失敗。
それは避けたかった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にイルゼさんが現れました。
■イルゼ > ユアにじりじりと迫ってくるゴブリン達。だが、ユアに知識があればある違和感に気付くだろう。
普通のゴブリン…つまり、マグメールの自然地帯等に潜む野良のゴブリンより、少しばかり装備が良いのだ。
それは、このゴブリン達が野良ではなく、主人がいる事を示していた。
「運び屋は一人か…このイルゼ相手に、人間どもも迂闊なものだな」
そして、その主人たる魔族がゴブリン達の背後から現れる。
魔族の国の所属の証である制服を着たイルゼと名乗る女魔族は、嗜虐的な笑みを隠さない。
依頼主には予め、運んでいる鉱物が希少なものであり、
王国内の賊のみならず魔族にも狙われている事を伝えられているだろう。
「この国では見かけない顔立ちだが…フン、顔は良いな。
傷めつけた後たっぷりと嬲って楽しんでやろう…」
イルゼはぺろりと己の唇を舐めた後、手にした魔導サーベルを振りかざす。
「行け!」
配下のゴブリン達が、一斉にユアに飛びかかっていく!
■ユア > 徐々に包囲網を縮めてくるゴブリンを睨んでいると、ふと気づいたことがある。
魔物が身に纏う装備──鎧や、剣など。そういったものが妙に良質なのだ。
「……成る程」
その答えは、間もなくやってきた魔族の女によりもたらされた。
依頼主から一応話は聞いていたので驚きは無い。
ふん、と鼻で笑い、その女魔族をじっと舐めるように観察する。
「希少な品を相手にこの程度の軍勢とはな。まぁ…此方としては好都合」
似たような台詞を返し、小刀を利き手に持ち直すと同時号令の声が響き渡った。
飛び掛かってくるゴブリンに瞳を細め、空いた手で衣服に隠し持っていた苦無を素早く投擲する。
それは正確にゴブリンの急所──鎧の隙間へと突き刺さり、哀れな魔物はどうと地面に倒れ伏した。
距離を詰めてきたゴブリンもまた、小刀が月光を照り返しキラキラと輝く度に血を吹き出し、倒れていく。
気が付けばイルゼとユア以外に立っている者はいなくなっていた。
■イルゼ > 「……ハッ、多少はやるようだな?」
戦いが始まればあっけなく全滅したゴブリン。
だがイルゼは余裕のある表情を崩さない。
元より魔族より下等な魔物である。全滅しても替えの効く兵士だ。
それに対して己は貴種たる魔族。王国内であろうと、人間相手など圧倒できると信じていた。
「ゴブリンを倒した程度でいい気にならないことだ…私が直々に相手をしてやる」
手にしたサーベルを構えると、黒い魔力の渦がその刀身を覆っていく。
同時に、イルゼの瞳が妖しく輝く。
「魔族と人間の違いを思い知るがいい!」
闇魔術の力が、稲妻のように魔導サーベルの刀身から迸る。
それは一度拡散し、四方八方からユアへと向かう。
そして、イルゼ自身も背中の蝙蝠めいた翼をばさりと羽ばたかせると、
ユアの方へと一直線に飛んでいく。
「見切れるか人間!!」
イルゼの攻撃が、一斉にユアの方へと殺到する!
■ユア > 「所詮は魔物か」
表情を変えず、構えを解かぬままじろりと女魔族の方を睨みつける。
流石に雑兵を倒した程度で油断はしない。
むしろここからが本番──魔力の渦を立ち上らせ、その背に蝙蝠の翼を携えたイルゼ。
そのサーベルの刀身から闇魔術が迸ると同時、懐から畳まれた扇を引き抜いた。
「来い」
それを開き、大きく一度扇いでみせる。
するとたちまち竜巻が起こり、四方八方から襲い来る稲妻の如き魔術を軒並み叩き落した。
一直線に飛んでくるイルゼのサーベルを、小刀で受ける。
鍔迫り合いからの斬り合いとなって、暫し自然地帯に戦いの音が響き渡る。
■イルゼ > 【部屋移動】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からイルゼさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からユアさんが去りました。