2023/06/25 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にソアラさんが現れました。
ソアラ > ――ふらり、ふらり、ふらり。

メグメール街道を王都へと向けて歩く人影がひとつ。
足音も無く、風すら揺らさず、人影の瞳には星すら映さない。
幽霊、幽鬼、ゴースト、……死神、街道を明かりひとつ持たずに歩く姿はその言葉の何れも相応しい。

「……………………………。」

通常であれば紅茶の事や現在に至る不幸を言葉にする口は半開きとなり、口端からはたらりと唾液を一筋垂らし、顎先を撫でて喉へと這うように流れ、まるで呆けたような表情を浮べ、瞳は落ち窪んだように黒く闇のように深く見る者を深遠へと吸い込む。

それが靴も履かず、素足で街道を歩く。
もし嗅覚に自信がある者ならば少年は百合に似た香りを。
もし聴覚に自信がある者ならば少年は禍々しい何かを呟いている。

今宵彷徨うのは少年であって少年ではない者。
屋敷に囚われた哀れな霊ではなく、屋敷へと引きずり込むおぞましき悪霊。

月も無く、星もない、宵闇に包まれた今宵の街道は大変危険である、通るならば覚悟せよ、触れるのであれば囚われる事を覚悟せよ、今宵は悪霊がまかり通る。

ソアラ > ――ふらり、ふらり、ふらり。

おぼろげな人影は足取りも危ういままに夜の闇に消えていく。
その場に残るのは微かな百合の香りだけ。

現れたときと同じように溶け込むように。
その存在の不確かさのように前触れも無く。
少年はどこかへと……。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からソアラさんが去りました。