2015/10/13 のログ
■レイアード > (しばし、物陰で警戒をしていたが、しばらくしても状況に変化はない。放置していた冒険者が、もう事切れているであろうと思える程の時間が経過したようにも見える。……だが、此処で迂闊に姿を見せれば、即… なんて事態が、有りえなくもないのだ。青年は、念には念を入れ、馬を引き連れながらそーっと物陰の中移動を開始する)
「……このまま居座っていればいずれ死体が臭い始める…場所を移すか…。案外呆気なかったな…」
(また少し、飢えをしのぐ事が出来る。 それ以外には何も感じる事はない。低級の魔物を退け、駆け出しの冒険者を追い剥いで僅かなりの物資を得た。…特筆すべき点のない、一日が終わる…そう思っていた)
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 -森」からレイアードさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 -川-」にルーキさんが現れました。
■ルーキ > さらさらと流れる川に沿って、時折魔物の如何とも知らぬ吼え声が耳に届く中を歩く。
気の良い隣人に頼まれた薬草、ないし茸類を収集している最中。
陽も落ちて辺りも薄暗くなり始めた頃合。いわば、いつ襲われても文句は言えない時間帯。
「……いつ来ても、此処は慣れやしないな」
小さく溜息を吐くのも束の間、腰に帯びた剣の存在を確かめるように指で撫でる。
片手に持った袋には半分程――薬草が中心ではあるが――モノは入っていた。
あと一息だと、気合を入れて。前方を見遣り。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯 -川-」にキスカさんが現れました。
■キスカ > 清らかなせせらぎにかすかな濁りが生じて、すぐにどす黒い朱色が混じる。
それは生き物の血だ。あるいは見るものに不吉な予感をかきたてるかもしれない。
失われた生命の色彩は水の流れに散らされず、そう遠くない場所に源があることを伺わせる。
一方その頃、少しはなれた場所に先客の姿があった。
つまりは、人里はなれた場所だからと油断をしていたのだ。
白く抜けるような背を晒し、獣の耳もしっぽもさらけ出したまま腰から下を清流に浸す。
その身に一糸もまとわず、掬った手の中の水面に映りこむ表情を見下ろす。
口の周りに塗りたくられたみたいな鮮血と獣毛を睨んで、ばしゃばしゃと顔を洗う。
「……あーあ、すっかり汚れちまったなぁ」
赤黒い染みと裂け目だらけの衣装は乾かすあてもなく川べりに。
その傍らにはマスティフ犬よりも一回り大きな黒い獣がおのれの血に濡れて横たわっていた。
■ルーキ > ――ふと。顔を上げたところで、せせらぎに濁り、朱色が混じり下り落ちてくるのが目に入った。
無論、見覚えの無いわけはない。己も幾度と無く見、触れた生き物の血だ。
「……これは…」
某か、あるいは動物が身に傷を負うているのか。
辿るように川沿いを歩き、近くであろう源を探し歩き出す。
それは間も無く見つかった。
「―――…ははぁ。……なるほどね」
視界に入った、横たわる黒い獣。その傍らで清流に浸る獣人の姿。
それで合点が入ったような呟きを一つ、落として。
少し考えた後の様子見。隠れる気はそう無い為、気配や何やらでばれるかもしれないが―――。
■キスカ > 気づけば夕闇が迫っていた。
この古だぬきのような大物と出会ってから想像以上に時間が過ぎていたらしい。
今となっては明らかな事実がひとつある。
このダイアウルフはどう見たって自分の手にあまる獲物だった。
たしかに、肝にはそれなりの値がつくし、錬金術師に売れるからいい。
だが肉は固すぎて常人には歯が立たない代物だ。その常人には自分も含まれている。
力尽きてるのが自分の方で、立場が逆なら狼はきっと好き嫌いしなかったであろうことは想像に難くない。
我が身の、とくに顎の非力が情けない限りだ。
「あとは毛皮も。こう……むしればいいのかな?」
一体どうやって。
さんざん暴れたせいで、今となっては人里まで担いでいくほどの元気も残ってはいない。
かといって血の匂いをプンプンさせたまま、この場所に長居もできない。
ならば捨てるしかないのかと言われればそれも勿体なく、そんな具合に途方に暮れていた。
「………っくしゅ!!」
川底の丸石をひとにぎり拾って気配がした方にぶん投げる。
ルーキのそばの茂みから毛むくじゃらの生き物が悲鳴をあげて逃げていった。
「ん。全く、油断も隙もない」
■ルーキ > 手に持っていた袋を傍らに置く。
投擲された石が、茂みに身を潜めていた何やらを脅かした結果に瞬いて。
しかしその存在に気づいていなかった己としては。
「……おぉ、っと」
間の抜けた声が思わずと零れ落ちてしまった。
夕闇迫る空の下、背後から襲われれば大変だとばかりに溜息を吐き、様子見はやめて彼女の元へと。
「――…大物だな。大変だったろう?」
横たわる獣を足先で小突くようにしながら、距離を詰める。
無論嫌がられれば距離を置く用意も出来てはいる。
出来得る限り親切な様を装ってみようとした次第だがどうか。
■キスカ > このまま無為に時間を費やす理由もない。
下着とローブをぞんざいに掴み、血のあとが見えなくなるまで水面にくぐらせる。
ボロ雑巾の濡れ鼠でも何も着ないよりはずっといい。
さて頃合か、と見る影もない衣装を広げた矢先に声をかけられた。
自分より頭ひとつくらい大きな村人Aがこちらを見ていた。
「………わぁ!?」
反射的に尻尾が跳ねて丸々とした豹の耳がくたりと垂れる。
その頭を両手で隠して、頭を抱えているようなポーズでの対面となった。
「ああ大変だよそりゃもう大変だ現在進行形で大変だよ! 見たな? 見たのか? 見たよね?」
後ずさりはできない。背水の陣どころか渓流の真っ只中に立っている。詰みである。
■ルーキ > 頭を抱えるようなポーズは、どこか微笑ましくて笑いを誘うそれ。
口端がきゅっと持ち上がった。身に纏っていたローブを外し、片手に持つ。
「わたしは目が見えるからな、見たよ。……まぁそれはさておいて、だ」
手招く。ローブコートを差し出した。
「風邪を引いたら大変だろ? これでも着るがいい」
厚意の一種でもある。彼女の尻尾や隠された耳等さして気にもしていない様子で勧める。
「わたしはお前をどうこうする気はないさ。安心しろ……といっても、難しいかな?」
■キスカ > 遅ればせながら獣の耳と尻尾を消し、まれびとたちと同じ姿をとる。
時すでに遅しとはまさにこのこと。
どんなに便利な魔術だってとっさに使う才覚がなければ役には立たないのだ。
「そっかー見ちゃったかー…まあ、見るよなー。こんなのがいたらさ。気持ちはわかるよ」
自分だって興味本位で見ていたに違いない。そう思うと強く責めるわけにもいかない気がして。
たしかに害がなさそうなその人に一歩、二歩と近づいていく。
「こう見えて寒いのは平気。そう、全然平気…平気………っくちゅん!!…でもないか。じゃあ借りる。悪いね」
乾いたタオルに水気を吸わせて荷物に押し込み、替えの下着だけ身につけてゆったりとした布地を羽織る。
「礼と言っちゃ何だがそいつをくれてやろう。私には用のないものだからさ」
「君も鍛錬か何かで来た…風には見えないね。かといってこの辺の人間でもない?」
■ルーキ > 同じ姿へと相成った、魔術に感心するような眼差しを。
無論彼らのような種族ともなればこの程度朝飯前なのだろうが――。
「自分を『こんなの』なんて言うものじゃないさ」
言って傍らの獣の死体に目を遣る。剣を抜き、切っ先で軽くその剛毛を突くようにしながら。
「……そうか、ありがとう。わたしは単なる冒険者だよ」
己が今まで身につけていた布地を羽織る、その様を確認して一度頷き。
「此処にはちょっとしたお使いでね。草とか茸とか集めに来てたわけだ」
「……キミは、鍛錬で?…冒険者、という風ではないな。兵士か?」
■キスカ > 濡れた髪をうなじの上でまとめて前に垂らし、せっせと水気を抜いていく。
「いいや。こっちにその気がなくたってトラブルの元だ」
「悲しいけれど、近ごろじゃ生まれた時に切られちまうのもいるって話だよ。親の手でさ」
「そういうわけで、秘密にしてるんだ。君は見てはいけないものを見た」
ふと灰色の目がルーキの力量を推し量るように絞られて、どこか肉食獣めいた笑みを浮かべる。
「単なる冒険者、なんて何も言ってないのと同じだ。こっちもだいたいご同業。ではあるけれど」
「いいかな通りすがりの人。口封じといえば昔っから三つに一つだ」
「まずは死んでもらう。人間がいなければ問題もないのだ。死人に口ナシってやつだな」
「それから二つ目、忘れてもらう。物理的なやつとマジカルなやつがあるけど私は前者しか知らない」
「最後のひとつ。弱味を握る。君のことをよーく調べて一番弱いとこをみつけるんだ」
「んっと、そうだ。弱味ふたつめ。取って食っちまうってのもあるけど、どれがいい?」
サクッと終わるやつがいいな、と勝手なことを言いながら抜き身のダガーでジャグリングをはじめる。
■ルーキ > 「……ふぅん。難儀なものだな。まぁ仕方がないか…」
灰色の瞳、肉食感溢れる笑み。それらを順繰りに見遣り、しかし笑みは深まるばかり。
「おやおや。少なくともわたしが魔族ではないことはわかったろう?」
「口封じの方法か。……さて」
一つ、二つ、三つとそれぞれ耳を傾ける。
ダガージャグリングを横目に、頬杖つき考え込んで。
「一つ目は避けたいな。まだ命は惜しいんだ、これでも」
「気になるのは最後の一つ。二つ目も惜しいが……まぁいい。……さて。どう弱味を握るんだ?」
言うと半ば挑戦的な笑み浮かべ、両手を広げる。誘い込むような仕草で。