2022/04/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にゴーズさんが現れました。
ゴーズ > 人々の往来の為に整地されたものが街道から少し外れた草原。
街道を通っていれば視界に入る程度には距離も近いそこに周囲の草を踏み倒し、延焼して大惨事になってしまわないように石で囲った縁の内にて火を点けた薪木を前に座る巨漢が一人。

巨漢とは書いたがそれは遠巻きに見た者が一応は大柄ながらも人型であったから。
けれども近づけば巨漢は人ではなく、筋骨隆々とした被り物ではない牛頭が特徴的な獣であることが分かる。

ふんふんとどうやら何処かで聞きかじったらしい音程が外れた鼻歌交じりに別に暖を取っていたわけではない牛頭は焚き木への串を刺した森で収穫した精力剤にも使われる色々元気になれる茸と何の肉かも不明な謎肉を捏ねた肉塊や陸を二本脚で歩いていた怪魚が火で炙られる度に唾液が分泌されてくる香ばしい匂いと肉との余分な脂がじゅわりと滲み出て火へと落ちて焦げる音に空腹を刺激され。

あと少しで昼餉にありつけると大変上機嫌な牛頭だが、街道が近いということとこんな場所で火を焚いていることから人が寄ってくるかはたまた何処ぞの探索中の者や魔物等に出くわす事になれば場合によっては昼餉を死守する為に昼食前の運動をすることになるかもしれない。友好的ならば昼餉を共にすることもあるが、雌の場合敵意の有無等関係無しに本来の予定をほっぽり出して昼では済まない運動に勤しむであろう。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にゼナさんが現れました。
ゼナ > 「すんすん……くんくん………こっちの方ですね。一体誰なんでしょう。こんな場所でこんなにいい匂いのする料理をしている人は」

虚空に突き出す小鼻をヒクつかせ、漂ってくる香ばしい匂いに向けて歩みを進める。
麗らかな春の日差しの下、小麦色の日焼けも健康的な肌を薄っすらと汗ばませて藪を漕ぐのは、朱金の竜鱗鎧も輝かしく、背負いし巨剣も勇壮な女冒険者。
その装具だけで相当な腕前を有する上位冒険者であると判別できるだろうその娘―――そう、それだけの装備に身を固めながらも、その女戦士はまだ小娘と呼んでいいだろう年若い人族であった。

―――がさっ、と茂みを掻き分ければ、そこはぽっかり開けた場所。
踏みつぶされて均された広場の中央では石詰みの竈に炙られる肉塊と巨大な焼き魚。
腹ペコ娘の童顔がぱぁっと輝き、このような場所で出会った偶然を喜びつつこちらは貴重な香辛料を差し出して、ご相伴に預かろうと野営の主に目を向けた所で

「―――――ミノタウロスッ!? な、なんでこんな場所に…っ!」

背負い袋をその場に落し、代わりに背負った巨剣をずらりと引き抜き腰を沈ませた。

ゴーズ > 「ぶも?」

がさ、と茂みを掻き分ける音に牛の薄い耳をぴくりと動かし意識はすっかり昼餉へと向いていた牛頭は火の中で時を経る毎に旨味が熟成されていく串焼きから顔を離して音のした方角へと向き直し。

そこには顔立ちこそまだ幼さが何処か残る、己が自慢の屈強なる肉体こそ天然の武器であり鎧である自身と違い毛量と筋肉の不足を装備で補っているように映る人間。それも雌。
幼い顔立ちに反して全身鎧ではないが故に覗く健康的な小麦色の肌と大変良好な発育が見て取れる体は己の交尾でもすぐに壊れる脆弱さはなく、仔を孕む母胎としても優れているようだ。

ぶふー、と鼻息荒くでれでれとみっともなく鼻下を伸ばし、目尻もだらしなく緩んだ牛頭の反応に対し、想定外のミノタウロスとの遭遇に動揺しているらしい冒険者の娘。
しかし若くても冒険者。場数は踏んでいるらしく戸惑うだけでなく咄嗟に牛頭にはその大剣の由縁等はさっぱり分かりはしないが幾ら己でも斬られれば無傷とはいきそうもない得物を引き抜き構える相手に、堂々と股間の串焼きされている真っ最中の茸とは比べ物にならない、それこそ相手に挿入した場合子宮迄軽々串刺しにしてしまう事待ったなしな股間の巨大茸が剛毛に覆われた局部から顔を出し不完全状態でも人間の雄と比較にならぬ雄々しさを感じさせるほど隆起し、香ばしい茸や肉や魚が焦げる香りに混じり酷く雄臭い香りに異臭混入させながらむくりと起き上がり。ついでに股間も勃き上がらせた牛頭は食後の愉しみが増えたと両腕を熊が威嚇するが如く持ち上げじりじりと一歩近づき。
ふと、相手が落とした袋の中から何か食欲をそそる香り。香辛料が顔を覗かせている事に気づけば視線がそっちへ移り、そう言えば今日は香辛料を入手できなかった事を思い出せば折角の串焼きをよりよく美味しく食べる為に香辛料もついでに頂戴してやろうとにかりと歯と歯茎を剥き出しに不敵な笑みを浮かべ。

ゼナ > 焚火の傍らにしゃがみこんでいた巨躯がのっそりと立ち上がる。
ミノタウロスにしては小柄な方だろう。精々がオーガクラスの体躯だ。
とはいえ人族の女の平均程度の身体しか持たぬゼナと比べればその差は歴然。高さも幅も倍近く違う。
男達の視線を奪うむちむちとした肉付きの尻肉も、ノースリーブの脇から横乳を覗かせるたわわな乳房も、眼前の巨体に見合う程の物ではない。
唯一拮抗する要素と言えば、娘の細腕が携える馬鹿げたサイズの両手剣。まず間違いなく戦士娘の鎧を含めた全体重よりも重いだろうそれを、どの様な理を持って扱っているのか。構える姿に巨剣に振り回される様子は見られない。
それでも、牛頭魔人の逞しい二の腕はゼナの腰回り程もあるだろうし、その怪腕に捕らえられればいかに剛力持ちの戦士娘とて生半には振り払えまい。
この先には料理好きの冒険者か豪胆な旅人との出会いが待っているのだろうと信じて疑いもしていなかった戦士娘の浮ついていた心が、ばっくんばっくんっと激しい鼓動で血流を送り出し、小麦の肢体を火照らせていく。
――――ちらり。

「…………………ぅあっ♥」

そんな緊迫した状況下にも関わらず、ついつい蒼瞳を下げてしまったのは、意識から外そうとしてもむくむくと膨れ上がっていく太蛇の動きに気が取られてしまったからであり、そこから料理の匂いに交じって漂う濃厚な牡の獣臭にどうしようもなく意識が向いてしまったからだ。
毛むくじゃらの下半身。
茶色の短毛に覆われていてさえぼこぼこと膨らみの連なる腹部の底、腰蓑一枚身に着けていない股間にてぶらりと下がる第三の足。半勃ちの今でさえその巨大さで雌を慄かせる肉棍棒に、ゼナは我知らず生唾を呑み込んでいた。
というのも今は"外"での仕事を終えて帰還の最中。
途中、何度か村や町に寄りはしたが、王都を出てからとうに一月は経っているだろう。もう何日かで愛しの竜娘と再会し、旅の最中は己の手指で慰めるより無かった淫らな身体をたっぷり可愛がってもらうつもりでいたのだ。
忌むべきモンスターの物と言えどもいきなり眼前に逞しいオスの象徴を突き付けられてしまっては淫蕩な新妻の下腹が疼くのも仕方あるまい。
ゆっくりと近付く巨躯が、互いのサイズ差を一層大きく見せつける。
ぶふーっ、ぶふーっと吐き出される獣息の熱は、今や猛々しく反り返る逸物同様、食べごろの雌を前に発情するそれ。
『犯される…ッ』メスの本能が感じ取る確信にきゅう…っと締め付けた下肢の付け根が、竜鱗鎧の短裾に隠された黒インナーのクロッチににゅるりと生温かなぬめりを溢れさせた。

「――――ェやぁぁあぁあぁああああッ!!」

経験豊富な戦士娘にしてはあまりに迂闊な初撃であった。
淫欲に呑み込まれそうになる意思を強引に戦いへと向けさせるための雑な斬撃。それであっても大上段に振りかぶった巨剣の袈裟懸けは刃筋も立ち、引きも十分。分厚い右の胸板から入り、左の腰上までを深々と断ち切るだろう見事な斬閃は日々の苛烈な鍛錬が戦士娘の身体に染み込ませたものなのだろう。
―――が、あまりにも鈍い。
本調子であるならば、獣の目にも止まらぬ速さで振るわれたであろうそれが、散漫な意識に引きずられ、見てから十分に反応出来てしまう見るも無残な遅撃となっていた。

ゴーズ > 「ぶふぉーッ!?……んもおおおおぉッ!」

牛頭は獣の種族の中でも鋭敏な嗅覚を持っている。
遠い祖先は草食動物として毒草か否かを判断すべく嗅覚を発達させたそうだが、血を継いだ己の場合それは現在雌が発情しているかどうかを犯す前から判断する為に用いられ、くんくんと嗅ぎつけた甘い香りは性欲を抑えきれず欲情した淫蕩な雌の香りであった。
ますます笑みを深め、最初からその気であればそう言えばいいものをと考えた矢先、相手の交友関係、恋愛事情も当然知る由がない牛頭だがそれ故に貞操だのという観念も当然なくとっとと犯されるものと思った雌が突然何を思ったか大剣を振り翳し斬りかかってくれば前向きが過ぎる早とちり思考から引き離され両目が飛びでんばかりに予想外だったとばかりに驚愕するも、様々な事情から生存の為数々の鉄火場を濡れ場を越えてきた牛頭は即座に反応。
もしも相手が本調子であれば、もしも相手が帰還ではなく先に性欲を発散したばかりの出発直後であれば話が違ったのかもしれないが、そんなもしも、なんて必要な場面で意味を成さない仮定なんぞ何の意味もないのである。

3メートルを超える者も珍しくないミノタウロス種の中では小柄ながら、種族の中では小柄故に得た巨体に反する身軽な動きで袈裟懸けに振り落とされし斬撃の軌跡を見切り、じりじりと鈍重な間合いの詰め方から一転して相手の視界を振り切るが如く斜め前、相手の側面へ一気に踏み込んでは即相手の自身にとっては枝木も同然の手首を掴みにかかると同時。
踏み込んだ足を軸に体を捻るように二歩目にて相手の背後へとぐるりと回り込み、相手の手首を掴む事に成功すればがっちりと掴んだまま大剣を手放させつつ鍛える等と種族として脆弱故に求められるものは必要ない日々の生活で自然と育まれた分厚い胸筋や腹筋を相手の背に、そして隠す気なんてさらさらない股間の大剣を相手の肉付きが良い臀部にぐりり♡と焼き鏝めいて押し付ければ相手を体格差と膂力に任せ押し倒しにかかり抵抗する術を奪っていき。
ついでに勝ちを確信すれば袋を漁って貴重な香辛料をいただくことにしよう。串焼きが焦げる前に。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からゴーズさんが去りました。
ゼナ > 「―――――ンなっ!?」

己の一撃が酷い有様になっているという自覚はあった。それにしたとて巨漢の牛頭の動きは戦士娘の経験を大きく超える物だった。
3m近い巨体が熟達の軽戦士の如き踏み込みで刃圏の内へと潜り込み、振り下ろす巨剣の根元を掴み取る。それだけでも瞠目に値する動きだというのに、舞踏めいた脚運びでゼナの背後を奪って細腕を捻りあげて来たのだ。
例え折れてしまおうとも構わぬという雑な力加減によって間接に走った灼熱の痛みは、戦士の本能をも無視して巨剣を取り落とさせる。そして

「――――くあぁ……ッ!?」

気付いた時には豊乳を大地に押し付ける様な形で巨躯に抑え込まれていた。

「……っく、やめ……やめな、さい……っ! 放……放して下さ……あっ♡」

人の娘にしては力強い抵抗も、牛頭魔人の巨躯からすれば力づくで黙らせる事の出来る物でしかない。身悶える小躯から噴き出す汗が柑橘を思わせる若い娘のフェロモンを一層強め、牡の発情を知らずの内に高めてしまう。
そして、悩まし気にくねらせる尻肉を覆う竜鱗鎧の裾を剥き出しの怒張が捲り上げる様にして野太い肉幹を押し付けたなら、思わず甘い声音も漏れてしまう。
まさしく絶体絶命といった体。
それが覆されたのは、所詮は獣という事なのか。
不意に押さえつけの力が緩む。怪訝に思って蒼目を向ければ、先程落した背負い袋に手を伸ばし、中身を漁ろうとするのが目に入った。
戸惑いながらもこの機を逃すゼナではない。
一瞬敢えて全身を弛緩させた後、練気と共に思い切り身体を弾ませ巨漢を浮かせ、その下から転がり出でる。
牛頭魔人の手に握られているのは香辛料の入れられた小袋。ますますの困惑を覚えながらも傍らに落ちていた巨剣を拾い上げ、背負い袋を引き寄せれば、一瞬の躊躇もなく踵を返して茂みの奥へと駆け逃げる。
牛頭の追撃が無かったのは、巨漢の手にした香辛料のおかげであり、放置したままであれば程なくただの消し炭と化していただろう野趣あふれる料理の数々が掻き立てる食欲のおかげだった。
そんな事は露知らぬ戦士娘はいい加減追撃を振り切ったと確信できた辺りで立ち止まり、あふれ出す汗を地面に落しつつしきりに小首を捻るのだけど

「――――いずれにせよ、助かったのは事実です。ここは神に感謝をささげるべき場面ですねっ」

とうろ覚えの聖句をごにょごにょ呟き、改めて王都への帰路へと着いたのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からゼナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にクィンスさんが現れました。
クィンス > 「――――――♪…――――――♪♪」

自然地帯の、うっそうとした森の中で一人、鼻歌を歌う女がいる。
背中を無視できるなら、それは白髪の美女であるだろうが、白い背中から生えている蜘蛛の足が、彼女が人間ではないことを物語っている。
高い木の上で、女は足を組みながら闇に紛れて、獲物が来るのを待っていた。

「…ンふふ、人間の姿ばっかりでおるのも、疲れますねん。
たまにはこうやって足を延ばさんと、ねえ?」

その眼下には、蜘蛛の糸が張り巡らされていた。
虫はもとより、人間であってもその意図に触れた瞬間にからめとられて、身動きできなくなってしまうだろう。

クィンスは其の頭上で、ただ待っているだけだった―――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にラシィさんが現れました。
ラシィ > 「―――……歌……?」

宵闇と鬱蒼と茂る木々に覆われた森の中。
何処からどうやって迷い込んだのか、ふわりと淡い桃色の髪を夜風に揺らし、足を踏み入れたのは黒色のローブを纏った娘の姿。
ふとその耳へと届いた澄んだ歌声に、惹かれたようにゆっくりとその足は進み。

「……いったい、何処から……。」

けれども、その手に掲げた小さなランタンの明かりはこの宵闇を照らすには頼りなく、
きょろきょろと忙しなく動き回る漆黒の双眸は歌声の主を探し求めながらも見つける事は叶わぬ侭。
一歩、また一歩と気付かずに張り巡らされた罠の中へと足を踏み入れてゆくだろうか―――

クィンス > 「―――♪ ―――♪♪ ――――――――――――♪」

別に、森に広がるような歌ではなく、その曲に何の意味もない。
ただ気分がいいから、歌いたいからという理由で歌っているだけに過ぎない、ただの歌。
月夜であっても、その森の中ではその明かりは届かずに、あたりは漆黒に染まっている。

そんな黒の世界のはずなのに、クィンスの白い髪はぼんやりと映えて見えるかもしれない。
頭上を気にして歩けば、その張り巡らされた蜘蛛の糸に引っかかってしまうかもしれないが…。

「……おんやぁ?」

だが、その歌は唐突にとまる。
森の中から漂う気配に、クィンスは歌うのをやめてあたりを見渡す。

確かに、この国には自分のような魔族が多数入り込んでいるというのは、主様から聞いたことがある。
だが、まさかこんな人が来なさそうな森の中で、それを感じられるとは。

だが、その気配が徐々に近づいて悔いるというのも面白い。
このままいけば、張り巡らせた蜘蛛の糸に引っかかって、身動きがとりにくくなるはずだ。
クィンスはくすくすと、愉しそうに笑みを浮かべながら、その時を待っていた。

「――――♪――…――♪」

ラシィ > 「―――……上……でしょうか……?」

立ち止まって耳を澄ましてみれば、聞こえて来る歌声は頭上の方より。
手にした明かりを掲げて見上げてみれば、暗闇の中ぼんやりと浮かび上がる輪郭が微かに見て取れて。
その正体をもっと近くで確かめようと、娘の足が更に一歩を踏み出した―――その時。

「……え、っ……?」

不意に、明かりを掲げたその腕へと纏わり付いた何か。
咄嗟に其れを振り払おうと動かそうとした腕はしかし、徐々にその動きを制限されてゆき。
困惑と焦燥の色を露にしながら自由を求めて身を捩り足掻く娘の四肢は、
その思惑とは裏腹に滑稽な程に張り巡らされた蜘蛛の糸へと絡め取られてゆき。

「―――……っ、厭ッ……何、ですの……此れッ……!?」

そうして両の手足を幾重にも絡め取られ、自由を奪われた娘がひとり、
蜘蛛の巣に掛かった蝶の如く磔にされたその姿を、手にした明かりの下に曝し出すまで、そう長い時間は掛からなかった。

クィンス > ―――――かかった。
なぜそれがわかるのか、答えは簡単だ。自分で生み出した蜘蛛の糸なのだから。
獲物がかかれば、その揺れる振動がクィンスへと伝わり、暴れれば暴れるほど、その蜘蛛の糸は絡まっていく。
動けば動くほど、体力を奪われてその四肢は拘束されていき、いつしか不格好な姿で磔にされてしまうだろう。

クィンスは其の気配を瞬時に察知し、少女の前に姿を現す。
白い髪、赤い瞳、どこかこの国ではなく、シェンヤンに近い顔立ち。
其れだけ見れば確かに人ではあるが、背中から生えている8本の蜘蛛の足。
それが、彼女が人間でも、ミレー族でもないことを存分に知らしめるだろう。

「こんばんわぁ……あかんやんか、こない時間にこんな森の中に…。
悪い奴に食われてしもたら、どないすんの?」

蜘蛛の糸は非常に頑丈で、粘着力が高い。
ここまでがんじがらめにされてしまったら、もはや動くこともできないだろう。
クィンスは、近寄りその顔を覗き込むように、近づいていく。

「……まあ、あんさんもなんや、奇怪な気配してまんなぁ……?
もしかして、うちと同じ…にしては、ちょっと弱いかなぁ?」

クスクス、クスクス……。
笑いながら、クィンスはじっと、少女の身体を舐めるように視線を送る。
その衣服に包まれているであろう素肌を想像し、その赤い瞳は怪しく光る。

「まあ、どっちでもええわ。
せっかく捕まえたんやし……ちょいと、ご馳走させてもらいまひょか♪」

ラシィ > 「―――んッ……く、ぅっ……ゃ……駄目……。」

自由を求めて娘が懸命にその身を捩る度に、暗闇の中で軋み揺れる糸。
しかしながら娘の膂力程度では振り解く事も引き千切る事も到底叶わず、
身体の自由と体力を余計に奪われてゆくばかり。

そんな中、暗闇の中から姿を現した人型の輪郭。
異国の雰囲気を感じさせながらも、息を呑む程に整った顔立ちに目を奪われたのも束の間。
その背から伸びる四対の脚と、自身の身体中に絡み付いた糸に。
娘は漸く、今己が置かれた状況を正しく理解しただろうか。

「今晩は……貴女様は、この巣の主様で御座いますの……?
 その―――如何か、解いてはいただけないでしょうか……?」

おずおずと、しかしはっきりとした口調で問い掛ける言の葉とは裏腹に。
赤色の双眸に見据えられた漆黒は不安げに揺れながら僅かに潤み始めていて。

幾重にも絡み付いた糸は娘の肢体を縊り、胸の膨らみを、腰の括れを、
ゆったりとしたローブの上からでもはっきりと判る程に強調してしまっていたか。
そんな様を舐め回すように見つめる女性の双眸に、ひっ―――と掠れた声が微かに漏れて。

「其れは―――恐らく、私は純血の人間では御座いません、故……。
 ですので……私など食べられても、きっと美味しくないと思います、わ……?」

クィンス > 解いてほしい、という懇願に、クィンスは軽く首をかしげる程度だった。
それは「なぜ?」というよりも、「解いてほしいのか?」というような様子だった。
その笑みは絶えることなく、顔が近づけば、指で少女の顎を持ち上げる。

淫魔の力、それになじみのあるクィンスはにっこりと、笑みを浮かべたままだった。

「せやで、暇つぶしに誰かかかるかなぁ、って思うて仕掛けてみたんやけど、まさかこないに可愛らしい子がかかるとは思ってなかったわ♪」

胸の大きさ、そして括れた腰。
正しく極上とでも言わんばかりのその体を、しばし眺めて視姦した後。
クィンスは其の頬に向けて、軽くついばむようなキスをした。

「そうなん? 美味しくなかったら食べるのはやめとく……けど。
んふふ、でもあんさん……めっちゃおいしそうやねん♪」

揺れる双眸に自分の瞳を重ねながら、腰の括れに優しく腕を回す。
正面から抱き着き、蜘蛛の糸に絡められた蝶を、今まさに食べようとしていた――――。

「せやから、たっぷりと……食べさせてな♪」

ラシィ > 娘の懇願に笑みを浮かべた侭、不思議そうに首を傾げる眼前の女性。
そっと顎を持ち上げられれば、自然とその表情を正面から見つめる形となって。

「そんな……暇つぶし、など……っぁ、ん……。」

何でもない事のように返されたその言葉と共に、色白の頬へと落とされた柔らかな唇。
まるで味見でもするかのようなその口付けと、腰へと回された手から逃れるように身を捩るけれど、
粘着質の蜘蛛の糸によって雁字搦めにされた身体は最早、僅かの身動きさえも許されず。

今の娘はただ、食卓の上に乗せられた"ご馳走"以外の何物でもなかった―――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からクィンスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からラシィさんが去りました。