2015/11/17 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にイルミさんが現れました。
■イルミ > 戦争だなんだと世の中が騒がしい中、あまり不用意に外を出歩くのは得策ではない。軍の兵士はもちろん、冒険者達まで南の方へ駆り出されているそうだから、本土の治安は悪くはなってもよくなることはないだろう。面倒や面倒だけではすまない諸々のトラブルに巻き込まれないためには、大人しく家に閉じ籠って騒ぎが過ぎ去るのを待つのが一番賢い選択……そう、頭ではわかっていたのだけど、
「……しかたない、しかたない。だって思い付いちゃったんだから」
独り言を言いながら、薄暗い森であたりをキョロキョロ見回す。突然降って湧いた新しい薬のアイディアを実現するためには、切らしていたキノコ類がどうしても必要だった。それも、普通の食用キノコではなく一般に毒と言われる類いの。カンヅメに飽き飽きしていた身には、都合のいい外出の言い訳だった。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にシオンさんが現れました。
■シオン > 最近いろいろと物騒な話は聞くが、自分にはあまり関係無さそうだった。あるとすればあくまで仕事の種類を選ぶ必要性が出てきただけだった。そのため今日も仕事を終えて帰る途中…森中で人の気配を感じて、木へと静かに昇り、上から確認する。
「…見えない……」
夜目はそれなりに効くほうではあるが、問題は視界が悪い。木の枝なら、葉やらが邪魔をしてなかなか見えない。しょうがないので目的の場所まで音を頼りに近づいて、枝に足をかけてぶら下がるようにしてもう一度確認する
「………」
自分の視界のすぐそこに見事に見えた。その近さの所為で驚いて落ちるところだったが、それをどうにか持ちこたえることで、葉がこすれる音が盛大に鳴った。
■イルミ > 「……っ!?」
ガサガサ、と木の枝が揺れる音がして慌ててその方向に視線を投げ掛ける。風か何かではなく、明らかに何か大きな力が加わったような……要するに、動物か何かが立てた音にしか聞こえなかったからだ。危険な野生動物かもしれないし、もしかしたら夜盗かなにかかもしれない。けれど、安易に背を向けて走り出しても 自分の脚ではすぐに追い付かれるだろう。ひとまず、相手を刺激しないように、その正体を確かめようと様子を伺うが、
「……あれ?君は……」
思いの外近く。ほとんど目の前と言っていいところに居た。どう見ても動物ではなく、夜盗にも見えない。木の枝にぶら下がった少年の顔は、どこかで見たような覚えがあった。
■シオン > 振り向いた相手の顔には見覚えがあったことに安心した。もしこれで危険な人だったら命の危険も覚悟しなければいけなかっただろう。何でこんなところに居るんだろうとは思うが、とにかく軽く手をあげて挨拶。
「お久しぶりです、イルミお姉さん」
なぜかぶら下がったままの状態で挨拶をして、頭に血が上り、少しだけくらりとして、バランスを崩して、そのまま、目の前で見事に落ちた。
■イルミ > 「あ……うん、ひさしぶり、シオンくん、だっけ」
そう、彼は確かに以前会ったことのある人物だった。人の顔と名前を覚えるのは苦手だけど、今回はなんとか思い出すことが出来た。とにかく危険な相手ではないと分かって安心して、前に彼と会ったときは確か……と思い出そうとしていた時、
「……ひゃあっ!?だ、大丈夫!?」
何故か逆さまに木の枝からぶら下がっていた彼が何故かそのまま地面に落下して、驚きと『痛そう!』という感情のこもった悲鳴をあげる。もし気を失ったり怪我をしていたら助け起こさないといけない、と慌てて駆け寄った。
■シオン > 「…はぅ……目の前で火花が散った…」
ぶら下がっていて落ちたということはもちろん受身を取ることも適わず、頭から落ちた。幸いなのは木の根などに頭をぶつけなかったことだろうが、痛みだけはかなりのものだった。瞳には涙が溜まっていたがそれは仕方ないだろう。
「何とか…大丈夫です。ああ、くらくらする。ちょっと肩を貸してください」
さすがに頭を打った所為が立ち上がることは出来たが、ふらついてしまう。傍に来てくれたので肩に手を置いて支えにさせてもらった。それにしても格好悪いところを見せてしまった。
■イルミ > 「うん、わかった。大丈夫……じゃなさそうだね、ほらしっかりして」
しゃがみこんで彼の手を取り、肩に手を回させる。自分から男に直接触れさせるのは普段なら抵抗があることだったけれど、相手が知り合いで、しかもまだ幼さの残る少年だったこと、それに加えて今は彼を心配する気持ちのほうが大きかったこともあり、特に嫌悪感のようなものは感じなかった。
「ごめんね、今は薬の持ち合わせがなくて……」
そっと彼が地面に打ったであろう頭に手を添える。単に撫でて慰めるというだけではなく、たんこぶかなにかが出来ていないか確かめるためだ。
■シオン > 「まさか落ちるなんて…この高さで良かった…」
相手の借りたまま、この程度で済んだことに感謝した。そうはいうものの、ただの自分のミスなので感謝するよりもまずは反省すべきだろう。
「薬とつけるほどのことじゃ…っ!」
普段であれば撫でられるのは気持ちいいのだが、今は痛かった。特に大きなたんこぶが出来ているというわけではないが、先ほどぶつけたばかりなのだから触れられると痛い。
「出来れば触るなら頭の打ってないところを…」
それでは怪我の状態を見ることなど出来ないだろうが、やはりもう少し触るのは待って欲しかった。危なく、痛みで体勢を崩しそうになったが、相手を支えにさせてもらっている状態だったので、それは耐えることは出来た。
■イルミ > 「あっ……ご、ごめん、大丈夫?」
彼が痛みを訴える声に驚いたように慌てて手を引く。自分は医者でもなんでもないどころか薬師としても三流がいいところなのに下手に怪我人に触ろうとしたのが間違いだったかもしれない。少し反省しつつ、頭に触れた手のひらを見ると、とりあえず出血はないようで安心する。
「……えっと、ごめんね、私のせいかな」
彼の身体を支えながら、もしかしたらこちらが驚かせてしまったから彼が落っこちる羽目になったんじゃないだろうか、とふと思って呟くように言う。