2015/11/25 のログ
■テア > こんな匂いは、風呂あがりでさえ嗅いだ事がない。
石鹸で髪の毛が洗えれば贅沢といったレベルの貧乏人なのだ。
香水など―――ましてや、単に匂いの上書きをするのではなく、恥ずかしい匂いを完全に消した上で甘い匂いを漂わせる魔法の香水など、少女にとっては一生縁の無いものなのだから。
自分の身体から漂っているとは思えない匂いに、戸惑いと喜びを感じていれば、背後に回りこんだ少女にボサボサの蓬髪が梳られていく。
隠者めいた老狩人に育てられた少女には、他人に櫛をあてられた事すらない。
その感覚には、気恥ずかしさと共にくすぐったいような心地よさも感じてしまう。
梳られていくらか素直になった髪の違和感。
自身の指を潜らせて、落ち着かなさげに髪をいじくっていた狩人娘は、彼女の誘いにこくこくこくと頷きを返して答えた。
気紛れに己の命をすり潰せるだけの強さを持つ相手であることは変わらないし、未だに何を考えているのか理解も出来ない。
しかし、己の肢体から漂ういい匂いと、髪に消え残る優しい櫛の感触のせいなのか、少女に対する恐怖心は随分となりを潜めていた。
自分の物より小さな手に引かれ、灯のともる山小屋への道を進む。
その明かりは誰かが中にいるということ。
たとえ相手が山賊の類でなくただの狩人であれ、非力な女の身であれば、捕らえられて陵辱の限りを尽くされるなんてことは日常茶飯事。
無造作に扉を開こうとする少女の動きを一瞬止めようとするものの、彼女であれば、中に何がいようと恐れることは無いのだと気付き、黙って従う事にした。
■魔王ネス > おっと...
(彼女の心配は正解だったようだ。この小屋を使っていたのは盗賊の一味。扉を開けた瞬間、幼き魔王に釜を持って襲いかかってきた。それに反応は少し遅れ、彼女を庇うように切られる。飛び散る鮮血に、落ちるドレスの切れ端。首から胸辺りを切り裂かれるが、冷静で冷徹な顔は消えない。もちろん痛みは感じており、激痛が走っているに違いない。だが、それも慣れているため平気な顔で自らの血液を鋭いけ剣へと。それを人ふりするだけで目の前の男を真っ二つに切り落とす。中の男たちも、平気な顔で仲間を殺され、怯えきった顔。その男達に対し魔王は言う)
殺されたくなかったら出ていけ。この男は私が食う。早く出ていけ。
(冷酷な声。淡々と言い放つ魔王に対し、男達はとっさに逃げるように小屋から出ていく。そして、平気な顔をしていた魔王も、流石に傷が深すぎるのか、息を荒らげながら膝を床へつく。血を吸わなければ回復が遅れるか。やむを得ない、そんなことを思いながら足元に転がる男の死体を部屋に運び入れる。少女に、貴方には衝撃的すぎるかもしれないから、少し外で待ってなさい、と扉を閉じてしまう。そして5分もしないうちに扉を開けば、口周り多少の血液が付く幼き魔王の姿。さきほど与えられた傷はすっかり消えていた。部屋の中に飛び散っていた血液も、男の肉片もきれいさっぱりなくなっており、何事も無かったような雰囲気を醸し出す。ハンカチで口周りの血を拭き取り、ボロボロになったドレスを脱ぎ捨てる)
■テア > 「――――あぁ……ッ!?」
扉の向こう側で息を潜める不穏な気配。
嫌な予感と同一のレベルでしかないものの、それに気付いてはいた。
が、扉を開くと同時の容赦のない不意打ちが、己を庇うようにして前に出た少女の細腕を切り裂くのを見れば、思わず悲痛な声音が漏れてしまう。
半ば反射的に腰の剣に手を伸ばし、己とは桁外れの強さを持つ少女の手助けをしようとするものの―――――緋色の一閃。
少女の倍はあろうかという男の胴が二つ割りにされ、夥しい鮮血と臓物を溢れさせつつ倒れこんだ。
「…………………っ!」
改めてその強さを目撃し、テアもまた山賊達と同様にその肢体を強張らせる。
強者からの慈悲を受け、逃走を許された男達が固まる狩人の脇から転がるように駆け去っていく。
「――――ぁ……の……っ、き、傷………ぁ……っ」
人外の少女であれ、痛いものは痛いのか。
鮮血を溢れさせる白腕に痛々しげに表情を歪めた少女に、テアはわたわたと治療を申し出ようとするのだが、その眼前で木製の扉が閉められた。
再び扉が開いた時、入り口脇にて膝を抱えて座り込んでいた狩人娘は、少女の血まみれの口元に一瞬硬直するものの、落とした視線が跡も残さず傷を塞がれた白腕に「ほ…」と小さく息を吐いた。
室内は先程の惨劇など無かったかのよう。
切り裂かれた臓腑の匂いだけでなく、先程まで内部にいた男達の匂いすら残っていない。
少女について小屋へと戻り扉を閉ざしたテアは、おもむろに着衣を脱ぎ始めた魔王からサッと赤面顔を背けて、入り口脇にて手持ち無沙汰に立ち尽くす。
■魔王ネス > 大丈夫よ。これくらいの傷なら少し血を飲めば直る。それより、怪我はない?
(ドレスを脱ぎ捨てた少女の美しい身体。いつも日傘を差して外を出歩いているため日焼けの痕一つもない。白く澄んだ肌が露になる。胸は人並み以上あるものの、それでも小さいのか、自分の胸を見ることなく、小屋に置いてあったベッドへ腰掛ける。セミロングの整った髪を掻き上げ、彼女を見つめる)
何してるの。そんなとこじゃなくてもっと近寄ってくればいい。
(先ほど扉を閉める前に自らを心配してくれた彼女へと純粋な笑顔を見せる。そして、一言、ありがとうと、あどけない表情を見せた。彼女に心を許した訳では無いが、少しでも心配をしてくれた彼女へのお礼のつもりだ。小さな魔王は、ベッドへ寝転がり一息吐く)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森の中」に魔王ネスさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森の中」に魔王ネスさんが現れました。
■テア > 「ぅ……ぅん、へい、き……。」
眩しいくらいの白肌から、赤く染まった顔を背けたまま、酷く聞き取りづらい小声が答えを返す。
一瞬チラリと向けた視線が捉えたのは、小さくとも形よく整った愛らしい膨らみ。
幼気な顔立ちから考えれば、コンプレクスを抱くような物とも思えないし、逆に大きすぎる乳房に羞恥を覚える己からすれば、楚々としたその佇まいは羨ましくさえ感じられた。
「――――ぅあ……っ、わ………、わか……った………。」
顔を背けたまま、にじり寄る様なぎこちなさで少女に近付く。
さして広くもない山小屋なれど、暖炉の炎に照らされた室内は暖かい。
ひとまずはこちらもマントを解き、背負った弓と矢筒と共に壁際に置いた。
聞こえた声音に目を向ければ、幼気な、しかし美しい整いを見せる相貌が優しい笑顔を浮かべていて、テアは訳もなく気恥ずかしさを感じて再び視線を横向けるのだった。
干し肉や硬パンなどの保存食が入れられている背負袋は、キャンプ地に置いたまま。
何か食べるものは……と彷徨う視線は、すぐにテーブルの上のパンとチーズを見つけ出す。
先ほどの山賊達がおいて行ったものなのだろうそれを、少女は腰の小剣で切り分けて。
「ぁ………う、あなた、も……食べ、る……?」
薄く切った硬パンの上に、同じくスライスしたチーズを乗せただけの簡素な食事。
火掻棒の先でそれを貫き、暖炉の火にかざせば、香ばしい匂いを放つパンの上で、チーズがとろとろと溶けていく。
■魔王ネス > チーズと、パンか。えぇ、頂こうかしら。
(城暮らしの魔王様からすればチーズやパンなどはさほど珍しいものでもない。ただ、今は小腹が減っている。闇と闇の間を繋ぎ食べ物を手に入れることは簡単なのだが、せっかくだからと、彼女の隣へ近寄る。胸や下半身などは下着をつけているため、露わになることはないが、それでも隣の少女に羞恥を与えるには充分の姿だろう。暖炉の前に座り込み、共にチーズを溶かし、それをパンにつければ頬張る。口いっぱいにパンを詰め込む姿は子供そのもので、傍から見れば可愛い少女と思われるかもしれない。もぐもぐと口を動かし、パンを飲み込めば満足気に笑う)
ふぅ、温かい
(暖炉の火がパチパチと音を立て燃え上がり、その暖炉の前に足を崩してあぐらを掻く)
■テア > 気恥ずかしげな問いかけに答えた少女が、やわらかな足音と共にこちらに近付く気配。
暖炉の熱で十分に蕩けたチーズと、僅かに焦げ目を付けたパンを火掻棒から取り外し、傍らに身を寄せた彼女に差し出した。
しどけない下着姿が、木目細かな雪肌を惜しげもなく晒していて、テアは同性であるにもかかわらず妙な緊張と気恥ずかしさに鼓動を早めてしまう。
木屑が浮かぶ床上に汚れ一つ無い下着姿のお尻がしゃがみこもうとするのを見れば、テアはわたわたと己のマントを拡げて即席の絨毯を用意する。
テアの体臭染みこむそれも、先ほどの香水のおかげで今は上品な香りのみを漂わせていた。
己の分のパンを用意する前に、暖炉の脇に置かれた真鍮のポットの中身を確認する。
思った通り、茶葉変わりとなる野草を沈めた水がその内側を満たしている。
貴族然とした少女に振る舞うのは気が引ける物なれど、飲み物無しにかたいパンをかじるよりはマシだろうと考えて、木製のコップにそれを注いで彼女の脇にそっと置く。
次いで己の食事も同様に用意すれば、少しだけ気後れしつつも彼女の隣に腰を下ろそう。
彼女の口に合うだろうか……と不安げに見つめていた翠瞳が、パンを飲み込んだ際に滲んだ笑顔を見止めてふわりと綻ぶ。
「――――よか……った。」
こちらもチーズの絡むパンを食んで、安っぽい紅茶で喉を潤す。
育ち盛りの冒険者にとっては物足りない量なれど、一日何も食べられない事もざらにある。
それに比べれば余程に満たされた腹部をそっとさすって、少女はいつもの様に寝る準備を始める。
脇腹に回した手指が、締め付けられたベルトを緩ませ、バチンッ、バチンッと金具を外す。
途端、ぼふっと弾けるように少女の胸元が膨らんで、硬い革鎧を持ち上げた。
革鎧に押しつぶされてそのボリュームを抑えられていた豊乳が、本来の大きさを取り戻したのである。
娘の身体を前後から挟み込んでいた胸当てを外して床に置けば、その下にあるのはゴワゴワとした質感の布鎧。
その上からでも分かる程に巨大な乳房は、少女の両手にも余る程の代物である。
■魔王ネス > ....ふしだらな胸だ。私に殺されなかったのはその大きな胸のおかげなのだから、皮肉なものだ。
(寝る準備のために鎧を外し、大きな胸が顔を出せばやはり機嫌の悪そうな顔をし、ベッドの上へ乗り込む。彼女の顔を見つめればあなたもこちらで寝れば?と首を傾げる。差し出された安物のお茶に手をつけることはなく、移動魔法で自分の寝室と繋ぎ毛布と枕を取り出し、彼女を招くようにかぶりを振る)
そんなところで寝ていては背中を痛める。私は構わないから隣へ来なさい。
(来ないのならそれでも構わないのだが、少しでも彼女に気を配ってか言葉にする。今日は専属のメイドを連れてきてはいないため、心配しているだろうか、なんて考えるも、こうした出会いもあるからお出かけは楽しいと、横目で少女を見つめる魔王様)
■テア > 「――――ぇう……、っ!?」
コンプレックスの塊である駄肉に辛辣な言葉を浴びせられ、ひとたまりもなくしょげ返る小動物。
しかし、続く言葉の物騒な内容には、冗談なのか本気なのかさえわかっていないといった驚きと困惑の表情が作られた。
肩を落として忌々しい肉塊を見下ろしつつ
(―――……でもこれのおかげで殺されずに済んだって、どういう事……?)
と、首を傾げる女狩人。
少女の言葉に顔を上げれば、安っぽいベッドには似つかわしくない毛布と枕に、またしてもテアの翠瞳は丸くなるのだった。
少女の誘いには当然の様に気後れするものの、先手をうつように命じられてしまったのなら、生来押しに弱い少女が断れるはずもない。
朱の滲む顔の中、右に左に澄んだ翠瞳を泳がせながらも、結局おずおずと彼女の元へと近付いていく。
寝転がる少女の傍ら、ベッドの脇に腰を降ろして、布鎧も脱いで肌着になったほうがいいのか、それとも危険に即応出来るようにこのままの方がいいのだろうかと考える。
が、他でもない彼女の隣で眠りにつくのだ。
これで対応できない危険ならば、布鎧があろうとなかろうと関係なかろう。
そう考えて無骨な布鎧を、腰に回した革ベルトを、そして、厚手のスロップスをも脱ぎ捨てて、安っぽい肌着姿でもそもそと彼女の隣に潜り込む。
おちょぼ口を噤んだその顔は真っ赤に染まり、気恥ずかしげな幼瞳は明後日の方角を向いたまま。
彼女にころんと背を向けて、就寝の言葉を小さく告げようとしたところで気付く。
未だ彼女の名前すら知らぬことに。
「………………わ、たし……テア。……ぁ、あな、た……は……?」
その問いかけの答えが聞けたのならば、その名前と共に「おやすみなさい」の言葉を告げようか。
いつまでたっても落ち着きを取り戻さない胸の鼓動と、頭部に集まる羞恥の熱は、中々に寝付けられぬ緊張の夜長を狩人娘にプレゼントする事になる。
■魔王ネス > あら、もう寝るの...。まあ、いい。私はネス。よろしくね、テア
(まあいいと言っておきながら自らに背を向ける彼女にぎゅっと抱きつき、自らの胸を押し付けて見せる。これでも眠ってしまうというのなら、今宵は何もせずにこちらも眠りにつくだろうが、彼女の寝付きの悪さに驚くことにもなるだろう。もちろん、すぐに眠ることなど出来ないのだが、話し相手になってくれそうな少女も眠るという。退屈という時間がとても嫌いな魔王様にとっては、暇で仕方の無い夜になるだろうか)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森の中」からテアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森の中」から魔王ネスさんが去りました。