2017/08/19 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルーフェンさんが現れました。
ルーフェン > 薬草摘みの少女の背後を農耕馬ほどもある巨大な魔物が息を潜めてついていく
さらにその後ろ、赤く熟した親指ほどの果実を口に放り込みながら魔物に気が付かれぬよう付いていくドラゴン
少女は魔物に付けられていることに気がついてはいないし、魔物もまた背後から付けられていることには
気がついていない様子であった

「…ギリギリのタイミングで飛び出してあの娘の両親から謝礼でももらうかのう」

そんな具合で魔物が少女の前に飛び出すタイミングを図っているのだが、なかなか魔物サイドに動きがない
林檎のような味のする小さな果実を腹八分ほどに食っていたからいい加減眠くなってきた
昼寝でもしたい気分で欠伸を零すと、少女の叫びが森に響く

「出番じゃな…」

かしかし、と頭を掻きながら思い切り大地を踏みしめ今まさに飛びかからんとする魔物と
それに気がついて腰を抜かした少女の間に割って入り、ぱんっ、と魔物の顎を蹴り上げると
長い魔物の体毛を掴み、ひょい、と頭の上に跨った

「うおっ、こやつ頑丈じゃったか」

殺さないように手加減したのが仇となったか
魔物は昏倒することなく、後ろ足を思い切り蹴り上げるようにして跨る自分を振り落とそうとする
それに限らず、魔物は乱入された驚きもあってか、暴れに暴れる…ものすごいスピードで駆け出すと
腰を抜かした薬草摘みの少女がずんずん離れていってしまう

「あぁっ…わしの…謝礼がぁーっ」

此方も振り落とされぬように必死である
体毛を手綱のように扱い、なんとか魔物の動きを御そうとするがなかなか難しい
脚力の強い魔物は森を暴れるように駆け回る、魔物は魔物で頭の上の自分を振り落とそうと必死なのだろう
……森の中を駆け回るうち、何だか愉しくなってきてしまった

ルーフェン > 倒木の下をものすごいスピードで地を這うように魔物が駆ける
すると、当然、頭の上に乗っているから倒木に顔面を強打し、ぱあん、と倒木が砕け後ろに仰け反る

「……うおぅ、一秒くらい気を失っとった」

ぶんぶん、と頭を震えば木屑がぽろぽろと頭から落ちて
未だに少しクラクラとするのだけど、手綱代わりの体毛を右へ左へ、と引きながら
障害物を避けるように魔物を御す
そのうち、騎士と馬が通じ合うように魔物がどう動きたいか、どう動くか判ってきた気がする
……いや、頭を強打したから気のせいかもしれないけれども

「よしっ、あの岩を飛べ」

前方に巨大な岩を見るやいなや、ぐい、と手綱を強く引き、溜めを作ってやれば岩の手前で
魔物が四肢で地面を強く蹴り、岩を飛び越えてみせる
一瞬の浮遊感があって、着地して再び強く地面を蹴れば跳ねるようにまた駆け出していく

「うっ、何か知らぬがこやつ賢い…」

そんな具合に魔物の操縦にも慣れ始めた時であった
森を抜けて一気に丘を駆け上げっていく魔物…丘の天辺までくればその先は、断崖であった
その断崖が目に入ったかと思えば、魔物は突然ブレーキを掛け、予期せぬその動きに反応できず
頭の上に跨っていた身体がぴょーん、と空を舞った。ぶちぶち、というのは手綱代わりにした
魔物の体毛が切れる音

「…おのれ、あやつ賢い」

そうしてびたーん、と地面に叩きつけられるが頑丈なドラゴンの身体は傷つくことなく
ましてや木や枝、茂る葉がクッションになったから尚の事であった
ただ、衣服は蜘蛛の巣やら葉っぱで汚れてしまっているのだけども

ルーフェン > 「まあ、ちょっとおもしろかったから許す」

衣服に付いた葉や蜘蛛の巣を払い身なりを整える
整えると言ってもまあ誰か見ているわけでもないが
ブーツの紐を結び直して、かしかし、と乱れた短髪を軽く掻くようにしながら
何か面白そうなものはないか、と再び森の中を彷徨うのだった

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルーフェンさんが去りました。