2022/11/21 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアラナさんが現れました。
アラナ > 街道で出会ったこの二人、彼らは、特に何の変哲もない。

「へへっ、お嬢ちゃん?」
「お兄ちゃんたちと、遊ばないかい?」

「普通」の、いわゆるチンピラだ。

「通して下さい、私には、布教の使命があるのです」

と、一応私は、この首に掛けている、木製の十字をこの者達に見せたが。

「ヒュー、こりゃ参った!!」
「その歳で、神様に仕える子なのかい?」

もちろん、このような男達が、それで良心を持つ事はなく。

「んー、しっかし、シコメば、育つ身体つきだろうなぁ?」
「あー、でもこの子、胸もケツも、全くにまな板だぜぇ?」

余計なお世話です。

「でも、そういうのが好きな、奴もいる事だしヨォ……」
「……値は、付くかもなァ?」

その言葉、最初私はこの者たちが、単なるチンピラだと思っていたのだが。

――もしかすると――

もっと、タチが悪い人間なのかもしれない。そう、私は警戒を強くし。

ジャ……

腰の剣に軽く、己の手を掛ける。

「オイオイ、嬢ちゃん……」

そして、その私の真剣な顔に対して、ニヤニヤと、下卑た笑みを浮かべながら、彼らは。

「少し、この麻痺毒塗りの短剣で、大人しくしてもらおうかねぇ、可愛い、清らかな聖職者の」

ふところから、各々ダガーを抜き、そして。

「嬢ちゃん、ね?」

その刃が、サンサンと輝く太陽の光に反射して。

――毒、そして、相手は二人……!!――

青黒く、粘つくその刃を見つめながら。

――おそらく、私の腕では、剣だけでは勝てない――

神に、加護を祈る。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアラナさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアラナさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアラナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアラナさんが現れました。
アラナ >  相手は、私が小娘だと思い甘く見ていたのだとは、思う。

「……この、クソガキ!!」

 未熟な私の剣は、それでもどうにか、このチンピラが振るうダガーを跳ね、そして私の。

 ザァ、シュ!!

 剣は、目前の男の腕にかすり、その刃を食い込ませる。

「……このまま!!」

 おそらく、相手が一人ならば、私の剣の腕でも、特に問題は無かったであろう。

「テメェ、売り飛ばす前に!!」

 その私の目の前で、腕を傷つけれた怒りによって、その澱んだ、若者らしくない。

「傷物にされたお返しに、俺達が、オメェを傷物にしてやるよ!!」

 歪んだ、両の目をつり上げている男を鋭く見つめていた、私の目は、揺らぎ。

「……そこ!!」

 この私の横に回り込もうとしたもう一人の男、彼に対して牽制の剣を振るう、が。

「……ヘッ!!」

 キィ、ン!!

 その男は、私の剣をダガーでもって簡単に受け流し、そして。

「甘ェよ、嬢ちゃん!!」

 そのまま背後に回り込んだ男、その者のナイフが。

 ザァ、ン……!!

「……!!」

 私の旅用の短ズボン、それを深く切り裂き、その男の刃は。

――……クッ!!――

 スゥ、ザ……!!

 私の簡素な麻の、腰の下着にまで食い込み、そのまま素肌の尻にまで、軽く。

 ニュ、ザァ……

 その、刃が滑る。

「へっ、チラ見せとはいえ、良いケツじゃねえかよ!!」

 だが、今の私には、その下卑たチンピラが放った言葉、それに答えている暇はない。

「……ツゥ!!」

 男の刃に塗られていた麻痺毒、それが早くも、効果を。

――……私の!!――

 発揮を、始める。

――お尻が、蠢いている……!!――

 情けない、僅かとはいえ、裂けたズボンの合間から、左の尻肉を男の目に晒す。その事に恥辱を感じるのは、小娘たる私とて、当然の事。

「……だけど!!」

 すぐに、私はその事を、気にしている暇が無くなった。

――毒、が!!――

 腕が、舌が、身体が痙攣する。

――……最初に、術を使っていれば!!――

 だが、神聖なる祈祷にしろ、精霊の術にしろ、この男達二人との距離では、すぐに。

「……オウオウ、足元がふらついてるゼェ、嬢ちゃん!!」

 発動させるのは、無理であった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアラナさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアラナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にアラナさんが現れました。
アラナ > ――だめだ……!!――

 目の前が暗くなる、そして。

 カ、シャ……

 剣が、私の手から離れ、地面に落ちる音。

「……ヘヘッ、良い小遣い稼ぎが!!」

 ――ああ、私の身体に、触らないで――

「出来そうだなァ、兄弟?」
「ああ、貧相なガキの身体だが、顔は悪くネェ……」

 その、二人のチンピラが私の肉体に這わせる指、その指の感覚に。

――……ウッ!!――

 今この場の事ではない、恐らく過去の記憶、それのぼんやりとした嫌悪感が、私の脳裏に疾る。

――ああ、神様……――

 そして、私はどうなるのであろうか?

――……もちろん――

 このような者達に、女が捕らわれる、その事から、想像出来る、事などは決まっている。

――……主よ――

 お助け、下さい……

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からアラナさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──Zzzz……」

──まだ日の高い時間帯。
街道脇の草原で、草に埋もれるようにして仰向けに寝そべっている金髪の男が一人。
両手を組んで枕にしながら、晴天の空の下でマヌケな寝顔を晒して絶賛爆睡中だった。
時折吹き抜けてさわさわと草を揺らす風に擽られたように、ムニャムニャと寝言めいた
声を漏らしたりしつつ。

なお男の寝ているその近くでは、男が連れたものらしき、一通りの馬具を装備した平均的な印象の鹿毛の馬が一頭佇んでいる。
時折草を食んだり、ゆったりと歩いたりするものの男から大きく離れることなく一定の距離を保ち続けていて。
のんきに眠る男と合わせて、ごくごく平和な光景を形成していた。

とはいえ──男の姿が草に埋もれていることから、遠目から見れば馬が何故か単独で
佇んでいるようにしか見えないかもしれないが。
もっとも、その馬の近くまでやってくれば、付近で眠る男の姿を見つけることもそう難しくはないだろう。