2020/10/01 のログ
ノウブル > 「俺は、食料が増えるだけで得だが?」

(――其の点については、あっさりと答えて見せるだろう
金を稼ぐ、と言う意識がそもそも希薄で、必要なのは日々の食糧
素材はあくまで必要な時も在る副産物でしかない、と

声音にも顔色にも、疲労の色は恐らく、見えぬ
其れが根本的な体力の違いなのか、単に顔に出ぬだけなのかは
女には見て取れぬだろうが。)

「―――――……俺が気にし過ぎて居るのなら、良い。
御前は、思ったより強い女だった、と言う事にして置くだけだ。」

(――女の言葉が、本気で在ったとしても、無かったとしても。
そう結論付けて終わらせようとする気ならば、其れで良い、と

踵を返し、今朝方まで干して居た魔獣の革を、畳みに行こうとした所で
ふと、背後から掛けられた、問いには。)

「――――――………聴いて如何する。 ……奪って良いのか?」

(――有耶無耶に、して置いた方が都合が良いのではないのか、と。
其れは、ほんの少し意地悪な言い方となって仕舞ったやも知れぬ、が
――僅かな間を置いて、再び口を開き。)

「―――――……御前に、或いは御前の相方に、僅かでも隙が在るなら。
……奪うだろうな。 ……御前は、良い女だ。」

(――どうせこの女には、遠回しな言葉なぞで伝えた所で、伝わらぬのだろう
ならいっそ、有耶無耶になどさせぬ。 ――其れで、女が如何するとしても。
まるで、一種宣戦布告めいた言葉を響かせながら――ふ、と口元を僅かに笑ませれば
――足先を、女へと向け直し。 其の元へと、静かに向けて、歩み寄り
此方を、見ようとしない女の顔を、己から覗き込んだ。 ――どんな表情をして居るのか、確かめる為に)。

シンディ・オーネ > 「……。」

欲の無い話には、好ましく思うものの少し物足りない様子で さよか と頷く。
役割云々の話で感じていたけれど、こんな生き方もあるのだなと。

「――奪われる気は無いの。」

納まりかけた話に決着をつけようとしたのは、思わせぶりな呟きが聞こえたからだ。

どんな未来が待っているとしても、今この時のシンディオーネは身持ちが固く、
肉体関係は愛する人と持つもので、二股だとかセフレだとかは無い話。
前回も今回もノウブルとの関係は事故でなくてはならず、実際事故な面も大きいのだが
そこにノウブルの本気があったとしたら、それこそ脈があるフリをするのも残酷というか卑怯な話。

…非常に気まずく疲れる話だ。
まさかこんな途中で読むのを止めたロマンス小説みたいな話を私がする事になるとはと目を伏せて、
気を取り直すようにキッと顔を上げて。

「…私には好きな、というか特別に好きな、まあ愛してる感じの人がいる。
 だからノウブルが、この前の事や今回をラッキーみたいに思うなら、あまり一緒にいられない。
 アプローチしていればそのうち靡くかもって期待されるのも嫌。
 私とノウブルの立場だと、それで一緒に仕事なんかしてたら私がノウブルの気持ちを利用しているみたいで卑怯だし、
 それこそ残酷な事でしょう。 …思い上がりたくもないけど。」

好意が本気ならば、真剣に答えなければならないと。
覗き込まれれば魔術師一流の集中力で過剰に見据え返す真っ赤な顔。

「…たぶんノウブルの勘違いよ。
 少し価値観独特なところがあるからそこに引っ掛かったのかもしれないけど、
 私は友達がいなかった、別にいなくていいと思ってたし、他にも色々まあ可愛くない人なはずよ一般的には。」

…良い女などではないはずだと注釈して、伝えるべき事は伝えた、距離を置かねばならないなと、少し寂しく思う。
事故とはいえそれだけでは距離を置こうと思わなかったのは、単純にノウブルの朴訥な人柄を好ましく思っていたからかもしれない。
…とはいえ、この期に及んで友達でいましょう、などと言える性格でもなく。

ノウブル > (女の言葉を、遮る様な事はしない。
紡がれる其れを、ちゃんと、最後まで聞き入ってから、頷いた。
正論だ、余りにも正論で、否定のしどころ等無い
そう在る事が清く、何よりも尊いのだと言う常識が無い訳では無いからだ

いっそ、女の其の真っ直ぐさが眩しくすら在るのは
今の己が決して聖人君子なぞでは無いからかも知れぬ、が。)

「――――――……俺は、御前の言葉に答えた。
其の上で御前が如何するのかは、御前が決める事だ。
口にした以上、撤回もしない。 そして――期待も、しない。
御前が、その男の事を好きだと思うのが、本心だと判るからな。」

(――でなければどうして、こんな所にまで足を運ぼうか。
命を危険に晒してまで、相方と同じ場所に居続けようとするか。
始めこそ知らず、勘違いして居た男の存在では有るが
話を聞けば、女の行動を見ていれば、そんな事は良く感じ取れる

だからこそ、言ったのだ。)

「―――――御前達が今の儘で在るなら、俺が割り入る隙など無い。
其れを引き裂いてまで、御前を如何にかしようと思うなら…
もう、当にしている。 遺跡でも、昨晩でも、な。
俺が御前と組んで居るのは、純粋に御前の腕を買って居るからだ。
経験不足で、未熟な部分も多いがな。 だが、其の評価は、女としての評価とは別だぞ。」

(相変わらず、赤い顔ながらも強気に見返す其の根性は、見上げた物だ
女が真剣に答えるからこそ、己もまたふざける事無く、真っ直ぐに返す言葉
其れを、如何受け止められるか、如何感じ取られるかは知らぬ
其の結果、女が仕事仲間である事を解消する、と決断するなら
きっと、其れまでの話だと言う事だ。

だが――其の上で、敢えて一つだけ。
念を押す様に、女へと言う事が在るとするなら。)

「―――――……一般の感覚なぞ知らん。
俺は想った事を言ったまで。 ――御前は良い女だ、シンディ。
其れを勘違いだと言うなら、俺は勘違いした儘で構わん。」

(――其処だけは。 決して譲らないで置こう。
告げて、そして、指先が一度、女の頬を緩く擽る
触れて、撫ぜて、離れかけて)。

シンディ・オーネ > やはり真剣に答えてくれる様子のノウブルに、ごめんなさい、さようなら、と
いかにもでわざとらしくて口に出せない言葉を思う。 しかし期待しないとはどういう事か?
頭が茹で上がるような話で回っていないのは自覚するが、恋とは実る事を期待するものではないのか。

…そうよ、本心で、私はアーネストをちょっと気が早いかもしれないが伴侶と決めているのだと。
挑むように腰に手を当てたまま、キッとした顔のままで、ちょっと首が傾いた。

「…でもあの、奪うって―― ああ、隙があればか… ええとでも…?
 ――つまり、お嫁さんにしてあげてもいいけど積極的ではないみたいな…?」

そんな事あります?と、腰に当てていた手を腕組みにして、んー?と考え込む顔でいよいよ首角が深くなった。
…なら、いいのか? 片思いですらなく、本当にご縁があったらそうなってもいいかも、くらいの感覚なら?
…いいのか?

「…んん、そうか、好意の度合いって、色々なのね?」

私が自意識過剰、というほど間抜けな話でもないと思うのだけど、
ノウブルの気持ちがそれはそれとして、私とアニーの関係が健在なら諦めのついているものであるならば…
奪うなんて言葉にドキリとしたけれど、アグレッシブにそれをするほどの事もなければ…
…いいのか、と気恥ずかしくなって視線がオロオロさ迷った。

「…うん、ごめんなさい、思い上がりかなって気はちょっとしていたんだけど。
 ――なんというか恋愛って、欲しくなって、目指す、ものなんだろうって思ってた。」

思えば、誰かを自分から好きになった事はないのだなと、しみじみしてしまう。
そういうのを期待できる立場ではなくて、アーネストが伸ばしてくれた手を取った。
嬉しかったけれどその決断を手放しには喜べず、今でこそ開き直っているが故郷への後ろめたさは常にあり。

それを思えば、ノウブルが口にしてくれた思いも、そんなものなのかなと思える。

期待もされていないのなら、問題は無い。
…あるいはそんな風に考えてしまうのは、別れ難い面もある交友関係を、
なんとか理由をつけて維持しようとするものかもしれないけれど。

「――うん! ハイ! だめだハズカシイ。
 変な事を聞きました。
 かえって失礼でないといいけど、ごめんなさい。」

…ようするに自分がケジメをつけようとした感情は、子供じみた単純なものだったのだろうと思う。

大事な話をします!って迫ったら、ノウブルがしっかり答えてくれてそれを大きく受け止めた。

というわけでごめんなさい、今のナシと、顔を仰ぐように手を振った。

「――ああはい、ノウブルも素敵な人よ。
 奥さんに使命と私どっちが大事!?って迫られるところが見たいわ。」

はっきりと言葉にできないが、仕事仲間としてやっていかれない事態ではないと判断して、
それならそれが一番良いと、一抹の引っ掛かりを覚えながらも安堵のため息をつく。

――頬を撫でる手は「なびかないって」とちょんと押し、
可笑しそうにするのは、期待もしていない彼の冗談と思ってだ。

さあ帰りましょうと支度を進めて、街でお別れする時には「またよろしく」と自然に言えるはず。

ノウブル > (―――結果的に其れが、何かを先延ばしにするのかも知れない
先延ばしにした結果、起こり得る筈の無い何かが、起こる可能性を残したのかも知れない
だが、そんな事は今となっては些細な事。 ――選択とは、常に自らが。

告げるべき事は告げ、そして女が其れを如何くみ取ったかは、己には判らない
脳裏を読める程人心掌握に長けてはおらず、そんな能力も無く
故に――女が、其れまでの真剣な面持ちを崩して、空気の抜けた様になって仕舞ったのには
此方は此方で、少々気が抜けた様に瞳を瞬かせ。)

「――――……まぁ、同じとは言えんだろうな。」

(――結局女の中で、己の扱いは如何なったのだろうか。
恐らく――己が予想して居た結果にはならなかった様だ、が。
もっと、話を掘り返して仕舞うべきか悩みはした
けれど――其れをしなかったのは、きっと、現状維持でも構わぬと
何処かで安堵した自分が居たからやも知れぬ

――女が、此れでおしまい、とケリをつけるなら
己もまた、肩を竦めて再び荷物の準備に取り掛かろう
魔獣の革も骨も肉も、素材類だけで酷く重量が在る
女に毛皮を任せ、残りを己が担いで、また少し時間を挟んでから
本格的に、この場を後にするだろう

王都へと戻る、其の間――果たして、どんな会話を交わすか
其の最後が、其れまでと変わらず、次の再開を約する物なら
きっと、今は其れで良いのだろう)。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林地帯」からシンディ・オーネさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林地帯」からノウブルさんが去りました。