2017/04/22 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にカインさんが現れました。
■カイン > ドォンと、甲高い音が唐突に夜空に鳴り響く。
街道から程近い荒地に生えた木に何かが激突し、そしてそのまま圧し折った音だった。
それを成したのは一頭の巨大な4mはあろうかという隻眼の大猪、
対峙するのは剣を一本手にしただけの旅装の男である。
「…こいつはまた、随分大物だ。用意していた罠で足りると良いが」
荒野に出る獣が街道に出没するので困っている。その退治を、という仕事を引き受け、
行きがけの駄賃程度のつもりで訪れた場所で出くわした化け物がコレである。
真横でへし折れ、上半分が後ろに吹っ飛んでいった真新しい切り株を横目に方向転換にまごつく
大猪の横をすり抜けながら剣を振るえば、肩口を切り裂かれ獣血が空を舞う。
怒り狂った獣の嘶きを後ろに聞きながら、荒地を猪と命がけの追走撃という、
人によっては滑稽にも見える状況を演じながらも随分と余裕を見せながら岩場に向かい走りる。
■カイン > 「鬼さんこちら、手の鳴るほう…へっと!」
大猪が方向転換する間に稼いだ時間も、あっという間に潰されてしまう。
根本的な足の速さが違うのだから当たり前ではあるが、完全に追いつかれる前に
人より大きなサイズの岩と岩とが左右に壁となり通路を作った場所に身を屈めて滑りこめば、
追いかけて来た大猪が岩の間に張られた綱に激突し、勢いで半ばひっくり返るようにして
男の方に腹を見せる格好を作ってしまっているのが良く見えた。
「上手い事耐えてくれたか。すまんがこれも仕事でな、次生まれてくる時は街道何ぞ荒らすんじゃないぞ」
悼む様に告げながら手にした刃を無防備な腹へと突き入れると、痛みに一層暴れる大猪。
抑え込む様に男が剣を下へと切り抜けば、血と臓物の千切れる音に続くようにして、その巨体が地に伏せた。
「これでお仕事完了…は、いいんだがどうするかねコレ」
持って帰るにも一人では手に余る大きさの獲物にげんなりといった表情で、顎に手を当て思案。
本来の力を用いれば時間さえかければ引きずっていく程度ならばなんとでもなるが、
自ら魔族でございと宣伝して回る様なものである。後後に禍根を残しそうな手は取りたくないと困った表情を浮かべ。
■カイン > 整備された街道から少し外れた場所。不整地の荒地は、どれだけ街道から
近かろうと好んで訪れる人の場所の少ない場所だ。生えた草木は歩くのに至極邪魔で、
慣らされていない悪路は歩くだけで余計な体力を消費する。
そんな中を歩いて短くない距離を歩くというのは考えたくもない。
「肉と皮だけ何とか剥ぎ取っていくか。ちょっと休憩したいが」
近くの岩場に腰かけながら、剣の血糊を脱ぎ取れば腰の鞘に納めて先の算段を始める。
惜しいは惜しいがそれほど固執する物でもない大きな猪の体を眺め。