2016/12/05 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/石柱群地帯」にノワさんが現れました。
ノワ > 幾つかの石柱に光が宿り、軌跡を描く。
それは空中より見ればある種の魔法陣にも似た形を描き、そして光は力を産む。
炸裂する閃光。収束する稲妻。
その光の中心地点に――

「……あれ?外?」

銀髪赤眼で褐色肌のミレー族の少女が、そこにいた。

――時はおよそ1時間前。
ノワは度々人と出会える九頭竜山脈にある無名遺跡に暇なときは遊びに行くようになっていた。
だがこの日は特に誰とも会う事ができず、遺跡の奥深くへと進み。
何かしら不思議な文様の描かれた部屋に入った瞬間、体が光に包まれて――
気づけば、こんな場所に一人立っていたのだった。

ノワ > 「……んー?海の匂い……?」

奴隷市場都市バフートに潜入して遊ぼうとした時に、海側に向かった事もあるためその匂いはわかる。
わかるのだが、自分がいたのはどちらかと言えばタナール砦に近い方だった。
あのなんだか危なっかしそうで人気もいなさそうでピリピリしている砦には何の興味もないため、向かった事はないのだが――
閑話休題。
海など近くにないはずなのに、と思いながらてこてこと素足で海沿いに向かい、崖の下にある海を覗く。

「――海だー」

それ以外の感想はない。なんとなく知ってる海とは違う気がするが、それくらいだ。
さて、これからどうしたらいいだろう、と近くの石柱にぴょんぴょんと飛び乗り、背伸びをする野良ミレー娘。

ノワ > 「あっちにあるのは、道かなー?とりあえず、そっち行ってみたらいいかなー」

背伸びをしてみると、北の方に草の生えてない通路が見える。
人間が均した街道であるとアタリをつけると、石柱からおりてすたすたとそちらに向かってみる。

「……でも、人いないね」

道端で犬のお座りのようなポーズで座りつつ、どうしようかなーと思いつつ尾を振る。
そもそも帰り道すら、わからない。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/石柱群地帯」からノワさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/石柱群地帯」にノワさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯/石柱群地帯」にアシュトンさんが現れました。
ノワ > 「ううーん、どしよっかなぁ……」

しばらく待っても人は来ない。夕暮れ時な時間に人は来ないのだろうか、と少し気を落としながらため息をつく。

「もっかいさっきの所に戻ろうかなー。かえれるかもしれないしなー」

んー!と背伸びをして、再び石柱群の所へ戻ろうと背を向けて。

アシュトン > とりあえず、薬草集めはこんなモノで十分か。

(肩に引っ掛けた皮袋に一瞥を向けてから、軽く伸びをする男がその辺の石柱の陰に一人。
妙な現象が発生しやすい場所であり、相応にリスクがあるのは確かだが。
同時に、それの原因となる奇妙な魔力溜まりのお陰で、希少な薬草の類が生育している事も多い。
往々にしてその手のモノは高価であり、折をみつけて自分で採集しにいくので、あるが)

しっかし、場所が中途半端なのが最大の難点だよな、ここ。

(見事に主要都市の中間地点である。
小さな村等を中継する事もできるが、余程のモノ好き以外不便な事この上なかった。
夕暮れも近づいてきたようで、拠点に帰る前に一旦休憩とばかりに柱へと背中を預け。
ラム酒の入った容器を、軽く口につけた、辺り――)

……うん?

(ふと視界に見えた小さな人影に首をかしげる。
ミレー、の様ではあるが、ここで誰かを見かけるのも随分と珍しいきがする)

ノワ > 「ん、ん?」

なんだか声が聞こえた気がする。そんな気がして耳を震わせてからその発生場所を探り――そちらに視線を向けると。
そこには果たして、男が一人立っていた。

「あ、人だっ」

ミレー族が人間にするにしてはやけに懐っこい様子で、半眼にした眼も少しうれしそうにしながら男に近づいていく。
着ているものは酷く雑でボロボロな獣の皮で作った局部をなんとかかくしているだけのもの。
首輪などもなく、悪い言い方をすれば『野良』らしいミレー族の少女は――

「こんばんは。お、おじ……さん?おにーさん?」

首をかしげながら、言葉に変な所で詰まっていた。

アシュトン > ……妙なヤツだ

(第一に抱いた感想はソレである。
見たところ首輪は無く、服装からしても誰かに『飼われている』という様子ではない。
都市部で生活しているモノならいざしらず、見た感じ如何にも野山で暮らしているというタイプのミレーは、人間に対して大なり小なり警戒心を抱いているというのが普通だろう。
少々と用心を含めて自分からは動かずに、此方へと寄ってくるのを視線で追いかけていた、訳であるが)

誰がおじさんだ、誰が!
そう、お兄さんだ、せめてお兄さんと呼べ!!

(相手が思いっきり漏らしかけた言葉に、思わずと突っ込みを入れてしまう。
流石にまだ『おじさん」とは呼ばれたくない。
もっとも、目の前の少女位の年頃にとっては、どちらもそう大差ないのかもしれないが)

それはいいとしよう、こんばん。
で、こんな所で何してんだ?
まぁここならヒトに狩られる、なんて事はそうそうないだろうが。
他の危険もある、呑気に散歩してるような場所じゃぁないぞ?

(視線すっと、相手の頭の天辺から脚の先まで動かす。
見目は良いと言ってもいいだろう。
危機感の薄いミレー一人なら、捕まえるのもそう難しくはないだろうが。
如何せん拠点に持ち帰るにしても場所が悪い。
さてとどうしたモノかと、善人にも悪人にもなる男はぼんやりと考えているのであった)

ノワ > 「みょーなやつ?」

目の前の男性が浮かべる怪訝な表情の意味は理解できず、上半身ごと右に傾けて疑問の意思を体で表現する。
続いて自分の頭、耳、ほっぺ、胸、おへそ、尻尾、足とぺたぺた触って――
変な所はないよなー?と今度は体を左に傾けた。

「む、そ、そう?前もね、人間の人に、おじさんって言ったら怒られたの。だから、おにーさんって言いなおしたんだよ。
わたしは、二度同じ間違いはしないっ」

えへん、とBカップ程度の胸を張ってちゃんと「おにーさん」と言えた事を威張り狼の尾を振り。

「あ、うん、こんばん。何してる、って、何してるのかな?わたし。
さっきまでね、遺跡に入ってたの。そしたらぴかーってひかって、ここにいたの。
ここ、何処?」

ヒトに狩られるという言葉の意味を自分の『狩猟』の意味にとらえて一瞬顔を嫌そうにするが、その事を正しく理解されたかはわからない。
とりあえず、自分の状況を説明したらなんとかしてくれるかなぁ、程度に考えて説明をし――

「あ、そうそう。わたしの名前はノワだよ。
山の小屋に着てくれたら、ごはんとか食べさせてあげるよ」

自己紹介をしていなかったや、と思い出して胸をとんとたたいて自己紹介をする。
料理の腕は、ちょっと自信がある。

アシュトン > 別に気にしなくていい。
野山で見かけるミレーとは雰囲気が違うと思っただけだ。

(そうと突っ込んで話すような内容でもないので、適当な言葉を返して軽く肩を竦める。
それぞれ、事情もあるだろうし。ひとからげとはいくまい)

思いっきり言いかけてた気がするけどな。
「おじさん」って呼ぶのは、もーちょっとこう、顔に皺が出来始めた位の人に対してにしときなさい。
微妙に傷付くから、微妙に傷付くから。

(大事な事なので二回。
B程あれば、まぁ張ると言ってもいいのだろうか。
服装に対して動作が無防備過ぎるような気がしなくもないのだが)

遺跡?
あぁ、こことと繋がったんだな、多分。
トラップの類か自然現象か、あるいは転送装置なのかは現物は見ないと分からないが――柱を見るに、意図したモノの可能性は高そうか。
何処、という名前もないが。マグ・メールとヤルダバオートの中間位?

(なお、罠だった場合は岩の中やら海の底に飛ばされる場合もあるようだ。
彼女は運が良かった部類だろう。
問いかけに対して少しそらを眺めると、思い出すように街の名前を挙げた
表情の意図については、流石に分かりかねた様だが)

アシュトンだ、薬草摘みに来ていた。
ん?近くに住んでる場所――がある訳ないよな。ここか何処だか分からなかった訳だし。
住家に来たら、って話だよな……それで思い出したがそろそろ夜も近いな。
野営になるが、行く当てがないなら付き合うか?多少の食い物位は持ってきてるが。

(視線をするりと周囲に巡らす。
柱のある辺りから、少し離れた位が丁度良さそうではあるが)

ノワ > 「そうなの?わたし、自分以外のミレー族と会ったこと、ほとんどないからなー」

ふーん、そうなのかー、という顔をしながら両手を組んでうんうんと頷く。

「それは、んー、だって、わたしからみたら、おじさんだよ?
でも、おじさんにおじさんっていうと、おにーさんって言いなさいって言うから、おにーさんって言うの。
最初はほら、本音が出た、っていうか……」

えへへ、と素直に言いかけた事を認めて頭をぺこんと下げて謝意を示す。
これ以降はまぁ、おじさん、とは言わないようにしておこうかな、くらいは考えて。

「ん、んー……たぶん、トラップ、なんだけど……
マグ・メールとか、ヤルダバオートって、何処?」

初めて聞いた地名に首をかしげる。
生まれは魔族の国で育ちは九頭竜山脈山中。触れ合った事のある人間はバフートか、しいて言えばダイラス程度。
もしくは流浪の旅人だったり、出身を言えない人だったりであったために名前がわからない。

「わたしは……んーと、九頭竜山脈って所に居たはずなんだけどね。
そこから遠い?」

んー、と空を見ながら尾を振りつつ尋ね。
そして目の前の男性の提案には、ぽん、と手を打つ。

「アシュトンおにーさんね。よろしく!
野営……って、ここ寒くない?
わたし、空飛べるから、行きたい所あれば連れて行こうか?馬よりちょっと早いくらいで移動できるよ?」

野営という言葉と周囲を見回し、岩だらけで海に近い、ふきっさらしの土地では寝るときにも寒いだろうと思って提案する。
そして同時に右手に『銀槍』を出現させ、それを空中に浮かばせ。
槍にぶら下がる形でふわー、っとアシュトンの周りをまわって飛べる事を示すのだ。

アシュトン > 本音かよ……くっ……そんな老けてるつもりはなかったんだがな。
(相変わらずショックを微妙に引きずっているらしい)

何処って言われてもな、言葉で表現するのは……こっちが手っ取り早いか。

(懐から折りたたまれた羊皮紙を取り出すと、それを広げた。
簡易なモノではあるが、街の位置やら街道はそれなりに記載されているため、旅をするには問題はない程度の地図だ)

この辺で一番大きいマグ・メールがここでヤルダバオートがここ、で今いるのが大体この辺なんだが……九頭竜山脈!?
大分遠いなぁ、徒歩で帰るとなると相当な距離だぞ。

(それぞれの街と現在地を順繰りに指で示した後、相手の発した地名に少々と声を驚かせ。
マグ・メールから更に東の山岳地帯を指で丸くなぞった)

野営は慣れてるからな、コレぐらいならまだ快適な方だ。

(極寒の山中で、山狩りから身を隠しながら夜明けを待つのに比べれば天国と言っていい。
まぁ、野性味あふれる相手の格好と比べると、何やら奇妙な価値観の違いになっているが)

…………便利なヤツだな、ミレーは魔力が強いとは言うが。
俺も持ち上げる事が出来るなら、お言葉に甘えるとしようか。
ここから北に少し行けば、小さな宿屋村がある。
馬より速いなら、日暮れまでには間に合うだろう。

(ぶら下がる槍を、興味深げに眺める。
武器の形はしているが、魔女の箒のようなモノなのだろうか。
飛び回る姿をしばしと見た後に、可能ならばと相手に任せる事にしたようだ。
慣れているとはいえ、野営よりベッドのほうがいいのは間違いがない)

ノワ > 「ご、ごめんねー?ちゃんと、おにーさんって言うからね?」

思ったよりショックを受けている様子に、申しわけなさそうにしてぺこりと頭を下げて。
続いて地図を見せられて、マグ・メールやらヤルダバオートやらの位置を指さされる。
そして今いる場所がその間になるなぁ、という理解をした所で、アシュトンが驚きながら指さした場所は――ほとんど、地図の反対側。

「え、えぇー……?うっそー……」

流石にその距離は想像していなかったのか、耳をぺたんと閉じて尻尾をしゅん、と萎れさせる。
結構ショックを受けつつ、そのまま続く会話でこの場で野営できるが、村に移動できれば越した事はない、という旨を聞けば頷き。

「りょーかい。んー、槍1本に、アシュトン乗れる?
のれなかったら、んー、3本くらい?出して並べたらいいかな?」

すい、っと槍を手放し、だいたい仔馬の背中くらいの高さに槍を浮かべる。
それは実際ただの『槍』であり、鞍やら鐙のようなものはない。
もしアシュトンの手持ちに革ひものようなものがあれば代用できるかもしれないが――
ともかく、乗れないようなら槍を複数本出して並列に並べて、座りやすくするよう提案する。

「でなきゃ、わたしにぎゅーって抱き着く?それでも飛べるよ?」

にこにこ笑顔での提案。
褐色銀髪のミレー族の少女は野性味を帯びた見た目や恰好をしているものの、近づいて匂いを嗅いでも臭さはない。
それどころか、やや花のような果物の香りに近い匂いがする。それは遺跡に潜る前に食べた、森の果物の香り。
――一部では娼婦の匂い消しや芳香剤としても使われている匂いだ。

アシュトン > 残念ながら、嘘じゃぁない。
飛行できるにしても、やっぱそれなりに日数は必要になるだろうな。
俺は明日にでもマグ・メールに戻る予定だから、そこまで道案内してやってもいいが。

(この後彼女をどうにかするにせよ、しないにせよ、その方が都合はいいだろう。
どちらにせよ、山脈に帰るにはマグ・メールを経由した方が確かである)

あぁいや、大丈夫だこれぐらいならな。

(スルスルとコートの内側から、冒険者の必須道具ともいえるロープが出てくる。
これを常備してないヤツは潜りどころの騒ぎではない。
括り付けて座る事が出来るようにすれば、短時間程度なら問題ないだろうと用意し始めたの、だが)

なら、お言葉に甘えさせてもらおうか。

(相手が浮かべた笑みの提案に、ニヤリとした答えが返る。
宙に浮かんだ不思議な槍に片手を乗せると、具合を確かめるように軽く力を込めてから。
体格に比べてやたらと身軽な動きで飛び上がると、不自然なほどに衝撃の生まれない着地で槍にまたがる形となる。
妙に食いこんで心地は悪いが、まぁ、体重と重心をコントロールしてこの辺は耐えるとしよう。
実際の所、思いっきり振り回されるでもしない限り、落ちる要素は無さそうだが……)

問題ない、行ってくれ……ふむ、しかし予想外に良い匂いが……何処かで嗅いだ記憶もあるが

(もっと獣っぽいのを予想していたせいか、そんな言葉が不意に口から出る。
まぁ恐らく、相手が前で自分がその後ろに、という形なのだろう。
お言葉に甘えて後ろから抱き着きつつ――胸元辺りは太股辺りに触れてみるのは、ご愛嬌と言ってもいいだろう
意図せず匂いが娼館とつながって、悪戯に動いた可能性は、否定できない)

ノワ > 「ううー……まぁ、おうちに、今は生もの置いてないから、いいかなぁ……」

幸いにも自分の小屋がある場所を縄張りにしている山賊とは話を付けており、小屋を荒らすような人はいない。
まぁ獣等は出るかもしれないが……その時はその時で。

「ん、マグ・メールって人いっぱい?面白いところ?
前にね、バフートって所にこそっと行ったらすごかったの。
人いっぱいで、わーって!
でもね、わたしを『幾らで売ってるんだ?』って案内してくれた人に何度も何度も言われてちょっとめんどくさそうだったの」

奴隷じゃないのにねー、と少しだけ唇を尖らせつつ、マグ・メールとやらの雰囲気に期待し。

「ん、あ、りょーかい。じゃあ捕まってね?
しっかり……ん、そうそう。そんな感じ♪」

とりあえず槍1本のまま。自分が跨り、後ろにアシュトンが乗る体勢となる。
アシュトンの顔が自分の頭に近づき、すんすんと匂いをかがれるとなんとなくくすぐったい気持ちになり、彼の腹にあたる尾がぱたぱたと震える。
続いて手が胸元や太ももと言った場所に触れつつも密着し、安定感を取ればふわ、っと浮かび上がるのだ。
やや体温の高い、傷一つないぷにっとした触感をアシュトンの手に味あわせつつ――

「じゃ、いくよぅ♪」

ひゅお、っと音もなく馬より――2倍か3倍は早い速度で飛翔する。
その間にその速度で悪戯できるようものなら、ある意味すごいだろう。
柔らかく体温の高いミレー族の体を弄り回す程度では、ノワは怒ったりはしないのだ。
感じるくらいはするかもしれないが。

アシュトン > そういう問題なのか、いやまぁある意味大問題ではあるのだが。

この辺の都市じゃ、一番デカいし一番人も多いだろうな。
面白いかは人によるだろうが、少なくとも退屈するような場所じゃぁない。良くも悪くもだがね。
……バフートって、よくまぁ無事で出てこれたな。
あそこは、まぁ、別の意味で活気があるのは確かか。
そりゃま、アソコは商品のミレーがごまんといるからな、そうなっても仕方あるまい。

(嫌悪感やなにやらがある訳でもなく、『そういう場所』という認識である。
むしろ攫われたり売られたりせずに済んでここにいる事が、驚きと言わざるを得ない)

バランス感覚には自信があるんでね、多少乱暴な位なら墜ちはしないさ。

(自分よりはるかに小さな体躯にしがみついているというのも、奇妙な絵面なのだが。
手に触れる心地は良く、匂いも相まってむらっとした感覚が這い上がってくるのを自覚できる。
軽く指で押したりして楽しみつつ、宿までついたら一先ずどうするかは――これで決まったようなモノか。
などと心の中で思っていたところ)

あいよ――……ぶふぁ!?

(馬よりちょっと早い位とは何だったのか。
彼女の中での馬と、自分が知ってる馬は別物なのだろうか?
そんな話は別として、予想以上の速度とそれによる風圧に、奇妙な声が一瞬と口から洩れる。
落ちはしないのだが、流石に悪戯する余裕と言えば厳しい所か。
ややとしがみ付く力を強めつつ、夕暮れの急滑走が終わるまで、口数も若干少なくなったと思われる)

ノワ > 「だって、腐ったらごはん食べれないでしょっ?」

大事なの!と指を立てて宣言しながら尾を振り回す。
食事とは、ノワにとって1か2番目に大事な事柄なのだ。おろそかにはできない。

「一緒に案内してくれたおねーさんが、夜の……んー、と。
えっと、まぁ、強い人で、外に出るまで案内してくれたから大丈夫だったんだよ」

バフートから出てこれた理由は、一重にアサシンでもある変わったしゃべりのお姉さんのおかげ。
彼女に深く感謝しつつ――彼女のおかげで人間の街にまた強い興味を抱いたのもまた事実で。

そしてバランスには自信があると抱き着きながら体に触れてくるアシュトン。
嫌いな匂いではない牡からの接触は喜ばしいノワにとっては抵抗するようなものではない。
もし彼にやる気があるならユルい皮の服をずらして局部を露出させたりできたかもしれない、のだが――

「んー、アシュトンこっちでいいんだよねー?」

最初に指示された方向へ、最大速度に近い速さで移動するノワ。
その速度に悪戯する気も消し飛んだ様子で――
やがて、目的地の宿のある村のそばに、軟着陸。
いまだぎりぎり日は暮れず、予定より大分早い到着だったろうが……
アシュトンの心にはどっと疲労がたまったかもしれない。

アシュトン > 食べれないですね。
ま、こんな場所まで飛ばされたんならしかたない、諦める事だ。
次から余分は、干し肉にでもしておく事だな。

(くくっと、小さな笑い声が喉元から漏れる。
食欲と恰好の野性味はどうやら比例しているらしい)

夜の?
まぁなるほど、運が良かったって事だな。
どちらにせよ、あそこはミレーが一人で近寄るには危険すぎる。

(夜のと来れば、眷属とついて吸血鬼の類か。
或いは『夜』なんて名乗るのは暗殺者か盗賊の類だろう。自分の先代も『夜霧』である、まだ継いではいないが。
運よく強くて事情通の案内者が居た、という感じだろうかと、納得をする)

――……………

(呼吸音と僅かな言葉が漏れて空に消えてゆく。
馬より少し早い位なら十分とそうする心算だったのだが、流石に速すぎた。
飛行の術式は理解しているが、燃費の関係で使う機会は少ない、飛ぶのは不慣れである。
そんな余裕もなく、気が付けば、あっという間といっていい位に目的地の明かりが見えてきた)

あ゛~、ん゛~……ちょっと待って。
大丈夫、ここであってる。
宿は俺がとってるからそこで泊まるか?
まぁどちらにせよ、ミレー一人で部屋を借りるのは厳しいだろうしな。

(一端、呼吸を整えて。そして咳払いを一つ。
着陸を終えると槍から降りて、地面に両足をつけると――ふらりと、立ちくらみよのうに体が大きくと揺らいだ。
それもまぁ、少しの事だろう。
整え終えると相手に視線を向けてから、一軒の、村の中では比較的大きな建物に向かって歩いてゆく。
質素な、本当に旅人が宿泊する為にあるよな宿。
ノアに手招きしつつ入り口をくぐると、隅に腰かけた一人の…まさにオジサンといった風体の人物に視線をやって)

予定とは違ったが、部屋使っても大丈夫だよな?

(店主であるオッサンは客が予想外に早く戻ってきた事と、ミレーが一名増えている事に驚きの表情を浮かべたのだが。
特に言及することもなく頭を立てに振った。
深入りするのも面倒という事なのだろう)

ノワ > 「うー……うん、はぁ、もったいないなぁ……」

生ものは殆どなかったとはいえ、野菜や果物の類は全滅するだろう。
そういうことに少し沈鬱な表情を浮かべつつ、続く会話に彼が何かを納得してくれた事に頷き。
実際、バフートは一人ではやっぱり無理だな、と思ったのだ。
……だからこそ、マグ・メールは一人でもいけるかな?という期待がある。

――……
そして、夕空のフライトが終わった後で呼吸を整えるアシュトンを見ながら槍を消す。
1日に12本まで生み出せる槍のうち、今日はこれで4本目。
まもなく日が暮れて朝になれば再び回復するとはいえ、無駄に使うものでもないので無駄に作る事はない。

「ん、はぁい。アシュトンに任せるね。
お金もないもん。人間の街ってお金で色々するんでしょ?
話を聞いてお金は貯めてたけど、全部家だからねー……」

あるのは、今日に限って首から下げていた瓶に入っている、肉を焼いて食べるときに美味しくできる塩と香辛料とハーブを混ぜたオリジナル調味料くらい。
お金にはならないだろうという考えのまま、宿をアシュトンがとるのに任せて後ろをついていく。

「ふふ~……♪」

宿屋という人間の建物に入って何となく楽しそうにするノワ。
アシュトンの服の裾を握ったまま、彼が宿の主人と交渉するのを眺めている。