2016/10/05 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリシェラさんが現れました。
リシェラ > 夜空は雲に覆われ、月明かりも無い闇夜。
河川が、森林が、そして雲に覆われた夜空が、様々な景色が一望出来る開けた空間へと一匹の蝙蝠が舞い降りる。
地に着いた蝙蝠は身を羽根で覆う様に包み、其れが大きく広げられれば姿は一人の少女のものへと変化した。

最近は王都ばかりを見て回っていたのだが、矢張り偶には自然の中も良いものだろう。そう考えてやってきたのだ。
紅の眼を緩やかに、見える景色を見渡していく。

リシェラ > 特に此の場所に来て何かしたかった訳でも無い。
只、こうして何者の手も加えられていない自然と云う芸術も好きなだけ。
美しい景色は眼を楽しませ、静かな音は耳を楽しませる。
眼を閉じて、其の自然が奏でる静かな音色に聞き入って…

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にリンさんが現れました。
リン > 木々のざわめきや虫の歌う声……
それに、いつしか弦楽器の音色が混じるのが聞こえるかもしれない。
美しく穏やかながらも、聴くものを惑わせてしまう魔の旋律。
もし仮に、耐性無く精神の弱い人間が聞いたなら惑わされいそうなものだった。

音源を探すならば、喜びヶ原の木陰のひとつで一人きりで藍色の髪の少年が
青いバイオリンを弾いているのを見つけることができるだろう。

リシェラ > 自然に混じる弦楽器の音色。
力は失ってい様とも人間に比べれば十分に勝る感覚は残っている、其の音色に小さく首を傾けて。
不思議な音色で在るのは分かるが、高い耐性を持つ少女にとっては単なる違和感としてしか感じられない。
其れでも矢張り変わった音色と云う事は在ってか、少しばかりの興味は惹かれるものだった。

緩やかな足取りで音の発生源へと歩み寄る。
其れを奏でる少年は容易く見付ける事は出来るのだが、音を立てぬ様に傍迄近寄り足を止めた。
演奏を行う者は何かを想い奏でる者が多い、其れの邪魔はせぬ様にとの心遣いである。
少年が此方に気付くか気付かぬかは分からないが、其の演奏が止まるか終わる迄は聞き入っているだろう。

リン > 今ここにはない月の光を思わせるような、優しい毒のような主題。
大勢の前で聴かせるためのものではない、自らのみを聴衆と捉えた演奏。
やがて物憂げにひとつ息を吐くと、弓を止める。

微かに青いバイオリン――《アクリス》が震えた。
魔具であるこの楽器が、近寄る魔なる者を察知したのだ。

「どちら様かな?」

木陰に座り込んだまま、
やや緊張した面持ちでどこにいるとも知れぬ者に誰何の声を上げる。

リシェラ > 静かに聞き入っていた音色が止まる。
演奏が終わったか、何かに気付き演奏を止めたかは少女には分からない。
只、其れが後者で在ると認識したのは少年の言葉を聞いたからだ。
此方の存在を確認する言葉に、少年の見える位置へと歩み出る。
隠れていた訳では無いのだけれど、物陰と為ってしまっていたのだろう。

「邪魔をしてしまった為らば謝ろう、中々に興味深い音色だったのでな」

少年から見ればフードで顔を陰とし、マントで身形を隠す怪しい姿かもしれない。
言葉を掛け乍、フードを取って顔だけは見せる。
流れる様な艶やかな金髪と闇夜に輝く紅色の瞳、其れがはっきりと見える様に為るか。
どちらも場合に依っては怖がらせてしまうだけに、少しばかり考えたのだが…此方にしておいた。

リン > 「いや。お聴きいただきありがとう。
 あまり人前でできる演奏じゃあないから、こうして一人で演っていたんだ。
 恐ろしい魔獣を引き寄せてしまったかと思ったが、杞憂だったかな」

青いバイオリンをケースにしまい、立って向き合う。長い藍色の髪が揺れる。

小さな少女に見えるが、この夜更けに誰も伴わず一人でいること、
堂々とした態度、妖艶な佇まい。
何より、相手はこの演奏を聴いて平然としているゆえに――
藍色の楽師は平静を装ってはいるが、若干萎縮が見えるのは否めない。

「ぼくはリン。お嬢さんはこんな時間に何処へ?
 夜会のできるような場所からは、いささか遠いけれど」

リシェラ > 「そうか、其れならば良かった。
成る程…良い音色で在るのに残念な話だが、こうして予が聞けたのは幸いと喜ぶべきだろうな。
此処はそう云った生物が生息している場所だったのだな。為らば、其方こそ何故に此の場所で演奏をしていたのか…?」

言葉を交わし乍、改めて少年へと眼を向ける。
弾いていた楽器はバイオリンだった様か、其のバイオリンと共に藍が目に付く少年だ。
様子から此方に対して少しばかり萎縮している感が在る様だ。
此方の正体に薄々と気付いているのだろう、是までも何度も感じてきたもの。無意識に、つい小さく苦笑を浮かべてしまう。

「リンか、良い名だ。
予はリシェラ、此処へは其れといった用事も無いのだが…如何答えたら良いか…
気分転換に自然鑑賞…そんな処だろう」

リン > 「それは恐悦至極。
 ぼくとしてもきみのような綺麗な人のお目にかかれて幸運だったよ。

 さて……本当にそんなものがいるかどうかは知らないけどね。
 誰にも聴いてもらえなくても、たまにこうして演奏していないと、
 頭がおかしくなってしまいそうなもので」

相手が気を緩めて苦笑するのを見て、こちらも警戒と緊張を解く。
どうやら目の前の彼女は“魔獣”ではなさそうだ。

「優雅なご趣味で。
 月灯りすらない夜だ。連れも伴わず狼や野盗に出くわせば、
 自然の営みの一部にされてしまいそうなものだけど」

ちらりと目配せ。
心からそう考えていないことが明らかな、からかうような口調。