2020/09/09 のログ
ロブーム > 「ほう」

こちらに対し殴りかかる反応速度に、男は驚いた様に声を漏らした。
事実、感嘆に値した――魔力を開放したこちらに対し、ほぼノータイムで反応、攻撃。
そして、当然、その速度にも。人の身で、そこまで鍛えているとは、

「恐れ入った。これは、想像以上かもしれぬ」

男は、その攻撃を避けなかった。
拳が、男の頬を貫いた。文字通り、貫いた。
だが、血も肉も全く飛散しない。
幾度当てても、繰り返しても、全く……である。

「ああ、心配しなくていい。私は幻覚ではないよ。
ただ、少しばかり、君の拳と私の肉体の間に、圧縮した空間を召喚しただけでね」

『速いから攻撃が当たらない』ではなく。
ただ、『当たらないようにしたから当たらない』
悪魔には、それが出来るのだ。
男は、さてさてと醜悪に笑う。

「さて、城に招待するかそれとも此処で犯すかはともかく……一旦は無力化せねばなるまいな」

男の杖が、彼女の腹に当てられる。
回避しなければ、その杖から電流に似た黒い魔力が流され、気絶してしまうだろうが――

マオ > 「そりゃどう、も――ッ!! …………えっ」

称賛の声をかける男をギラついて瞳で睨みながら、真っ直ぐに突かれた拳。
が――それは男の頬を殴り飛ばす事は無く、文字通りに"貫く"形となる。
まるでそこに何も存在しないかの様に、囁かな抵抗も無く空振る拳。
予想に反した感触を前に少女の身体は宙空でバランスを崩し……その腹部へ、男の杖が充てがわれれば――

「がッ――、ぁぁあああああああああああ゛ッッ!?!?」

けたたましい炸裂音と共に閃光が飛び散り、少女の小さな肢体が宙空で仰け反る。
それは、電流にも似た魔力の奔流。少女の全身を焼き焦がさんばかりの力が一挙に流れ込み、
ガクガクガクと暫く宙空でその身体を震わせた後、どさり。地面へと落ちる。

「な、ぁ……ッ、な、によ……、こ、れ……っ、――――………………」

地べたに寝転がりながら恨めしげな視線で男を見上げ、言葉を漏らす。
が、その直後。少女の全身からはガクンと一気に力が抜け、その場で昏倒してしまう。
シンと静まり帰る暗き森に、ざわざわと、木々のせせらぎだけが響いていた――

ロブーム > 少女は、決して弱くなかった。
ロブームはそう考える。身のこなし、膂力、判断力……その全てが人間として優秀と言えるレベルのものだったと確信できる。
それで勝てないなら、それは彼女のせいではなく、悪魔のせいなのだ。

「さて、不運な少女――否、獣を我が城にお連れしようか。
ペットなど実に久々だ。躾をどうするか……色々考えねばなるまいな」

そう言うと、男の形がどろりと溶けて、少女を包み込む。
そして、どろりと溶けたその姿さえも土に染みる様に消えて――後には何も残らなかった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からロブームさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からマオさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林地帯」にノウブルさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林地帯」にシンディ・オーネさんが現れました。
ノウブル > (メグメール自然地帯――
王都の付近こそ整備された土地では有るが
街道を僅かでもそれれば、其処は広大な自然が広がる
肥沃な土地で有るが故に、動植物だけでは無く魔物すらもが数多く住み付き
度たび近隣の村や集落で、少なくはない被害を齎して居る

そんな土地で、狩人として暮らす己の野営地は、簡易で、質素だ
辿り着いた其の場所は、「今回は」小さな洞窟の入り口。
奥は決して深くはなく、少し行けば、直ぐに行き止まりとなって居るのが判る程度
僅かに湿気こそ感じるだろうが、道中に比べれば涼しく感じられる筈だ

――鬱蒼と茂る森の中、何か在れば直ぐにでも移動出来る様に
簡素な骨組みと軽い布で作られた、テントめいた仕切りの中へと
大事なモノ以外の、持ち歩かぬ物を置くようにと指示したのは先刻の事
そうして、今は漸く――狩りへと、赴かんとする矢先、か。)

「――――――問題は無いか?」

(此処までに、随分と歩かせた。
己はともかくとして、女がどれだけ森を歩き慣れて居るかは知らぬ
慣れぬ移動で疲れが在るなら、まだ時間を取っても構わないと
そう声を響かせながら、自らは狩りへと赴く準備を進めている
其の手に携えられて居るのは、元来、「仕事」にて携えている背中の二本とは別に
小動物程度であれば捕らえられるだろう、弓と、矢)。

シンディ・オーネ > かつて養父のしたためてくれた戦闘服は、夏場の長時間着用に適さなかった。
今では冒険者仲間となったノウブルにそれをぼやいたところ、装備まで自給自足の彼が手ずから作成してくれる事になり、
お代の支払いが厳しいようであれば、素材収集を手伝えばおまけしてくれるというわけで今日のここ。

恋人のある身で他の男と二人きり、4日+の外泊が想定されるこの仕事に乗るべきかどうかはさすがに少し悩んだが、
アニーことアーネストは快諾してくれて、ノウブルの好意に甘える事にした。

手伝う、とは言っても狩猟など素人である。
魔術の訓練として鳥やら小動物を撃ち食卓に並べた事こそあれ、
目当ての獣を追跡して皮を剥ぐとかは未知の世界。

いいのかなあ、と微妙にいたたまれない気分で追従し、野営地に荷物を下ろす。
前回の仕事で全損したので、初心者っぽく大きなリュックは新品である。
最低限の荷物であるボディバッグの他は置いて行こう。

「――ええ、あっついけどノウブルのペースで。
 足手まといになっては意味が無いもの、がんばってついて行くから。」

作成を依頼している防具はまだなので、問題のレザースーツ着用。
滝のような汗を拭い拭い水袋をあおって、タオルを濡らし「凍れー」と話しかけるのは魔術。
パキパキ音を立てるそれを首に巻いての熱中症対策。
ノウブルにも「やる?」とジャスチャーしながら、周囲を見回すのはそういえば水場は近くかなと。

「…盾、くらい持ってた方が良いのかもね。」

武具といえば大腿の大ぶりなナイフくらい。
魔術師故の軽装だが、ノウブルの装備を見てなんとなくそう思った。
今回は無いので、軽装で申し訳ない気すらするが、荷物が出来たら持てるわよと身軽な仕草。

ノウブル > 「――――相変わらず暑そうだな。
広い泉が近くに在る、必要なら使うと良い。
他にも小さな泉は幾つか見かけた、水には困らん筈だ。」

(此れで、雨でも降れば、また温度も下がって違うのだろうが
暑くて仕方ないという、そも、今回の狩りに女が付いてきた原因たる
其の全身防具を眺め見ては、適度に休憩は取れと付け足そう
そして――手にしていた弓を、女へと向けて差し出す

己が使うのではなく、女が使う為のモノだと、そう示せば。)

「森の中で、慣れぬ盾など身動きが取れん。
射った事が無くとも、無いよりはマシだろう。」

(そも、魔術師で在る女に盾役なぞを求めはしまい。
女自身が身を護る為だと言うなら、寧ろ身軽で居た方が良いと
水袋の氷冷については、自分の分は必要無いと首を横に振りつつ。)

「問題が無いなら、行くぞ。
荷物持ちが増えるだけでも十分だ、普段なら嵩張って諦める素材も在る。」

(きっと、女が良しと言う頃に、森へと向けて再び足を踏み出すのだろう
既に、野営地の位置は森の奥、周囲は自然に囲まれた場所
其処彼処に鳥や小動物の気配が在るだろう)。

シンディ・オーネ > 「…汲んで来る。」

水汲みしてきますと言って、何度か促されれば倒れる方が迷惑かけるなと小休止。
それでも割とすぐに戻ってくるだろう。

弓を手渡されると、それこそ付け焼刃ではと首を傾げるが、射た事がないわけではなく預かっておく。

「…弓を構えて引いて狙ってる暇があったら私は魔術を撃てる。
 けど、声が出るから狩りには向かないわね。
 矢が勿体ないレベルだと思うけど使った事はある。ありがとう。」

わざわざの気遣いに少しバツ悪そうにするのは、やはり自分のフィールドではないという自覚。
荷物持ちをがんばろうと、やはり追従する姿勢で歩き出す。

「…肉が欲しいならまだしも、皮や角とかが目当てってなると、難しいわね。
 突き飛ばすくらいじゃ死ななそうだし、大きな傷もつけたくない、焼いたりなんて論外でしょう?
 向かって来てくれるならチャンスもあるけど、獣の足で一目散に逃げられたら二発目のチャンスなんてそう無さそうだし。」

魔術を編むとしてどのような構成が良いのか。
シンプルに石礫で頭部強打、あるいは雷撃などどうかなと考え…
頑丈そうなブーツが、がさわしゃぱきりと森を踏みしめていく。

ノウブル > 「其の方が良い
先に言って置くが…無理はするな
無理をしなければ為らん時に、困るからな。」

(元より、女に狩りの戦力を期待して居る訳では無い
弓や罠と言った技術が在るならば感心だが、恐らくそうでは無いだろう
だが、其れでも女には、己に無い魔術と言う技能が在る
弓矢を持たせたのは、護身の手段を増やす為だ。)

「――――……だが、其れも使い方次第だ。
声の魔術がどんな物かを詳しく知らないが…出来るだけ短い詠唱で
目くらましになる様なモノは有るか?」

(例えば、閃光。 或いは麻痺、足止め、等等
一瞬でも構わない、隙を作る事が出来る魔術が在るなら
恐らくそれが、己が狩りに於いて最も有効だろう

そして、其れは女の扱う魔術が具体的に、どの様な性質を持つのか知る為でも在る
相方として組む以上、女の其れを良く知らぬ、ではこの先済まされぬ
森の中を、獣道を探しながら先導するように進みつつ、言葉を交わす事暫し
女の立てる音で、警戒心の強い小動物が逃げて行く気配を其処彼処に感じる中

――ふと、森の奥の方で、自分達とは違う気配が
其れも、比較的大きな気配が走り回るのを、振動と、そして音で感知出来ると同時
掲げた右腕が女へと、止まる様に促す筈だ)。

シンディ・オーネ > 割と負けん気が強く意地っ張りであるが、理解力が無いわけではない。
…しかし無理をしなければならない時と聞くと、そういう事もあるのかと意外そうに頷いた。
ノウブルが狩るのは、一般的な獣だけではないと聞いている。
それでなくても野生の中では、人間など容易に追い詰められてしまうのかもしれないが。
こちらが狩人とはいえ一方的な強者ではないのだろうなと思い、少し足取りも慎重になった。

「目くらまし… 光が良いわね、煙なんかも良いけど、とにかく私の魔術は声が媒体。
 私が理想と思う現実を強烈に妄想して、声の届く範囲で、声を発している間だけ具現化する。
 だから煙での目くらましになると、くらましてる間中ノンブレスで発生し続けないといけない。
 あとは、目元に砂撒きや音なんかもおススメよ。
 薬物系は、私がイメージできない。けど痺れさせるなら雷撃や冷気かしら。
 足止めだと、相手の足元をぬかるみに『変えたり』するのは難しい。
 既にあるものを変えるんじゃなくて、油撒いたり、尖った砂利を転がしたりになるわね。
 動く相手の脚に縄を巻く、みたいなピンポイントの具体性も無理だわ。
 …そうそう、人体にも明るくないの。だから治療は期待しないで。」

ノウブルに準備がいるが、爆音一つでヒトならば悶絶させられるのだと
得意気に語るときには魔女らしい傲慢さがちらりと覗く。
が、すぐに「私が魔術で出来る事は時間をかけるか用意があれば誰にでも出来るのよ」と肩をすくめた。
特に、治療と口にする時には出来るはずの事が出来ないコンプレックスのようなトーン。

――足元にこそ注意するがお喋りしてしまっては、当たりの気配を散らしていくのは止まらないか。
本人は気付けないようで、木漏れ日の中を草いきれに深呼吸していたりする。

が、さすがに振動を伝えるほどの音は知覚し、制されるまま動きを止めた。これは何だと問いたいが口も噤む。