2022/10/08 のログ
■アスベル > 文句を言ったところで何も変わらない。
だが言わずにはいられない。
大きな溜息をつけば適当な方角を定め。
そちらへと向かって歩き出す。
その先が目指す先か、そこから外れたものか。
そんなものはどうでも良いから向かってみるのだ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアスベルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にユーダリルさんが現れました。
■ユーダリル > 辺り一面、月光の下咲く、白い花々。
月が浮かぶ夜だけに咲き誇る、森奥の花畑に。
少年が一人佇んでいた。
線の細い、小柄な少年―――……いや、子どもに等しい。
魔物が出るメグメールの森に、そんな不釣り合いな存在が居る。
不思議と穏やかな森の雰囲気。
少年は、何をそんなに喜んでいるのか。嬉しいのか。
口元に柔らかく笑みを浮かべて、花を摘んでいる。
花畑は夜風に揺られ、柔らかな花弁を舞い散らせていく。
淡い月光花の香りが森奥を満たす。
■ユーダリル > やがて、両手が溢れるほどに……白い花が集まる。
少年は花が綻ぶように、嬉し気に笑うと。
摘んだばかりの花々を、まるで自分のものだと言わんばかりに抱きしめた。
ふわりと淡い花弁が辺りに落ちていく。
繊細で、脆く散っていく花々。いずれ、枯れ果て塵になる存在。
けれど、どこまでも柔らかく、胸を満たす甘い香りは少年の寂寥―――……心を癒した。
不意に目が覚めたと言う少年の元には、誰も居ない。
家族、知り合い、友人?
そんなものはどこにも居ない。
今宵、見つけた花畑が少年を肯定してくれた、そんな気がした。
■ユーダリル > ひとしきり、甘い香りに包まれて、花々の感触を楽しんだ少年は……。
今度は花畑の元に足を伸ばして座り込み、摘んだ月光花を指先で器用に編んでいく。
慣れた手付きで花の茎を一輪、または一輪と。
時間が少し過ぎた頃合いには。
少年の手元に、ひとつの花冠ができていた。
雪を思わせる白い花の王冠を。
少年は、目を細めて眩しげに見つめて。
くすくすと笑っては、両手で頭にかぶせた。
「綺麗な月光花。僕だけの花……」
少女とも言える中性的な声音。
儚く揺れる頭上の花を、少年は指先で優しく撫でて。
白い花々と時間を過ごす。
■ユーダリル > 『愚鈍だな、矮小な山の神』
低い声。人ではない、それは枝木に留まった三本足の鴉の言葉。
少年が思わず、声のする方へ顔を上げた瞬間に。
瞬く瞳に映るは、反射の刃光。硝子の欠片。
大きな鴉。
濡れ羽色の美しい帳の鳥は、夜空を優雅に滑空していく。
残ったのは、再び少年のみ。
はたはた、と。
右の額を薄く切り、滴り落ちた血液は。
少年の瞼から頬へと伝い、膝に連なった花を赤く染めた。
■ユーダリル > 苦痛の呼吸も、悲鳴も、痛い、とも言葉を洩らさず。
少年は、ただぼんやりと鴉が飛んで行った先の丸い月を眺めていた。
花の香りが鼻腔を擽る。
少年は香りに肩を揺らし、手の甲で額の血を無造作に拭っていく。
血を拭い、右額の皮膚が表れる。
硝子の切っ先。少年の滑らかな皮膚を裂いた鋭利な傷痕は―――……すでに無かった。
縁取られた睫毛に浮かぶ双眸は、どこか老成びた眼差し。
■ユーダリル > 「もう、帰らなくちゃ……」
か細い声は、小鳥の囀りに似ている。
薄い唇で呟いた言葉は、今宵咲き誇る月光花にしか届かない。
そんな小さな呟きだ。
少年は両手に溢れ返るほどの、白い花々を大切そうに抱えて。
目元を和らげ、頬を緩める。それは幸福の色合い。
月が浮かぶ照らされた道を、ゆっくりと静かに裸足で歩いて行き……。
深い森の奥へと、姿を消していく。
辺りに落ちた、白い花の一片が。
もうじき、朝を迎える夜風に吹かれて。
森の外―――……行く先は、人々が暮らす街へと運んでいく。
街に辿り着いた雪に似た花弁は。
誰かの目に留まる、あるいは次の大地へとたゆたい、舞い落ちて。
確かに、花畑と少年が存在していたことを知らせていくのだろう。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からユーダリルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」に魔法少年・トゥインクルトパーズさんが現れました。
■魔法少年・トゥインクルトパーズ > 魔法少年・トゥインクルトパーズは今日も森の中を駆け巡る。
今日は旅人を襲わんとしていた魔狼の群れを追い払ってやった。
双方ともに怪我無く済ませられたのは余の工夫によるものと言って良いだろう。
「とはいえ、狼の方には悪い事をしてしまったな。」
魔物とは言え、食事にありつきたかったことだろう。
あっちを立てればこっちが立たず。
余の一番嫌な状況だ。
なんとも満たされない気分になったので、余はいつもどおり樹の上で寛ぐことにした。
頭上には綺麗な月が見えている。
■魔法少年・トゥインクルトパーズ > 今日も何と言うか、普通の活動だったな。
人の為に何かをすると言うのは正直面白い。
また機会を見つけては何かしよう。
次はそろそろ街の中もいいかも。
などと考えつつ、今日はこの場を後にするのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」から魔法少年・トゥインクルトパーズさんが去りました。