2018/03/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にギィギさんが現れました。
ギィギ > ここはメグメール(喜びヶ原)と呼ばれる自然地帯にあるごく有り触れた草原地帯である。
疎らに生える人よりも大きく太い巨木とそれと対照的に低い人間の膝くらいの高さまでしか伸びていない名も無き草花達。

今宵はそんな草花の生える草原地帯の傍を流れる小さな小川に問題が発生していた。

人が入れば膝が濡れるか濡れないか程度の浅い小川。
水の流れが急なわけでも、肉食の魚が泳いでいる訳でもない――だが今宵は小動物すら水を飲みに来る気配は無い。
それどころか普段であれば光を放つ子虫や水辺に寄る獲物を喰らう虫を見かける事はあるが、それも寄らぬ異様な光景をが広がっているのだった。

原因はひとつ。
今宵流れるのは清涼な水に混じるのは薄ら紫色の身体を持ったギィギと呼ばれるスライムである。
それが川の水に紛れて水辺に寄る獲物を掴まえようとしているのを感覚の鋭い虫や動物は察知して近づかない、普段であれば人間たちも飲料水として使う綺麗な水であるのに獣1匹近づきはしない……。

こぽ、こぽこぽこぽこぽ……こぽ………

小川の水面には不自然なほど大きく膨らんでは爆ぜる気泡。
それが割れるたびに川の流れに煽られて桃の果実を思わせる薄く甘い香りが小川の川べりに広がっていく。
おいで、おいで、と、川の水は甘いぞ、と……近づく者を川の中に誘うように……。

ギィギ > 川の流れに逆らえる程に力は無く、飢餓状態のギィギは流されるがままであったが、飢餓状態と言うのは更なる進化をスライムに求めたか、ギィギは次第に流れる川の水を体に取り込み始め、身体はより透明に硝子よりも尚透き通った色合いへと変化を始めた。

どろり、どろりとした身体は水分を大量に含み始めた事で弾力を得、水の色に同化を始めた身体は流れる水に紛れ姿を捉える事は難しいだろう。

以前であれば今宵のように降り注ぐ月明かりを粘液が弾いてキラキラと輝いていたが、その粘液は流され川の水に混じり、小川自体がとろりとした粘度を得始め、一層異様な光景に拍車が掛かる。

川縁に漂う薄ら甘い香りも水に紛れて香りは消えて、其処にあるのは何時もと同じように静かに流れ行く小川で。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からギィギさんが去りました。