2020/11/11 のログ
リン > 「え、ちょ、ちょっと待っ……痛ッ……!」

地面に手をついて立ち上がろうとしたところに、打ち込まれる針。
群がる妖精たちを振り払おうとする腕の動きもふらふらとおぼつかない。
アクマ……悪魔? 何のことを言っているんだか、とっさにはわからない。

「なっ……何を……」

手と膝を地面につけたまま、服の下で自らの雄の徴が張り詰め出す。
背負っていた呪いの品は、毒からもまじないからも守ってくれる気配はない。

交わされる会話の意味はわからないが、断片的な言葉は頭に入ってくる。
コワイ……“怖いこと”をするつもりなのか?

「い、嫌だっ……!」

妖精の一匹が持っていた鉤爪のことが脳裏をよぎり、
大柄とは言えない身体を、這いつくばったまま縮こまらせた。
武器でもある楽器のケースに手を伸ばす……が、薬を盛られ、震える指先では、開くことができない。

プカ > 少年が必死に振り払った腕に、背中に乗った妖精が明後日に放り出され、宙を転がる
妖精の数匹がそれでも離れず、パタパタと周囲を飛び回った

『雄の匂いがしはじめた!』
『効いたかな?』

ケラケラと笑う妖精、真剣ぶって首を傾ぐ妖精
小さきモノ達がじっ、と興味深そうに見守る

『コレが、クサイ!』

落ちたケースに手を伸ばす仕草を見た妖精の一人がそのケースを興味深そうに見て、すぐに悲鳴を挙げた
もう一匹が少年の耳元に寄ると笑いながら

『ほらほら、食べちゃうぞ~!』
『嫌だといいながらも、モノはびんびんってのは中々スキものだね』
『どーゆーいみ?』
『なんか、えっちなヤツ、ってイミ』

脅しとしては陳腐すぎる。兎の呪いは生命の危機に生存本能が増す、それを極端にしただけのモノでもある
縮こまった様子に安全を感じたのか逆に小さきモノ達は少年の周りへと集って

『大丈夫だよ、殺しはしないさ。俺達だってどうりはわきまえてる』

妙に、偉ぶった言葉の一匹が小さなバケツを取り出すと少年の頭へ中身をぶちまけた
それは、花の蜜
つづけて、面白がった他の連中が次々とバケツで花の蜜を注ぎ始めた

リン > 「ああ……アクマってこれのことか……」

この楽器は魔族の作り出したもの、らしい。
妖精たちは人間の味方という感じはまるでしないが、魔族と親しいというわけでもないようだ。
かといって、これが連中を追い払う役に立つことは今の所なさそうだ。

「どのへんが大丈夫なんだよ……!」

殺しはしないというのは死なない範囲で好き勝手してやる、以外の意味はないだろう。
恐怖が緩むはずもなく、股ぐらのものは余計にぐいぐいと布地を押し上げる。
立ち上がれずにいると、何かどろっとしたものが頭にかけられる。
また毒か、と思えば、甘ったるい匂いが漂う……花の蜜だ。

「な、なにこれ……味付けのつもり?」

食べちゃうぞ、なんて言ってたっけ。
意図がつかめず、困惑するが恐怖を強めるとまでは行かない。
声色にも未だ余裕が残っている。

プカ > 『キャーッ!!』

楽器を取り巻きながら悲鳴を挙げて騒ぐ。が、だけで何もしない
よく見れば騒ぐ事を楽しんでるようにも見える

『おれたちをおろかなにんげんと……』
『いっしょに』『してもらってはこまる』
『…いっしょにしてもらってはこまる!』

バケツを放った一人に続いた二人が耳元で囁くのを受けて口上を述べきる

『…誰だ!樹精霊の秘薬なんか使ったやつ!』
『わたし!』
『だめだろ、王が今夜は……』

少年の興奮に気づいて、口上をした一匹が動揺した声を挙げて
少年を見ると口を曲げて両手を突き上げると

『その蜜はハチドリに教えて貰った眠りの蜜さ』
『まあ、お腹一杯になると眠くなるアレだよ』
『その睡魔には抗えまい!』
『寝てる間に運び出すから、素直に寝といてクレ』

偉そうな一匹と、面倒そうなもう一匹が交互に話をすすめて少年を覗き見る

『申し訳ないが、招待はまた。今宵は帳の向こうへさらばだ』

妖精達は急に一様に名残惜しそうに少年を眺めながら小さく、手を振ったり、
或いは、あまりよろしくないポーズしたりして別れを告げ

リン > 「な、な、なんだとぉ~」

そんな半端な! どうもあちらにも事情というものがあるらしい。
眠れと言うがこの股の間のものはどうしたらいいんだ。
不自然に高められた性欲が睡魔で上書きされるということはない。
まあ、仮にどうにかされてしまっても、やっぱり困るのだが……
助かった、のだろうか?

「また、って言われても……二度と来ないけどぉさ、ぁ……」

しかしなんとなく、言葉とは裏腹にまたいずれここに足を踏み入れてしまう……
そんな根拠のない予感を覚えながら、意識が落ちてしまう。
そうしてどこぞの人里へと運ばれてしまうのだろう……

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 光る丘の下」からプカさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 光る丘の下」からリンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にアイヴィスさんが現れました。
アイヴィス > 奇怪な葉を付けた木々、葉もつけずに捻じくれた枝を晒す木々が並ぶ森。現在はそのどれもが今にも動き出しそうな不気味な造形だった。

さらに森に漂っている霧は、きわめて人体に悪そうな紫色をしている。と……。

「ァ…………ふっ………んぅ」

動くはずのない樹木がゆらりと影を揺らした。言葉を発した気がした。今の今まで樹木だったソレは樹木のうねりから白い陶磁器のような女の太腿と化す。そして一糸纏わぬ全裸の女へと変化していく。

明らかに人間ではない気配と妖香を放つ。ソレは緩慢に微笑むと―――。

「ッ…渇いたわ……」

甘い吐息を漏らし女の瞳が琥珀色に輝くと、その場に屈みこんで己を産み出した幹に身を預け秘裂をまさぐりながら舌なめずりを始めた。視線は正面の霧を捉え、何人が迷い込んでくるのを待つように。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアイヴィスさんが去りました。