2019/06/26 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/草原?」に幻鏡の迷宮さんが現れました。
■幻鏡の迷宮 > ――…此処はメグメール自然地帯に存在する草原の筈だった。
付近の村からも近く、理由はわからないがモンスターもあまりでず、比較的安全な場所でありながら薬草の類が群生している草原であった筈なのだ。
今朝まで、若しかしたら昼頃まで、暖かな風が吹く穏やかな草原地帯であった筈なのだが、それが陽が沈み、月が昇り始めた頃には薄らと淡く霧が広がり、新緑の草達は霧に覆われ、その中にポツポツと紫色の花のつぼみが混じったかと思えば、数時間たたずに現在の状況である。
淡雪の様に薄らと霧が積もり、夜空から降り注ぐ月明かりを浴びて瑞々しくも毒々しい花の蕾を揺らす花々が乱れ群生している一見して美しい光景である、草原。
だがその毒々しい紫色の蕾達は見た目どおり妖しく、怪しく、風もないのに時折蕾を揺らし、迷い人の訪れを待ちわびている様な姿を見せて、その蕾を開き、花咲かせる時の訪れに蕾を膨らませたまま、期待を膨らませている。
毒花
有り触れた形、有り触れた花、と見たものを錯覚させる怪しげな花達は迷宮が新たな形として迷宮を形成する為に生み出した花々である。
今宵は誰か迷い込んでくるだろうか、毒花は待っている。
人の腿に届く程の背丈の高い茎と花から、人の足首程度の高さの花までまだらにまばらに揺れながら……待っている。
■幻鏡の迷宮 > 新緑に混じる毒々しい紫色が最早色合いが逆転し、一面紫色の背中の中でポツポツと新緑が見える、そんな不思議な光景にありながら、幾ら蕾の状態だとはいえ全く花の香りも草木の香りもしない、異常な領域となっている。
薄く積もる霧の中、しゃがんで草を摘んで匂いを嗅げば、確かに泥と草の香りがするだろう、なのに立ち上がると全く匂いは消えてしまう――コレは匂いがないのではなく、毒々しい村際色の花が周辺の匂いを吸収しているためである。
その毒々しい紫色の蕾をもつ花の特性に気がつけば、それはそれで非常に価値がある筈なのだが、果たして気がつくものがいるだろうか。
そうしている内に、その無臭の世界から音が消え、コレだけの緑を前にして虫の鳴声一つない、気配すらない迷宮特有の空間へと日常が自然溢れる草原が浸蝕されていくだろう。
その紫色の花々の蕾揺れる領域に踏み込んだ途端に、そう、音も匂いも瞬間的に消えて、それと同時に侵入者は紫色の世界に踏み込んだ者は一瞬腰が砕けそうになる程の怖気を付与され、迷宮に挑戦者として迎え入れられる事となる。