2022/10/26 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にテイファーさんが現れました。
テイファー > 己が居を構えていた迷宮に討伐隊が組まれ、手下の大半がこの世から抹消させられたのが2時間ほど前。
超音波による催眠も、罠も完全に無力化させられ改めて思い知らされるのはこの肌にまとわりつく、魔族への重石。恩寵の存在。

自らの半身を裂き、蓄えた力を半分宿し、自我だけはこちら――自らに残して魚の姿へ変化。
水路を下り、そしてこの自然地帯に流れ着いたところで人の姿に変化したのだった。
腕、足と言った部分が骨から肉を生む。人間と違い、骨と肉と皮。後は疑似血管を作る事で――30代前半の人間の男へと変化を遂げる。

「罠に頼っているだけでは限界があるか。
――ただ暫くは行動出来んな。」

はらわたは存在しないが煮えくり返るのは人間・エルフ等への復讐心。やりすぎたのはそうだが――所詮魔王ではない。
上級に及ばない魔族が恩寵の中で悪さをすればどうなるのかを思い知らされた。
幸いだったのは、身代わりとなった肉体を討伐隊が本体と勘違いして消去させ、撤退していった事。
不幸なのは魔力の供給源かつ、孕み袋だった女共を開放させられ、魔力補給のアテが無くなった事。手下を失った事で行動に大幅な制限が掛かってしまった事。

「人間の衣服構造はわからぬが。
……こう、だったか?」

全裸では流石に拙い。冒険者の様に肉体に薄い布を。首の高さまで全身黒タイツの様に纏い、その上から革鎧に鈍器のような物を作り、足には魔獣の革を転用したブーツ。
魔眼や魔力。超音波の類は効果が半減以下である。魔力を補充するまでは使い魔すら呼べないだろう。
手を握り、開き。まずは流れ着いた森の奥の湖畔で身を休める。
耳をそばだてるが、聴力も魔力の減少と共に衰えているのが実感出来る。暫くは効率が悪いが魔力を宿した獣を食するか、単独行動するはぐれた女を攫うか。
どちらかが必要だった。

テイファー > 人間は騙し、犯し、喰らう者。その慢心が招いたのが今の状況。
であれば、人間社会に溶け込むのも手の一つ。だが、自分が今まで奪ってきた知識は魔法や薬等と言った物ばかりだ。
人間がどう在り、どう暮らしているのか。それが分からない。自分の拠点に踏み込んで来た人間を見る限り、どうも魔物、動物を殺し、糧に換えている。
それが基本の様だが。

「感知魔力を出すのも拙いか。魔眼も暫くは出力を抑える。
……騙し易いカモでも居れば良いか」

いなければまた数年。数十年と魔獣を狩り、また人間をある程度蹂躙出来るまでの力を蓄えていく必要がある。
今、この時間此処にいる時点で幸運のダイスは降られたような物。
最悪の出目は討伐の追手が付近を念の為しらみつぶし出探索しており、その隊列に出くわす事。
それ以外で人間社会の知識等を蓄えた存在や、魔力を蓄えた――騙し易い様な相手がいれば幸運な出目だ。

テイファー > 鈍器のような物、メイス。
打ちのめされた記憶からか、その先端についているのは三角錐の様な突起。
細い握り手から数十センチほど銀色の柄が伸び、球体に付いた三角錐の突起部分で打倒する武器。
鉄とも鋼とも違う、魔獣の牙や骨といった硬い物を媒体にしたため幽霊等には効果が薄く、鉄を砕く事は出来ないだろうが。

何より、聖職者に見えない男がそんなものを持っている違和感に本人が気付いていない。
剣や槍と違い、手軽で手ごろな武器。斧よりも作り易かったのが理由でしかないが、その結果人間の姿なのにどうも冒険者らしくない装備となってしまったのも知識の欠如だろう。

テイファー > 自分の身体を偽っている。完全な人間形態で居るだけでも魔力と言う物は浪費してしまう。
楽をしようと魔力放出で立ち上がる力を得ようとするのを押しとどめ、少しでも力を節約する様に自らの肉の力だけで立ち上がるのだった。
左右にふらつくのは三半規管が狂わされた人間に近い動き。ふらふらと揺れるのは、久方ぶりに魔力の補助なしで動いている為だろう。

「……魔獣が数匹、1日のノルマとしては高くつくな。
まぁ良い。再起はここからだ。」

足取りはおぼつかない状態から徐々に徐々に普通の足取りになっていく。
最初は小型の魔獣から、狩り方を覚えて行けばいいだろう。
血肉ではなく魔力を補充する意味で捕食するのだから。余った魔物は何かに利用できるかもしれない。
貯蔵しておくのも良いだろう。
暫くの時間を置いて、森の中から聞こえてくるのは打撃音や、何か粘ついた物を口にしている様な音。

低級でこそないが、一旦没落した淫妖の再起はこうして人知れず始まる。再起が上手くいくのか。再起が上手くいかず、人知れず消滅するのか。それは今後の幸運次第

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からテイファーさんが去りました。