2022/03/31 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にヴァイオレットさんが現れました。
ヴァイオレット > ―――――不意に、がくん、と車体が揺れて、強か窓に額を打ち付け目が覚めた。
ズキズキ痛む額を片手で押さえつつ、生理的な涙の滲む双眸を忙しなく瞬かせ、
いったい何が起こったのか、周囲を見回してみる。
天鵞絨張りの座席に座っているのは娘一人、窓の外には西日に照らされた木々、遠く望む山々。
幾らかは王都に近づいているのだろうが、先刻うたた寝を始めた時と、
なんの変わりも無い街道の風景――――に、見えた。

奴隷都市からの帰り道、父はひと足先に戻ってしまったから、
この馬車が運んでいるのは令嬢一人と、小旅行には大き過ぎる荷物。
とはいえ、娘を溺愛する父親は、腕の良い御者と新造の馬車を揃えて残してくれた。
整備を怠っている筈も無く、走っているのは街道である。
そうそう事故など起こるとも思えないのだが――――

「……ちょっと、どうなってるの!?
 もっと静かに停めなさいよ、わたしが怪我でもしたら、
 あなた、どう責任を取るつもりなの!」

携えていた扇の柄で、ゴツゴツと壁面を叩きながら声を張る。
詰る相手は当然、手綱を握る御者、その人だけれど、
――――――果たして、彼から応えはあるだろうか。
それとも何か不測の事態が、馬車の外で起こりつつあるのだろうか。

ヴァイオレット > 次第に宵闇が迫りつつある中、喚き散らす娘の行く末は。
――――――今は未だ、誰も知らない。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からヴァイオレットさんが去りました。