2016/05/12 のログ
■ルイーナ > 「逆ですよ。
僕らの師は自然であり、研究室の中にこもって自分の試作ばかりに夢中になっているのは二流以下の研究員のすること……だと、僕は思っていますがね…」
少し偉そうだったかというように最後はやや自信なさげな色が出る。
混ざりものゆえか、自信のある姿と自信のない姿が交錯する。
それは普通の人や魔でもそうかもしれないが。
それでも、一応曲がりなりにも科学者であるがゆえの見解を述べてみた。
科学者は偏見で見られることにはなれているものなのだ。
「匂い、ですか……そんなににおいますかね…」
自分の右手を顔の前まで持ち上げ、すんすんと鼻を鳴らして少し自分の匂いを嗅いでみせる。
ある種の例えだとはわかっている。
だが、少しばかりおどけてみてもばちは当たらぬだろう。
頬に触れた手を拒まぬ彼女に、少しばかり悪戯をしてみたい衝動に駆られかけるが、次の少女の言葉を聞き、肩を竦め、淡い色の髪にそっと指を通して彼女から手を離し。
「怖い怖い。
女性を溺れさせるのは好きなのですが、溺れらさせられるのは苦手でしてね。
少々みっともない姿を見せることになってしまいそうです。
そうなったら、僕は恥ずかしくて生きて行けなさそうです…」
何をとは言わなかったが、返されるものは用意に理解できた。
ゆえに、彼女に手は出さない。
あくまでも、今は、だが…。
「……機会があれば悪さをされずに悪さをしてみたいものですよ…」
にやと笑みを浮かべてまた冗談とも本気とも取れるようなことを言いながら、
ぱちりと指を鳴らす。
次の刹那、男の影が形を変えて広がり、まるで分裂するかのように幾つにも別れていく。
少女の脇をすり抜け、地を這う影がそこらに散らかったごみの下に滑り込むと、影の中にどろりとゴミが溶けるように消えていった。
「さて、驚かせたお詫びに、と言ってはなんですが……一杯やりませんか?街で…僕がおごりますよ」
くいと杯を傾けるような格好を右手で示してみせ、尋ねる。
興味を示してくれるなら、共に歩いてその場を離れるだろうか。
■タマモ > 「ほほぅ…研究者というものにも、一流二流とあるものなのじゃな?
ふむ、そう思い続ける事こそが一番大事なんじゃろう…多分」
なるほど、自分の思い描いているような者もいれば、自然を好む者もいるものなのか。
一応は今のところは覚えておこう、忘れるかもしれないけど。
研究者、侮り難し。である。
別に自信があろうとなかろうと、それは気にしていない。
それを忘れず、思い続ける事は大切なのだとなんとなく分かるから。
「………多分、違いはそうそう分からんと思うぞ?」
そう伝えておきながら、匂いを嗅ぐ相手に、無理無理と手を振っておく。
自分はこうして今は人らしい姿だが、獣の方が本質は近い。
同じ事を出来る訳はないのだと。
頬を、髪を、触れる手に目を閉じて大人しくしている。
その手が離れれば、再び目は開くだろう。
「ふふ…じゃろうな?しかし、実際にやってみると新しい発見があるやもしれんぞ?
いや、まぁ、無理にやれとは言わぬから安心せい」
実際に、溺れるのを良しとしない雰囲気は感じている。
が、そういった相手を溺れさせた事のある身としては、少しだがやはり興味はあったりした。
冗談交じりにそう伝えれば、次の相手の言葉に小さく笑う。
「そうじゃのぅ…機会があればやってみると良い。
下手な言い回しや小細工なんぞしなければ、案外すんなりいけるやもしれんぞ?」
身を前へと小さく屈め、より相手を上にして見上げた形になる。
呟く言葉は、本気か冗談か、その誘いに次は乗ってやるやもしれん、という含みのあるもので。
相手の指を鳴らす音に、はて?と視線を巡らせる。
影に消えていくゴミに、おぉ、と感嘆の声を漏らす。
燃やす凍らす吹き飛ばす埋める、後はどこかに転送するか、そんな感じならば出来るが、消すなんて事は出来ないから。
「………さて、では案内を任せるのじゃ」
飲みへの誘いの言葉に仕草。
うん、もちろんそういったものは好きな方である、奢りとなれば、なお良し。
早く案内せい、と言わんが如く、身を寄り添えて腕を引く。
そのまま、2人の姿はその場を後にするだろう。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からタマモさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からルイーナさんが去りました。