2016/10/06 のログ
リシェラ > 「御互いに幸在りか、良い事だ。
居ないの為らば其れに越した事は無いが…可能性としては居るかも知れない、そういう事だな?
然し、演奏をせねば…とは不思議な話だ。初耳で在るが演奏家とはそう云った者も居るのか…」

少年から感じる気配から張り詰めていたものが失せていくのを感じ取る。
あんまり気を張り詰めている感覚は御互いに疲れるもので、こうして早々に慣れてくれる彼には少しばかり感謝をしていた。

「出来れば月明かりの一つも拝みたかったが出歩いた此の日が偶々こんな天気だ、夜空の機嫌ばかりは如何し様も無い。
其れは怖い話だ…もし出くわしてしまったら、か弱い少女には逃げるしか手は無いだろう」

彼の言葉にからかう様な含みが感じ取れれば、其れを返す様に言い乍小さく肩を竦めてみせた。

リン > 「まじめに受け取らないでおくれ。
 いつまでも部屋に閉じこもっていたら変になるみたいな……
 そういう程度の話さ」

かがみ込んで、脇に置いてあった荷物を探り始める。
野営の支度を始めているようだ。

「はは。それは大変だ。
 もしぼくが悪い狼であったなら襲いかかっていただろうね。
 ……ぼくはここで休もうと思うけれど、きみはどうする?
 再び散策に赴くのかな?」

地べたに座り、小さな陶製のコップに
荷物から取り出した琥珀色の酒を注いで、一口含む。

「それとも、ここでぼくと酒に付き合うかい。
 あるいは――人の生き血のほうが好みかな?」

彼女の正体について、なんとなく、かまをかける。

リシェラ > 「ああ、冗談だったのか…其れはすまない。
如何も人の冗談と云うものは中々に判別が難しいものだ。
成る程…何れは其の音を何時でも聞ける相手に巡り合えると良いな?」

野営の支度を始める彼に対し、此方はのんびりとしているものだ。
見て分かるだろうが、そういった類の道具を何一つ持って来ていないのだから支度も何も無い、と云うのも在る。

「其方が言う通りの悪い狼で無くて助かった、と言うべきか?
今日はのんびりとしていくつもりであんまり歩き回る気分では無いのだ」

もう一度だけ周りの景色へと眼を向け、彼へと戻す。
酒を注ぎ酒を飲むのを見、誘いを受ければ少々考える仕草をするが…

「のんびりする為らば、飲み交わし語り合う相手が居るのも良いものか…付き合おう。
…其れは不要だ。今の予には生き血を啜る理由は無いのでな」

彼の言葉に応え乍、向き合う様に地面へと座り込む。
適当にはぐらかそうとも思うのだが、変に勘繰られ続けるのも気分の良いものでは無い。
此の言葉に彼がどんな答えを見出すかは分からないが、思う侭の言葉で答えておいた。

リン > 「そうか。気分を害したらすまなかった。
 きみに血を飲まれるなら案外悪くないような気もしたけど」

かつては血を啜っていたことを意味する返答に、さほど恐れる様子は見せない。
新たなコップを取り出して同じように酒を注ぎ、相手へと差し出す。
芳しい果実の香り。

「どうぞ。口に合うかどうかはわからないが……
 実を言うと――きみといれば狼も寄ってこないんじゃあないか、という打算もあってね」

互いの器同士を打ち鳴らすと、また酒を呷る。
生白かった肌に酒気で赤みが差し、座る姿勢も寛いだものに。

リシェラ > 「そういったものは無いから心配はしないでくれた方が予としても助かる。
どの様な存在で在れ此の地に共に生きる存在なのだ。御互いに気負いは不要、普段通りに接して欲しい。
すまないな。此ればかりは予の思う処の在る事、其の気持ちだけ今は受け取っておこう」

眼を閉じて言葉を紡ぎ…言葉を終えて眼を再び開けば、小さく微笑んでみせた。
此の言葉で相手が如何に思うかは、彼次第だ。
差し出されたコップへと両手を添えて受け取れば、鼻を擽る芳ばしい香りを楽しむ。

「誰かと飲む酒は一人で飲む酒依りも美味いもの…頂こう。
如何だろうな?場合に依ってはもっと性質の悪いものを呼び寄せるかもしれないだろうが…此処では其れも無いだろう」

彼の言葉を聞き乍、小さく鳴る器を打つ音に次いで言葉を紡ぐ。
器を傾けて唇へと酒を含み、喉を潤わし彼の表情を見遣って。
見て分かる程に酒気を帯びる彼、尤も、彼から見れば此方も彼程では無いにせよ酒気を帯びているのは分かるだろう。
強いとは言え、全く効かないと云う訳でも無いのだ。

リン > 「はは。そちらが謝る必要はない。
 こちらが無用な気を利かせただけさ。
 ……おや。ぼくの演奏は効かないのに、酒は効くのか。
 まったく酒の偉大さというのがわかるな」

愉快げに笑う。
もっともリンのほうがよほど酒に耐性がないのだが。
そうやって、どちらかが眠りへ落ちるか去るかするまで
酒を酌み交わしながらの談笑は続くのだろう――

リシェラ > 「分かった。では此の話は此れで終いだ。
其方の音色に違和感は感じていたのだ、全く何も無かった訳では無いが矢張り何か在ったのだな?
其れは後に聞くとして…今は此れを楽しもうではないか」

一度唇からコップを離し、此れを意味しているのを伝える様に小さく揺らす。
違和感と感じていただけでも結構な力では在るのだが、其れもまた後の話に上がるのかもしれない。
彼が眠りに落ちる迄、自分は彼に付き合うだろう。
有限である楽しい一時を深く味わう様に。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からリシェラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からリンさんが去りました。