2016/05/11 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 自然地帯に流れる川の一つ、その川辺にある手頃な岩の上に腰を下ろす少女が1人。
その手には釣竿…と、その釣竿の先が、くんっと垂らした糸によって引っ張られる。
「………お?」
引かれる釣竿に、ぴくんっと耳と尻尾が揺れた。
慎重に様子を伺い…ここだ!と言わんばかりに、釣竿を引き上げる。
釣針があった糸の先には、びちびちと跳ねる魚が釣れていた。
「ふ…ふふ…どうじゃ、この妾の進歩を!
これならば、次に勝負をすれば妾が頂きじゃろう!?」
手繰り寄せ、魚を手にすれば、魚の口から釣針を取り出す。
ひょいっと足元にあるタライの中へと魚を放った。
タライの中には魚が6匹、狭い中でゆらゆら揺れていた。
釣りを始めてそれなりに経ってはいたが、前にある少女と勝負をした時間を考えれば…ペース的に、いける、と思えるものである。
■タマモ > あの時は、確か…6だか7だかに対して9で負けてしまった。
正々堂々の勝負だったのだ、文句は言わない…ってか、言えない。
だが、悔しいものはやっぱり悔しいのだ。
あれから、こうしてちょくちょくと釣りをする機会を増やした。
きっとくる、次なる勝負の為に。
釣針へと餌を取り付け、釣竿を振り、再び川の中辺りへと投げ放った。
ぽちゃりと水の中へと餌は沈んでいき…再び少女はじっと待つ。
目を閉じ、水の流れに意識を向けて。
まぁ、正直こうやって普通に釣ってるだけで腕が上がるとか、疑問である。
■タマモ > 「………他人様に関しても良いのじゃが、ワンアクションも無しで出入りも感心せんぞ?」
ちらりと閉じていた目を開き、どこぞの目線でぽつりと一言。
謎な一言を呟いた後、再び目を閉じて釣りに集中する。
さらさらと流れる水音、そして微風、うん、のんびりする分にもいい感じだ。
調子を見るように、釣竿を少し右にしたり左にしたり、調節をしてみる。
…生きている餌と勘違いして喰い付いてくれれば良いのだが…そうそう上手くはいかないようだ。
手を止めたり、揺らしたり…まぁ、色々と試していこう。
■タマモ > 揺らしていた釣竿が、くんっ、とまた引っ張られる感覚。
今日はなんと調子の良い事だろうか…!そんな事を考えながら、ぐっと釣竿を引く。
…ぴんっと糸が張る、動かない。
「………おや?」
ぐいぐいともう少し力を入れてみた、やっぱり動かない。
「はて、なんとも根性のあるものじゃのぅ。
しかし、この勝負…妾の勝ちじゃっ!」
がしっと釣竿を両手で持てば、ぐいーっと思いっ切り引っ張った。
糸は自分の髪を結わいだもの、切れる事はない。
…が、それが災いした。
ざばーっと力強く引かれて水の中から飛び出してきたのは、袋に包まれた何かだった。
それが余りに勢い良く引っ張られた為、びりっと音を立てて破れる。
破れた中から出てきたのは…ゴミだった、川にゴミを捨ててはいけません。
そして、そのゴミは勢いのまま、少女へ向かって撒き散らされていく。
「にょわああああああああああぁっ!?」
びくーっ!?と耳と尻尾をおっ立て、迫ってくるゴミに慌てて身構える。
どこに落ちてくるなんて予想をしている余裕なんて無い、ばしぃんっとゴミは何かに弾かれ更に四散する。
ぼたぼたとゴミは地面に落ち、少女の位置を除いた周辺がゴミだらけになった。
■タマモ > 周りに散らばるゴミ、その中央辺りに立つ少女。
あれ?これってまるで自分が周囲をゴミで汚したみたいじゃないか?
周りを見回しながら、かくん?と首を傾げる。
待て、ちょっと待て、それは困る。
なんで釣りをしていただけなのに、川辺を汚す者に見られなければならないのだ。
だがしかし、周囲には誰も居ない。
…そうだ、逃げよう。
真っ先に頭に浮かんだ回答がこれだった。
事実、このゴミは川底にあったもので、自分のゴミじゃない。
…まぁ、釣ったのは自分だが。
という訳で、こそこそとゴミを避けて釣具とタライの側に寄った。
ざばーっとタライを傾け、川に魚は解放する、キャッチアンドリリースである。
ぽんっと釣竿とタライを消し、釣具を小脇に抱えると、くるりと踵を返した、逃げの体勢だ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にルイーナさんが現れました。
■ルイーナ > 勤め先である王都を離れ、自然あふれる渓流の傍へとやってきたのは、近隣の森で採れるやや変わった生き物や草木を採取するためだった。仮の姿とはいえ、一応仕事である。お給料を貰うためには、実験でそれなりの結果を提出しなければならない。
…いや、最悪給料なしでも省エネモードであれば生きていけないことはないのだが、王都は住みやすく今住む場所の家賃は高い。ならば働かなければならない。幸い作り物の笑顔を張り付けてさえいれば、人間関係には支障をきたさぬのだからよい。だがいささかばかり疲れるのも事実だ。
人里離れた自然あふれる場所にやってきたのはそんな理由もあった。
まさか人に遭うとは思ってもいなかった。しかも奇妙にも、川からごみを釣り上げ、ばらまく少女の姿を見るとは。
自分が近くで見ているのにも関わらず、少女は慌てたせいか全く気が付いていない。こんなに散らかしたのは自分のせいじゃないと言わんばっかりに、せっかく釣ったであろう魚を逃がし、そそくさと逃げようとするのを見て、苦笑いを浮かべ──ちょっと意地悪に笑みを浮かべた
「おやおや……どこへ逃げようというのです?」
わざと咎めるような口調で、抜き足差し足で逃げようとしている少女に声をかける。
くすくすと小さな笑みを浮かべながら、可能であれば逃げようとしていた少女の後ろにゆっくりと近づこうか
■タマモ > ゴミを捨てた者がもし分かったならば、間違いなくその相手を蹴り飛ばしたりしていたところだ。
そんな事が起こり得る事もないので、ただの想像としかならないが。
さて、では逃げよう。そう思った目の前に、気が付いたら誰かが居た。
油断した、あのゴミの不意打ちが堪えたみたいだ。
「………お主、いつからそこに居ったのじゃ?」
いや、まずは挨拶の一つくらいしたって罰も当たらないだろうに、その言葉が口から出る。
いきなり逃げを打っていたのを見ていたかのような言葉に、じと目を向けていた。
…実際に見ていたのだが、それには気付いていないのだ。
ただ、慌ててたとはいえ、背後は取らせないだろう。
背後をもし取るつもりで取ったならば…不意打ちに何かが相手を襲うのだから。
■ルイーナ > じっと視線を向ける彼女に思わず吹き出しそうになりながらも耐え、その蒼い瞳を細めて唇の端を上げてみせる。
「さあ、いつからでしょうね……さてはて、随分と散らかしましたね。景観を害するのは良くないですよ?」
釣りをしていたところから見ていた、といえば彼女の事情がわかっていることがばれる。
だからわざとぼかして言ってみせ、くすくすと笑いながら視線を投げ返す。
振り返ってくれたならばわざわざ背後を取る様なことはしない。ゆっくりと彼女の正面まで歩いていこう。
身長差ゆえに、見下ろすような格好となってしまい、それに気づくと、ゆるりと笑みを浮かべ恭しく頭を下げてみせながら、視線を合わせる
「……ああ、申し遅れました。僕はルイーナ、と申します。王都で研究員をやっているものですよ…」
どうぞよろしく、と笑んでみせる表情は完璧、と言えるもの。
寧ろ完璧が過ぎて、少しばかり不安が先立つかもしれない笑顔だった。
■タマモ > さて、どうやらこの目の前の相手は間違いなく初見の相手だ。
一部の名前とかを覚えるのは苦手だが、相手の顔は忘れない自信がある。
じっと見詰めていれば、なんか笑われた気がした。
「いや、待つのじゃ。あのゴミは妾の物ではないぞ?
あー…うん、だから妾は関係ないのじゃ」
確かにゴミは自分のじゃないが、散らかしたのは自分である。
物言いから、多分、ゴミを釣った辺りから見ていたのだろうと予想は出来た。
が、やはり自分のじゃないのだ、納得いかないので無関係を主張しておいた。
後、少々笑われたのが気に入らなかったのか、むすっとした表情を浮かべる。
見詰めていれば、目の前まで近付いてきたようだ。
身長差は気にしない、ただ、こう…目線を合わされたのが、子供扱いをされているみたいで、それがまた気になってしまう。
「むぅ…タマモじゃ、覚えて得も損も無い、覚えておくも忘れるもお主次第じゃろう」
なんか色々と癪に障ってしまっていたので、完璧なのはそう関係なかったかもしれない。
いや、そうでなかったとしても、別に少女はそういった事を気にしない性格だったりするので結果はそう変わらなかったかもしれないか。
■ルイーナ > 「関係ないことはないのでは?あれを釣り上げたのは貴女なのですから…」
どうやら察されているらしい、ということに気づき、肩を竦めながら苦笑を浮かべ直す。
どうも自分には、あまりからかったり、というのは難しいようだ。どうにも相手の機嫌を損ねてしまう。
人の感情も、魔の感情も、つかみどころがなくてわかりづらい。魔術や科学のように正解がないのだから困ってしまう。
「タマモさん、ですか……いえいえ、覚えておきましょう。女性の名前は忘れない主義でね…」
笑みを浮かべた瞬間、また失敗したと思った。
社交の場で貼り付ける笑みには慣れているのだが、こうして個人同士の表情の交換は何か勝手が違う。
なぜか怯えられることも多くて何かと面倒なのだ。
だが、目の前の少女はむすっとした表情こそ見せるが、それほど怯えたり、不審がる様子もない。
口元を緩めるような笑みを浮かべ直し、彼女の視線に自分の視線を合わせるのを辞めて。
「すみません……最初から見ていたのですが、少々意地悪がしたくなりましてね。あわよくば、少し弱みを握ってみたい、なんて下心もあったもので……貴女のような美しい御嬢さんの弱みを、ね…」
冗談なのか本気なのか、よくもわからない言葉を捧げてみよう。
■タマモ > 「いやいや、あんな場所に沈めておくのが悪いのじゃ。
きっとあれじゃな、妾があそこで釣りをするのを見越して仕掛けたに違いないじゃろう。
まったく、酷い者も居ったものじゃのぅ?」
うん、ここまで来たらあれだ、完全無罪を主張しよう。
分かる訳もない捨てた相手に罪を全部被せる気満々の言葉、よよよ…と、手で顔を隠すように覆って泣くような素振りまで見せる。
誰が見ても明らかに芝居だと分かる程に適当なものだが。
「ふむ、そうか。ルイーナじゃったな?…まぁ、多分、覚えておくのじゃ」
ひらりと手を振って言葉を返す少女は、すでに芝居は止めていた。
面倒だ、と開き直った様子だ。
目の前の相手はなんか笑みを浮かべているのだが、その笑みがちょくちょく変わる。
何か思う事があっての変化だろう、こういったタイプは…あんまり良い印象が無い。
まぁ、害がなければどうでも良いので、印象云々なんて気にしないが。
視線を合わせられるのを止めたのならば、不機嫌さは少し和らいだかもしれない。
「やれやれ…ならば、最初からそう言えば良かったのじゃ。
そんな風だから、混じり気のある者というのは油断がならぬのじゃぞ?
…おっと、こっちは言わぬ方が良いんじゃろうか?」
両手を腰に当て、ふふんっと胸を張って偉そうな態度。
言葉を言い切ってから、ふと思い出したように首を傾げた。
そういえば、前に血の混じってるっぽい相手にそれを言ったら機嫌を悪くしていた。
この相手もそうだろうか?そう思えば、一応は念の為に、と問うてみる。
■ルイーナ > 「確かに……研究者の観点からも、あまりありのままの自然を穢して欲しくはないですね…」
やや適当過ぎる演技を振りまく相手に、どうせ芝居で何かさせようというわけでもないのだろう、と敢えて乗ることはなく、此方もやや適当に、けれどもやや本音を混ぜて呟いたか。
自分をじっくりと観察するように見ている相手を見て、これは隙を見てどうこうできる相手ではないと悟る。
可愛らしい女性だけに、ちょっと自分の“檻”の中に閉じ込めてみたい気はしたのだが、一筋縄ではいかないようだ。
それを証明するように、自分の素の姿を言い当てられ、得意げに笑う彼女に、降参というように両手を上げてみせた。
「…気にしませんよ。寧ろだます必要がなくて気が楽です……どうやら僕のこのそこそこ綺麗に作られたこの外面ではなく、醜悪な混ざりものの姿が見えているようですから…」
やや肩の力を抜いたように、蒼い瞳を細め、目の前の少女の頬に手を伸ばす。
何か悪さをする気はない。
する気であれば、目の前の女性は自分など消し飛ばすだろう。それほどの力を感じる。まあ消し飛ばされても痛いだけで、しばらくすれば復活できるのだが、せっかくの少女との出会いをフイにはしたくない。
触れさせてくれるなら、そっと彼女の右頬に掌を重ね、人差し指の先で頬をなぞろう。
「…残念なのは弱みを握って、悪さができなくなったことくらいですよ……」
視線を合わせることなく、敢えて見下ろしたまま黄金の色を蒼い色で射抜き、小さく笑みを漏らした。
■タマモ > 「うん?…研究者が自然をどうこう言うものなんじゃな?
てっきり研究者というと、薄暗いじめじめした部屋の中で本を見たり訳の分からぬ実験をしている者かと思うておった。
自然となんら関わりも持たぬというのは、思い違いみたいなのぅ?」
相手の言葉に、きょとんとした表情を浮かべた。
次いでかける言葉は、見事に偏見の塊が如く相手に失礼なものだった。
本当にそう思っているのだろう、少女自身には悪気はなさそうだ。
少しは加減してあげましょう。
「ふふんっ、気が楽になるなら良かったじゃろう。
あー…見た目は見た目でそのまんま見えるぞ?
ただ、匂いが色々と混ざり過ぎておって訳が分からぬのじゃ」
下手に気を張られるのは、自分としてはあまり好ましくない。
と、どうやら相手には本当の姿とやらが見えているように思っているらしいので、それを教えてやる。
自分の判断基準は見た目ではなくて、匂いだと。
ただ、実際には匂いだけでなく、気配や感じる質の違いなど、色々とあったりする。
少女から正体を隠し続けるのは、本当に至難の業であるのだ。
もっとも…隠さなければ良い、正体を晒そうと、少女は気にしない。
そうしている中、手が伸ばされてくる。
感じから、特に何かしようとする変な感じはしなかった。
それならば、その手は少女の頬に触れる事が出来るだろう。
首を小さく竦め、少し擽ったそうだ。
「おやおや、妾に悪事を働こうと?
ふふ…そうじゃな、出来なくてきっと良かったじゃろう。
すればきっと、お主がしようとしていた内の一つをお主に返していたじゃろうしのぅ?
…妾は、女子じゃろうと男子じゃろうと、可愛がるものじゃからな」
くすくす笑いながら、見下ろす相手を上目使いに見上げて呟いた。
言葉から、少女が何を返すものかは理解出来るかもしれない。