2019/06/08 のログ
ルシアン > 「あー、それはいいや…なんか碌なことにならなさそうな予感がするし。
 …それはレンガを蹴っ飛ばしたルビィが悪い」

何となく、だけど。彼女の悪戯ぶりはもうよく理解している。…過剰反応かもしれないけども。
おかげでまた渋い顔になる青年で。すっかり、彼女のおえらい通り、なのかもしれない。

「独り占め、ね…どうしようかなー?」

ふふっ、と小さく笑いつつもちょっと意地悪な調子の声。
眼をそらしてしまった彼女の横顔を見つつ、少しだけからかうように。

「せめて水気くらいは拭いておいて?…って…え?
 あ…えーと……その」

ちょっとした悪戯の積もりでもあった、タオルの事。
こんな所でも強気でからかってくるような彼女に反撃、のつもりだったのだけど…
帰ってきた声の調子が、思いのほか弱弱しい物で。
予想と違えば、思わず動揺してしまったりする。ぱっとタオルから手を離して。

外套を受け取れば、言われたとおりに暖炉の傍へ。一晩も置けば十分乾くはず。
自分のマントも脱ぎ、その隣へ。シャツとズボン抱け、飾りのない格好。

「ええと…此処で一晩、休むつもりだけど…ルビィはその、大丈夫?」

少女の隣に腰を下ろす。暖炉の火を見ながら、ぽそりとそんな事を。
…何処か若干歯切れが悪い口調になってしまうのだけど。

ルビィ・ガレット > 「――吸血鬼と関わって、まともなことがあるわけないでしょうに。そもそも」

紅茶色の目を細め、遠くのものを見るような目つきで彼を見た。
女の表情は、呆れ顔にも見えるし、笑っているように見えなくもない。
そんな、微妙な表情。

「満更でもない癖に――『気が向いたら殺されてもいい』なんて言うやつは、
 心がどこか空ろなのよ。……私に求められて、悪い気はしていないんでしょう、ルシアン」

からかうような声を遮るようにして、女の一方的な言葉が通っていく。
彼のほうをまっすぐ見ながら、冗談の色のない表情で。

「……こういうの、なんて言うんだっけ。
 俗っぽい言い方で――ああ、そうだ。『ヘタレ』って言うんだよね?」

タオルで濡れた箇所を拭いながら、まるでひとり言のような調子で言い出す。
最終的には彼のほうを見て、彼女曰く"俗っぽい言い方"で彼を表現した。
……悪戯っ子みたいに笑いながら。弱った姿を見せたかと思ったら、すぐにこれだ。

「外套、ありがとう。……大丈夫って?
 ――大丈夫に決まっているじゃない。私がベッドで、あなたが床で寝るんだから。
 眠りにつくまでそんなに苦労しないと思うけど?」

体からある程度水気を抜けば、お礼を言いながら彼にタオルを返した。
暖炉前に座っていたら、彼が隣に。彼の視線を合わせないままの言葉に、
女が小さく笑ったかと思えば……。

明らかに論点をずらしてのいらえ。

ルシアン > 「でも、まあ…悪いことばかりじゃないのも知ってるし、ね?」

何とも微妙な表情の彼女に、のほほんとした笑顔。
こういう事を本音で言えたりする青年なのだ。種族どうこう、という事に、ハードルは低い。
もちろん、軽んじるわけでもない。互いの違いは尊重し、その上で受け入れる。そんな事が身につく環境に居るだけの話。

「そういうもんかなー…あんまり、自覚は無いんだけどさ。
 それに、『気が向く』のも相当先になると思うし?
 そんなのにのんびり付き合ってくれるんだから、まんざらじゃ無いのはルビィの方だったりして?」

一寸だけ視線を外し、少し上向くように考え込みつつ。
虚ろな気持ち、という訳でも無い…と自分では思うのだけど。それでも、そうみられるような言動はあったかも。
いつも通りのからかう調子…とは少し違った響き。あえて、少し軽く答えてみる。

・・・のだけども。次の言葉は、流石に少々カチンと来たらしい。
ぴきっと音がするような具合に笑顔が固まってしまったり。

「……ふーん。ルビィはそういう事言うんだ?
 良く知ってるじゃないか。えらいえらい。…だけど、僕はそういうのとは違うからね?」

何だか妙にわざとらしく明るい調子。笑顔も、何だか硬い。
タオルは受け取るのだけど、何か企むような雰囲気で彼女を見つめ…。
そのまま、差し出してきた腕を取って、此方へ引き寄せてしまおうか、なんて。

「…あのね。そういう事、男の前であんまり言わない方がいいよ?
 何されるか分かったもんじゃない…こんな事とかさ」

彼女の髪に手を伸ばし、まだ少し水気の残るだろうしっとりした手触りに軽く触れてみる。
…それでも、嫌がるようなら離してしまうのだろうけど。その辺り、彼女の指摘はあながち外れでもない、のかも。

ルビィ・ガレット > 「……距離を置こうと、あえて突き放そうとしているのに――なぜ。あなた、は」

そこまで言うと、言葉に詰まる。
薄い表情の中に、さまざまな感情が行き交っている。

「……私が殺人衝動を恥じていることを知らないくせに。
 ――毎日、誰かを殺したいって言うのはね、つまり、欲情しているってことなのよ」

唐突な言葉。内容は彼女の内面に深く迫るもの。

「種族柄なのか、私個人の"何か"なのか。……自分でもよくわからない。
 ただ、殺意と性欲が連動しているのは確か。……私は、あなたなんかに執着したくない」

端的な言葉の羅列。彼がどう受け取るか。齟齬は生じないだろうか。
頭の片隅でそんなことを心配しながらも、言うのを止められなかった。
胸のうちを晒すことに何の意味があるのか。……わからない。気づいたらしていた。

「……臆病なのは確かでしょう」

彼の妙に明るい調子に対して、こちらは真顔だった。
あのまま軽い調子で彼をからかってもよかったのだが、心の中にまったくないものは、
本来、言語化もされないのだ。……ということは。

引き寄せられ、髪に触れられれば「んっ……」と甘い声が漏れた。
くすぐったそうに小さく肩を震わせる。やや熱っぽい吐息を漏らすと、
上目遣いに彼を見た。……紅茶色の双眸は細められ、少し潤んでいる。

「あの時、なんで額にしたの? ……唇でもよかったのに」

唐突に、キスの話。
気弱そうな、まるで困ったような笑みを浮かべれば。
……そのまま目を閉じる。

ルシアン > 軽口をたたきながら…不意に、彼女の中から溢れてくるような言葉。
それに静かに聞き入っている。

殺人衝動―――物騒な言動は確かに良く知っている事。
それと連動する感情がある事は、初めて知った事だけど。
倒錯している、と言えばいいのか…流石に、少しだけ驚いた表情を浮かべて。

「…吸血鬼なら、血を吸う衝動と…性的な事が繋がったりすることもある、なんてのは聞いた事があるね。
 吸う側も、吸われた側も。…個体差はあるみたいだけどさ。ルビィのも、そういう事に近いのかも?
 執着って…どういう事さ。それこそ、都合のいいおもちゃにするつもりなら…問題はないんじゃないの?」

自分の持つ知識も照らしつつ、考えながら言葉を紡いでいく。
否定することも無く、受け止めるようにゆっくり、静かに返事をしていく。

「そう、かもね。でも…僕だって男ではあるんだよ?
 そういうことを言われると、引き下がったりしたら沽券に係わる…そういう事だってあるんだから」
 
誰かと触れ合う時に、一線を引きがちなのは自覚している。
臆病と言われても仕方ないのだけど、それ以上に譲れない物もあるわけで。
・・・抱き寄せた彼女の柔らかい感覚。暖炉が近いという事もあるのか、温かさは先日よりも互いに伝わるはず。
そっと、手触りのいい髪を漉くようにふれながら。

「あの時は、ね。……今は…違うから」

出来るだけ、平静を保とう…そんな気持ちは、少女の潤む瞳を見て、揺らいでしまって。
腕の中に居る彼女へと、ねだられるように囁かれて…閉じられた瞳に、背中を押されたのか。
―――そっと顔を近づけ、柔らかな唇を奪ってしまおうと。
ついばむ様に重ね、2度、3度と…。

ルビィ・ガレット > 「……月に一度か二度、血を吸うだけで事足りるのよ。
 ストレスに晒されると本能的な欲求が過度に強化される場合も、あることは知ってる。
 ――だけど、毎日はおかしいでしょう。品がない。自慰をしてもだめ。

 先月、娼婦を10人殺してみたけどダメだった。殺人で性欲は治まらない。
 ……それも、そっか。――狂っている自分自身に欲情しているのだから」

沈痛な面持ちで、"適切な"食事量を告げる。
自己嫌悪を示す言葉。人だろうが魔物だろうが、そんな自分を許せないと言う言葉。
彼の言葉とかみ合っていない返答。自分のペースで話すと、申し訳ないがこうなってしまう。

文脈や話す時系列が、本当に気ままになってしまうというか……。
そして、異常性の極みを示す端的な言葉。まるで"異常"こそがアイデンティティーとでも
言いたげな。……女は妖艶に笑っている。心が追い詰められ、昂ぶって、行くところまで行ったらしい。

「………私が何回、あなたに対して、好意を遠まわしに表現してきたと思うの。
 ――執着って、そういうことに決まっているでしょう………」

やっと、なんとか。彼の言葉をまともに拾って応える。
浮かない表情で、だが。

「臆病なのは生き残るための生存本能だから、それはそれでいいの。
 ……嫌なのは、焦れったいからよ。――私、あなたにめちゃくちゃにされたいのに」

静かな、それでいて芯のある声。いつもみたいにからかう様子はない。
ありていに、胸のうちを口にしている。強がりやおどけ、誤魔化しなどを取り払うと、
彼女の場合……言葉に静謐が宿るらしい。根は真面目で暗く、冷静なんだろうか。

ただ、遅れて気づく。――いくら本心とは言え、結構、凄まじいことを言った事実に。
時間差でうつむき、顔を赤くする。

「んっ。……ん、ふぅ……」

鼻から抜ける甘い声。彼の腕の中、口付けで力が抜けていく。
上体を彼に預けるように……前倒し。

ルシアン > 「僕は…ルビィ自身ではないから、その衝動がどれだけの物かは分からない。
 …でも自分が嫌になるような物は、辛いよね。
 
 人の命を奪う、それが何かの代わりでしかない、というなら…それは、悲しいよ。
 代替が出来ないなら、直接解消するしかない…とは思うんだけど…ね」

彼女も、苦しんでいるのだろう。切実な言葉に、一つ一つ言葉を選びながら。
…彼自身の倫理観は、今はひとまず置いておくことにしたらしい。
凄惨な内容ではあるけれど、それを語る彼女の表情に魅入られてしまったかのように、目を離せない。

「それは……とても、嬉しい事…なんだけど。
 ……ああ、もう。そんなの、僕も同じなんだけどな!そういう事は、こっちから言いたかったのに!」

彼女からの思わぬ言葉。思わず、一瞬あっけに取られてしまう。
次いで…くしゃくしゃ、自分の頭を掻きながら。堰を切ったように零れだす言葉。

「ルビィ。そんな事を、男と二人きりの時に言うなんて…覚悟はできてるんだよね?
 …それも、君に惚れてる相手の前で言うんだから、何されたって文句は言えないんだからな…?」

まっすぐに彼女の瞳を見ながら。感情が高ぶっているのか、頬には熱が上がっていて。
挑発するような彼女の言葉が呼び水ではあるのだろうけど、想いの丈をぶつけるように、やや強い調子の言葉。
うつむいてしまった彼女の顔。顎に手をやり、少し力を込めて此方を向かせる。

「…ん…っ。ちゅ…ん……っ……!」

脱力し、此方へと体を預ける彼女をしっかり抱き寄せ支えつつ。
繰り返し唇を重ね、少しずつ口づけを深くする。互いの舌が触れ、くすぐり、絡み合わせようと。
 

ルビィ・ガレット > 「――一応、依頼ではあったのよ。……複数からの。人からも、人外からも。
 それで計、10人になった。……殺すのは愉しかったわよ――そのために、傷ついて、落ち込みもするわ。
 だって……理性を残していないと、狂えないでしょう?

 有限だからこそ、命を徒費する――その愉しさが、あなたにはわからない?」

昏い表情から、じわじわと一転。……上擦り気味になる声音。喜色を孕んだ顔色。
狂気を解放することの快感が、今ここにある。彼が慮る、彼女の痛む心情とて、
"狂うための"土台。……おかしくなるために「自分は異常なのだ」と嘆く、常軌の逸し。

なんとなくわかっていた。血筋は関係ないのだと――これは、「個人的な問題」なのだと。
彼に問いかける言葉は、命の侮辱と思われても仕方なく。……だが、さらけ出す。
……こんな自分を知った上で受け入れて欲しい、そんな欲があるから。

「……よく言うよ。私、ちょっとだけ期待して待っていたのに。
 ルシアンがのらりくらりとかわしてきたんじゃない。たまに、私が発破をかけていたのに。
 
 ――ヘタレ!」

しまいには、無邪気な笑顔で禁句を口にした。

「……さ、さっきまで覚悟がなかった人が言える言葉? それ。
 ――文句は言うよ! このヘタレ!!」

勢いで罵倒するような調子で、三回目の禁句を発する。
自分が胸のうちを打ち明けてから、彼も正直になってきた気がして。
むしろ、感謝されたかった。きっかけを作った自分に。

……とは言え、内心たじろいでいる。あの時は不可解だった熱が、今は甘美だ。
体の奥からほとばしる熱に、心地よい酩酊感を覚える。気が遠のきそうだった。
それを彼が許してくれない。――余所見をさせてくれない。

「る、ルシア――ンっ……私、初めてっ、だから……。
 か、加減して……っ? ん、ちゅっ……ふぅ、んんっ」

主語が曖昧。彼の腕の中、息絶え絶えになりながらも辛うじて抗議して。
その割には、彼の背中にちゃんと腕を回し、絡みつかせている。
長年、抗ってきた熱情に心身を委ねつつあるダンピール。

ルシアン > 「今の僕の考えからだと、それを楽しいと思うのは…難しいね。
 だから、ルビィがどんなことを考えて、どんなことを思っているのか…もっとよく知りたい。
 …有限だからこそ、命は…意味を持たないと。どんなモノであっても。今は、そう思ってる」

コロコロと表情の変わる彼女の姿。半ば、狂気めいている…実際、その域にあるのかもしれない。
それに対して返す言葉は、彼自身の持つ感情そのもの。
知りたい。この、目の前にいる彼女の事を。もっと。もっと…。
肯定するにも否定するにも、そこから。

「それは…っ!こんなに、出会ってすぐにお互いそういう気持ちにとか…
 ……ああもう!わかったよ!アプローチされてたのも分かってたさ!こっちだって、最初に会った時からそう思ってたんだから!」

ゴニョゴニョ、口ごもってしまいそうになるけども…やっぱり背中を押されたのは彼女の口から飛び出た禁句。
半ばヤケっぱち、真っ赤になってしまいながらもようやく本音を口にした。
…実際、ヘタレと称されてもやむなしである。

「それはさっきまでの話。もう、御免なさいって言っても許してなんかあげないから。
 …二度とその台詞、言えないようにしてやる」

にーっこり、それはもう明るく楽しげな、何か吹っ切れたような笑顔。
そう、とっても素直になったのだ。彼女のおかげで。
勿論、彼女の気持ちが分かった事の喜びもある。曲がりなりにもこちらも伝えられたことも。
…お互いの不器用さのせいか、それが若干行き過ぎた所もあって…入れてはいけないスイッチを入れてしまった、のかもしれないけども。

「……ん…ぷぁ、っ…。ルビィだって、そんな事言ってて…初めて、なの?
 これだけ煽っておいて、加減なんてできるわけ…っ―――――」

熱に浮かされたような、ぼぅっとしてきた意識の中でも甘くて熱いモノが頭の中をぐるぐる回る感覚。
それと、重ねる唇と抱き寄せた彼女の身体の柔らかさははっきりとして。

青年自身は、色事の経験は無いわけではないのだけど…それでも、慣れてるとは言い難くて。
だけど、可愛らしく反応を返す彼女にはどうしても主導権を取ろうと、キスにも熱がこもって。

ルビィ・ガレット > 【継続。以降、ROM禁部屋にて】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルシアンさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルビィ・ガレットさんが去りました。