2016/07/06 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にエリミアさんが現れました。
■エリミア > 「ふんぬぅっ!」
人の手が入らない奥まった森の静寂を、気合を込めた少女の声が切り裂いていく。
同時に大きな獣の断末魔の声が響いたのを最後に、森は一時の騒乱を忘れて静寂を取り戻した。
「……勝った!うぉー!」
山道から少し外れた腰ほどの高さがある草むらで、荒い息を吐き出しながら肩を揺らしつつ、倒れ伏す熊じみた魔物を見下ろす。
そしてそれが木々に向かって思い切り投げつけたことで絶命したとわかれば、両腕を振り上げて万歳と共に勝利の雄たけびをあげた。
森を抜けようとするところで、ちょうど腹を空かせて気が立っている魔物に遭遇したせいか、少々身体に擦り傷が浮かんでいた。
「で、これ食えるのかな?」
草むらをかき分けながら、襲撃を受けたときに落としたグレイヴを拾う。
そしてその石突で死に絶えた熊型の魔物の頭部をつんつん突っついていき、首を傾げた。
■エリミア > 「……ちぇっ、全然食いでがないじゃん!」
魔物の亡骸へと、髪から変じた触手が伸びて、するするとその体表へと這いまわっていく。
それはしばらく魔力を探るように動いていくが、つい零してしまった舌打ちと共にしゅるんと一房の髪に戻っていく。
魔物と言えども様々であり、これは魔力らしい魔力を身に宿していなかった。
「こうなったらこいつをエサに…でも、う~ん、でもこいつの臭いで他の魔物寄ってくるかな~?」
魔物は魔物の臭いに惹かれるとか惹かれないとか曖昧な知識を掘り起こして、他のエサになりそうな魔物を誘いだそうと考えた。
単なる死骸に寄ってくるのは蟲ばかりで、そんなものに用などないのだ。
「とりあえず、臭いを撒こう!」
しかし、具体的にどうするかも算段は付かず、しばし考えた後に、グレイヴを頭上でくるりと回して穂先を魔物に向ける。
そしてそれを魔物めがけて突き下ろして、穂先にこべりつく血を血振りして周囲の木々に飛び散らせていく。
そんなことを何度か繰り返せば、無残な骸を晒す魔物の周辺には血の臭いと変色した血がまき散らされていた。
■エリミア > 「これで後は~寄ってきた魔物が入れ食い!ふふふっ…」
自分に飛び散った血を拭いながら笑顔で言えば、思い浮かべるのは都合のいい妄想で。
グレイヴについた血を適当な草木で拭おうとして、それにも血がべったりとついてることに気づけば断念する。
周辺に耳を澄ませるが、魔物の気配がないわけではない、きっと来るだろう、多分、そのうち、いつかは。
「よいしょっと」
その場に腰を下ろすと、精神を集中させて髪を伸ばしながら触手に変えていく。
次第に伸びていくそれらは草むらへと広がっていき、簡単な探知に使うことにする。
あくまで補助的ではあるが、魔力を吸う以外にも様々な使い道がある触手はやがて根を張るように展開し終えた。
遠目には、草むらから少女の頭が突き出ているようにしか見えないだろう。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にベルフェゴールさんが現れました。
■ベルフェゴール > (触手が探知しているのならすぐに気づけたことだろう。草むらをかき分けるように球体に形取られた空間が裂け、そこに姿を現した、大き目サイズの緑のローブとフードを被った少女の姿は。特に動きも見せずに、周囲をゆっくりと見回して。)
「…………くさい……。」
(ぼんやりした表情からポツリと零す言葉。)
「野生の魔物が争ったにしては血生臭すぎるなぁ……。
別にどうこういう気は無くて、単に興味なんだけど……君?
頭だけの人。」
(くるりと向けた視線は草むらから頭だけ出している少女。
初めてエミリアに視線を向けるまでに要した時間は、10秒もかかっていた。)
■エリミア > 「……ん、あれ、なんか変な感じ?」
不意に感じた何者かの出現に、怪訝な顔を浮かべる。
触手は草むらに張り巡らせていたのに、その内側に入ってきた何かを察知したからで。
「お?人…?」
探知した方向へと視線を移せば、そこにいるのは、フードのついたローブを身に纏った幼い少女だった。
こちらに気づいていないようであったが、本能的な恐怖から触手は周囲を警戒するように這わせるだけにとどめて様子をうかがう。
「頭だけって、私?そだよ、この臭いで魔物を誘き寄せるんだ~」
見たところ、いきなり襲いかかってくることはしないようなので、聞かれたことには素直に答えた。
すぐそばに、見るも無残な魔物の亡骸が転がっているのも見えるだろうか。