2017/04/28 のログ
カイン > 何となしに少女の様子から、事情を察せた気がした。
今の少女と進んで組みたいと思う人間は余程のお人よししかおるまい。
しかしながら、その危なっかしさを放っておける程この男は人間が悪い訳でもなかった。
正しくは人間族ではない男ではあるが。

「何事も調べてみなければわからんさ、
 今戻るよりせめて何か調べてもどったほうが充実感も違うだろう?」

改めて手を振るい、炎を動かして周囲を照らし出せば確かに枯れたように見える遺跡。
しかし存外奥の方まで手が入ってないのではなかろうか、という結論を出して腰の剣を軽く叩く。
幸い、安物ながら今の相棒は案外頑丈な作りをしているようで壊れているという事もなさそうだった。
これならば、この遺跡の探索にも十分耐えはするだろう。そう思い直して再度少女に視線を戻せば、
安堵を隠し切れぬ少女の身振りに思わず再び声を上げ笑った。

「ハッハッハ、怪我は確かに痛いが対処しなければならない怪我かどうかは解るさ。
 財産は大事にするに越したことはない、特にカネがない時分は。
 ――そうだな。財貨が見つかればソレの幾分かを貰うとして、
 見つからないときはお嬢ちゃんの体でも貰おうか。それがだめならクッキーで良い」

それならばと、言い返す返答は軽い物だった。つまり基本的に受ける気でいるらしい。
最も、その条件に少女が拒否する道を残してはいるとはいえ少女の体を要求する当たりとんだ助平だが。

ルーテシア > 結局、少女は未熟者であるが故に、足手まといになりかねないから誰にも組んでもらえないのだ。
それこそ、相当なお節介や慈善事業を喜んで引き受けてくれる凄腕の冒険者がいるならば別だが、現実は非情である。
であれば後は、危なっかしいが、それでも一人で冒険をして、痛い目を見ながら成長していくしかない。
今までも罠に引っかかって危うく串刺しになりかけたり、落ちた穴の先でスライムと格闘したり、と着実に、ダメな経験は積んでいる。
しかし、それで冒険者として大成できるのは、いつのことやら、と思うほどに道のりは遠く険しかった。

「ん、そうだね。やらないで後悔するより、やって後悔する方が良いっていうし。
 折角ここまで来てただ戻ってしまったら、ランタンの油を無駄に使っただけになっちゃう」

油もただじゃないんだよなぁ、とランタンを恨めしく見る。
必要経費をざっくりと賄えるような、一人前の冒険者に早くなりたいとは常日頃から思っている。
問題はそこに至るまでの指標も、道筋も、与えられていないこと。当然ながら、師もいない。
だから、男が付いてきてくれるというならば、百人力所の騒ぎではない。心強いにも程がある。
どこか豪快に笑う男。それに釣られて少女も笑みを浮かべて、その後顔が真っ赤に染まった。

「ん、そかそか。私よりも絶対色んな事知ってるだろうから、お節介だったかな。
 お金は大事にするし、勿論見つかったら、半分、なんて言わずにもっと多く持ってってくれていいよ。
 その、あんまり役に立てる自信はないし……って、か、体っ!?え、えぅ、その、それって、そういう、こと、だよね?」

意味していることは分かるが、シスターである母に貞操観念はしっかりと刻まれている。
だから当然、慌てて、困惑して、羞恥に頬を染めながら、貧相な胸元をペタペタと触るのだ。
こんな体を欲しい人がいる、と言うのも驚愕で、自分が純潔だから要望に応えられないというのもあって。

「え、っと……私、まだ、そう言うのしたことない、から……初めては、簡単にあげてはだめって母様も言ってたし。
 だから、その……む、胸をもむとか、そのくらいなら、いい、けど……それじゃ、だめ、かな?」

自分から示せる妥協点は、処女を失わない事のみ。それ以外は、そもそも少女の知識では想定すらできない。
男の助力と己の体、双方を天秤にかけた結論は、処女以外の要望ならば聞く、ということを暗に示すものだった。

カイン > 存外物分かりが良いらしい少女に、少しだけ意外そうな顔をする。
ここまで来るほどの無鉄砲さの持ち主ならもっと頑固者かと思えばむしろ全くの逆だったらしい。
なるほど、これは随分と危なっかしいと自然と肩を竦める感触を感じながらも頷きを返す。
腕前の程が如何程かは知らないが、そこまで強いという風には決して見えない。

「何、その過程で魔物でも出くわしてそれを狩って戦利品になればそれで賄えるだろう。
 骨やら皮やらはそれなりの値段で売れる事が多いからな。お前さん、武器は何を使う?」

何せ倒せる人間が少ないのだから動物の素材よりも出回るのは希少だ。
それだけでそこそこのお金になるというのは、冒険者にとっては救いではあるだろう。
傭兵にとってみれば討伐対象の引き渡しも含めてという場合はあまりおいしい仕事とはなりにくいのだが。

「ほう?勿論、そういう事には違いないがなるほど、
 それが理解できるだけの知識はあるか。母御はちゃんとした教育をしてるのだな」

思わず変な所に感心してしまう。してしまうのだが、続いた言葉には思わず吹き出しかけるのを何とか堪える必要があった。
なるほど、これであれば別に遠慮は不要かと喉を鳴らしながら一歩踏み込めば少女の体を抱き寄せて、
そのまま軽く唇を重ねてしまおうと頭を動かした。

「――交渉成立だな。これは前借って事にしておこうか」

それがうまく行ってもうまく行かなくても、あっさりと引き下がって言い放つ。
少女の頭を軽く撫でるように手を伸ばしながら、クックと喉を鳴らして見せ。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 寂れた遺跡」からルーテシアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 寂れた遺跡」からカインさんが去りました。