2022/11/11 のログ
■エレイ > 「……おっと、そろそろエエかな──む」
ボケッと取り留めのない思考をしながら過ごしていれば、ふと魚が食べ頃の焼き加減に
なっているのに気づいて火から離し。
串の一つを手に取り、さあ戴こう──というところで広場の近くまでやってきていた
気配に気づき、顔を上げた。
そこに佇む外套を纏った人影を見やる男の表情にはやはり警戒の色というものはなく、
軽く驚いたように丸めた目をぱちくりと瞬かせて。
「──んんー、楽しんでいるといえば楽しんでいる……のかな?
むしろ絶賛退屈中だったのだが……そうだな夜魔でもなんでもいいが、暇つぶしに
なるんなら兎に角どんと来い状態といったところかな」
掛けられた声にも、うーんとやや上を向いて唸りながら先程まで会話していたかのように当たり前な様子で
そんな返答を寄越しながら、モシャ、と魚を一口かじり。
「……それでキミは? 見た感じ旅人っぽいようだが……実は夜魔系の存在だったりしちゃうのかな?」
それから改めて相手に視線をやれば、面白そうな笑みを浮かべながら問いかけを返し。
■ヴェルニール > 先客が魚の表面が良い塩梅に炙られ、焦げ目が芳ばしい串を手にする頃。
顔を上げた視線が此方を向けば、
立てた外套の襟元から髪を掻き上げつつ、暗がりから足を向け。
「…まぁ、退屈と思える平穏もそれはそれでいじらしくて良いのではないでしょうかね。
気を紛らわせる何かを欲しているのならば好都合。」
軽く肩を竦めつつ笑って。
目立って警戒らしい表情も表向きには見せぬのだから、と火の傍へと。
形ばかりの会釈をしつつ、程よい距離に荷物と共に腰を下ろすつもりの動作で。
「お生憎と、御仁がお求めの夜魔の類じゃあございませんよ。
ご覧の通りに、しがない何処にでもいる凡庸な旅人ですとも。
面白味のある噺でもご披露できれば、夜の慰みにもなったかも知れませんがね。
あぁ…お酒は嗜みます?」
ご覧の通りに、などと言いながら目を細めてみせるあたり、業とやっているであろう口調。
担いできた藤編みの行李を開け、琥珀色の液体が揺れる小瓶と、掌に乗るくらいのサイズのグラスを二つ出してくる。
初対面で勧めるには甚だ怪しいが、ひとり野営をする位なのだから自衛程度は心得た上で普通に受け取るだろうという算段。
グラスのどちらにも液体を注いで平らな場所に並べ。
■エレイ > 「うむッ。歓迎しよう、盛大にな!」
焚き火の側まで近寄ってくる相手を目で追いながら、ビシッとサムズアップしてみせつつ
拒絶することなく歓迎の意を示す。盛大と言っても別になにかするわけでもないのだが。
男はこの場に特に仕掛けなど何一つしていないため、彼女は何事もなく荷物も腰も下ろせるだろう。
「ワハハ……凡庸な旅人はむしろ俺みたいな輩には警戒感を露わにするものではないか?
なに、そういうのもあれば良いのは確かだが、俺としては美人サンがご一緒してくれるってだけで
充分慰みになってるのでOKです。
──あー……じゃあ一杯だけ……」
芝居がかった口調の彼女に呵呵と笑ってそう答えながら、火の光に照らされた
彼女の顔を覗き込むようにして無遠慮に眺め。
酒を勧められた際には、ちょっとだけ微妙な顔をしつつも注がれたグラスは受け取って。
中身をくい、と一口呷れば、より微妙な色合いが濃くなった。
警戒しているとかそういう話でなく──単にこの男が酒があまり得意でないだけということは、
彼女にも伝わるかもしれない。
■ヴェルニール > 手放しでの歓迎にくすくすと笑みを落とし。
燃え盛る炎の煌々とした明かりの揺らめきを挟んで改めて視線を向ける。
夜の中にあっても光を反射する金髪の下の碧い瞳を捉えて。
「そうでしたか、其れでは次は警戒心を持って矢文でもお送りしましょうかねぇ。
などと自分で云うのも何ですが。
まあ貴方も大概酔狂な方とはお見受けしますよ。
…おや。この貌、お気に召しました?」
酔狂、と評してはみたものの、当の本人は酒はあまり嗜まないご様子。
酔うほどに狂うものでもない、とは思っているし、別に酔わせて利がある訳でもない。
覗き込まれれば、そのままに明りに相貌を照らして澄ました顔で目を細める。
問いかけてから、視線を合わせたまま身を乗り出すようにして距離を詰め。
呷っておきながらなんとも微妙な面持ちの様子に、いよいよ堪えられなくなったのか、面白そうに顔の前に手を翳して噴き出す。
アルコール40度程度の蒸留酒は少々彼の胃には辛かったかもしれない、と思いながらグラスを傾け。
さて水差しはあっただろうか、と荷物を探ってみる。
「これは失礼…っ、…ふふ。ごめんなさいね。
苦手だったなら、断って下さっても良かったのよ…?」
酒の入った気安さか、或いは別の思惑か。
口調を変えつつ、行李の影の見えない位置でこっそりとグラスに空間から水を注いで。
■エレイ > 「それはちょっと面白すぎるのでやめておいたほうがいいだろうな。
ハハハ……ン、それはもう。もっと近くで見てたいぐらい……って
何いきなり本当に近寄ってきてるわけ? んなコトされると俺様ウキウキしちゃうぞ?」
顔が気に入ったのか、なんて問いにはフフリと笑いながら軽口を叩きかけて──
その最中に相手の方から距離を詰められたので、軽い驚きに眉を持ち上げ。
しかしまた笑みに戻ると、目を細めながらこちらからも軽く顔を近づけてみせたりして。
「……せっかく注いでもらったのに無碍にするのも悪いでしょう? 出されたものは
黙って飲み干すのが大人の醍醐味。……──あれ。キミ今なんかした?」
吹き出す様子を見ればフンス、と鼻を鳴らしながら不機嫌ヅラを作りつつ、口にしたのは
相手への気遣い。男はアルコールでどうにかなるようなヤワな内蔵はしてはいないが、
とかく味が駄目なようで。ガブリとまた魚を一口齧ってから、グラスを空けるべく
もう一口呷るが──いつの間にか水が注がれ酒の味が薄まっているのに気づくとキョトンとして、
丸めた目を彼女の方に向けながら首を傾げた。
■ヴェルニール > 軽やかな調子でおどける様子に、楽しそうに唇の端を持ち上げて。
弧を描く口元が何事かを呟くが音にはならぬまま。
驚きの表情の後、すぐに笑みを浮かべて更に近づく顔に、間近まで顔を寄せ。
唇が触れ合う手前でひたり、と止めると瞳を合わせたまま首だけを後ろへと引いて。
彼の唇へと指先をのせようと。
「…うふふ。それなら何よりよ。
ええ、毒も喰らってこそその味わいを知るもの。
今度はお酒以外をお持ちするわ。」
自分のグラスを傾けてブランデーを呷りつつ。
鼻を鳴らしてそんな主張をする様子に表情を綻ばせて。
いつの間にか彼の方のグラスを最終的には水にしておきながら、ことり、と首を傾ける。
「いいえ。先程水差しから水を足しただけですわ?」
■エレイ > 間近に近づく彼女の顔。触れ合う寸前まで来て、すいと引いたその動きを男は読んでいたのか、
特に動揺することもなくフ、と小さく笑い。
唇に指先を触れさせてくる彼女の手をやんわりと取れば、ちゅ、とその指先に軽く口付けて。
「──そうしてくれるとありがたいです。あー……お返しになるかわからんが、キミも食うかい?」
酒を呷る彼女の様子を横目に見ながら、やれやれと言ったふうに大げさに肩をすくめてみせ。
とりあえず戴いてばかりもなんだと考え、とはいえ出せるものが現状それしかないので
串で突き立ててあるもう一つの焼き魚を指さしながら、眉下げた笑みでそう問うてみる。
「……。まああいいんだがとゆーか、気遣わせて悪いなとゆーか……まあそれはそれとして。
今更ながらキミのお名前を訊いてもエエかな? ちなみに俺は謙虚な旅人で
冒険者のエレイというんだが呼ぶ時は気軽にさん付けで良いぞ」
お互いに首を傾げた状態で少し見つめ合ったあと、視線をそらしてそれ以上の言及はしなかった。
何かやっているのは明白だが、手品のタネの追求は今は別に重要な事柄ではないからだ。
それからふと思い出したように彼女の名前を問いかけ、続けて独特な自己紹介も繰り出してゆく。
■ヴェルニール > 吐息がかかる距離で見詰め合っていた時間は、恐らくは3秒程か。
彼の整った容姿に嵌め込まれたような青色の硝子を眺める湖面を潤ませて。
こちらの悪戯めいた動きにもたじろぐ様子なく、笑みとともに呼気が落ち。
指先に触れる吐息と口付けにくすぐったそうにも睫毛を震わせ、名残惜しそうに指をひいて。
「まぁ、頂いてしまってもよろしいの?」
彼の夕飯になるつもりで用意されていたそれ。
恐らくは来訪者などは想定されていなかったのではないか、とも思われる量に首を倒して。
遠慮する素振りは見せるが、素振りだけで片手を串へと伸ばして。
「…謙虚な。旅人さん。
ええ、ではエレイさんと。
あたくしはヴェルニール。エルでもナイルでもお好きにどうぞ。」
そら呆けてみせつつ、自分のグラスはすべて空ければまた酒を注ぎ。
そうしてよく焼けた魚をご馳走になり。
両手を合わせて食後の挨拶を済ませる頃には、天井に浮かぶ月もすっかり傾く頃。
気紛れな来客はその後夜の森を歩いて戻って行ったのか、或いは明け方頃まで焚火を囲んでいたのか――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からヴェルニールさんが去りました。
■エレイ > 「ヴェルニールさんね。んじゃー、ナイルさんで。ささ、遠慮なく食っちゃってくれぃ」
素振りだけ遠慮しつつ串に手を伸ばす様子にくっくと笑いつつ、教えてもらった名を
咀嚼するように繰り返し。呼び名は提案されたもののうち後者を選択。
彼女の食事風景を眺めながら、水だけになったグラスをぐびっと呷って空にして。
彼女がその後去るにしろ留まるにしろ、一時の有意義な時間を過ごせた男は満足げであったとか──
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエレイさんが去りました。