2020/11/12 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」にラファルさんが現れました。
ラファル > メグメールの森の中、夕闇落ちれば、光の届かぬ其処は暗く、獣の時間となり果てる。肉食獣が、魔獣が、ゴブリンやオークなどの妖魔が、獲物を求めて動き始める時間。
 そんな森の中に、一人の幼女がとことこ、と、気軽な様子で歩いている、その幼女の格好は、森の中を歩くには、不適切な恰好だった。
 先ず服装、上半身は胸を覆い隠す一本のベルトだけ。下は短パンで、太ももを露出している。
 背中にバックパックを背負っていて、腰には紅い柄の短刀のみ、ヒルや虫に食ってくださいと差し出しているようなレベルの格好。
 それを気にすることも無く、にこやかに笑う表情、そして、金色の髪の毛を結わいて垂れるツインテール。
 森の中に居て、森に恐怖を覚えている様子が一切ない幼女だった。

「えーっと。あと。」

 その小さな手には一枚の紙片が握られていて、その紙片に書き込まれているものは、数種類の薬草に、動物の肉、退治するべき魔獣と、妖魔の名前が書いてあった。
 それらに関しては、既に、レ点チェックが打たれていて、終わらせているような雰囲気を醸し出している。
 残りに、何があったっけ、と幼女は金色の瞳でじぃ、と紙片を眺めて確認してから、視線をずらす。

「ん、だいじょうぶ!」

 問題はなさそうだ、とにっこり笑ってから、周囲をきょろきょろ、と見まわしてみた。
 冒険者と言うのはギルドで依頼を受けて活動するものだから良く行動範囲が被ることがある。
 誰か道連れでもいないかなー?と首を傾いで幼女は森の中を探してみる、依頼の報告に戻るにも、まだ余裕があるし。
 好奇心と、後空腹もある、こう、ご飯くれる人とか、居ないかな、と考えたのだ。

ラファル > ご飯に関しては―――。その辺の猪を捕まえれば良いや、と考えているものの、一人で食べるよりも誰かと食べる方がおいしい。
 だから、今日は、一人で食べるのは止めておいて、誰かいないかな、と探すのだ、と言っても、本気で帰れば、多分一時間もせずにマグメールに到着できる。
 竜になって飛べば直ぐだし、このままでも全力で走れば全然到着できる。人間とは作りが違うから、速度も違うのだ、馬に乗った人間と掛けっこして、余裕で勝てる。
 まあ、こういう所で何も気にせずのんびり食べるのが大好きだから、誰かいないかな、と探してみるだけである。
 きょろ、きょろ、薄暗い森の中、遠くまで視界が通らないなら、風の流れ、音で判別すればいい。
 幼女にはその能力が備わっているから、明かりを使って居ない、持ってないわけではないし、必要な時は使うから。

「声上げた方が良いかな?」

 でも、それをしたら動物も驚いて逃げちゃうかもしれない。
 猪か何か、晩御飯を捕まえてから声を上げた方が一家、と言う結論にたどり着く幼女。
 先に、狩りしちゃお、とふんふん、と鼻を鳴らし、周囲の匂いを嗅ぎ始める。
 動物たちは匂いが強いから、直ぐにわかる、おいしそうな、丸々太った猪の匂いだ。

「む。」

 あっちだな、と、クンクン、小さな鼻を軽く動かし、さくり、さくり、と匂いのする方へ。
 おそらく猪がいるだろう方向へと、進んでいく。

ラファル > 割くり、草を踏みしめて、幼女は、森の中を滑るように走り始める。音は小さく、草揺れは少なく。
 冒険者ギルドには、師匠の意向と、実家の意向もありストライダーと登録している。間違いではないが、それがすべてではない。
 忍びの技も駆使し、幼女は闇の中を駆け抜けていく、猪がこちらに気が付いたようだが、遅い。
 逃げようと走り始める猪に、幼女は全力でぶつかっていく。見た目其のままの体格の差であれば、逃げる猪の足に蹴られて幼女の方が危険だが。

「にひ、逃がさないよ?」

 幼女は、人竜―――ドラゴンハーフである。竜と人の相の子であり、その幼女の見た目と裏腹の身体能力を有する存在だ。
 さらに、幼女の竜としての存在は、テュポーン……風の属性の竜であり、台風の語源となるようなドラゴンで、走ったり飛んだりそう言ったことにはめっぽう強い。
 だから、逃げようとする猪は、驚きではなく、本能から危険を察して逃げようとしているのであり、それを捕まえて捕食するのがラファルと言う幼女。
 跳躍し、上から飛び掛かり、爪をそろえ伸ばした手刀で延髄を折る。
 骨を砕く感触を覚えながら、そのまま下まで貫けば、杭を打たれたかのように猪は止まる。

「ふふーん!」

 誰もいない、夜の森の中、猪の上に立ち上がり、無い胸をそらして、どや顔をする幼女。誰も見てないのも気にしない。
 そして、刈り取った獲物をご飯にするべく、首を切り取り、さかさまにして、血抜きを始める。
 そんな行程はなくても自分は食べられるが、匂いにつられて誰かきたり、ふるまう時にはちょっと問題。
 それに、血抜きをした方が保存するのに便利だから、と、教え込まれて覚えた。
 今では、一連の流れのように、停滞無く血抜きと猪の皮を剥がす作業をするのである。

ラファル > 猪の皮を剥いで、それをよけて、足をロープで縛り、太い幹の木に逆さ吊りをしていく。幹と枝を使い、重量を分散させれば、重文に吊るすことが出来る。
 血がどぼどぼ出ているので、もっとよく出やすいように、大きく切り裂き、内臓を取り出して……。

「あ。」

 そういえば、内臓を置く場所とかを決めてなかったな、と思い出す。とりあえず、ひん剥いた皮の上に置いて、さて、どうしようか、と考える。
 血が流れて当たらないように移動させつつ。後は、水か何かあれば、綺麗に洗えるのに、と。
 クン、と鼻を鳴らして、水場を探してみると存外近くにありそうだ。
 なら、此処でいいか、と幼女は頷いて、皮と内臓を持って、とことこと移動する。

「血でどろどろになっちゃったしー!」

 移動した先に有るのは、泉だ、動物たちの憩いの場なのだろう。
 そんな所に、幼女は遠慮なく全裸になってどっぱーんと飛び込んでいく。全身を包み込む水で、血糊を洗い流し。
 内臓を、皮を、じゃぶじゃぶと洗って血糊を堕としていく。

「これは後で焼いて食べるか!」

 それとも、内臓嫌う人多いし、今食べちゃおうかなぁ。
 じぃ、と涎を垂らして眺めるが、ま、いいか、と今は我慢して、綺麗に内臓を洗い流し。
 皮もきれいにしておいて。
 泉から出て、ベルトと短パンを拾い、肉をつるしたところへ戻る。
 そろそろ、焚火でもして、肉を焼く準備しないとね、と。

ラファル > 「んー。と」

 泉から戻ってきた幼女は先ず、ぽたぽた滴る滴を振り払う。動物のように四つん這いになって、ぶるぶると全身を震わせる。しぴぴぴぴぴっ!と勢いよく水滴が周囲に飛び散っていく。
 風を纏って、水分も併せて飛ばしてしまえば、躰は綺麗に乾燥する。
 肉にそれをやらないのは……それやったら風味がどうなるのかわからない、皮も変に絞んじゃ売れなくなるからだ。

 なので、とりあえず、周囲と体だけ乾かして、ベルトと短パンを装着。
 半裸、で大満足の幼女であった。

「火を、起こすぞ!」

 先ずは、森の中なので、周囲に類焼しないように、かまどを作ることにする。
 その辺の石ころなどを集めて、ある程度の高さまでくみ上げていき、炎が周囲に飛ばないようにしてから、薪を―――適当に取ってくる。
 こっちは乾いた方が良いので、風の能力を使って、水分を吹き飛ばして乾燥させる。
 それをいくつかおいて、その下に枯葉などを敷いて、火種を作り、木の棒を二本持つ。
 人間ではない身体能力を生かして摩擦摩擦!!火をおこす、それを、焚火に入れる、完成。
 直ぐにぱちぱちと火が燃え盛るのを眺めて、吊るして置いたイノシシ肉。
 適当に切り分けて、木の棒に挿して、焚火であぶり、残りは燻製にするために、煙に焙す。

「ごっはんごはん。」

 ひとりはさみしいのー。と適当に歌いながら、肉が焼けるのを待つ。

ラファル > じりじり、焙る音が聞こえる、油が焚火に落ちて、それが火勢をとどめてくれる役割となる。香ばしい匂いがしてきて、おいしそうに感じる。
 じゅるりと、唾液が垂れそうになるのを我慢する幼女、我慢してもダラダラ垂れて、早く食べたいと思うまである。
 焼くと決めたらちゃんと焼き切らないと美味しくないので、くるり、くるり、焚火の周り、串を回して焼いていく。
 その辺の技法はちゃんと師匠から習っているので、手抜かりはない。カバンの中から塩コショウもちゃんと取り出してぽいぽい掛ける。

 時間が流れる、肉の焼き加減をじっと見守る幼女。
 そして。

「いまだっ!」

 幼女は、手早く串を焚火から外していく、絶好の焼き加減、この焼き加減なら、塩コショウだけでもウルトラ旨いはず。
 今までの経験を思い出しながら、にやりにやにやしながら幼女、肉を齧り始める。
 熱くこんがり焼けている肉は歯ざわりにもしっかりしていて、舌にはちょうどよりピリ辛と塩味で。
 家とかどこかで食べるたれも良いが、矢張り、塩コショウが神だ、彼方が神だ、肉よ。
 もぐもぐむしゃむしゃ、がつがつぱくまぐ。

 猪一頭分、容赦なく切り分け焼いて食べる幼女はまさに―――獣である。
 半分以上食べて、残りは、保存するかー!と、適度に切り分けて器に入れて、バックパックの中へ。
 骨だけになったそれを、降ろして、焚火と共に土に埋める。

「ごちそうさまでした。」

 師匠の国の挨拶を一つ。パンと、手を合わせて。
 そして、かえろ、と、幼女はさっさと帰っていった―――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 森」からラファルさんが去りました。