2021/12/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にロイスさんが現れました。
ロイス > ――魔物や動物だけを殺して生きられるなら、どれだけ良いだろうか。
他人事の様にそう思いながら、金髪の男は、仰向けになって倒れる少年を見た。
その腹からは、着ている革鎧の穴から血が噴き出て、止まらない。
出血自体は、然程でもないが――魔物の爪が、その身体の奥まで届いていた。

『――!――っ!』

激痛に悶える少年の息は荒い。だが、それもやがて落ち着くだろう。二度と荒げる事も無くなる、という意味で。
だが、失血死でない以上、その時間は長い。
そして、施療神官も医者もいないこんな森の中では、それは希望ではなく、絶望を意味する。

「……ごめんよ」

剣を仕舞い、代わりに腰に差した、作業用ナイフを引き抜く。
剣の様な大きな刃物では、痛みが大きすぎるし、的確に動脈を切り裂く事ができない。
彼が望むのは、ほんの一瞬の傷害だ。人を殺すのに、不足も過剰もない、そんな傷。

「守ってあげられなくて、ごめんよ」

少年の顔は、恐怖に染まっているだろうか。
それとも、不甲斐ない男に対する憎しみか。
男は、その顔をしっかりと見――しかし、それでも尚その刃を突き立てようとしている。

それだけが、彼を救うのだと。知っているから。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からロイスさんが去りました。