2022/04/09 のログ
■メイラ・ダンタリオ > やがて奥へと進んでいき―――
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 ギルドクエスト「肥え広がる魔穣」」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 討伐依頼中」にクレイグさんが現れました。
■クレイグ > 【待ち合わせ待機中】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 討伐依頼中」にハクさんが現れました。
■クレイグ > メグメールの自然地帯にて発見されたトロールに対する討伐依頼。
男が普段なら避けるタイプの依頼だ。
トロールは再生能力が高く、物理的な攻撃手段しか持たない自分では倒しづらい相手。
だからこそ普段は手を出さないのだが、今回は偶然ギルドであった知り合いと一緒に受ける事にした。
狐人族の冒険者であるハクが、相手の傷を焼くタイプの術を使えるという事を聞いたからだ。
依頼をうけて、報告のあった場所へ歩いてへ向かう途中、念の為に警戒はしながら、一緒に来ている相手に声を掛ける。
ちなみに、今回の依頼を受けた理由のもう一個が比較的王都から近い場所での目撃だったからで、倒せるなら早めにの方が良いだろうという判断も重なったのも理由の一つで。
「確認なんだけど、ハクが雷術使えるんだよな?。
こっちは、前でトロール抑えて、傷つけていくのはいけるから、それで焼いてもらうのが要になるけど」
トロールの再生能力は火などで焼くと止める事が出来るのは有名で、だからこそ普段は受けていなかったのだが。
雷術であれば、火では無くても傷を焼く事が出来る、であれば、十分対応は可能だという判断をして、二人で組んだのだが。
「今の所一匹しか見つかって無いって話だけど、トロールの戦闘力を利用してる頭が回る奴もいるかもだからな、気を付けてくれな、ハク。
でだ、援護と、何か予定外の事態が起こった時の備えは、お前さんに任せていいか?」
幼女の姿をしているが、ソロで様々な依頼をこなしている相手に対して、問いかける。
体格などの問題もあるが、完全是寧型の上物理攻撃しかできない自分よりも色々な状況への対処という点でいえば、ハクの方が上だと思ったからである。
■ハク > その日は最近討伐系の依頼をうけて居ないことを思い出し、実践訓練がてら手頃な戦闘系の依頼を受けようとギルドに赴いていた。
そして依頼の内容を確認していた所、声をかけてきたのが知己の友人でもあるクレイグだった。
彼の説明を耳を揺らしながら聞いて、うむ、とうなずきハクは即座にその依頼に同行することを了承する。
もともと、人助けということが好きという性分もある。
依頼であり金稼ぎにもなり、かつここ最近行えていない他の人との連携訓練になる、という意味でもいい依頼だと感じたのもあった。
冒険の支度自体はすでにある程度済んでいたため、クレイグがいくらか依頼了承のサイン等をする間に併設してある冒険者用の道具屋で何個かポーションの補充等を念のため行い、合流して出発した。
「うむ、まぁ得意なのは風術でござるが雷術もできるでござる。
直接的な火術もできるでござるから、そちらを使うかもしれないでござるなぁ」
クレイグの隣で尾を揺らしながらかけられた質問に素直に答える。
雷術も確かに使え、その火力も高いが修練が足りておらず多少発動に時間がかかる。
だからこそ、あるきながら右手の先にパッと生み出した赤い火の玉を見せて、それを消して発動の速さをアピールするのだ。
「了解でござるよ。それがしあまり裏をかくような作戦は得意ではない故、何かあれば指示を出してほしいでござる。
ひとまずは臨機応変ということで理解しているでござる」
影に潜む何者かの可能性についても、理解を示してうなずきを返す。
とはいえそういうものが実際にいるのか、居たとして隠れているものを暴くことができるのか、ということは正直得意な仕事ではない。
なのでそれについては丸投げのような様子を見せつつ、うなずいてみせたのだ。
――自分は子供姿では術の火力が高く、大人姿になれば剣術の冴えを見せることができ、マルチに戦闘シーンに対応できる自負はある。
あるが逆に言えば子供姿では筋力が不足した剣術しか使えず大人姿では術の発動もとぼしい。
そういうバランスの悪さも自覚しているため、ソロで依頼をこなす隣の男性のことを強く信頼しているのだった。
■クレイグ > 「火系が使えるうえに、その速さでって事ならそっちの方が確かにいいかもな。
あ、もう一個確認なんだが、火術はまっすぐ飛ぶのか、それによってある程度射線とかも考えないとなんだが」
トロールにかんしては、自分よりは大きいであろうが、ハクから見れば自分も十分大きなサイズ。
何も考えずにトロールと相対して戦闘するよりは、術の軌道等が判るならそれに合わせてこちらも動けば、効率よくダメージを与えられるのは、経験上重視するべきこと、特に今回は傷口を焼くという、ある意味で面倒な仕事でもあるのだし。
「指示出しの方は、了解。何かあれば声かけるから頼む。
そう臨機応変な、状況に対し、柔軟な対処…とか、何故か面倒な言い回しするのもいるけど、ハクとはそこら辺楽でいいな」
額に傷のある厳めしい顔で、くっくっと喉奥で笑う。
何度かの経験で知ったであろう事、それは男の機嫌がいい時の笑いで、何かおかしなことを考えている訳ではないという事実。
そして、男もこんなでもかつては一個の部隊の隊長だったこともあり、戦いながの戦況把握も経験はあるので、指示をと言われれば、あいよ、と一言、言って請け負って。
自然地帯の奥、報告によると崖の様な場所にできた洞窟の中にトロールはいるという情報を得ていて。
おそらくは何処かから流れてきたトロールが住み着いたのだろうとギルドでは見ているようで。
「そろそろ、目的地ちかいから、警戒度を上げてくれ、相手が巣穴にいる場合は、外へおびき出そう。
基本的に頭は良くないから、姿見せるか、最悪軽い攻撃を遠くから一回すれば確実だろうな」
背中に背負っていた、斧と盾を合わせたような変わり武器を左手に、今は右手は開けた状態で、ハクにそう声をかけ。
おびき出す予定なので、足音などは特に抑えるようなことをせずけれど警戒のレベルを上げて、先ほどよりもゆっくりした歩みで、ハクの少し前を歩いていく。
■ハク > 「む?うーむ、そうでござるな。軌跡に関しては強さに反比例させて自由度があげられるにござるよ」
再び右手の人差し指の先に大きめの火の玉を生み出し、近くにあった岩に向けて放つ。
それはまっすぐに飛翔し、岩にあたり弾けてハクの頭ほどの爆発を起こして岩の表面を黒く焦がした。
続いて同じように人差し指の先に指先サイズの火の玉を生み出すと、それを同じように岩に向けて放つ。
それは速度こそ最初のものと変わりないが、上下左右に激しく蛇行した上で岩に着弾した。
しかし火の玉のサイズに比例し、爆発もハクの握りこぶし程度のサイズであり爆発音も小さい。
「ぱっと打てる最大サイズと最小サイズがこれくらいでござるな。
故に特にクレイグ殿の指示なければ最大サイズでまっすぐに飛ばすでござるよ。
何か合図があれば曲げ打ちもできるにござる」
ふふん、と少し自慢げに術の精度について説明をした。
本来は武芸者として成長したかったが、この体では正直術師としての性能が高い。
普段は目くらましや、追い詰められた時程度にしか使っていないがメインで使ってみるのもまた楽しみに近い感覚ではあるのだ。
「了解でござるよ。まぁそれがしも直接わかりやすい言葉のほうが好みでござるからな。
うむうむ、気楽が一番でござる。あとは仕事をしっかりすれば何も問題ないでござるからな」
クレイグの機嫌よさげな笑みにこちらも笑みを返し、尾を揺らしながら道を歩く。
その後も作戦についての軽い話などもしながらやがて目的地に近い地帯に入ると口数も自然と減らしていった。
「了解でござる。
――うーむ、しかし、雷術の修練、しておくべきでござるか……」
道中、火術と同様に雷術の試し打ちも見せた。
……ただ、雷を発生させる際に発生させるための溜め時間がクレイグであれば剣を10~15回は軽く振り回せるほどのものであり、また発動直前に気圧が歪むことで明らかな予兆がわかること。
そして発動したあとの威力こそ高いが、目標とした岩が破裂爆砕したことからクレイグの近くに援護で打つには不便、としてやはり火術メインで考えることにしている。
せめて火術よりは多少遅い程度でうてて、火力もある程度応用できればいいのだが……と言う悩みは今抱えるには多少遅かった。
■クレイグ > ハクが撃って見せる火の玉の軌道と速さを見て、ほうと感心しながら。
「ん判った、それじゃトロールにダメージ与えた後は、射線を開ける様に動くからそこに頼む。
それにさっきの大きい方で撃つなら、術に夜ダメージも期待できそうだな
んじゃ、離脱が難しそうなときは曲げ打ちも頼むかもだな」
幼い姿とはいえ十分な威力の術と、軌道を変えられる術を使い分けられるのは戦術の幅が広がるのでありがたい。
自分では、そういった事が…魔道具含め…全くできないので、余計にそう思える。
「めんどくさい言葉で、指示されて行動遅れるとか困るからな。
だな、気は楽に仕事はきっちりが、一番だ」
そんな軽い雑談や、何かあったときの話なども交わして。
「見た限り、今の状態だと雷術は使いづらそうだな、開幕前の初撃としては良さそうだけどな」
とはいえ、その状況は結構すくないだろう、相手との距離や密集具合、強さなどを考えると。
ゴブリンやコボルトなどが上位種の発生などで大きな群れになった時や、大型の魔獣などに遠距離から初撃を打ち込むときなど、限られそうだな、と苦笑。
そうして、トロールがいると言われる洞窟へ近づいていくと、食事中であったのか、洞窟の前に一体のトロールが、鹿と思わしき肢体を、貪っている所に出くわす。
それを確認して、直ぐの近くにあった茂みの後ろへしゃがみこんで。
「いるな、しかも丁度良く食事中だ…最初に大火力の雷術いってみるか?
動きそうになったら、これで視界うばってみるから」
小さな声で、ハクへ声を掛ける、手には腰につけていた小袋からだした、閃光弾だといっていた、球状の物を手に持って、見せながら。
■ハク > 火術について感嘆されると満足げに尾を揺らして。
「うむ、了解でござるよ。精度は先程見てもらった通り故、よほどクレイグ殿が奇抜な動きをしないかぎりは誤射はせぬ。
そこは安心してほしいにござる」
一度作った火の玉のサイズ変更はできないため、直射用の大きな玉を作ると軌跡変更はできなくなる。
とはいえ、使い勝手のいい風術と火術はそこそこ練度があるため、狙った場所に命中させることは容易い。
だから、と安心してもらいながら会話を弾ませるのだ。
やがて少し先行したクレイグから洞窟入り口に1匹のトロールが食事中で隙を見せていると連絡があれば、彼のそばに近寄り茂みに身を潜ませた。
「ふむ、そうでござるな。では景気づけ、とでも言わんか一撃入れてみるにござる。
多少のごまかしとして洞窟入口側に雷を落とす故、衝撃でトロールがこちらに飛ぶかもしれぬ。万が一生き残っていれば、対処頼むにござるよ」
提案をうけ、うなずいて眼を閉じる。
そして体から魔力を発生させてトロールと洞窟入り口の間の中空にめがけて強烈な気圧変化を発生させていくのだ。
その過程だけで、野生動物のカンがあるトロールは違和感に気づくだろう。
だが、発生場所は洞窟の入り口。こちらとは逆。こちらに視線を向けられることはなく――
「はっ!!」
気合一閃、大気が擦れる音を発生させた瞬間発生した落雷がトロールの近くに着弾する。
その爆発力高く、地面に雷爆の穴を穿つほどでトロールの頭を雷撃で焼き焦がしながら想定どおり爆音とともに焼かれたトロールがこちらに向けて弾け飛んでくることになるだろう。
■クレイグ > 茂みに並んで潜んで小声でトロールを示しながら。
「オッケーだ…それじゃでかいのを一発頼む、こっちは着弾と同時にでるからな」
ハクの言葉にうなずくと、体に力を込めていつでも駆けだせるように準備して。
視線の先でトロールが洞窟側を向き、その少し後に轟音とともに、落雷が一瞬視界を染めて。
「あとは予定通りいくぞ、ハク援護よろしく」
気づかれないように、音を立てないために引き延ばさずにいた斧盾のポールを伸ばすと、片手をポールの先に、片手斧盾の持ち手に。
両手でもって、大型の斧として構え、茂みから駆け出して、こちら側に弾き飛ばされたトロールへ思い切り振り降ろす。
声は上げずに、駆け込んだが、流石にトロールも、此方に気づいたのか、頭を狙った一撃は相手が頭を動かした事で肩口へと食い込んで、斬と大きく切り裂く。
頭に当たらなかったことに、舌打ちを一つならしながら、直ぐにその場からトロールの横へ踏み込みつつ、ポールを畳んで盾として構え、腰の裏から小剣を一本取り出して構える。
「ハクッ」
そうして、大きな傷を作った直後に、トロールとハクの射線から移動しつつ、叫ぶ。
■ハク > 豪雷一閃とは為ったものの一撃で殺すことはできなかった。
最大火力の術で仕留めきれなかったことに少し不満を覚えたのは、今後の術修練の種火になるかもしれないが――
「は、っとぅ!」
飛び出したクレイグの斧撃がトロールに振り下ろされるものの、焼けただれたトロールはその一撃を頭ではなく肩口で受け止める。
そうして切り落とされたトロールの腕を見ながら同じく茂みから飛び出て火術を発動。
クレイグが位置をずらしたことにより射線が通る。
そこを抜けた1発目の大型玉を、トロールの腕の傷跡に着弾させ焼き焦がした。
続く2つの小さな火玉はトロールの両目に向けて追尾射撃し、着弾させてその眼を焦がすことになるだろう。
そこでトロールに仲間がいれば叫び声等で仲間を呼ぶかもしれず、洞窟に主に視線を向けながら周囲に意識を向けるのだった。
■クレイグ > 「おし、腕と眼なら大戦果……?!」
そうして、追撃しようとしていたところへ、洞窟の奥と崖の左方向からの音を耳が拾う。
奥からの音は、重い足音で、恐らく単体。
左からの音は、複数体ながら足音は軽め、叫び声と吠え声が混ざっている事から、恐らくはコボルト。
「ハク、左から多分だけど、コボルト複数。
洞窟奥は、足音的にはトロールと同程度のサイズ…別種族が一緒にいると思えないんで、多分トロールだ」
駆けよって、腕を切られ目を潰されたトロールの頭に小剣を振り下ろす。
思った以上に威力のある振り下ろしは、とエロールの頭を打ち据えてきっちりととどめを刺していく。
「トロールは食い止める、先に数の多い方を頼んで良いか」
洞窟入り口前に駆け込んで。奥から出れない様に立ちふさがる。
仮にトロールが粗末でも武器を持っていた時に、狭い場所に相手がいる方が相手しやすいとの考えから。
そうして移動している間に、佐方から5匹ほどのコボルトが、粗末な武器を振り上げ、犬のような頭で吠えながら賭け込んで来る。
■ハク > 「狙い通り……とはいえ、まだアレで動けるのはやはり危険でござるなぁ……!」
きちんと打ち合わせ通り、傷を焼いて再生を阻害しつつ牽制を行いトロールの行動を封じることができた。
ただここまで上手く行けたのもクレイグの前衛戦闘能力と打ち合わせのおかげ。一人ではこうも上手くいくことはないだろう。
大きな隙ができたトロールにクレイグが止めを指すタイミングで聞こえてきた崖からきた吠え声と洞窟の奥からの音。
増援を察知し、それをクレイグと軽い応答で認識合わせを行う。
「だいたい、そうでござろうな!崖の方、承ったにござる!」
会話を終えて洞窟入り口に駆けるクレイグに返事を返して自分も刀を抜きつつ崖に向けて相対する。
程なく洞窟入り口からトロールが姿を現し、崖から5匹の犬頭の魔物、コボルドが飛び出てきた。
それを見て――まだあまり自発的には使いたい能力ではないので――少しだけ躊躇った後、体から魔力を放出する。
クレイグには説明をしていたので気合を入れて耐えてくれると信じて発動させた能力は、単純明快なもの。
淫魔のものに作り変えられた心臓から引き出した魔力は淫魔そのものの……催淫・誘惑の効果を持つ。
また同時に彼らの子を孕む事ができる牝だ、というアピールの効果もある。
特に知性のないトロールやコボルトはその魔力を浴びた瞬間、足がとまる事になるだろう。
その隙をクレイグがついてくれるといいが、これは制御できない能力なので運が悪いと人間にもかかる。
お互いに足がとまる、という事態にならない事を祈りながら、足を止めてこちらを凝視する5匹のコボルドのうち、もっとも近くにいた1匹に風術を放つ。
隙だらけになっていたそのコボルドはあっけなく風術で首をはねられてしまうも、その一撃で再びコボルドたちは吠え声をあげて突撃してきた。
ただその動きは最初のような「獲物を殺す」ものではなく、勃起させた股間に従った「獲物を捕獲する」ものになっている。
生殖欲求に突き動かされたコボルドは本来より連携能力が低くなるので子供姿の低めの身体能力でも攻撃を避けながら踊るように術を放つ事ができ、拮抗状態を産むことに成功していた。
■クレイグ > 「頼んだ…さて、と」
洞窟奥から出てこようとする巨体の前に立つと、徴発するように斧盾を小剣で叩いて、ガンガンと音を鳴らす。
目の前の男がそんな動きをいて見せれば、単純なトロールは男に向かい、持っていた、こん棒代わりの枯木を振り上げ、洞窟に引っ掛けながら、振り下ろして。
それを、肩を押し付けた斧盾で受けとめて、一瞬の静止状態に陥った所で。
男自身には魔力としてはわからないが、ハクの淫魔としての力が発動する。
魔力には気づかなかったが、振り向きハクに襲い掛かりたくなる感覚に、以前討伐した淫魔の力と似ている事を思いだして。
あのときに、きいたんだったな、と、全身、体の奥から力を込め、意識を強く持つように感覚を研ぎ澄ませる。
魔力が外に出ない体質の代わりに、意識の集中による魔法・精神抵抗力は高く、ハクが放つ淫魔の力に、何とか抵抗して見せる。
「っ…それつかうなら、早めにしてくれ、集中が切れると、こっちもまずい」
トロールがハクの方へ向かおうとするのを、その前に割り込んで、体重を乗せたシールドバッシュで少し後退させながら、ハクに対して声を上げる。
邪魔をした自分に対して、がむしゃらに何も考えていないかの如く、枯木を連打してくるとトロール相手に、押し込んだ一瞬で腰に小剣をもどし、斧盾を両手でしっかり持って防御へ徹していく。
上からの振り降ろしを、縦を斜めにして、受け流し。
横なぎの一振りを、引き延ばしたポールを地面につきさして、体を盾の内側に押し当てて、、防ぎきる。
■ハク > 「っせい!はっ!!」
クレイグが足止めをしてくれているのを視界の端で認識しつつ、トロールの意識もこちらに向いていることを察知する。
うまく能力の発動ができたようで、すぐにその波動は止めるが湧き上がった欲情はトロールやコボルト、クレイグにも残る事になるだろう。
やや雑になったトロールの動きだが、クレイグがハクの方に向かう足止めをすると苛立ちのつよい動きになってしまうことになる。
つまり、行動が大ぶりで隙が大きいが一撃の威力が高い、という意味だ。そんな攻撃を何度も受け流すのはクレイグといえどもダメージが蓄積していくことだろう。
ならばこそ、とコボルド4匹の捕獲しようと伸びる手を避けながら位置を調整していき……
「せ、いっっ!!」
コボルドの1匹がもつサビた剣による刺突を木にあたるように誘い、狙い通りにそれが突き刺さった瞬間に子供姿では大太刀サイズの刀を風術の勢いに乗せて一気に振り下ろし1匹を両断する。
そしてそのまま地面にぶつけた反動で打ち上げる刀の峰部分でコボルドの股間を強打。
ぶち、っと潰れる音とともに1匹がまた眼を裏返らせて泡を吹きながら倒れる事になるのだった。
「とりゃっっ!!!」
残る1匹となればまだ相対しやすい。
地面に打ち付けて刃がこぼれた刀を捨てて無手になり、コボルドから見れば「武器を失った牝」の姿を晒す。
そうなれば残ったコボルドも仲間を失った怒りと繁殖欲をあわせて捕獲しようと露骨に動きをかえてきた。
それを触れるか触れないか、もう少し運がよければ捕まえられる事ができそう、というギリギリのラインで避けながら中程度の火術を何個も作り出してクレイグが足止めしているトロールの頭や手足、そしてクレイグが作った切り傷にぶつけてダメージを与えていく。
「他に、いないでござる、な……?」
あえてそうして1匹のコボルドを引きつけているのも、他に増援がないか警戒してのこと。
外から見れば大きな隙となるようにコボルドにわざと捕まり、地面に引きずり倒される。
これでもし増援がなさそうなら、動き回りながら作り出していた風術の刃で自分を押し倒して舌なめずりするコボルドは即座に首を落とされる事になるだろう。
■クレイグ > 強い欲情の高まりは収まったが、その感覚はいまだに体内に残っており。
それを、少しでも修めようとトロールが枯木を振りかぶった所で、大きく、はぁっ、と息を吐き出すと。
そのまま、盾を肩に押し当て、枯木に対して斜めに構えて、ガツンと振り下ろされる枯木が盾の表面をがりがりと音を立て。
振り切られる前に、体ごと盾を押し込んで、枯木を地面へと振り下ろさせる。
「っ、ここで、ほらっ」
地面に枯木が当たった一瞬をついて、盾として使っていた斧盾の刃を、トロールの伸ばされた腕に対し押し付け、切り上げる。
そういった方法で、いくつもの細かい傷をつけると、後方からハクの支援による火術が飛んでくるのが、ありがたい。
きっちりと盾で受け止めてているとはいえ、枯木という重量級の打撃武器。
その衝撃は、受け止める度に体の芯へ伝わり、体力を削る上に、盾を持つ腕や、受け止めるために押し付ける肩などに、打撲という形でダメージが蓄積される。
「はぁ、ったく…ハク、どうだ?
時間かかりそうなら、一瞬でいいから、トロールの動き止めるか、目つぶしとかできないか?」
大きな声で呼びかける、今の所受けながらある程度反撃しているが、少し蓄積したダメージが結構増えてきているのも事実で。
動きを止めれれば、ポーション等で回復をと考えて。
だめそうなら、何とか閃光弾などで時間をつくるしかないか、と色々と計算しながら。
■ハク > 押し倒され、コボルドの手が薄い胸元に伸びてきても何も増援がくる気配がない。
なら問題ないかと風術の刃をリリースして眼の前のコボルドの首をはねた。
途端、グラリと力がぬけたコボルドの体を弾いて立ち上がるとクレイグが相対しているトロールに視線を向け。
「こっちは片付いたでござるっ!」
クレイグに声をかけてから小さい誘導火球を複数発作り出して1匹目のように両目を狙って発射する。
1匹目のように強いダメージをうけていたわけではないため1発2発であれば回避されたろうが、合計10発の火球だ。
うち1発でも眼に当たれば目眩ましとして十分だろう。
「追撃、いるでござるか?」
トロールが眼を抑えているタイミングを見計らい、クレイグに声をかける。
もし合図があれば雷術でも、火術でも、風術でも、即座に発動できるように準備を整えて。
■クレイグ > 此方の求めに、火球が一気にトロールの顔面に殺到する。
そのうち一発が目にでもあたったのか、大きな叫びと、共に枯木を取り落とし、両手で顔を覆うトロールを見て。
「でかい方の火術を頼むっ!」
ポーションを飲むよりも、今が好機とみたのか、片手でポールを引き出して、大斧状態で思い切りトロールへ振り下ろす。
固く、高い位置にある頭ではなく、肩口から胸元へ思い切り斧盾を振り下ろし。
その傷は、深く、胸の中ほど心臓までまで届くもの。
振り切った直後に、思い切り後ろへ、飛び退いて。
「いまっ!」
追撃のタイミングを相手に告げる。
本来であれば、心臓までの傷でも再生するほどの再生力を持つトロールだが。
いまは、その再生を阻害する火術のつかいてが、援護をしてくれている。
相手に対する信用をみせながら、それでも油断はせずに、飛び退いた後で、すぐ動けるようにしっかりと構え直す。
ここまできたら、一気に攻めるのが、良さそうだと、判断を変化させる。
■ハク > 狙い通りに踊った火球でクレイグが一転攻勢に出る。
防御態勢だった状態から一気に大斧状態に武器をかえるとその刃を1匹目のように肩口から斜めに、心臓を狙う軌跡で振り下ろした。
そして直後、飛び去りながらの叫びに――
「はい!!」
手の先に生み出した火球、最大サイズのそれを右手と左手に1つずつ。
クレイグが体をどけた事で空いた射線で、その心臓に届く傷口めがけて勢いよく投射する。
その一撃は狙い通りに傷口に達し、爆発を引き起こしながら傷口を焼いていくのだ。
焼きただれた傷はトロールといえど再生できない。焼ける苦しみを負いながら、倒れようとするトロールを見つつ……
念のためにもう1発、と掲げた手に火の玉を生み出す。
とはいえ、念のためだ。不要になれば消せる程度のそれを準備するのは、あくまで予備。
戦闘の気配が完全に過ぎ去るまでの念のためとして、火を掲げていて。
■クレイグ > トロールが倒れて、しばし……動かない事を目で確認し。
一旦、視線をハクへ送ってから。
斧盾を構えたまま、固いブーツの先で、トロールを軽く蹴り飛ばす。
そうして、動かない事を確認した後で。
「ふ、う……大丈夫そうだな、そっちの事、気にできなかったけど、大丈夫か?
怪我とか、はしてないか?」
大きく息を吐いて、ハクに声を掛ける。
掛ける声が、少し途切れるのは、肩などを使って盾でトロールの攻撃を受けた時の打撲などの痛みからか。
男がメインで使う斧盾は大きさが、下手をすればハクよりも大きく重い。
それを使って戦うために、金属鎧ではなく硬皮鎧をきているので、盾を超えてくる衝撃系の攻撃とは微妙に相性が悪く。
何度も受け止めて、多く使った肩や、体の芯へのダメージに加え。
ハクが使った淫魔の力も微妙にのこり、体が熱さをもって感じられている。
「討伐証明に耳とって、後は焼いてから埋めるか…耳の方任せていいか。
肢体集めるのは俺がするからそれから少はなれてから、怪我の様子みない、とだな、これは」
そういって、ハクに討伐証明ヵ所の採取をたのみ、重そうなトロールにワイヤーを括り付け、洞窟から引っ張り出し始める。
■ハク > クレイグがトロールの状態を確認し、無事に死亡を確認できたタイミングで火の玉を消して気持ちを落ち着かせる。
ふぅ、と息を吐いてクレイグが声をかけてきたときに、軽く首を横にふり。
「大丈夫でござる。こちらは損傷なしでござるよ。
他に増援がないか気にしすぎてコボルド退治が遅れて申し訳ないでござる」
あえてコボルドの手に捕まり押し倒された時に尻をちょっと打った程度しかないため、見た目の傷はほとんどない。
そもそもの話、自身の肉体が不老不死になっているのは承知の事なので、あまり気にしていないのだが……
「……そういえば、クレイグ殿にはそれがしが暫定不老不死になってる事は説明してなかったでござるか?」
そもそも傷について質問された事に首をかしげて聞いてみる。
既に何度かセックスし、その度に処女の状態に戻っている事は彼も知っている事で。
だからこそ説明したつもりになっていた……というのは言い訳だろう。
ちなみに暫定というのは特に自らなろうとしてなった訳ではなく、また「本当に死なないのか」はいくらなんでも試した事がないためだ。
兎も角、自分は怪我などないものの辛そうにしている様子には少々申し訳なく思っている。
ポーションを使うのを提案しながら、彼の指示に従い、頷いて。
「じゃあコボルドの耳集めてくるでござるよ。
回復術は使えなくて申し訳ないにござる」
神官や一部の術師が使える他人の傷を回復させるような魔法はハクには一切使えない。
淫魔術の一つとして使えるようになってしまった房中術による回復は行えるので、クレイグが求めてきたなら、と考えながらコボルドの耳を刈り取りに向かうのだった。
■クレイグ > 「こっちはもう少し持っただろうし、警戒しての行動なら問題ないな。
ん、怪我とかがないなら良い、な」
大丈夫という言葉を聞いて、小さく頷いて。
コボルトやゴブリンはたしかに、あの数以上の群れであっても不思議はなく。
それを警戒するのも当然で。
「いや、そこはきいてなかったな…毎回のあれは、体質って聞いてたけど」
確かに毎回するたびに、初めての状態なので其処は聞いたが体質といわれ、そう言う事もあるか、で納得した男も男で。
とはいえ、これまでの様子を見るに、それでも痛みなどはあるのだろうし。
怪我は無いに越したことは無いだろうな、と結論付ける。
「ポーションにかんしては、燃やしてる間にのむさ、そこまでは念の為警戒しとかないとな」
手をひらひらと振ってきにしないでいいぞ、と苦笑し。
「たのむ、トロールの方はこっちに集めとくから。
ポーションはちゃんともってるし、そこはあんしんしてくれ。
酷くなければ、湿布でもいいかもだが…痛み的には使った方が良さそうかね」
ハクとの行為による回復も頭に浮かぶが…ある意味でお互いの体質がかみ合いすぎて、始めると色々問題があるので。
結局はポーションに落ち着くことに、トロールの死体二つを纏めた後で、コボルトの死体も運んで、纏めて。
バックパックから油を取り出して、掛けていき、その時にポーションもおり出して飲み込んでいく。
「そんじゃ、火つけるぞ…てか、頼んだ方が早いか、頼めるか?」
自分でつけるとなると、火口箱なりを取り出す所からなので、油に火を点けるならハクの方が早いか、と思い直して。
一声かけて、お願いする。
■ハク > 「了承してもらえたのなら何よりでござるよ。うむ、まぁそちらは大事にするでござる」
決して手抜きした、と言うわけではない。
たまに冒険者によってはそう言われて恫喝されることもあるので、安心しながらにこにこと笑み浮かべる。
こっちは怪我がないが、クレイグのほうは軽い、というわけではなさそうなので一声かけて。
「あまり口外するものではないでござるからなぁ。
前にうっかり言った時には「不老不死なら囮になってくれ」と言われて吊るされた事もあったでござるし」
はっはっは、と笑いながら洒落にあまりならない事を軽く言う。
それだけクレイグのことは信頼できる、と思って笑い話として言ってみせるのだ。
――まぁ、もっともその提案も「悪い」選択肢ではなかった。
被害を受けたのはハクだけで他のメンバーは無傷で獲物を狩る事ができたのだから。
その事をギルドで報告してからは彼らは身分剥奪されて奴隷落ちするまでの顛末を見届けたので、ハクとしても本当に今となっては笑い話にできる事である。
その後、クレイグの話をきいてから頷き、コボルドの死体からしっかりと右耳を刈り取り革袋にいれて。
戻ったタイミングでクレイグと場所をかわり、今度はトロールの耳を刈り落とす。
その頃にはコボルドの死体もまとめられたので、油をかけるタイミングで離れて。
「ん。そうでござるな。ではちょいと」
クレイグが火種を取り出す所でお願いされたなら頷き。
軽く右手の先に火球を作るとクレイグが離れたタイミングで油まみれの死体にぼん、と投げつけた。
そうなれば油と、トロールの体の含まれている油脂成分が燃えだして勢いよく炎の柱になっていく。
あとはこれを始末して帰れば問題なしか、と思って尾を揺らし。
■クレイグ > 少なくとも、コボルトといえど5匹いて、此方に援護しながら倒した時間を考えれば。
ハクがサボったり手を抜いていないことは簡単に判るし。
「そういう話は、あんましない方が良いのは確かだな。
そいつらは、普通にアホだな…とはいえ、まだましか、不老不死目指す奴とかが効いたら捕まるぞ」
軽く笑いながら話すハクの頭を、軽く小突いて、言いふらすなよ、と忠告して。
聞いた冒険者の話には、呆れしか感じられず。
そのあとで、おかしな奴がしったらやばいから、気を付けろとと心配そうに、今度はポンと頭を撫でる。
「おー、やっぱ魔法とかだと楽だな、魔力使うから俺にはできないけど」
燃え上がる火を見て、周りに燃え移らないよに注意して、燃え移りそうな枝などは切り落として、一緒に火にくべる。
生木なので、煙がでるが、それほど多い量ではないので、気にはせず。
「あとは戻ったら依頼は終わりか…報酬で美味い物食いに行こううとおもうけど、一緒にいかないかハク?
その後もつきあってくれるなら、腹いっぱい食える分奢るぞ」
ポーションが効いてきたのか痛みはひいていった様子で、しっかりした声でハクに声を掛ける。
というか、ハクの淫魔のちからで、あっためられている体の事もあり、ある意味で欲望に正直に誘ってくる。
■ハク > 燃え盛る死体を見つつ、隣で燃え広がらないように切り払った枝をくべるクレイグをみながら軽くこづかれ、撫でられつつ尾を揺らして嬉しそうな顔を見せる。
「うむ、まぁなので信頼の証程度に思って貰えると有難いでござるな。
クレイグ殿であれば無闇矢鱈と口にしないだろうという認識はあるでござるし」
ふー、と背伸びしながらクレイグの言葉に頷き、同じように払った枝をその炎の中にくべていく。
彼の纏う雰囲気を見ても、特に話をしても対応が変わる気配がないことが本当に助かる、という気持ちなのだ。
「お、それは助かるにござるなぁ。飯はやはり翌日の糧故、遠慮なく食べさせてもらうにござるぞ?」
やがて炎の勢いも弱くなってくると残った骨を埋めるための穴を掘りつつクレイグの提案ににっこり笑顔で遠慮なく、と返事をする。
『その後もつきあってくれるなら』の意味ももちろん理解の上でなので尾をふりふりと揺らしながら穴を掘る様子を見ることができるだろう。
「……うーむしかし、この淫魔の力も多少は使って精度あげるようにするべきでござるかなぁ……?」
悩むようにつぶやくのは、範囲も対象も選べない発情・誘導を行う能力をもう少し、せめて対象くらい選べるようにしたほうが能力の好き嫌いはともかく使い勝手いいのではないか?と思い始めている様子で。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 討伐依頼中」からハクさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 討伐依頼中」からクレイグさんが去りました。