2019/06/07 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルルーサさんが現れました。
ルルーサ > 「ふん、この程度の相手、長槍を抜くまでもないわ。」

鼻を鳴らして山賊を追い散らすのは、一人の女。
ソロ冒険者である槍使い。その方面では有名ではないが無名でもないといったレベルの女だ。

魔法も使え、槍も自在に操り、それでいて群れることを好まない勝気な性格。
そして、自信過剰に見えて、自分なりの勝ち筋、勝算がある戦いしか挑まない、慎重な足取り。

名声を極端に高めることもせず、それでいて名前は静かに知れ渡る、そんな冒険者だ。
まあ、男性相手に割とつんけんとする辺りもまた名前と共に知られているのだけれど。

「………さて、まあ、これで根城は壊滅ね。」

街道から大きく離れた山のふもと。
森に作られた山賊のキャンプから全員たたき出したところだ。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にアクラさんが現れました。
アクラ > 「…なんだこいつら。」

何かから逃げてきたであろう男達を見やる
見た目からして恐らく山賊なのだろう
魔物でも出たのかと尋ねる為逃げる山賊の内一人を捕まえる

「ちょっと待つんだぞ、何から逃げてるんだ?」

親切なのか変な女に襲われたんだと叫び去っていく山賊
ありがとなーと手を振り見送り…いいアイデアを思いつく

「山賊の住処ならお宝が有るかもな!」

臨時収入に心を躍らせながら山賊たちが逃げてきた方へ歩き出す
その内見えてくるだろうと

ルルーサ > 「焼き払ってもいいけれど、まあ、あるもの全部持ち帰ったら懲りるでしょうね。
 それに、バレてる住処に拘るほど馬鹿でもないでしょ。」

呟きながら、袋にごっそりと戦利品を詰め込む。
まあ、重すぎる巨大な斧とかは置いておくけれど。

「……その上でカギを壊して、塀を倒して、と。」

山賊の根城をきっちり効率的に、すべてではなく局部的に壊し終われば、やってきた相手を早めに視界に捉えて、目を細くして槍を構える。

「………誰。 ここは元山賊の根城、真っ当な場所じゃないから安全ではないわよ。」

アクラ > 「おったから、おったから♪」

ルンルン気分でやってきたキャンプには見るも無残な元キャンプ
そして大きな袋…おそらくお宝を詰め込んだ袋を持った女が一人
あれが山賊の言っていたやばい女、だろう

「私はアクラだ。山賊達のお宝を探しに来たんだぞ!」

と、もう一度キャンプを見るが…やっぱり何も残ってなさそうだ
いいなぁと女の持つ袋を見つめる
奪ってしまおうか…と邪な事を考えたり

ルルーサ > 「残念だったわね、一足お先にもらっておいたわ。
 でもまあ、こういうものは早いもの勝ちでしょう?」

無邪気そうな相手に、ふん、と鼻で笑いながら少しばかり胸を張る。
どんな相手か分からなくても、基本的にマウントを取っていく。
彼女は人としては割と小さいのだ。

「お宝にしても、特にいいものは無かったわよ。
 まあ、報酬の足しくらいにはなるでしょうけれど。
 わざわざそれを目当てに来るほどでもないわよ。」

と、偉そうにしながらも相手をフォローする。

アクラ > 「うーん、それもそうだな…」

早い者勝ちと言われれば頷くしかない
襲うのは諦め…ると思ったが何だか斧みたいなのが見える
袋に入りきらなかったのかと換金目的に拾いに行く
売れば少しはお金になるだろう

「報酬……そう言えば忘れてた。
なぁお前、この辺りでドラゴン見なかったか?
飛べない蜥蜴みたいな奴。」

亜竜討伐の依頼を受けていたのを思い出し尋ねてみる
この辺りに居るらしいのだがまだ見つけていないのだ

「探し回ってみたけどまだ見つけられてないんだ。
見てたら教えてほしいぞ!」

そう言って黒の瞳が女を見上げた

ルルーサ > 「そうでしょうそうでしょう。」

えっへんと胸を張って威張りながら、槍をしまい。

「………ドラゴン?
 うーん、流石に見ていないわね。 ドラゴンがそんなに良く見える場所にいるなら、山賊も根城を作ったりしないでしょうよ。

 大方、山賊が近寄らない様に流した噂じゃない?
 もしくは、この山の上とかじゃないかしら。」

ここが山のふもとだったことを思い出せば、思いついたかのようにそうやってつぶやき。
流石にそれがうろついているなら、依頼の報酬はちょっと安すぎる。

噂が本当だったら報酬の上積みを依頼しよう、なんて考えつつ、周囲を見回して。

アクラ > 「山の上か、分かった。
嘘だったら私も報酬貰えないし見つけないとだめなんだ。」

じっと山の頂上付近を見る
あっちの方に色のなら探さなければと斧を肩に担ぐ
ずっと引きずっていると刃毀れして買い取り額が安くなってしまう

「ちょっと呼んでみるか。」

スゥ、と息を吸い込み甲高い声…咆哮を放つ
狼の遠吠えにも近いその音は遠く山の方にも響いていく
すなわち隣に居るルルーサにとっては騒音以外の何物でもないだろう

ルルーサ > …………っ!?

叫び声に、思わず顔を顰めて耳を塞ぐ。
何この子、と一瞬思うけれど、それはそれ。
まずはこの音をやり過ごさなければならない。

「……ちょ、っと。
 大声を出すなら出すって言いなさいよ。
 終わった後だからよかったけど、そんな声出したらどんな奴がやってくるかわかったもんじゃない。

 ただ者ではないんでしょうけど、迷惑考えなさいよね。」

耳が痛い。押さえながらくらんくらんと少しだけ視界が揺れていて。

アクラ > 「あぁ、悪かったぞ。
山中探すのは面倒だからちょっと工夫してみたのだ!」

と、頂上付近から木々をなぎ倒しながら何かがこちらに一直線にやってくる

「お、居たみたいだぞ!しかもあの勢いは雄っぽいな。
馬鹿な奴、賢いドラゴンじゃないな。」

報酬がやってくると上機嫌に声を上げる
因みに、先程の声は発情期の雌のドラゴンの声を真似たもの
山に住み着いた亜竜はそれに釣られて全力で向かってきていた

ルルーサ > 「工夫も何も、そういうのって他人がかかわるところではやらないもんなんだけど。」

舌打ちをする。考え無しに呼び出されたからには、やらざるを得ない。
この手の竜ならば退治したこともまあ無いことは無い。
おかげで名前に箔はついたが。

「……ちっ。」

舌打ち交じりに槍を取り出して、ぐるんと回転させて長槍を振るう。
魔力が籠れがごう、っと僅かに炎まで出しながら、迫ってくる巨大な竜に相対し。

アクラ > 「そうなのか?
ふむ…今度から気を付けないとな。」

巻き込まれた者の事など一切考えてなかったので素直に頷き反省
亜竜はと言えば2人を視界に捉えてはいるが雌竜はどこだと周囲を見回している
かなり本能に忠実だ

「逃げないと言う事はそこそこ強いんだろ?
手伝ってくれたらステーキを分けてやるぞ!」

よいしょ、と斧を少し離れた場所に置く
ルルーサへと補助魔法をかけてこぶしを握る
一方、人など簡単に丸のみに出来そうなサイズの亜竜はまだ雌竜を探していた

ルルーサ > 「冗談!」

ステーキでは割に合わないわ、と口にしながら、二本の長槍のうち1本を思い切り投擲し、そこから角度を変えて、今度は鱗の隙間を狙うように槍で貫こうと突進する。

「この、っ!」

がつん、っと弾かれつつ、素早いステップで視界から消える。
能力的には、可もなく不可もなく。

悪くは無いが、英雄にはなれぬ程度の力。

アクラ > 「む、本当に分けてやるぞ!一枚だけな!」

嘘など言うものかと憤慨する
そういう意味ではないとは気付かない

「そこだー!行くのだー!」

鱗に弾かれたが槍に気をとられた亜竜は既に移動したルルーサを見失う
アクラはと言えば…

「んー…馬鹿だしすぐにやりそうだな。」

補助魔法をルルーサにかけながら亜竜を観察している
タイミングを待っているのだがそのせいで亜竜のヘイトは全てルルーサに集中してしまう

「頑張れー!もうすぐだぞー!」

なのでこちらも魔法と声援を送る
本人は真面目に応援しているつもりだ

怒り心頭の亜竜は尻尾で薙ぎ払い爪で切り裂こうとしたりしてくる
どれも単調な動きだが何分動きが速く力も人間とは

ルルーサ > 「ざけんな、って、のっ!」

相手の攻撃を避けて、避けて。
スケルトンやら、生半可な訓練しか受けていない山賊、野生の獣くらいがちょうどいい相手だ。
まさかドラゴンと相対するとは思っていなかった。
本当に相対するのであれば、衝撃に耐える術を丁寧にチェインに編み込むのだが。
それくらいやっても、マトモに一対一ではかなわない。

「………がっ!?」

尻尾で薙ぎ払われれば、軽い羽のように吹っ飛んで、木の幹に叩きつけられ、口から血を吐く。
ぐしゃり、っと強烈な音が響き渡って。
それでも、次の爪の一撃だけは何とか避ける。
せき込みながらも足を動かし、攻撃を避け。次第に追い詰められていく。

アクラ > 「ふざけてなーい!」

本気も本気なのに何で信じてくれないのか
まぁそれは後でいいかとまた補助に徹する
亜竜も攻撃がやっと一発当たったがそれでも倒れない相手に業を煮やし咆哮を放つ
先程のアクラよりも何倍も大きな咆哮
相手を怯ませるには十分なのだが…

「やっと叫んだな馬鹿め!」

大口を開けた亜竜の口に向けて駆ける
咆哮の最中亜竜に近付きその口の中へと飛び込んでいく
亜竜も突然口の中に入って来たアクラを吐き出そうとするが…そのまま胃の中へと飲み込まれていく

そして、その直後に亜竜は狂ったように暴れ出し地面にのたうち回る

ルルーサ > 「……説明くらい、しろっての。」

ごほ、ごほ、っと血が混じった咳をしながら、膝から崩れてその場に倒れ伏す。
死への恐怖から何とか動けていたが、限界はとうに超えて。
竜の一撃をまともに受けて生きていられるだけ、割と真っ当な冒険者としては上級ではあるが。

「……………やっぱり、ただ者じゃあなかった、か。」

ひゅう、ひゅう、と細い吐息を漏らしながら、竜が倒れていく様を見つめて。

アクラ > 「ぷはっ…やっぱり臭い!」

亜竜の口元から血濡れの姿ではい出てくる
内側から身体の中を引き裂かれた亜竜は苦悶の表情で息絶えた

「お疲れさまだぞ。痛いの飛んでけしてやるから頑張れ。」

ルルーサにの腹部に手を当て活性と治癒の魔法を使う
痛いの痛いのとんでけー…とブツブツ唱えるがこれも立派な詠唱だ。
多分……

「亜竜でもこれでドラゴンハンターだな。受付の女もびっくりするぞきっと!」

ギルドで無理だ無理だと何度も言われたのでこれを見せつけてやるのだ
そう意気込み竜の死体を眺める

ルルーサ > 「………うるさい、わね。
 大丈夫よ、治癒くらいはなんとか自分でできるから……」

こほ、っともう一度血を吐きながら顔を拭って、ち、っと舌打ちを一つ。

「………呼ぶのは本当に、もう少し考えなさいよね。
 下手な奴なら、もう死んでるわよ。」

瀕死の状態だけれども、何とか立ち上がれば、袋をがしゃりと抱えて。

アクラ > 「無理するな。本当に危ないかどうか位は分かるぞ。
帰りに山賊に襲われたらどうする。」

待て、と手を掴む
あの血の量だと内臓も傷ついているかもしれない

「それについては本当にすまなかったぞ。
強いお前が居て助かったのだ、だから無事に帰る手伝い位はするぞ。」

瀕死の状態で重い荷物等負担でしかない
せめて治療はしてから帰れと引き留める
それでも止まらなければ…大人しく諦める

ルルーサ > 「何とかするわよ。治癒くらいはするっての。」

手を掴まれれば、よろりと足取りがふらついて。
奔放な奴、と目を細めるも、まあ、悪意が無いことが分かれば足は止める。

「ふん、……今さら褒めたって何にも出ないわよ。
 じゃあ、治療が終わるまで見張りでもしててもらうわ。」

相手の言葉にちら、と目線を向けて。
……ため息をつきつつも、木陰に腰を下ろし、目を閉じる。
防御スーツが無ければミンチだったわ、なんて与太を思い浮かべつつも、自らの身体を治療する。

アクラ > 「じゃぁそれをしてから帰るんだぞ。その間は見張ってるぞ!」

少し前まで竜が暴れていた場所に野生の動物は来るはずもなく
魔物さえも近付くことは無いだろう
有るとすれば山賊が戻ってくることだが…竜を仕留めた血濡れの自分が居るのだ
何もしなくても威圧になる筈だ

「そう言えばお前は何て名前なのだ?
名前を聞く前だったしな、教えてほしいぞ。」

コツコツと竜の鱗を叩きながら再度

ルルーサ > 「………ルルーサ。別に覚えなくてもいいわ。
 バッチリ勝った後なら堂々と名乗れたんだけどさ。」

ちぇ、っと舌打ち。基本的に名前を売る仕事だ。
無様に負けた姿は、たとえ何が相手でも見せたいものではないわけで。

少しだけ悔しそうにするのだ。

「………もう走るくらいはできるわ。
 戦うのは無理だけど、まあ、真っ直ぐ逃げればなんとでもなるでしょう。」

立ち上がる。治療にも体力をつかうのか、汗だくの姿で。

アクラ > 「ルルーサだな。ちゃんと覚えるぞ、手伝ってくれたんだからな。」

ルルーサが無様に負けたとは思っていない
竜相手に1人で立ち回って見せたのだから当然だ
それに、その状況を作ったのは自分なのだ
寧ろしっかりヘイトを集めてくれたのでアクラの中ではかなり評価が高い

「そうか、なら一緒に帰るぞ。
こいつを引きずっていくからゆっくり歩いてほしいな。」

自分に補助魔法をかけ、竜の尻尾を掴む
最初に拾った斧は…竜の口に突っ込んでおく
街に運べば間違いなくお金になる

「肉は美味しく食べられるからな。約束通りステーキをご馳走するぞ」

ルルーサ > 「ったく。」

嫌味か、と頭では思う。彼女は基本、人間が小さい。
だからこそ、しっかり言葉にしないため伝わらない。
悪意のないことは分かっているが、だからこそ「おとりにはなった」としかとらえられずに。

「敵がいなけりゃな。
 何か出たら、走って帰るからな。」

ため息交じりに呟きながら、首を横に振って。
街への帰り道が、遠く感じられた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルルーサさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からアクラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルシアンさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルビィ・ガレットさんが現れました。
ルシアン > 「……ついてないな」

ぼそり、と呟きつつ恨めし気に空を見上げる青年。
今日も今日とて獲物を探して、森へと繰り出してみたのはいいものの。
街を出たころには暑いくらいに晴れ渡っていたのに、次第にお空の機嫌が悪くなり。
仕舞にはぽつぽつと、そしてそこからは音がするほどに降り始めて。

もちろん、雨の対策はあるにはある。マントのフードを被っていればしのぐことも出来るのだけど。
それでも、どうしても獲物を見つける機会は減る。
やむなく、近場の森の中へと雨を避けつつ逃げ込んできた。

「しばらく止みそうにないな…どうしたもんかな」

木々の中ならばあまつゆはそれなりにしのげる。それでも、葉を叩く音はかなりのもので。
もう少しマシな場所でも無かったものか…と。

「……こっちに何かあったっけ?」

うろ覚え。だけど確か、割と近場に古い小屋があったような。
どの程度でも此処よりは良いはず。そんな記憶を頼りに、其方へと足を進めていく。

ルビィ・ガレット > 「……ちっ」

雨の森の中、誰も聞き咎めることもないだろうから。露骨に舌打ち。
それも不機嫌そうに。……種族の関係上、ハーフとは言え夜目は利くほうだ。
しかし、さすがに夜で雨、森の中……となると。分が悪い。

「今日は諦めるか……」

野生のジリス、別名フリッカーテイルを、森で見つけて連れ帰る予定だった。
地上で暮らすリスをジリスという。シマリスなどと比べれば大きいし、
見た目も愛らしい。……甲高い、金属のような警告音は全然かわいくないが。

「うちの庭で飼おうと思っていたのに」

もう、今日は達成できないだろうことを愚痴りながら、森の中を歩く。
転移魔法の魔法円を描くにしても、雨や風のない落ちついた場所で行いたい。
どこか適当な場所はないか……探っていると、遠目に小屋らしきものが見え――、

「誰」

それと同時に、人の気配。小屋を目指すのを後回しに立ち止まった。

ルシアン > すっかり日も落ち、夜の闇が森を包む。
夜目は効くとは言え、夜の森の中で一人で過ごすのは流石にいささか心細い。
まして、火を起こすこともやりにくいのだから。
何とか少しでも安心できる場所を…そんな事を考え、歩いていく。

木立の向こうに小屋の影が見えた。あそこまで行けば、そんな油断をしたのかもしれない。
不意に投げられた言葉に驚いたように、びくっと身を震わせ辺りを伺った。

「…っ!? 誰だっ」

手にした杖を両手で構える。弓は流石に暗い森の中では使えない。
目を細め、闇をすかすようにして声の主を探す。
警戒するよう、鋭く誰何の声を掛けるのだけど…。

「……え?」

闇の中で見つけた人影。その姿と、先ほどの声。
ふと、引っかかるもの。目をぱちぱち瞬かせ、よくよく相手を伺おうとしつつ。

「……ひょっとして…ルビィ?」

ルビィ・ガレット > こんな状況で出会う他人なんて、警戒するに越したことはない。
先手の意味、牽制の意味も込めて、自分から声を発したのだけれど……。
――いらえの声に、聞き覚えがあるような。

何て応えようか。考えているうちに、自分の名前が向こうから出てくる。
内心、驚きつつも、少しもそれを出さないで、

「……その間抜け面はルシアン?」

こんな時にも憎まれ口を叩いておく。
視線の照準を相手に合わせたところで、遅れて彼だと気づいた。
どうりで、聞き覚えのある声のはずだ。

彼のほうへ歩み寄る。
ちなみに、彼は間抜け面なんかしていない。
急に見知った顔が出てきて、動揺して……なんだか照れくさかったので。

そしたら、咄嗟に出てきた言葉だった。
本人はそれを1ミリも表に出すまいと、薄い笑みをまとっているが。

ルシアン > 先日、出会った女性との再会。全く予想外の場所だったこともあり、とても驚いて。
つい、軽く早足で其方へと向かってしまう…のだけど。

「……………。元気そうで何よりだね、ルビィ?」

早々に投げられた生意気な言葉に、むぅっと少々不機嫌そうに眉を寄せて。
とは言え、この女性がこういう事をあいさつ代わりに言うタイプだとは、何となくわかってきているのだけど。
見間違えでも何でもない保証みたいなものである。

「まさかこんな所で会うなんてね…ひょっとして、そっちも雨宿りの場所探し?
 ここじゃびしょ濡れになるだけだし、早く入ろう?」

何か言い返してやろうかな、なんて考えもするのだけど、それよりまた強くなりだした雨脚に我に返って。
少女もきっと同じ目的だろうと決めつけつつ、慌てて小屋の方へと手招きを。
ドアを見つければ、多少立て付けの悪いそれを思い切り引っ張り開けて中に入るよう促す。
続けて青年も中へと。小屋の中は少々埃っぽいけれど、さっぱりと乾いていて居心地は悪くないはず…で。

ルビィ・ガレット > お互いに、手を伸ばせば届く距離。
彼の表情の移り変わりを間近で見て、より一層、笑みを深くした。

「まぁね。……何か言いかけてない?」

人の心中をわざわざ放って置かないのがこの女だ。
彼のやや不機嫌そうな顔を見れた時点で満足すればいいものを。

「……そうね。――っ、急ぎましょうか」

彼の言葉に頷く。「目的が雨宿り」と、「早くしよう」という二つについて。
促されれば遠慮せず、自分から先に小屋内に入り。
小屋の半ば程まで進むと、彼のほうを振り返った。

「吸血鬼と二人きりは怖い?」

笑顔で聞く。

ルシアン > 「言いたい事は色々あるけど、いい。…言うだけルビィが喜びそうだし」

むすーっと、年甲斐もなく不貞腐れたような表情。
まあ左程根に持ったりすることも無いのだが。むしろ反応すればするほど調子に乗るタイプだろうし。
…此処までで十分相手を喜ばせてる可能性は気づいていないらしい。

「ちょっと待ってて、今火を起こすから。濡れたままじゃ風邪ひいちゃう。
 …あ、火は大丈夫?時々、苦手だったりする人もいるみたいだけど」

彼女が中へと入れば戸を閉め、辺りを見渡して一息つく。
壁際に暖炉があるのを見つければ、声を掛けつつ小屋の裏手へ回る。
その辺りから薪を探してくれば、手際よく並べて火をつけ始める。この辺り、屋外の活動は手馴れていて。

次の言葉には、え?と一瞬不思議そうに。
次いで、ああ!と何か納得したような顔。

「んー…怖いよ、って言ってほしかった?
 実は、そんなにでもないかな。…吸血鬼とか、そういう人たちには少し縁があってさ」

屈託なく笑う。――彼の今、厄介になっている場所は、色々な種族の集まっている場所で。
その中に、彼女にも近しい子も居たりする。並の人間よりは、理解しているつもりであって。

「それに、まあ…ルビィなら、大丈夫かな、とか」

ぽそり、と小声で。丁度、暖炉に火が入って。
暖かな気配が次第に部屋に満ちてくる。こっちに来て?なんて暖炉の前へ手招きを。

ルビィ・ガレット > 「あら。……それは残念」

ニコニコ笑いながら、これ以上は追求しない。
少しも残念そうではなかった。むしろ、機嫌が良さそうで。
彼の表情を変えることに成功したことが、思いのほか嬉しく。

「ナントカは風邪引かないって言うけれど――ともかく、あたしは平気」

さらりとまた失礼なことを言ったところで、薪や火付けは彼に任し、
小屋内をなんとなしに見回す。簡素な木製の椅子やテーブルがあった。
あと、目立つものと言えば、彼が先ほど見つけてくれた暖炉に……、

一人用のベッドか。部屋の隅のほうに置かれている。
埃を被っているようだ。もし使うなら、軽くそれを払っておきたいものだが。
……火付けの作業をしている彼にお礼を言えば。

「……からかいたかっただけ。――なーんだ」

彼の笑顔から視線をつい……と逸らす。少し、拗ねたように。
そう見せようとしているだけで、気分は別に害していない。
とは言え、彼から面白い反応を引き出せなかったのは、いささか残念だった。

「小さな声でよく聞こえなかったんだけど……」

嘘である。室内には二人きりだし、雨風の音はあるものの、多少は防音されている。
どちらにせよ耳はいいほうだ。小声で言うことなんか、面と向かって言いにくいことが多いだろう。
それを踏まえた上で、聞こえない振り。……薄っすら浮かぶ笑み。

「ありがとう」

再度、礼を言う。火が付き、手招きされればそれに従い。
暖炉前で外套を脱ぐ。顔……白い肌に濡れた髪がひと房、張り付いていた。

ルシアン > 何だかすっかりペースを相手に握られてるな、なんて気分にはなるのだけど。
それでも、なぜか上機嫌な彼女の様子を見れば、まあいいか、なんて。
困ったような感じの苦笑い。まあ、悪い気分ではないのだけど。

「高い所が好きな人が何か言ってる…。ん、なら良かった。
 しばらく止みそうにないし、今夜は此処で一晩過ごすのが無難かなぁ…」

 お返し、というように返すのは初めての出会いの時の事。
 無事に火が付き、勢いを大きくして安定した所で窓の外を見れば、まだまだ降り続く様子にうんざりした顔。
 
 数日とは言わず、一晩くらいなら。何とでもなるだろう。寝具なんかもあるわけだし。
 しばらく間が空いているのかやや埃っぽいのにも気づく。荷物を寝台の横に置くついでに、パンパンと払ってみて。

「…なんだか、ルビィには会うたびにそんな感じでからかわれてる感じがするなぁ。
 まあいいんだけどさ。…そんなにからかいがいがあるのかな、僕は」

構ってくれているのは嬉しいことではあるのだけど。
年頃の女性である。すっかり、掌の上のような気もして何となく気になってしまうのも仕方がなくて。

「え?あー…まぁ、その。……ふふ、いいえ、どういたしまして?」

聞こえてたかー、何て内心ちょっと慌ててしまって。
最初の出会いは少々剣呑な物だったけど、今はすっかりそういう気持ちは無くなっている。
穏やかそうな笑みに、ふと見とれてしまいそうになるのだけど。

雨のしずくが滴る女性の髪。荷物の中を探れば、乾いたタオルなんかを取り出して。
はい、と手渡ししてみる。

「良ければ、これ。使って?あー…それから、もう少し、そっちに行っても良い…かな…?」

濡れた身体がちょっと冷えてきた。それを温めるため、とか言い訳しつつ。
少しだけ、お互いの距離を詰めてみたり。

ルビィ・ガレット > 「高いところにいただけで、『好き』とは言ってなかったでしょう。
 ……普通、挑発されても、呼ばれても。3階建ての家の、屋根上まで来ないわよ。
 
 ……………。そうね」

出会いがしらのことを話題にされれば、こちらもそれを使って返す。
彼が物好きだったのか、あの時は気まぐれだったのか。
本当に自分のところまで登ってくるとは思わなかった。……嬉しかったけれど。

彼女も目線を窓へ移すものの、どこか上の空。

だいぶ間があってから、短くそう応え。――考え事をしていた。
転移魔法で帰れなくもないが、行き来の慣れた場所でないと無理だ。
それに。……他人に魔法を使うところ、魔法円を見られることに抵抗があって。

ぼんやり考え事をしながら、自分も荷を彼が置いたそばへ移動させる。

「からかいがいがあると言うか。
 ……私はあなたのこと、『都合のいいおもちゃ』にしたいだけよ?」

綺麗に笑う。……彼女がこういう"整った"表情をする時は、何か本心を隠している時だ。
隠し蔽いたいものがある時ほど、女は笑ったり、気丈に振る舞ったりする傾向がある。
彼はそれに気づくだろうか。

「私は冷えても風邪引かないんだけど……。
 それに、私のそばに来ても――」

差し出されたタオルを前に、受け取るか悩む。
距離を詰められても逃げはしない。ただ、元より低体温の自分に
彼が近寄ったところで、かえって熱を失うのでは……と。疑問に思った。

「寂しいの?」

からかうような笑み。

ルシアン > 「あははっ…そりゃそうだ。あれでも結構、昇るの大変だったんだよ?
 そんなの、そんな場所に居るそっちが悪い。

 ん…どうしたの?ここだと、何か不味いかい?」

初顔合わせは、色々と印象に残る出来事が多かった。下手をすればその前に死んでたかもしれない訳で。
何が何でも顔を見て一言言ってやろう、なんて軽く意地になったのが今の繋がりになったのだから、分からないもので。

何か考え込む彼女の様子に、軽く首を傾げる。
困りごとでもあるのだろうか、なんて事は想像するのだけど。

「おもちゃ扱い、はちょっと嫌かな。
 …もう少し、何とかならない?それに都合のいい、とは思わないで欲しいし…
 思い通りに動くような相手より、そういう相手の方がルビィにはいいかなって」

澄ましたような笑顔は見ていてどきりとするようなものなのだけど、何処か作為的なものを感じたりも。
騙す、誤魔化す、隠す…そういうのは、何となく察せられるのは「血筋」のおかげかもしれない。
それでも深い所までわかるかどうかは。少し考えつつ、じっと顔を見つめて返事をして。

「……………そういうのじゃないし」

寂しいのか、と言われれば思わず頬に熱が上がって。
誤魔化すつもりなのかぶっきらぼうな調子の声。まだ手に持っていたタオルを開き、ばさりと彼女の頭の上にかけてやったり。
いっそこのままくしゃくしゃ拭いてやろうかなんて。
流石に嫌がれば其処まではしないけれど、髪を濡らす水気くらいは取れるはず。
・・・ついでに、また少し距離が近くなったりするのだけど。

ルビィ・ガレット > 「そういえば、少し息切らしていたっけ。……今から"ちゃんと"労ってあげよっか?
 ――じゃあ、レンガの破片がぶつかったのは、ルシアンがあんなところを歩いていたのがいけないのよね?

 ……あ、うぅん。なんでもない」

笑顔で意味ありげに言うのだが、実は内容そのものはまったく考えていない。
彼から面白い反応を引き出せそうな言葉がこれだったのだ。
お返しとばかりに乱暴な理屈を口にするが、もちろん、本気で言っていない。

普通、工事などの作業中ではない限り、頭上からレンガが降ってくるなど想定しないだろうし。
結局、彼と一晩ここで過ごすことを決めた彼女は、首を横に振った。簡潔な言葉を添えて。

「………手元に置いて、独り占めしたくなっただけよ」

僅かに彼から目線を逸らしながら、静かな声で言った。
先ほどの「都合のいいおもちゃ」とは、だいぶ意味が違う言葉。
言葉の真意は定かではないが、彼女なりに本心を端的に晒してみせたわけで。

「そういうのじゃないなら、どういうの――きゃっ。ちょっと……!!」

調子に乗って追求しようとしたところ、反撃を喰らう。
フードや外套で髪全体を覆っていたが、濡れることを免れなかった場所もあって。
タオルを宛がわれると髪の水気が引いていく。……しかし。

「じ、自分でやるから。……いい。離して」

彼の拭く手に、自分の冷えた白い手を添える。
恥ずかしそうな、語気の弱い声。

外套の下に着ていたのは、ブラウスにビスチェ、丈の長いスカート。
森に来た目的が比較的易しかったから、いつもより武装の度合いは低く。
彼からタオルを奪い取れば、代わりに自分の濡れた外套を手渡して。

「暖炉の前に置いといて――あ、燃えない距離で」

押し付けた。