2018/02/09 のログ
カーレル > 「なに、家の傍で焚き火してる人間がいれば俺だって一言くらいかけるからな…
 アンタが悪いわけではないさ」

慌てた様子の彼女の言葉に首を横に振る
この森を住処としている者がいた事は自分も予想外だったが別に彼女が悪いわけではない

「カーレル・シュトラウド
 親しい友人は「カレ」と呼ぶがまあ好きにしてくれ。王都で何でも屋をしている
 金になるのであれば頼まれればなんでもやる。『殺し』以外はな…」

どうぞ、と言われれば遠慮はしない
パンとベーコンを手に取り、肉とパンに合いそうな果物を取り、パンに挟むようにして齧り付く
何の肉かは判らないが、味は悪くない…そもそも、それ程、食い物に対してこだわりはない

「ん…どうだかな、人が入ればそれだけトラブルも起きそうなもんだが…」

狩人や冒険者が森に増えれば確かに賑やかになるであろうが…
人が増えれば今は予想もできない厄介事が増えるような気もしないでもない
王都なんてのはその最たる例だと思う。王都だって初めから街があったわけではないはずである

「…ありがたい、お誘いだが見ず知らずの男に家の敷居を簡単に跨がせるものじゃないな
 俺は此処で十分、明日も早いしな…迷惑になるだろう、食事も十分貰っているしな」

食べかけのサンドイッチ?のようなものを齧りながら、これで十分、と笑ってみせる

エスタ > 「そう言ってくださると助かります。カーレル様」

ほっとした様子で本当に親切な人だなあ、と癒される。

「はい、私も王都の平民地区で、たまに吟遊詩人として、歌わせてもらっております。その時は、どうぞ、よしなに……」

おいしそうに食べる様子に穏やかな気持ちになりながら。
人と食卓を囲むのはどれほど久しぶりか。

「はい、地図にも書きましたが、森の奥地は、本当に危険なのです……ですが、行ってしまう人も、多いのでしょうね……」

トラブルは心配していたことだ。自分自身に危険が及ぶかもしれない。それも考える。だがそれ以上に、奥地に踏み込んで死ぬ人が増えるのは好ましくない。だが、なるようにしかならないのだろう。そう諦観する。

「もちろん、私自身の身もあぶないかも、しれませんが……
しかし、仕方のないことです。それに、ただ一人、誰もいない森の森番は、飽きましたから。ですから、この地図を、あなたに渡します。それが、私の選択です」

この親切な人に心配させないようにとしっかりとした覚悟を見せて。

「はい、さしでがましいことを、もうしわけありません。
では、おやすみなさい。良い夜を……楽しいお話でした。ありがとうございます」

たしかにそこまでしてはおせっかいだったかもしれないと思いなおし、お辞儀をすると、そっと森の奥に消えていく。

カーレル > 「吟遊詩人…そうか、エスタは歌が上手いのか」

俺は点でダメだ、と苦笑を浮かべる
密偵時代、敵地に入り込む際に色々と変装するのだが吟遊詩人にだけは化けることが出来なかった
彼女はどんな旋律を奏でるのだろうか…なんせ巨人の血を引くという彼女だ、聞いたこともない
歌や話を聞かせ語るのではないだろうか…と少し興味が湧く

「そればかりはな…まあ、エスタが気に病んでも仕方のないことだ、気にするな
 こんなご時世だ、自分の身にだけ気をつけてば良いと俺なんかは思うがね」

未踏の地、となれば冒険者辺りがこぞって脚を運びそうな気がする
奥地で犠牲になるものに森番の彼女が心を痛めるのは理解できないではないけれど
仕方のないことだと思う。気休め程度にしかならないだろうが、気にするな、と肩を竦める

「助かる…何もこの地図で死人ばかりが増えるわけではないしな
 逆に助かる者だっているのではないか…?」

危険だ、とわかっていればきっとそこへ近づかない人間だって増えるはずなのである
懐へしまった地図をぽんぽん、とコートの上から軽く叩き、しっかり組合に伝えるさ、と笑ってみせ

「いや、気持ちだけでもありがたいよ
 おやすみ、エスタ…また王都に訪ねてくる事があれば教えてくれ、礼もしたい」

最後までしっかりとお辞儀をする彼女にやはり笑ってしまう
自分の知る巨人の血を引くものが粗暴な男であったから余計にだったかもしれない
彼女が去ってしまえば、暗い森に取り残されて少し寂しい気もする
そうして、朝まで焚き火を絶やさぬように寝ずの番をし、夜も明けきらぬうちに王都へ向かい森を後にした――――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエスタさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からカーレルさんが去りました。