2017/12/03 のログ
■エリミア > 「お?やった!」
だんだんと大きくなる軋む音と傾きに、少女が少しずつ手ごたえを感じてきて、込める力を増やしていく。
触手を出すだけでも魔力を使うのだから、これで倒れてくれなければ困ると言うもの。
そして、ついには折れる音と共に木が完全に傾き、倒れ込んでくる。
「…ふえ?わぁぁぁ!?」
無論、自分の方に引いていたのだから、少女の方に倒れてくるのは自明の理である。
眼前に近づく木に絡みついた触手のせいで逃げられないとあれば、瞬時に片腕が戦闘態勢の鎧に包まれ、唸る拳が枯れ木の幹を叩き折っていく。
「って、あー!壊したらダメじゃん!」
全力で拳を振り抜いた後で、少女はそこでもはや大きめの薪にしかならない木の残骸に頭を抱える。
触手の維持と戦闘形態の魔力、その両方を費やして生まれたのがこの薪だけだった。
少女はしょんぼりとしながら薪を集め、一晩灯を絶やさずに夜を越す羽目になったのだった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からエリミアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/滝壺近くの草原」にハクさんが現れました。
■ハク > 「はっ!せい、とうっ!!」
時間は昼過ぎ、太陽が中天を過ぎて半分ほど傾いた頃。
人気のない草原で、銀髪の狐娘が刀を振るい修練を行っている。
すでに1時間を超えて刀を振り続けており、額から汗も迸って周囲の足の低い草に雫を散らして。
「たぁっ!!……ふぅ、ようやくこの体にも、慣れてきたでござるなぁ」
本来であれば魔族の呪いにより肉体成長が行えない体であるが、この国で出会えた術士より教えてもらった『内気功』という技により一時的に呪いをごまかし本来の年齢の姿になることができた。
筋力などは順当に成長できた時のものになるようだが、如何せん急成長により自分の体をうまく扱えない。
だからこそ、こうして初級冒険者用のキャンプにきて体を動かしていたのだった。
「いやぁ、しかしこう……こうなると、呪いの完全除去も頑張らねばならないでござるが……ひとまずは、効果時間の延長から、でござるなぁ」
しかし、呪いのごまかしには制限がある。今のところはまだ、3時間までしかこの姿を保つ事はできない。
それを超えるとひどく体が衰弱し、ともすれば気絶までしてしまう。
だからこそ朝から時間を図り、3時間やって元の幼少の姿で精神修練を行い、そしてまた再び大人の姿で剣を奮っているのだ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/滝壺近くの草原」にワルセイ・イダーヤさんが現れました。
■ハク > 「うまく使えば……うう、むっ?」
少々悩む素振りをし、独り言をつぶやいた後に再び刀を振る。袈裟懸けから横薙ぎに払い、胴体が泳いだ瞬間――
ぽん、と肉体が呪いで固定化された幼女の姿に戻る。
そうなれば身長が大きく縮み、先程まで頭のあった空間には何もなくなり。そのままぐるん、と体を回転させながら切り上げる挙動をすると、同時に……再び大人の肉体に戻る。
「んぐ、フェイント、にも使えるかと思ったでござるが……これ、体に痛みが出る、でござるな……」
振り上げた姿のまま動きをとめ。ため息をつきながら刀を下ろす。同時に背中をそらし胸を揺らしながら、腰をとんとんと叩いて。
■ワルセイ・イダーヤ > (自然地帯の滝。そこで採れる貴重な薬草を求め、滝へと向かう川を行く青年貴族…な見た目の、実年齢は80の老貴族。)
ふぅ……ふぅ……あ、あと、すこし……!
(この季節、冷たい川の水にさらされながら、必死で泳ぎ…薬となる貴重な苔に向かえば…川内で足を滑らせ)
うおぉ!
(そしてそのまま滝から滝つぼへと………ざっばーん!)
ぐおおおおおおお!
(体を激痛が走るが…魔術で衝撃を抑えギリギリ大けがは避けて)
や、やれやれ……年は取りたくない……!
(そう呟きながらも、手には、コケが握られている)
ふぅ、まあ、これが採れれば…うん?
(そして、滝つぼ近くの草原で体を動かす女性を見やれば……)
す、すまぬ。邪魔をしたかな?
(そう言い、冷たい川から上がる、ずぶ濡れの青年貴族……)
わ、悪いのだが…ここの近くの小屋に給湯施設があったであろう…?頼む、湯を沸かしてくれ…!
(そう、恥を忍んで女性に頼んで…ちなみに、女性が幼女になった瞬間は見ては無くて)
■ハク > 「ひゃ!」
背後の滝壺でどぼん、と大きなものが落ちる音をして尾を立てて驚き。ふと後ろを振り返ると……そこまで大きいわけでもない滝壺に、男性が一人溺れて?いるのが見えた。
「いや、ただの修行であったので大丈夫でござるが……確かに、濡れ鼠であれば体調も崩すでござるな。うむ、しばし待つでござるよ」
人と会う予定もなかったため、青い羽織もない体に張り付くタイツ姿。それを見られた羞恥はあるものの、それ以上に低体温になりそうな目の前の男性の容態を心配して小屋へと走る。
「んむむ……」
小屋に入り、小屋の側面に据え付けられた魔道具に体内の魔力を注ぎ込むと、川から引き入れられている小屋横の石で区切られた箇所からすぐに温かい湯気が立ち上る。
「とりあえず、湯にしたでござるー。熱かったり寒かったりするなら調整するので、入ってもらっていいでござるかー?」
魔道具に手を触れたまま、小屋の外、露天風呂になっているその場所にいるであろう男性に声を投げかけて。
■ワルセイ・イダーヤ > (温かい湯気が立てば…これはありがたいとそちらに向かって行って……)
う、うむ。スマヌ。礼を言うぞ。
(そう言えば、ガタガタと震えつつも、ベッタベタになった貴族服を脱ぎ……それなりに鍛えられてはいるが、戦士ほどではない裸体に。)
ふぅ……い、生き返る……
(温かい湯気の立つ湯の中に体を沈めれば…ほっと一息。これで低体温からの風邪は引かないはずだ)
悪いな、女性剣士よ。そなたがいなければ、風邪をひくところであった……
(そう言いつつ、湯の中でまったりとしながら…きちんと、服には生活用魔法である乾燥の魔法を使い、乾かしていって……)
しかし、そなたの剣は東方の剣か?こちらの物とはずいぶんと違った趣がある。
(そう少女の剣について触れながら…体力回復)
俺はワルセイという。そなたの名前、一応教えてくれるか?女性剣士呼ばわりは失礼なうえ長いからな。
(そう、名を聞いて…)
■ハク > 「濡れた服を乾かすために、後で火熾しはしないといけないでござるが……まぁ、いい湯加減であるのならば一先ず心配はなくなったでござるな」
外の青年貴族風の男性の落ち着くような声をきけば、魔道具の温度設定を固定にして外に出て、露天風呂の側に向かう。
一瞬男性の裸体に視線を向け――
(……特に、何か悪巧みでも考えてやってきた者、ではなさそうでござるな)
簡単にではあるものの動きの癖などから武闘派といったタイプではないと考えて彼が身を沈めた場所の隣に腰掛ける。
「おっと、乾燥の魔法が使えるのでござるか。であれば火熾しは今は不要にござるな……」
そこで男性が濡れた服を乾燥させるのを見れば、実に羨ましい事だと狐尾を揺らしつつその手を見て。
続いて問いかけられれば、ふむ、と首をかしげ。
「うむ、東方の国の出、でござる。ワルセイ殿でござるな。それがしは、ハクと申す者。しばしの間であるが、よろしく頼むにござる」
ぺこりと軽く頭を下げて簡単な自己紹介をした。
■ワルセイ・イダーヤ > ハクか。確か東方の言葉で、白を意味していたよな。なるほど、そなたの髪色と尾の色に似合った名ではないか。
(そう相手の名を褒めつつ、じっくりと温まり……)
ふむ、温かい湯を提供してくれた礼をしなければならぬが…あいにく、貴族とはいえ今そなたに与えられるものはないのだ。
(そうすまなそうに言いつつ……ふと、何かを思いつき、蛇のメダルのネックレスを握れば、数匹の蛇が草むらから出てきて…)
たしかこの辺りに、「アリンの実」が生っていたはずだ。とってこい。
(そう蛇に命じれば、蛇たちは草むらへ消えて…そしてワルセイは湯から上がり、自身にも乾燥の魔法をかけ、服を着て…)
さて、俺の後湯で悪いが…そなたも入るか?運動の後の湯はいいものだぞ?
(そう湯を勧め…はっとし)
ああ、無論そんなことはせぬが、俺がいるのに入り辛いのは当たり前だな。よし。
(そう言って、懐から長いハンカチを取り出し、自身の目に巻いて、見えないように)
これで安心して入れるであろう?
(そう言って、向こうを向いて…)
■ハク > 「む、国元の方の言語に造詣がお有りでござるか?いや珍しいでござるな」
この国で名前の意味を理解された経験は同じ東国方面出身の人間にしかいない。
目の前の明らかにこちらの国の貴族風の男性に言われた経験はないので、驚きつつも嬉しそうに笑みを浮かべ。
「ん、礼には及ばぬでござるよ。袖振り合うも他生の縁……ともまぁ、少し違うにござるが。おぬしがただ不幸にあった時、それがしが救う事ができたというソレだけの事にござる」
実際、礼を求めての行為ではない。が、相手が礼を払おうと……
何やら見慣れぬ術で蛇を使役する様子には少し驚くが、それを見逃して。
「ふむ?いやまぁ、確かに運動後にはいい湯でござるが……」
続いて湯を進められると、む、と少し悩んで。
確かに湯は気持ちいいのだが、そうなるとまずはこの集気法による変化を解かないといけない。
今こそ大人の姿であるが、子供の姿となった時に妖異の類と思われるのも、という不安に少し眉を潜め。
「……まぁ、そこまでしていただくのであれば」
だが、紳士的にもハンカチを目にまく様子をみせれば首筋の輪に触れ魔力を流し。黒いフィットスーツを消し去ると、内気を止めて元の幼女姿に戻って。
どぷん、とお湯に入るのだった。