2015/10/14 のログ
キスカ > 「うん、わかってる。なんかいい人っぽいから選んでもらおうかと思ってさ」

ふかふかのローブコートの布地ごと、ぎゅうと我が身を抱くような仕草をする。

「剣の手入れの具合とか、切れ味を見れば腕前の良し悪しは一目瞭然!」
「それに、言葉遣いも。言葉には育ちが出るし、その人が属する集まりがどんなものかも想像がつく」
「通りすがりの人は騎士さまか、たぶんもっと偉い人。なのに一人でいるのはわけがあるはず」
「やんごとなき事情イコール弱味かも? 没落しちゃってお金がないとかさ!」
「とかね。そういうのは置いといて。二つ目の方? いいの?」

今どき珍しいくらいの自信満々である。それはもういっそ清清しいほどに。
自分が喰われる側だとは微塵も思ってなさそうな様子に興味を引かれたりもして。

「ふふん、簡単な話だよ。体力勝負じゃミレーはまれびとに絶対負けない」
「そっちが根負けするまであっへあへにしちゃってさー、涙とか鼻水とかでぐっちゃぐちゃのひっっっどい顔を記録映像に残す!これだよね」
「……ん、でもおおかみの死骸の横で寝るのはちょっとなぁ…」

ルーキ > 「―――ほう」

洞察力に感嘆の声が上がった。
瞬き、口端が緩く持ち上がる。相手の方へと向き直って。

「……言葉遣いはあまり意識してなかったな。ともあれ、概ね正解だ」
「これでも王族の身でね。でも没落しちゃいない。好きでこうしているだけさ」

そうして二つ目。内容を知らされれば、緩く視線が周囲を彷徨った。
人影こそ無いが、彼女の言う通り傍らには狼の死骸がある。

「……ふむ。わたしも体力には程々自信がある、んだが」
「此処でするのが嫌なら、場所を移すのも手だな?キミの棲家なり、どこか他の場所なりと」

キスカ > 「あんまり歳変わんなそうなのにしっかりしてるから、多分そういうことかなって」
「あとはその人の日常をよく観て、一番無防備になる時間を狙うこと!」
「おフロ入ってる時とか女の子を抱いてるときとか、そういうのをさーサクッとさー」

王族、と聞けばおもむろに灰色の瞳が光りだす。
王族を狩ることがライフワークのこの生物にとってその肩書きは特別な意味を持っているのだ。

「通りすがりの人はドロッドロの陰謀劇とか慣れっ子な人かな。だったらそのうち仕事で会えるかも?」
「カルネテルさんちの子ならわりと無条件にぶっ―――……こほこほっ!!」
「えーっと…そうそう、ぶっとばしたいよね! グーで!!」

かつての強敵をじっと眺める。ずっと目を背けていた問題が蘇ってきてさあどうしようという表情。

「猟師さんにあとで回収お願いしてみるとか…そういう……棲家は秘密。どこか屋根のあるとこにしけこむに一票」

ルーキ > 「まぁ、歳はあまり変わらないか……」
「見られる程大した暮らしもしていないさ。何せ冒険者だからな」

光り出した灰色の瞳を、気圧されるでもなく見つめる。
口元に携えた笑みは未だ崩れずに、くっきりと形を保って。

「陰謀劇やそういうのをわたしに期待しているなら無駄だよ」
「そういうのに嫌気が差してね。せいぜいがその日暮らしの生計を立てているわけだ」
「あまり通りすがりの人で呼ばれるのも何だな。……ルーキ。わたしの名だ」

ちらりと、未だ命を落として間もない獣を一瞥する。

「……そうか。まぁあまり詮索はすまい。屋根のある所か……此処らにあったかね」

キスカ > 「キスカ。ファミリーネームみたいなのはないよ」
「もしかしたらあったのかもしれないけど、はじめから知らなければないのと同じだから」

羨ましいとは思わない。ただ淡々とそういうモノだと思っているだけ。

「けれど陰謀は向こうの方からやってくる。ルーキが望んでなくたって」
「紅い眼の人。そういうのも王さまの証?」

自分とは頭ひとつ違う騎士然とした顔立ちを覗きこみ、きびすを返して荷物を担ぐ。

「あるわけないじゃん。無いから帰ろう!! 君のいる街に、私もついてく」
「でもって、はじめに見つけた宿でいいんじゃないかな。そんな感じでここはひとつ」

夜の森に明かりが二つ。酔狂の王女を先立てて、ふらりふらりと追いかけていった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 -川-」からキスカさんが去りました。
ルーキ > 「キスカ。……そうか、ならよろしく」
「わたしのファミリーネームは……いや。また後にしようか」

言ってしまえば、それは己の兄弟に何かしら危害が及ぶということ。
故に、黙っておこうと。

「……そういうのは、どうにも面倒臭くてな。避けられないものか」
「……さて、どうだろう。わたしはこの眼、気に入ってるよ」

真紅の瞳。覗き込まれれば微かに揺れて、細まった。微笑。
此方も先程まで手にしていた袋を持ち上げ、肩に担ぐ。

「だろうな。……うん、じゃあ宿まで行こう」

明かりを手に、先導して町へと戻っていく。追いかけてくるのを確認しながら、ゆらゆらと―――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 -川-」からルーキさんが去りました。