2017/04/20 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にシャロンさんが現れました。
シャロン > 寒さ和らぎ、春の兆しも見える頃。
メグメールの片隅、九頭竜山麓にほど近い森の中に少女はいた。
腰を下ろす切り株から見えるのは、木々の影と月明かりに淡い燐光を帯びる湖だ。
木々の葉に遮られて、幾条も差し込む月影は神秘的な事この上ない。
銀の体毛を帯びた一角獣など居たならば、さぞ良い絵が描けそうな風情である。

「はふ、今日はのんびりオフですし、森林浴にしゃれ込んでみましたが……
 なかなか穴場を見つけたような気がしますね。水が綺麗で、雰囲気が良くて。
 そして何より、心地よいです――癒されるっていうのが適切でしょうか?」

独り言ちながら、宙を撫で、魔法で仕舞っておいた瓶を抜き出す。
金属製の円筒に呪文を刻み、中の温度を一定に保てる様にした魔法具――魔法瓶というらしい。
その蓋を外すと、湯気立つ紅茶をカップに注ぎ、両手で抱えてちびりちびり。
今夜は折角なのでここで野営をするつもり。夕食も終えたし、あとは眠気が自然にやってくるまで自由時間だ。
砂糖を多めに入れた紅茶と、素敵な景色。おかげで少女は上機嫌だった。

シャロン > さて、こうして体を休めているのもよいが、少々手持ち無沙汰な気もする。
折角時間が余っているなら、以前思いついたことを試してみるのも悪くないだろう。

カップをしまうと、切り株の上にひょいと立ち、両腕をゆったりと下げる。
そのまま体より少し前に運ぶと、丁度荷物を抱えて運ぶような手の形を作り出す。
イメージは、右手と左手にそれぞれ、力を宿すような、漠然としたものだ。
同時に、己の中に眠っている白の魔力と旦那様に刻み込まれた黒の魔力を開放する。
やがて、左手には黒の魔力が、右手には白の魔力が宿ると、徐に両手を近付けた。
反発する魔力がじりじりと音を立て、周囲に風を巻き起こし、木々が揺れ、水面が揺らぐ。
ゆっくりと掌を近づけていき、やがてぱふん、と手拍子をするかのように両手が重なる。
後は、そのまま掌の中に宿る魔力を受け入れるようなイメージを働かせると――。

「……んっ、ふぅ――割とうまく言った感じ、ですかね?
 案外思いつきもばかにならないってことなのでしょうか」

体の周囲に、纏うかのように展開されるのは灰色の魔力だった。
何となく体も軽いし、何でも出来そうな気がしてくる。
とはいえ、馴染むまではまだかかるのか、肌が少しばかりちりちりとする。
髪も自然に流れるのではなく、魔力に覆われてふわふわと、水の中に揺蕩うかのように揺れていた。

シャロン > 夜も深まっていくならば、そろそろ眠くなってくるとき。
思い付きでできた新しい技術を慣れるまで試すと、そっともこもこ羊の毛皮布団にこもるのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からシャロンさんが去りました。