2023/04/29 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
ドラゴン・ジーン > 街道沿いにおいて設けられている旅人たちの休憩場。風雨を凌ぐ為の、あるいは仮眠を取る為の簡素な木造の小屋が平坦にひた続く平地の真ん中に建っているのを認める事が出来るだろう。
そして、その直ぐ側には庇の取り付けられているベンチとテーブルまで付設されている。物好きな管理人が居るのかも知れない、或るいは相互幇助の精神が利用者達に備わっているのか。
街から大分離れた場所に建設されているというのに、施設周りは大分整っている状態となっている。小屋の中は綺麗に清掃されて補給された雑貨品を含有する備蓄食料が保存されており、簡素な寝具などの類も一眠りする程度ならば問題無く可能だろう。

「………」

生い茂る雑草が刈られ、此処一帯だけが奇妙に手を加えられた庭の如き。誰かが植え付けた草花の揺れる様を鑑賞出来る外のベンチの場所にそれは潜んでいる。
まさか狭い椅子下の物陰にそんなものが居るとは誰も思うまい。黒い粘液状態の不定形は半ば普段の竜の輪郭を損ねて水溜まりの様な状態だ。
晴天快晴の日照を避けるようにして横たわり、微睡む触角の放つ輝きも希釈されて淡く薄まっている

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にミルフィリアさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からドラゴン・ジーンさんが去りました。
ミルフィリア > 整備された街道は、多くの旅人が行き交うだけあって、治安も悪くない。
所々に休憩所まで設けられているのは、交易の便を良くして税収を上げようという国の魂胆か。
そうであっても便利なことには変わりないから、多くの旅人に歓迎はされているようで。
とはいえ、そんな施設を維持するのは国としてもかなりの手間が掛かる。
その大半はボランティアという名のもとに、人々の手で管理されているの現状で。
そのうちのひとつに修道院から派遣されてきた少女の姿もあり。

「よいっしょ……っと。」

背負ってきた荷物をベンチに置く。
中身は休憩所に備え付けられている保存食だ。
こればかりは国からのいくらかの経費が出ている。
小さな食糧庫の減り具合を確かめて、足りない分を補充していき。
それが終われば、小屋の掃除。
風を通して、埃を掃いて、雑巾で磨いていてく。
ようやくひと段落した頃には、陽は既に傾きかけていて。

ミルフィリア > もともと日帰りするにはやや遠い場所だけに、途中でいくつかの休憩所を掃除しながらの泊りがけ。
初めのうちは冒険者ギルドに依頼という形で出されていたのだけれど、
がさつな冒険者たちに掃除などという仕事がうまくこなせるはずもなく、修道院へと回ってきたのだった。

綺麗に整えられた庭のような景色を眺めながら、ベンチに腰掛ける。
夕暮れまではもう少し。日が暮れたら、夕飯の支度をして、今日はここに泊まる予定だった。
春ののどかな日差しを浴びながら、のんびりとしていて。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアルティールさんが現れました。
アルティール > 街道沿いの休憩所。其処に世話になる冒険者は多い。
例えば、街道外れの森林地帯で魔物を狩った冒険者が休憩の為に使うとか。
例えば、長旅の疲れから王都や遠くの国に向かう最中に身体を休めるとか。
今日、此処に来たのは前者。
近くで大型の狼魔物が出るとのことで討伐任務を承ったのだけれど。

「うぇぇぇ……あの狼、最後の最後で人のローブに血をなすりつけてきおって……。
 しかし、ようやく宿についたか……これで休めるのう……」

のどかな日差しを浴び、のんびりとしている彼女に伝えたのはまず血の匂い。
とはいえ、それは其処に足を踏み入れた冒険者のものではなく、
冒険者が先程まで討伐していた魔獣のもの。
死の間際に全身を叩きつけるようにして、全身を擦り付け血をなすりつけ、マーキングしてきたのだ。
お陰で他の魔物から命からがら逃げてきたという顛末。
……黒いローブには無数の獣の毛皮と砂埃と返り血の跡。本人の怪我はほとんどないが、実に痛々しく。

……此処で彼女に気付いて、少し恥ずかしそうに会釈した。

ミルフィリア > のどかな日差しにのんびりと微睡んでいると人の気配を感じる。
同時に、この穏やかな陽気には似合わないどんよりとした負の魔力が漂ってくる。
何事だろうとやや身構えていると、そこにはまだ年若い少女が姿を現した。
その赤と黒の外套には、べっとりとその凝ったような魔力が、返り血が付いているが見え。

「えっと……大丈夫ですか? お怪我とかは……?」

見たところ普通に歩けてはいるようだけれど、怪我をしていないとも限らない。
これが厳つい体躯の冒険者ならば、心配も無用なのかもしれないけれど。
さすがに小柄な少女が血みどろで現れたとなると、心配しないという方が難しい。

「と、とりあえず、こちらにどうぞ。
 そのままだと大変でしょうし。今、何か拭くものを取ってきますね。」

どろどろの少女に自分が先ほどまで座っていたベンチを勧め。
代わりに小屋の中へと駆け込んで、タオルと、コップに一杯の水を注いで戻ってくる。

「とりあえず、これで顔を拭いてください。
 あとお水も。服のほうは洗い落とさないと難しそうですね……着替えとかお持ちですか?」

こういうことには慣れた様子で、てきぱきと世話を焼き始め。

アルティール > 森林地帯では血の匂いに誘われるように、様々な魔物が襲いかかってきた。
それを魔法で迎撃して、また血を浴びて……。
その無限ループが彼女が身構える程の負の魔力が付着してしまった。
赤と黒。色合い的には目立たないかもしれないが、目を凝らせば分かる程の返り血の量は、ある意味尋常ではない。

「んっ!?……ケ、ケガか。大丈夫じゃよ。
 まぁ、少し手を噛まれたが止血は施しておるからな……?」

小柄な少女。だというのに、その小さな唇から溢れたのは古風、はたまた芝居めいた口調。
同時に手を揺らすと、その左手には狼の噛み付きを防いだのだろう痛々しい噛み跡。
しかし、其処から止血した様子が全くないのは、目の前の彼女と同じく不死性を含んでいるからか。

「う、うむ。助かる……! い、入れたり尽くせりじゃな……。」

勧められるがままにベンチに腰掛けたかと思えば、
びっくりする速度でタオルとコップに水を注いで戻ってくる少女。
修道女凄い。と目をぱちぱちと瞬かせて。差し出されたものはそのまま受け取って……まずは水を一口。

「感謝する……ん、んく……ぷぁ……。
 ……いや、これが一張羅じゃ。魔法による回帰を施しておるから、明日には卸したてに戻るとは思うが……。
 んんむ。この宿で湯船や着替えを借りる事は出来るか?」

そのままごしごしと血がこびりついた顔や腕周りを拭きつつ、説明。
さり気なくとんでもない装備だということを暴露しつつ、てっきり従業員だと勘違いした風に問いかけた。

ミルフィリア > 「診せてください。治癒なら使えますから。」

いくら止血しているとはいえ、怪我したままというのは良くない。
こんな状態なのだ。悪い菌でも入ろうものなら、たちまち化膿してしまうだろう。
けれど見せて貰ったその手には、噛み痕こそあれど血は全く出てはおらず。

「……もう治って…? 念のために浄化だけでもしておきましょうか。」

不思議そうに首を傾げるものの、本人が大丈夫だというならそれ以上は追及することもない。
身体に不浄な気が入り込んではいないかと、そのこびり付いた不浄な魔力を払おうと浄化の光で少女を包み込む。
残念ながらべっとりとついた血糊までは消し去ることはできないけれど、怨念のような魔力は払えるだろう。

「回帰……ですか。便利な魔法があるんですね。
 じゃあ、今夜は私の着替えを使ってもらうとして……。
 ごめんなさい、お風呂まではここにはなくて……水浴びくらいしか。」

自身の責任ではないとはいえ、申し訳なさそうに頭を下げる。
少女からしてみれば、早く洗い流してしまいたいだろう。
その気持ちは痛いほどに分かるだけに、眉根を下げ。

アルティール > 「……こう見えても、わらわは魔法使いでな?
 治癒魔法というわけではないが、こういった化膿を止める能力を持っているのじゃ!どうだ、凄いじゃろう!」

自分の怪我を見て不思議そうに首を傾げる少女の仕草。
それを見て、ちょっとドヤ!っと顔をしているのは、気質からか。
実際、自身の不死性がなければ魔獣の傷は化膿だけじゃなく、
其処から呪いが浸透し、身体を腐食させたかもしれない。
だからこそ、浄化という言葉には目を軽く見開いて。

「驚いた。その齢でこれだけの呪いの浄化を行えるのか。汝は優れた聖職者なのじゃな?……ん、言葉に甘えよう。」

体内には不浄は入っていないが、停滞した身体をじっとりと包み込む邪気。
討伐された魔獣による怨念。血の匂いと負の魔力で魔物を引き寄せる呪いは時間経過等では拭えない。
だからこそ、全身を包み込む浄化の力を受け入れ、全身を包んでいた嫌な魔力が霧散するのを感じれば……。

「ふぅ……助かった。流石に魔物避けしている此処までは来ないとは思うが、この後を考えると僥倖じゃった。
 ……くふふ。そうじゃろ? お陰でこの服ばかり用意しておってな~……。
 と、良いのか?んー……確かにわらわたちは背丈は似通ってるとは思うが……。
 と、むむむ。そうか……――探せば、森林地帯ならば温泉の一つでもありそうではあるが……。

 ……行くしか、ないか?」

彼女なら分かるだろう。邪気が拭えても臭いは拭えない。
それに、水浴びではそれをじっくりと拭う事は出来ないのである。まだ夏前。時間を掛けて洗うには少し苦行。
だからこそ、眉根を下げる彼女から視線を外し、街道から外れた森林地帯へと視線を向けてしまっている。

ミルフィリア > ドヤ顔を見せる少女にこちらも、思わず笑ってしまう。
あまりの姿に心配したけれど、どうやら大丈夫そうだという安堵もあり。
静かに気を落ち着かせて光の魔法を使うと、さほど強くはないものの清浄な光が少女の身を包み。

「はい、これで大丈夫です。
 これはまぁ……何度も使ってるうちに出来るようになったというか。
 それよりも、こんなになるまで、どんな魔物と戦ってきたんですか……?」

褒められはしても、自身の努力や才覚とは少し違う事情だけに言葉を濁し。
代わりにとばかりに、やや強引に話題を変える。
街道沿いのこの辺りなら、冒険者が頻繁に行き来することもあって、狂暴な魔物は出ては来ないはず。
それなのに、これだけ強い怨念を撒き散らすような魔物の、それも複数の返り血塗れの少女に問いかけて。

「服くらいなら構いません。
 下着と、修道服の替えくらいしかありませんから、それでもよろしければですけれど。
 温泉ですか……近くにある、のかな……? 私のこの辺りのことに詳しいわけじゃなくて……
 えっと、今から森に行くなら私も付いて行きます。灯りの魔法くらいは使えますし!」

着替えについては快諾するも、温泉については表情を曇らせたまま。
近くに小さな泉はあれど、それは飲み水には良くとも、水浴びには冷たすぎる。
かと言って、温泉に宛てがあるわけでもない。
これが公衆浴場のある街中ならば、残って食事の準備でもするところ。
けれど、暗くなる森の中に少女をひとりで行かせるわけにはいかないと、その手を握り。

アルティール > 「うむ、何度目かはわからぬが、感謝する!
 ……ふむ。才能的なものか? 実際、聖職者は神からのそういった祝福があるからのう。
 うむ。それはもう、わらわの身の丈程の巨大な黒い毛皮を持つ狼の魔獣じゃよ。
 実際、戦っていたのは森林地帯の方じゃが……。
 いやぁ、まさか倒した後の返り血が魔物を寄せる呪いの効果があるとはのう。わらわ、失態!
 ……まぁ、それに誘われる魔獣を迎撃しつつ、此処まで逃げてきたというのが事の顛末じゃな。」

全身の邪な気が消えたなら、身体を扇いだり腕を伸ばしたり。
血の匂いは残るけれど、調子は元に戻ってきた。
強引な話題転換にはそのまま乗っかり……。
実際に戦っていたのは街道からかなり離れた場所だった。
そして、其処から此処に来るまでに、呪いに誘われた小型の魔獣を倒していた、と。その説明は彼女の疑問を解決に導くはず。

「いや、とても助かる……。感謝の言葉が足りぬほどよ。
 ……というのも、先程逃げている最中にな?……何処となく硫黄の香りがあったのじゃよ。もしかしたら、それが温泉かもしれないと思っていてな?
 ……む、良いのか!?……なら、言葉に甘えようっ。流石に魔法で夜目は利くと言えど、灯りがあるのは頼もしいゆえな。

 ……では、完全に暗くなる前に向かおう!
 と、わらわはアルティール。親しいものはアルやアルティと呼ぶ。汝の名を問うて良いか?」

様々な葛藤をした後に彼女から向けられた提案。
確かに、血塗れの少女が一人、温泉探しに向かうなんてことを、お人好しの聖職者が見逃せるわけがない。
自身の掌を包み込んでくる柔らかな手を、逆に握り返し、意気込むように立ち上がり……その名前を問うた。

傍から見れば、少女二人の温泉探しという微笑ましい光景。
違う所があるとすれば、此処に居る赤黒の少女は魔力に当てられていて、少しだけ欲望が膨れ上がっていることと、その性別。
例えば、このまま秘湯とも言える温泉を見付け、二人で入る事になった場合。
――きっと、堪えられずに目の前の牝を襲う。

ミルフィリア > 才能云々的な話について、差し障りのない笑みにて流し。
続いて聞かされる狼の魔獣については、両手を組むと小さく祈りを捧げる。
襲い掛かって来たのは向こうだろう。そして呪いを残したのも事実。
それでもその魂が安らかに眠れるようにと、そんな短い祈りの言葉を紡ぎ。

「そういうことなら、なおのことご一緒させてください。
 簡易的な結界も使えますから。
 呪いに寄せられたと言っても、それだけ魔物がいる森の中に入るなら危険ですから。」

少女がいくらそれらの魔物を倒してきたといっても、入浴中まで戦えるかというとそんなはずもない。
無防備になる間の護りは任せてほしいと、真剣な眼差しを向ける。
ただ生き永らえているだけの自分だけれど、人に頼って貰えるというのは嬉しいもの。
ぎゅっと握った手に力を込めて。

「アルティールさん。よろしくお願いします。
 私は、ミルフィリアと言います。すぐに準備しますから、少しお待ちください。」

道中、背負っていた荷物から、着替えやタオルなどを選り分けてまとめ直す。
そこには、もちろん少女――アルティールの分も。
あとは保存食しかないけれど、いくらかの食料を鞄の中へと詰め込んで。
鞄を背負うと、護身用の聖杖を手に戻ってくるだろう。

「お待たせしました。森の中はすぐに暗くなりますから、急ぎましょうか。」

小さく祈りの言葉を紡ぐと、杖の先にぽっと光が宿る。
ランプよりもやや明るいくらいに調節したそれを掲げながら、ふたりして森の中へと消えていき。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からミルフィリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアルティールさんが去りました。