2023/05/24 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にジン・ジャオファさんが現れました。
■ジン・ジャオファ > 美しく晴れた蒼穹の空には緩やかに白い雲が流れる。
穏やかで涼しい風が吹き、行楽日和とはまさに今日の事を言うのだろう。
好き好んで雨の道を行く者などいないように、晴れる日は街道の往来は必然と多くなる。
貴方もその一人であるならば、目的がなんにせよ、珍しい旅装の男を見かけるだろう。
街道の要所要所にある寄り合いの休息所。
ベンチが置かれ、高い柱に掛けられた天幕が日差しを遮り、その下で行商人が休憩中の者に食料や水を売っている。
旅人や冒険者を客として、必需品とも言える薬などを売る薬師なども出張してきているかもしれない。
何にせよ、そこそこに広い休憩所の隅の方のベンチで、足を組んで座る帝国シェンヤンの旅装をした男は、荷物を傍らに降ろしながら煙管をふかしている。
長い黒髪、整った顔立ち、光の差さない妖しく光る金の双眸が、行商人や冒険者、休息している旅人たちをただ眺めている。
そこにいるならば、貴方の姿も男は見ているだろうし、貴方が今訪れたばかりならば、視線が合うかもしれない。
何にせよ、もし貴方と視線が合うなら男はにこりと胡散臭い笑顔を見せただろう。
この帝国の旅人をどう思うかは、貴方次第だ。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からジン・ジャオファさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にソアラさんが現れました。
■ソアラ > 『メグメール 街道』
ふと気がつくとメグメール街道に立っていた。
足裏に感じるのは普段の柔らかい芝生ではなく踏み固められた土の感触とまだ少しだけ肌寒さ感じる夜気に満ちた空気。
これまた唐突に屋敷の外……即ち自分が縛り付けられた場所から追い出されたものだとため息を吐く。
稀にであるがあるのだ。
普段なら出ようにも出れない屋敷の敷地から、こうして追い出される事が、それで暫くするとまた引き戻され、また同じ日々を繰り返し体験させられる。
何故か?何てわからない。
どうして?なんて考えても答えは出てこない。
――ともかく、もう慣れた事だった。
可能性は指折りで数えれるくらいは想像つくが、真実はどれかわからない。
いつか冒険者?が迷い込んできて、屋敷の謎を解明してくれる事を祈ろう。
若しくは有望な人間に憑いていき、夢枕にたってお願いするのもいいだろう。
「その時が来るまで、少し肌寒いけど散歩しよっか?」
誰もいない街道で口元に笑みを浮かべ独り言を溢す。
ほんの少し声が弾んでしまったのは久々の外でワクワクしてるから、辺りキョロキョロと視線を向けながら歩く。
光源も持たず、足音も立たず、風も揺らさず、夜気よりも少し冷たい空気をまとって、街道を適当な方向に向けて進むのだった。
動物や魔物にあっても余程でない限り、ゴーストである自分に傷を負わせることは難しいので、危険なんてあるようでなく、無警戒で無防備なのは傍目から見ても一目瞭然だろう。
■ソアラ > 閉鎖空間と違い、ここには時の流れがある。
夜風は時に強く、時に弱く、心地よく肌を撫でてくれる。
夜空を見上げればいつもと違う星空と月が見える。
ゴーストなので飢えと渇きで死ぬことも無い。
恐れるモノはなにもなく、足を止める理由も何も無い。
誰かが通りかかれば脅かしてもいい。
意識をすれば消える事はできるけど、消えると風も何も感じれなくなるので、生きている人間と変わらぬ状態を維持しているので、脅かすのに工夫が必要だろうけども。
「誰かに憑いていくのも面白いけど、この状態も面白いよねー……。」
独り言はついつい。
誰かと会話、誰かと触れ合い、それが少し恋しくなる寒さに誰もいなくてもつい言葉がついて出てしまう。
もう暫くは渇くことはない。
渇いたら、渇いたで、何とかなるだろう。
運悪く遭遇する人間がいたらそれはごめんなさいだ。
歩きは軽く、足音はなく、首を反らして空を見上げながら歩き続ける。
■ソアラ > いつから人間でなくなったのかは記憶にない。
気がついたら人間じゃなくなっていて、あの屋敷と敷地内に縛られて、稀に外にでることくらいしか出来なくなっていた。
都合よく人間であった最後の記憶なんてないので、自分の名前くらいしかわからない。
それで不都合があるかと言えば特に無いし、食事はあの決まった時間で好きなものが食べれるので、幸せだとはいえるかもしれないが、なんせ人と接する機会がない。
運良く誰かが迷い込んでくれば決められた台詞が頭に浮かび、迷い込んだ人間をお茶会に誘い、良き者であれば敷地内にあるモノをひとつ持ち帰らせて、悪しき者であれば地下室へと突き落し、一頻り恐怖を与え記憶を奪い外へと追い出す。
――まあどう見ても普通の存在じゃない事は確かだが、誰がこれをしくんで屋敷の本当の主か謎が多い。
「………今夜は随分と滞在時間が長いね?」
普段ならそろそろ、だと思うのだけど今夜はまだ引き摺り戻される感覚が来ない、何なら今の内に憑いてく相手を見つけ……たいが、此処は夜の街道で誰か来るようには思えない。
両肩を竦めて首を左右に振りため息を吐く。
ある意味屋敷からでるチャンスなのだろうけど、自分自身の力ではどうしようもならないことは幸運が舞い込んでこない限り何ともならないのだ。
――そして記憶がぷつりと途切れる。
そこにはもう人影は無く、独り言も聞こえず、静寂が戻る。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からソアラさんが去りました。