2017/05/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタマモさんが現れました。
タマモ > 「………釣れぬ日もあれば、釣れる日もある。
なかなかに、その差が広がる事はあっても、狭まる事は無いものじゃのぅ?」

ぽつりと呟く少女、その姿は河川の畔にあった。
手にした釣竿の先、糸を垂らした水面へと視線を向けている。
その傍らにある、水を張ったタライの中には…何匹もの魚が泳いでいた。
タライの大きさに対し、少々ところ狭し、といった感じかもしれない、それなりの数だ。

と、ぴくん、と釣竿の先が揺れる…少女は釣竿を持つ角度を変え、ゆっくりと、ゆっくりと、引き寄せ始める。
タイミングを見計らい、ぐいっと引き上げれば、糸は強く引っ張られ、掛かった魚が暴れているのだろう、ばしゃばしゃと水面が激しく揺らぐ。

タマモ > 「こうした時があってこその、釣りの醍醐味と言うものじゃな?
ふふんっ、後々が怖い程に調子が良いではないか」

こちらへと手繰り寄せ、再び釣竿を大きく引き上げる。
ばしゃーっと勢いよく魚が飛び出し、それはこちらへと向かい宙を舞い、ぱしっ、と少女はそれを片手で受け止めた。
勢いを殺すように、それを流れるように近くへと下ろす。

「しかし、あれじゃな…食べるにしても、ちと数が多過ぎるのもあるのぅ…」

その手で今度は上から添えるように当てれば、暴れていた魚が急に静かになる。
そのまま、空いた手で魚の口元から伸びた糸をなにやら弄り、ひょいっと釣針を外し出す。
こうして、タライの中の魚は、また一匹増えた。

軽く考える少女、がしっ、とタライを掴むと…

「………せいやーっ!」

掛け声と共に、中の魚を浸した水ごと一気に河川へと放り戻した。

タマモ > 河川の中へと消えていった魚を眺めながら、再び釣竿を手に持つ。
釣針に餌を取り付け、軽く振り、ひゅんっ、と河川へと飛ばす。
ぽちゃん、と水面を叩き沈んでいく餌。
よいせ、と腰を下ろし、釣りを再開するのであった。

「………どうせ、今の調子ならば、もう一度やろうと夕食には十二分に間に合うじゃろう。
きゃっちあんどりりーす、じゃったっけか?」

そんな事を呟きながら、次の魚が掛かるのを、じっと待った。

タマモ > …と、静かな釣りを堪能しているところに、背後からいくつもの足音が聞こえる。
当然、少女の耳はぴくりと動き、それを捉えたのを示していた。
だが、釣りを続ける姿勢は崩さない。
がさりがさりと茂みを掻き分け、少し距離を置いた森林地帯から現れたのは、数匹のオーガの姿だった。
後ろを振り向きもしていないのだ、それらが二足歩行という程度しか分からない。

そんな状況であるのだが、少女にしてみれば、それどころではない。
あれだけ釣れていた魚が、こうした事が起こるまでの間、まったく釣れてなかったのだ。
近付いてくるオーガ達を無視し、視線は垂れた釣り糸をじっと見詰めていた。

タマモ > 近付くオーガ達をよそに、少女は苛立ち始めていた。
それはそうだ、まるで狙っているかのように、夕食としようとした魚が釣れなくなってしまっていたのだから。

「いや、おかしいじゃろ…これはおかしいじゃろ?
なんで急に、こうも釣れなくなってきたんじゃ?ん?」

その呟きと共に、少女の苛立ちを現わすように、何本もの尻尾があらぬ方向へとゆらゆら揺れる。
勘の鋭いものならば、今、近付くのは拙い…それを感じ取れたであろう。
だが、オーガ達には、そんな勘の鋭さは無いようであった。
すぐ近くにまで、少女へと近寄ってきているのだから。

「そうじゃ、きっとそうなのじゃ…」

ことり、と釣竿を石と石の間に軽く固定するように置いた。
その言葉を紡ぎながら、ゆらり、と立ち上がり、視線がオーガ達へとやっと向けられる。

「………お主等が、余計な雑念を振り撒くから、魚達が逃げたのじゃ。
きっとそうじゃ…のぅ?そうは思わぬか?」

どうやら、釣れない理由をオーガ達に丸投げしたような言葉…何とも勝手な話である。
言葉が通じているのやら、通じていないのやら、そんなのは関係ない。
視線だけでなく、体もオーガ達へと向けた少女、その顔には笑顔が浮かんでいた。

タマモ > 「お主等を嬲ったところで、何の可愛げも無いじゃろう。
まぁ、運が無かったと思うておく事じゃな?」

相手が少女一人と思い、油断をしているのだろうか、すぐには襲ってこない。
オーガ達は各々の顔を見合わせるようにし、獲物を持ち直す。
そんな中、少女は言葉を続けていき…それが止まった時、すっと片手がオーガ達の方へと伸ばされた。

「その不幸が、続かぬ事を祈るが良い。
………ほれ、行くぞ?」

すぅっと目を細めると、意識を先に集中する。
その途端、オーガ達の動きがぴたりと止まってしまう。
何事か?そんな感じに動きが取れぬまま、何を言っているのか分からない声を上げるオーガ達。
今度は、その手がゆっくりと上に上げられると…オーガ達の体が、それに合わせて上空へと浮かび始めた。
それは、身長の高さどころか、周りの木々をも越えた上空高くまで上げられ…

「さらばじゃ…そして、二度と妾に近付くでない」

振り払うような手の動き。
上空高く浮いていたオーガ達は、勢いよく投げられたかのように、遠方へと飛んでいった。
運が良ければ、木々に引っ掛かったりして助かるだろう。
運が悪ければ…知った事ではない。
はふん、軽く溜息をつくと、固定していた釣竿を握った。

タマモ > 「まったく…妾も運が無いものじゃ。
楽しめそうな相手ならばともかく、あんな魔物を嬲る趣味は持ち合わせておらぬ」

何か、余計な事を呟いている気がする。
それはともあれ、少女は改めて釣りに集中をし始めた。
邪魔者が消え、静かになった河川周辺。
これならば、今度こそは夕食ぐらいなら釣れるだろう…そう期待しながら。

思い出したように指を振り、浸していた水も撒き散らし、空になったタライへと、河川の水がまるで生き物のようにぬらりぬらりと蠢き寄って行く。
それは、タライ一杯くらいの大きさで収まれば動きは失われ、元の水となった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にメンシス・パールさんが現れました。
メンシス・パール > 「!?」

依頼のためにこの自然地帯の薬草を回収している時にそれは起こった。
本来、飛ぶ能力を持たないオーガが複数、空中を高速で移動をしていた。
そのオーガ達は皆、絶望の表情と悲鳴を挙げ、遠方へと飛んで行った。
…恐らく、アレはオーガが持つ飛行能力などではなく、誰かに吹き飛ばされたのだろう。
それにしてもあのような屈強なオーガをあの距離まで飛ばすとは、一体どれほどの怪力、魔法を使ったのだろうか。

ぼんやりとそんなことを考えながら、目についた薬草をむしり、袋に入れていく。
周囲一帯の薬草を回収すれば、少し歩いて河川へと出る。

こんな所に川があるとは。
水も綺麗に住んでいて魚が多く泳いでいる。
美しい自然の風景に見惚れて周囲を見ていれば、見覚えのある尻尾と耳を携えた女性が目に入る。

「…チッ」

今日は酷くツイていない。
その人物は以前、自分を一方的に嬲った後に姿を消した人物であった。
勝ち目はない、と以前の戦いで既に実力差は理解している。
バレずにこの場をされればいいが…とジリッと少しづつ下がっていく。

タマモ > 「………うん?」

落ち着きを取り戻し、一息付いた頃合にそれは起こった。
新しい足音が、付近に一つしているようだ。
それは、遠目に見ればお互いの姿が見える距離である。
…まぁ、だから何だ、と問われても何とも言えないもので。

先の者達のように邪魔をするならば、排除すればよい。
邪魔をしないのならば、見逃せば良いだろうと、そう考えていた。

メンシス・パール > 「反応が…」

一瞬、足音でこちらの存在がバレたと思った。
が、余り気にしてないのかこちらを見る気配はない。
もしかして…、これは絶好のチャンスかもしれない。

本来はこの機会を逃さずに逃げるのが正解だが
彼自身、彼女に深手を負わされたのが気になっているようだ。
仕返しをしたい。その感情が一時的に彼を支配し、そちらへと歩みの方向を変える。

出来るだけ足音と殺気を殺し、気配を消す。
彼女ならば微弱な足音やほんのわずかな気配でも探知するだろうが
そんなことは彼には分らず、前へと一歩踏み出す。

タマモ > 「ふむ………」

釣竿を握ったまま、軽く思案する。
人がせっかく見逃してやろうと、そう思っていたのだが…その足音は、己への元へと近付き始めていた。
…まぁ、人では無いが。

しかも、急に気配を断ち切り、足音を忍ばせ始めるときたものだ。
明らかに、こちらの不意を突こうとする動きである。
一難去ってまた一難、どうして大人しく釣りをさせてくれないのか。
お陰で、また少々苛立ちが募ってしまう。

他の動きがまだ見られない内にと、その瞳が、うっすらと鈍い輝きを放ち始めた。

メンシス・パール > ジリジリと距離を詰めていく。
彼女自身は既に気付いているだろうが、動く気配はない。
また相手、つまり自分が攻撃するのを待っているのか?

何でもいい。
射程距離内に入ってしまえばこっちのものだ。
必死に殺意と気配、足音を殺して近づいていく。

(…よし!)

彼我の距離が十分に詰められた所で彼女の方へ掌を向ける。
その掌から、轟音と閃光を放ちながら、巨大な雷が彼女に向って発射される。
ジグザグに屈曲しながらも、彼女のいる場所を巻き込む形に、紫電が走る。

タマモ > 「………先の魔物といい、お主といい、そんなに妾の夕食の邪魔をして楽しいか?」

動きの変化が分かれば、不意にゆらりと立ち上がる。
片手に釣竿を握ったまま、確かめるように後ろへと振り返って。

「ただでさえ、急に釣れなくなっ…てえええぇっ!?」

相手が視界に捉えられれば、その思考が視える。
こちらに向かい、同時に放たれる雷。
びくーっ!と肩を跳ねさせ理由も分からない不意打ちに驚きながらも、その姿が次の瞬間には掻き消えた。
消えた後には、何も無い空間を稲妻が襲うだろう。
からんっ…持つ主の無くなった釣竿が、地面に落ちる。

「まったく、何じゃ、お主?
見覚えの無い者のようじゃが…襲う相手を間違えておるのではないか?ん?」

だが、次に聞こえた声は、相手の背後から聞こえてきた。
そちらへと振り向いてみたならば、呆れたような表情を浮かべた少女が、じと目で見上げている事だろう。

メンシス・パール > 放たれた雷電。
それに伴って発生した閃光は一時的に周囲を照らし、轟音は何十kmにも渡って響き渡った。
雷電は彼女の居た空間を走り、その後ろにある木々を何本も倒して地面へと没した。

「ふぅ~…」

雷が触れた部分が高温によって焦げ、煙を出す様子を目で追う。
彼女が居た場所に目を向ければ、跡形もなく消滅した様子にふと疑問が浮上する。
跡形もなく…?
いくら巨大な雷を放ったからといって肉片も残らず消えることなどない。
では、彼女は何処に…

そう考えていれば、背後から声が掛かる。
咄嗟にそちらを振り向けば、呆れたような表情を浮かべたその少女がこちらを見上げていた。

「ッ…!」

何時の間に。
背後に突如として現れたその少女に驚嘆しながら、ぶわっと冷や汗が噴き出す。
この距離、マズイ。逃げるにしても逃げ出そうとする動作を読まれて終わりだ。
どうする。そう考えてながら彼女を見ている内に、あることに気付く。

あれ、こんなに小さかったっけ?
以前、自分が邂逅した九尾の女性はもっと大きかった気がする。
ではこの少女は?…もしかしたら、少女のいう通り襲う相手を間違えたかもしれない。

だとすれば完全にこちらに非がある。
彼女から視線を逸らし、どう謝罪しようかと考える。

タマモ > 己の居た場所から起こる、轟音。
河川は抉れ、その先の木々にもかなりの影響を及ぼしている。
それは、その相手の背後に回った視界の中にしっかりと入っていた。

「ふぅ~…じゃないじゃろう、お主っ!?
あれを見よ!せっかく良い釣り場所じゃった河川が、あんな風になってしもうたではないか!?
しかも、人違いであんなものをぶっ放されて、もし直撃しておったら大怪我ものじゃろうがっ!」

相手がぐるぐると色んな思考を回していれば、それはすべて今は筒抜けだ。
焦りに身動きを取らぬのであるならば、たんっ、と飛び上がった少女の手にした閉じた扇子によって、ぺしーんっ!と頭が叩かれるだろう。
まぁ、うん、痛くはないが。

叩いた後、少女は軽やかに着地をし、再び上目使いに睨み付ける。
見た目は怖くは無いが、見た目で判断はしないで頂きたい。
そして、少女は相手の次の言葉を待つ。

メンシス・パール > 頭の中で渦巻きのようにグルグルと思考をしている時に少女の言葉と扇子による攻撃が襲い掛かって来る。
相手の攻撃に重傷を覚悟したが、いざ攻撃を食らえば綺麗な音が鳴り、無傷の自分がその場に立っていた。
ハッとなって彼女の方に目を向ければ、何か言いたげにこちらを睨みつける少女。
見た目は怖くないが彼女の言わんとしていることはハッキリと理解し、申し訳なさそうに口を開く。

「あの…えっと…すいませんでした」

彼女が求めているであろう謝罪。
まずはそれをしっかりと行い、ぺこりと礼をする。

自分に非がある場合はしっかりと謝罪をするのが彼の学んだ道徳だ。
見た目が九尾と狐耳を携えた少女が相手でもそれは例外ではない。
ただ、第三者にこれを見られたらこの上なく恥ずかしいが。

タマモ > 謝罪を求む視線を向けていれば、意外な程にあっさりと、その言葉が相手から掛かってくる。
瞳から視る相手の思考も、そこは素直に己の過ちを認めているようだ。
それならば、まぁ、少しは許してやっても良いだろう。

「………うむ、分かれば良い。
もし妾でなければ、下手をすればあの世逝きだったんじゃからな?
猛反するが良いのじゃ」

閉じた扇子でとんとんと己の肩を叩きながら、頷いてみせた。
それにしても、自分自身も九尾は一人知っているが…まだ居るとは、一体何人の九尾が居るのやら、である。

「して、お主、こんな場所に何をしに来ておるのじゃ?」

もう大丈夫だろうと、瞳から鈍い輝きは消えていく。
自分はどう見ても釣りに来ているのは一目瞭然なので、こちらは言う必要は無いだろう。
もっとも…それも、今日はもう出来ないのだが。
何せ、見事に釣竿もタライも餌も吹っ飛ばされてしまったのだから。

メンシス・パール > 「あ、あぁ…悪かったよ」

頬を掻いて、彼女の言葉にそう呟く。
彼女の少し偉そうな態度は気になるが、全面的に自分が悪いために口出しすることも出来ず
再度、謝罪をすれば彼女の質問を聞く。

「俺は薬草の回収のためにここにやって来た。
 暫く回収作業を続けてりゃ、数日前に俺に深手を負わせた九尾によく似たお前を見かけてな。
 報復をと思ったんだが……どうやら人違い、もとい狐違いだったようだ。すまない」

彼女に説明しつつ、眉間に皺を寄せて苦い顔をする。
我ながら何という初歩的なミスをしていたのだろうと情けなく感じながら、彼女へ謝罪の言葉を重ねる。
思い出せば、彼女はただ釣りを楽しんでいただけの一般狐だった。
もしや、釣った魚で生計を立てていたのではと考え、申し訳ないことをしたと再確認する。

タマモ > 「素直なのは良い事じゃ、まぁ、ここまでにしておいてやろう」

反省をしているのだ、無駄に責め立てる事も無いだろう。
偉そうな態度はいつもの事、気にしては負けである。
初めて会った相手に、それを理解しろと言うのは難しいが。

「ほほぅ…冒険者でも、薬草集めなんてものをするものなんじゃな。
なるほど、同じ九尾でも無駄に好戦的な者も居るものか…
まさかとは思うが、その時もお主が何かした…ではないんじゃろう?
ともあれ、一度謝罪したものを何度も謝る必要はない。
もう済んだ事じゃ、忘れろとは言わんが、そう悪く考え続けるものでもないじゃろう」

相手の表情を見れば、どうも、無駄に深く考えているように見えた。
終わった事をぐじぐじと引き摺るのは好かないのだ、ぽんぽんと背伸びをして相手の肩を叩いてやる。
もう気にするな、と。

さて、道具も一度作り直さねば、釣りを再開は出来ないだろう。
今日は一旦戻るしか無いか、そう考えて。

メンシス・パール > 「依頼だからな。非力な薬剤師じゃ、こういう森でも危険ってこった。
 それに、数日前に会った九尾は俺の方から手を出したわけじゃないぞ。
 お前の言う通り、無駄に好戦的な九尾だったな。奴は。

 …あぁ、そう言ってくれると気が軽くなる。
 お前が寛容な九尾で助かったよ」

肩をぽんぽんと叩かれれば、先ほどまでの硬く、厳格な表情が少しだけ柔らかくなる。
彼女の言葉を受け止めつつ、少しばかり考察に入る。
この少女も魔族として何百年も過ごしてきたのだろう。
偉そうな態度もだが、やはり実力が違う。

さっきの攻撃。どうやって避けた?
自分には彼女が消えて見えたが…

そう考えている所で彼女の表情を伺う。
何となく考えていることを察すれば、口を開いてある提案をする。

「謝罪…ではないが、もしよかったら釣竿、作ってやろうか?」

タマモ > 「ふむふむ…確かに道理じゃな。
まぁ、妾が前に会った九尾は話の分かる相手じゃったからな、どうなのかと思っただけじゃ。
人間とて、ミレー族とて、魔族とて、色んな者が居るもの。
相手が何だから、こうなのだ、という決め付けはいかんと言う事じゃろう、うむ」

相手の表情が緩まれば、そうそう、それで良い。とにっこりと笑顔で返す。
どんな事を考えているかは、今は分からない。
あんまり小難しい事を考えると、剥げるぞ?とか、言っておく感じだろう。

と、戻ろうと考えたところで、相手からの提案。
それを聞けば、ぴくり、と耳が揺れた。

「ふむ…あれを作るのも、確かに手間じゃからのぅ。
それで気が晴れるならば、作って貰うとしようではないか。
妾が作ったあれも、なかなかに手間じゃったからな」

別に力を使えば、そんな物の一つや二つ、作るのは簡単だ。
だが、自然と共にと考えるならば、やはり手作りにするのが大事…と、自分は勝手にそう考えていた。
それでも、相手からこういう提案が出されたならば、受けるのも悪くはない。
相手の好意は、素直に受けるものである、多分。

「まぁ、それはそれとして…そろそろ、時間も時間じゃ。
夕食をここでと思ったが、魚の他となると、探すのがちと辛そうじゃろう…
という訳で、どこか食えるところに向かう。
どこか、美味しい物が出るところがあれば、案内を頼むのじゃ」

そんな感じに、相手の好意を受けつつも、どこか店を教えるように問う。
行けるのならば、あわよくば、奢って貰ったりも良いだろうと考えながら。
まぁ、どちらにしても、移動はしなければならないだろう。

メンシス・パール > 「あぁ、そうだな…」

やはり、彼女もそれなりに生きてきた身なのだろう。
様々な経験があったであろう彼女の言葉に同意しつつ、ニッコリ笑顔を向けられる。
その笑顔に向け、自分も微笑みを見せる。

「何、こう見えてそれなりに多くの地を渡り歩いた身でね。
 サバイバルの必需品の作り方は大体マスターしている。
 釣竿くらい、爪楊枝を作るのとそう大差はないさ。」

ぴくりと動いた彼女の耳を分かりやすいなどと思いつつ胸を張る。
彼女も自分の提案を受け入れる形のなったので、自信満々にどのような釣竿を作ろうかと思案する。
使い勝手が良くて、彼女の体格に見合うような…等々。

「あぁ、良いだろう。
 美味い麵料理店を知ってるんだ。一緒に行こうか」

彼女の言葉を聞けば、パッと頭に思いついた麺料理に特化した店を思い出す。
そうして彼女を案内する形でそちらへと向かい、奢る形で食事を摂る。
その後は必要な資材を揃え、職人のような手際で釣竿を作成し、彼女へと渡して別れを告げたのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からタマモさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からメンシス・パールさんが去りました。