2021/10/10 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にレフェーリアさんが現れました。
レフェーリア > 川から水が引かれた馬水桶と簡素な小屋が据え付けられた街道途中の休憩所、とも呼べる場所に数台の馬車が立ち並んでいる。
道によっては無理をして突っ切るよりは火急の用でもない限りは休憩を挟んだ方が良い、というのは、馬車を扱っている御者ならば誰であっても変わらない。
商品を運んでいるにしても、護衛と共に進む何処だかの貴族にしても…或いは、秘密裏に奴隷を運んでいる馬車にしても。
そんな小屋の近くでローブを纏った女性は、馬車を眺めながら一人考えている。

今から戦地に赴く馬車に話を持ち掛ければ、仕事を貰えるかもしれない。
或いは幾らかのお金「など」を持ち掛けては馬車に乗せて貰えるだろう。
奴隷を運ぶ馬車に話を持ち掛けてしまったその後は…身を持って知っているから、一人小さく身震いする。
もしくは、そんな馬車の面々を狙っている良からぬ連中が訪れたならばどうなるだろう。

一人で思考を繰り広げながら、またもう一台の馬車が此方に向かって来るのを見届けていた。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」にハレスさんが現れました。
ハレス > 既に日も暮れた時間帯の休憩所ともなると、灯される明かりもわずかな松明と焚火、そして薄雲から覗く月明りのみ。
それだけだと休憩所に滞在する面々の表情どころか顔立ちすらはっきりせず、どういう人物たちなのか判断する材料に乏しいところ。
だからこそ彼女は声を掛けるべきか迷っているのだろう。
とはいえ現状は切羽詰まった状況ではないのだろうが、いずれは何者かに声を掛けねばなるまい。
そんな折にもう一台の馬車が休憩所に立ち寄った。

「…座りっぱなしじゃ腰に悪いな」

その馬車から出てきた大柄の男は、ストレッチするように身体を軽く動かしながら独り言ちる。
仕事で用いる香草の仕入れのために遠方まで出向いて、その帰り道だった。
松明の灯された馬車の傍ら、その顔立ちや風貌ははっきりとよく見えるだろう。

レフェーリア > 獣避けの松明が焚かれている休憩所では、周りの馬車との交流も盛んになっている。
日用品を売りに出している物から、奴隷の一夜を買い取ろうとしているものまで様々である中。
彼女も同じく雑多に敷いた布の上に煎じた薬草や回復薬を置いた簡易の薬売りとして振舞っている中、また一台の馬車が訪れて、その中から現れた見知った相手の姿をじっと眺めた。

「…………ああ」

以前に関係を結んだ事のある存在であると分かり、小さく身震いしながらもすぐには近付かない。
女手一人で休憩所に赴いてしまえば流しの娼婦の類だと思われることも珍しくなく、実際間違いは無いかどうかと言えばその通りであるが。
大人しく佇みながら、やがてやって来るであろう姿を敷布の上でくつろいだまま静やかに見上げていて。

ハレス > 実のところ、日を跨ぐ出張となるはずではなかった。
日暮れ前には王都に戻れるはずだったが、まぁ予定というのはすんなりその通りにはいかないもの。
故に旅支度もそこまで入念にしていたわけではない、寝床は馬車一台を貸し切っているため一応困ることは無いが。

「食い物…と酒か」

足りないものはそれだが、幸いにしてそれらに困ることはなさそうだ。
商人であれ奴隷商であれ、この場においては皆平等。
片方は日用品や食品を売り、もう片方は一夜の相手を売る。
それぞれが雇っている傭兵が休憩所を警護する…ここまでくると小さな交易所だ。
男もさして困らず食事と数本のエールを手にすることができた。
ようやくして彼女と目が合ったのはそのあとのこと。

「よう…売れてるか?」

目が合ったときは相手も少々驚いた様子だった。
酒の瓶を片手にゆっくりと歩みより、商品を眺めるようにその場にしゃがみ込んでは、含みのある笑みを伴ったなんとも他愛ない挨拶。

レフェーリア > 何かしらの馬車に押しかけずとも、一応屋根はある、程度の小屋の中で休息を取る事は可能である。
路銀や薬草やらと引き換えに購入した食事を適当に食べながら、やっと気付いたらしい相手にしゃがみ込まれると、ぞくり、と顔よりも身体の方が疼く感じがした。

「……この日を過ごすくらいには、何とか…」

傭兵に対しては薬草を、奴隷商人と思わしき面々には回復薬その他諸々。
敷布の上に置かれている商品は半分程を売り捌く事が出来ていて満更でも無い雰囲気を宿しているものであり、それ以上にローブ一枚の身体を指摘される事の方が多いものだった。

「……あの仔は、元気ですか?」

劣情に駆られた誘惑以上に、気になって来たのは母性から来ているのかもしれない何気ない問い掛け。
相手の正体を全て把握した上で、こんな時に出会えたのだからと、酒を飲んでも居ないのに仄かに赤らんでいるのが松明の光でも分かる表情で相手の返事を待ち構え。

ハレス > 彼女の取り扱う商品は、そのほとんどが一般的な薬のそれ。
だからこそどこであっても安定して売れるということ。
何とか、と謙遜している彼女であるがその日暮らしという雰囲気でもあるまい。
まして金遣いが荒いとかそういうのとは縁遠い女性だ。
もう一つの理由については言わずもがな、自身もその身体に魅せられた一人だ。

「ああ、成長が早くてな…思ったより手の掛からない仔だ。
もう少ししたら俺よりもイイ男になるな」

彼女も母である以上、その質問は当然のことだ。
健康だし、物覚えも良い、戦いの筋すらある、性格にも問題ない。
冗談めかしながらも元気であることを微笑み、どこか誇らしげに伝えよう。
飲むか、と持っていたエールの瓶を一つ彼女に差し出しながら。

レフェーリア > 過剰な大金を移動中に所持しては護衛を付けたりしない限りは格好の的である。
蓄えがあるにはあるが、この場には存在しないというだけ。旅路にはあくまで身軽という近隣の常識に合わせた態度を取っていて。

「そう、ですか……」

差し出されて来た酒瓶を素直に受け止め、栓を開けながら安堵の表情をその顔へと浮かべる。
淫らに耽った末であるが、それでも我が子が無事であると知っては安心するのが母親であるというものだろう。

酒瓶を傾けている内に薬を求めていたのか、それとも店主を求めていたのかも知れない周囲の目は大柄な男と話し掛けている内に遠巻きに離れていく。
完全に日が暮れた時となればポーチの中に商売道具を残さず収めてしまい、敷布はそのまま敷布団代わりに彼女の手元に畳まれて抱えられた。

ハレス > 「明日には家に帰る…顔を見せてやるくらいしてくれないか?」

安堵の表情を浮かべる彼女に、ささやかな願いを告げる。
今更彼女を束縛するような年でもなければ、息子も大らかな性格故に気にしていない。

「…少し歩こうか」

返事を聞く前に、この場を離れることを提案する。
休憩所から離れ、森の中へと入ることになるがこの辺りは安全地帯のため不安は無いだろう。
寧ろ休憩所の小屋や馬車の中では、この後の振舞い次第で目立ってしまうことになりかねないのだから。

レフェーリア > 「……貴方の馬車に、乗っても良いのであれば…」

酒気が回って行く中で、見えて行くのは彼女の持ち合わせている本性とも言うべき劣情だった。
明らかに休憩所から離れていく方向になるが、相手の事を信じているから、それ以上に期待してしまっているから警戒する事は何も無い。

「……畏まり、ました」

小屋の中へと赴こうとはせず、敷布を携えたまま相手に倣って人だかりから離れた場所へと進んでいく。
やがて馬車の中で眠る者達はあの薬売りはどこに行ったのか、等と気にする者も疎らに居たが、
どうせ売られたのだろう、といった言葉のままに誰も気にしないまま、夜は更けていく。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からハレスさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道」からレフェーリアさんが去りました。